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2026年3月17日 公開

プロシーディングス目次(アブストラクト付き) (論文掲載 258 件、○印は発表者)

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8月6日(水)口頭発表セッション
 合同セッション( 7号館71A/71B 9:40-10:10 ) 4 件
 加速構造( 7号館71A/71B 14:50-15:10 ) 4 件
 加速器応用・産業利用( 6号館61C 14:50-15:10 ) 4 件
 企画セッション②( 7号館71A/71B 16:20-16:25 ) 6 件
 
8月7日(木)口頭発表セッション
 加速構造・ビーム診断( 7号館71A/71B 8:50-9:10 ) 6 件
 加速器制御・真空( 6号館61C 8:50-9:10 ) 6 件
 企画セッション①-1( 7号館71A/71B 11:00-12:00 ) 1 件
 企画セッション①-2( 7号館71A/71B 15:10-16:10 ) 1 件
 ビーム診断・高周波源( 7号館71A/71B 16:20-16:40 ) 4 件
 加速器土木・ビームダイナミ( 6号館61C 16:20-16:40 ) 4 件
 
8月7日(木)学会賞受賞講演
 学会賞受賞講演( 7号館71A/71B 18:20-18:45 ) 1 件
 
8月8日(金)口頭発表セッション
 粒子源( 7号館71A/71B 8:30-8:50 ) 4 件
 ハドロン加速器・電磁石( 6号館61C 8:30-8:50 ) 4 件
 
8月8日(金)特別講演(公開講座)
 特別講演(公開講座)( 7号館71A/71B 13:00-14:30 ) 1 件
 
8月8日(金)口頭発表セッション
 光源加速器・電子加速器( 7号館71A/71B 15:00-15:20 ) 6 件
 電磁石・レーザー( 6号館61C 14:40-15:00 ) 6 件
 
8月6日(水)ポスターセッション
 ポスターセッション①( 7-1F-A 12:40-14:40 ) 87 件
 
8月7日(木)ポスターセッション
 ポスターセッション②( 7-1F-A 13:00-15:00 ) 69 件
 
8月8日(金)ポスターセッション
 ポスターセッション③( 7-1F-A 10:00-12:00 ) 78 件
 
8月6日(水)・8月7日(木)施設技術報告
 ポスターセッション①②( 7-1F-A 12:40-14:40/13:00-15:00 ) 17 件
 
8月7日(木)・8月8日(金)施設技術報告
 ポスターセッション②③( 7-1F-A 13:00-15:00/10:00-12:00 ) 17 件

合同セッション (8月6日 7号館71A/71B)
9:40-10:10 
WEPO701

先進加速器技術のすゝめ
Promotion of Advance Accelerator Technology
○上坂 充(内閣府原子力委員会)
○Mitsuru Uesaka(Japan Atomic Energy Commission)
 
講演者の先進加速器開発と応用をレビューし、特に若い研究者と学生に夢を持った研究をすすめることを講演の目的とする。博士修了後は石川島播磨にして、東大物性研/KEK・PF向けリボルバー型多極ウィグラ駆動部等、小型シンクロトロンX線源の開発に携わった。東大原子力助教授時代は極短パルス電子ライナックシステム構築・レーザー電子・イオン加速の実証を行った。教授時代は、工学部所属故、社会実装可能な先進小型加速器開発にシフトした。企業と共同で、Xバンド6MeVピンポイントX線がん治療システム、950keV/3.95MeVXバンド電子ライナックX線源の開発と橋梁検査・福島燃料デブリその場非破壊検査への応用、中型Sバンド電子ライナックによる医療用RI製造等を行った。その後現職。橋梁検査・デブリ検査システムは現役の先生らのご尽力で実用化に進んでいる。医療用RI製造・利用は原子力委員会の政策になった。原子力委員会は、原子力エネルギー、加速器等を用いた放射線利用等を所掌している。加速器開発と利用の盛り上がりを期待する。量子コンピュータの量子ビットは、レーザーによる光量子、超伝導クーパーペア、イオントラップ、中性原子等である。原理と装置をみれば、ほとんどが加速器要素技術である。レーザー電子加速の夢の応用に、光ファイバーカテーテル型電子・X線がん治療システムがある。OHラジカル・活性酸素の生成エネルギーはkeV以下である。エネルギーをMeV以上と決めつけなくてもいいのでは?加速器と要素技術の新しい可能性を論じてみたい。
 
10:10-10:40 
WEPO702

[Slides]
次世代放射光源SPring-8-IIのための加速器設計・開発
Accelerator design and development for the next generation light source, SPring-8-II
○渡部 貴宏1, 田村 和宏1, 深見 健司1, 杉本 崇1, 山鹿 光裕1, 近藤 力1, 大石 真也1, 小路 正純1, 清家 隆光1, 大島 隆1, 馬込 保1, 細田 直康1, 石井 美保1, 櫻井 辰幸1, 岩井 瑛人1, 高野 史郎1, 田中 隆次2, 稲垣 隆宏2, 前坂 比呂和2, 早乙 女光一2, 正木 満博3, 谷内 友希子3, 上田 庸資3, 太田 紘志3, 増田 剛正3, 青木 毅3, 谷内 努3, 川瀬 守弘3, 安積 則義3, 松原 伸一3, 山口 博史3, 田島 美典3, 出羽 英紀3, 藤田 貴弘3, 小林 和生3, 斗米 貴人3, 貴田 祐一郎3, 鏡畑 暁裕3, 今村 慧3, 阿部 利徳3, 岡田 謙介3, 清道 明男3, 濱野 崇3, 山川 皓生3, 長谷川 夏3, 牛澤 昂大3, 井上 忍4, 吉岡 正倫4, 山本 龍4, 熊澤 寛介4, 田中 みお4, 住友 博史4, 田中 信一郎4, 福井 達5, 平岩 聡彦5, 原 徹5, 渡川 和晃5, 紀井 俊輝5, 安留 健嗣5, 田中 均51JASRI /RIKEN SPring-8 Center, 2RIKEN SPring-8 Center/JASRI, 3JASRI, 4SPring-8 Service Co., Ltd., 5RIKEN SPring-8 Center)
○Takahiro Watanabe1, Hirokazu Tamura1, Kenji Fukami1, Takashi Sugimoto1, Mitsuhiro Yamaga1, Chikara Kondo1, Masaya Ohishi1, Masazumi Shouji1, Takamitsu Seike1, Takashi Ohshima1, Tamotsu Magome1, Naoyasu Hosoda1, Miho Ishii1, Tatsuyuki Sakurai1, Eito Iwai1, Shiro Takano1, Takashi Tanaka2, Takahiro Inagaki2, Hirokazu Maesaka2, Kouichi Soutome2, Mitsuhiro Masaki3, Yukiko Taniuchi3, Yosuke Ueda3, Hiroshi Ohta3, Takemasa Masuda3, Tsuyoshi Aoki3, Tsutomu Taniuchi3, Morihiro Kawase3, Noriyoshi Azumi3, Shinichi Matsubara3, Hiroshi Yamaguchi3, Minori Tajima3, Hideki Dewa3, Takahiro Fujita3, Kazuo Kobayashi3, Takato Tomai3, Yuichiro Kida3, Akihiro Kagamihata3, Kei Imamura3, Toshinori Abe3, Kensuke Okada3, Akio Kiyomichi3, Takashi Hamano3, Kosei Yamakawa3, Natsu Hasegawa3, Takahiro Ushizawa3, Shinobu Inoue4, Masamichi Yoshioka4, Ryo Yamamoto4, Hiroyuki Kumazawa4, Mio Tanaka4, Hiroshi Sumitomo4, Shinichiro Tanaka4, Toru Fukui5, Toshihiko Hiraiwa5, Toru Hara5, Kazuki Togawa5, Toshiteru Kii5, Kenji Yasutome5, Hitoshi Tanaka51JASRI /RIKEN SPring-8 Center, 2RIKEN SPring-8 Center/JASRI, 3JASRI, 4SPring-8 Service Co., Ltd., 5RIKEN SPring-8 Center)
 
近年、SPring-8をはじめとする第三世代放射光源よりも約100倍の輝度を生成する次世代光源の設計・開発が世界中で進み、国内でもNanoTerasuに続き、現SPring-8を刷新するSPring-8-II計画が正式にスタートした。SPring-8-II計画では、輝度の飛躍的な向上のため電子ビームエミッタンスを現状の2.4nmradから100pmrad以下まで下げることを目指し、これを実現する磁石配列5-bend latticeや、各種磁石群(縦勾配型偏向永久磁石、機能複合型磁石等)、狭ボア径真空システム、高精度・高安定ビームモニタ、新型真空封止アンジュレータ、新加速器制御システム等々、光源加速器のほぼ全てを新たに設計・開発した。また、輝度だけでなく安定度・信頼度も重要な光源性能と捉えたトータル設計、及び持続可能な社会に向けた省エネ化などもSPring-8-II計画の重要なコンセプトとなっている。2024年度には蓄積リングの一部のプロトタイプ製作が文科省により予算化され、SPring-8サイト内にて構築、試験が進められてきた。2025年度よりSPring-8-II計画の本予算も承認され、既に各要素の量産が開始されている。
本発表では、これら新たな加速器の設計・開発の概略に加え、実際にプロジェクトを進めていく上で現場で直面してきた主な課題、その克服方針、今後の展望を紹介する。

 
10:40-11:10 
WEPO703

[Slides]
IFMIF原型加速器(LIPAc)の実証試験の進展
Progress in Validation of the Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc)
○近藤 恵太郎(QST 六ヶ所フュージョンエネルギー研究所)
○Keitaro Kondo(QST Rokkasho Fusion Institute)
 
核融合炉用の材料照射を行う国際核融合材料照射施設(IFMIF)の原型加速器(LIPAc)の実証試験が日欧の国際協力の下、QST六ヶ所フュージョンエネルギー研究所で進められている。LIPAcは125 mAの重陽子ビームの9 MeVまでの加速とCW運転の実証を目標としており、入射器、RFQ、超伝導線形加速器(SRF)、ビーム輸送系およびビームダンプ等から構成される。日欧で段階的に機器の据付と試験が進められてきており、これまでに重水素イオン源からの150 mA, DCビームの24時間連続引き出し、RFQによる125 mA重陽子ビームの5 MeVまでの加速とduty 約10%運転の達成などの重要な成果を得ている。現在は、最終段階であるSRFの試験に向け、クライオモジュールの組立作業、ビームラインへの統合準備作業などが進められている。本発表では、これまでに得られた成果の概要と、材料照射施設(核融合中性子源)の建設に向けた展望について述べる。
 
11:10-11:40 
WEPO704

[Slides]
J-PARC g-2/EDM実験のためのビーム入射設計と実証実験成果報告
Beam injection design and demonstration experiment results report for the J-PARC g-2/EDM experiment

○飯沼 裕美1, 2, 松下 凌大3, 小川 真治2, 古川 和朗2, 大谷 将士2, 阿部 充志2, 佐々木 憲一2, 高柳 智弘4, 2, 大澤 哲2, 中山 久義2, 三部 勉2, 3, 齊藤 直人2, 31茨城大学, 2高エネルギー加速器研究機構, 3東京大学, 4日本原子力研究開発機構)
○Hiromi Iinuma1, 2, Ryota Matsushita3, Shinji Ogawa2, Kazuro Furukawa2, Masashi Otani2, Mitsushi Abe2, Kenichi Sasaki2, Tomohiro Takayanagi4, 2, Satoshi Ohsawa2, Hisayoshi Nakayama2, Tsutomu Mibe2, 3, Naohito Saito2, 31Ibaraki-University, 2KEK, 3University of Tokyo, 4JAEA)
 
J-PARC/MLFで準備中のミューオンg-2(異常磁気モーメント)とEDM(電気双極子)の超精密測定実験(E34)では、MLF の大強度ミューオン源から300MeV/c のミューオンビームを中心磁場3T、半径33.3cm の円軌道に蓄積し、ミューオンスピン歳差運動の角速度を精密測定する。物理の要請により磁場均一度0.1ppm以内の蓄積領域にミューオンビームを30μ秒(寿命の5倍程度)以上蓄積する。この目標を満足するために、医療用MRI磁石技術を応用した精密ソレノイド磁石への3 次元らせん軌道入射を考案し、原理実証実験に取り組んできた。ソレノイド軸に対称な形状をもつらせん軌道入射には強いX-Y結合を持ったビームが必須であり、X-Y結合の制御の成否が入射効率を左右する。原理実証実験では、3つの回転4極磁石を駆使してX-Y結合実現し、蓄積領域でのビーム品質に与える影響を評価した。 本発表では、3 次元らせん軌道入射方式の概要を紹介し、強いX-Y結合をもったビーム位相空間を実現するためビーム調整手法の詳細および、電子ビームを用いた実証実験におけるX-Y結合ビーム運転の結果を報告する。
 
加速構造 (8月6日 7号館71A/71B)
14:50-15:10 
WEO701

グラファイト付着した汚損電極の真空中耐電圧に対するドライアイス洗浄効果
Effect of Dry Ice Cleaning on Vacuum Breakdown Voltage for Graphite Adhered Electrode

○渡邉 拓人1, 仲泊 明徒1, 山納 康1, 2, 照井 真司3, 石橋 拓弥3, 山本 将博31埼玉大学, 2筑波大学, 3高エネルギー加速器研究機構)
○Takuto Watanabe1, Akito Nakadomari1, Yasushi Yamano1, 2, Shinji Terui3, Takuya Ishibashi3, Masahiro Yamamoto31Saitama University, 2University of Tsukuba, 3KEK)
 
高エネルギー粒子加速器や真空遮断器などの真空機器内部では、大電力投入による真空絶縁破壊現象が発生することがある。機器の長期にわたる運転により放電が頻発するようになった際には、運転の長期間中断を伴う大掛かりな対処が必要となる。 本研究ではグラファイトコーティングを施した電極、グラファイトコーティングを施した上でドライアイス洗浄を適用した電極、ドライアイス洗浄のみ行った電極、コーティング・洗浄のどちらも行っていない電極の4組の試料電極に対して繰り返し絶縁破壊試験を行うことで、ドライアイス洗浄が耐電圧に与える影響について調査した。 繰り返し絶縁破壊試験を行った結果、グラファイトコーティングのみ行った電極では飽和後平均絶縁破壊電界が低いままであったのに対して、グラファイトコーティングを施した上でドライアイス洗浄を適用した電極の試験終了時の絶縁破壊電界、ドライアイス洗浄のみ行った電極の飽和後平均絶縁破壊電界、コーティング・洗浄のどちらも行っていない電極の飽和後平均絶縁破壊電界は高い値を示し、さらにドライアイス洗浄を行っている2組の電極の方が高い耐電圧を示した。耐電圧が上昇するコンディショニング速度について、なにも施していない電極が最も速い結果となり、これはドライアイス洗浄適用後も表面には付着物が残っていたからであると考えられる。しかし、グラファイトによって汚損された電極もドライアイス洗浄によって同等の耐電圧まで上昇したため、ドライアイス洗浄は効果的な洗浄法であると考えられる。
 
15:10-15:30 
WEO702

絶縁耐圧向上に向けたイオン注入によるサファイアの表面抵抗制御
Surface Resistance Control of Sapphire by Ion Implantation for Enhanced Breakdown Voltage

○金子 月海1, 小倉 暁雄2, 片桐 創一21筑波大学大学院, 2筑波大学)
○TSUGUMI KANEKO1, Akio Ogura2, Souichi Katagiri21Graduate school of the university of Tsukuba, 2University of Tsukuba)
 
荷電粒子加速器の小型化のためには、加速器に使用されている絶縁碍子の高耐圧化が必要である。しかし、更なる高耐圧化を図るうえで、加速電極を支えている固体絶縁体の表面で発生する沿面放電が問題となっている。その放電機構は、陰極三重点からの電子放出、電子衝突による絶縁体表面からの二次電子の発生と帯電、なだれ的に増加した二次電子による表面吸着ガスの脱離によって発生するものと考えられている。本研究では、固体絶縁体表面の正帯電に着目し、これを抑制することで耐電圧の向上を目指す。表面の正帯電を除去するためには導電性を持たせる必要がある。そのための手法として、イオン注入に着目した。本研究では、絶縁体表面の耐電圧を向上させるために、サファイアの表面に0.3 MeVで加速させたNiイオンを注入して、表面にのみ導電性を持たせた。0.3 MeVでは金属イオンが表面に蓄積されないため、Ti膜成膜後のイオン注入と、イオン注入後のエッチングという二種類の方法により表面抵抗の制御を試みた。高真空下で測定した表面抵抗値が注入イオン数によって制御された結果について報告する。
 
15:30-15:50 
WEO703

[Slides]
SPring-8-IIへ向けた加速空洞高次モードによる不安定性の抑制
Suppression methods for instability induced by high-order modes of accelerating cavities towards SPring-8-II

○斗米 貴人1, 稲垣 隆宏2, 1, 大島 隆1, 2, 岩井 瑛人1, 2, 正木 満博1, 安留 健嗣2, 山口 博史1, 前坂 比呂和2, 11高輝度光科学研究センター, 2理研 放射光科学研究センター)
○Takato Tomai1, Takahiro Inagaki2, 1, Takashi Ohshima1, 2, Eito Iwai1, 2, Mitsuhiro Masaki1, Kenji Yasutome2, Hiroshi Yamaguchi1, Hirokazu Maesaka2, 11JASRI, 2RIKEN SPring-8 Center)
 
SPring-8蓄積リングでは、放射光輝度を現行比100倍に向上させるSPring-8-IIへのアップグレードが2029年の運転開始を目指して準備されている。SPring-8-IIでは、現在の509MHzベル型加速空洞を引き続き使用する。新しい蓄積リングでは、電子ビームエネルギーが8GeVから6GeVに引き下げられ、電流値が100mAから200mAに引き上げられるため、これまで問題とならなかった縦方向および横方向の結合バンチ不安定性が発生し、電流を十分積み上げできない可能性がある。
そこで、現在SPring-8で使用中の加速空洞に対して、シミュレーションと低電力高周波測定によって高次モードの周波数とQ値を確認した。さらに、シングルバンチビームで空洞に誘起される信号を解析し、高次モード起因の不安定性が生じるか検討した。そして、実際にマルチバンチビームを蓄積して、予想される電流値で不安定性が誘起されるかどうか試験を行った。本発表では、これらの測定結果をもとに、SPring-8-IIにおける結合バンチ不安定性の抑制策について報告する。

 
15:50-16:10 
WEO704

[Slides]
ミューオン加速用Disk-and-Washer試作機の低電力試験
Low-power test of a prototype Disk-and-Washer structure for muon acceleration

○近藤 彩夏1, 飯嶋 徹1, 鷲見 一路1, 竹内 佑甫2, Cicek Ersin3, 惠郷 博文3, 大谷 将士3, 中沢 雄河3, 二ツ川 健太3, 三部 勉3, 吉田 光宏3, 近藤 恭弘4, 森下 卓俊4, 岩下 芳久51名大, 2上海交通大学, 3KEK, 4JAEA, 5京大)
○Ayaka Kondo1, Toru Iijima1, Kazumichi Sumi1, Yusuke Takeuchi2, Ersin Cicek3, Hiroyasu Ego3, Masashi Otani3, Yuga Nakazawa3, Kenta Futatsukawa3, Tsutomu Mibe3, Mitsuhiro Yoshida3, Yasuhiro Kondo4, Takatoshi Morishita4, Yoshihisa Iwashita51Nagoya Univ., 2Shanghai Jiao Tong Univ., 3KEK, 4JAEA, 5Kyoto Univ.)
 
ミューオンの異常磁気能率および電気双極子能率は素粒子標準模型を超える新物理の寄与が期待される物理量である。J-PARCで計画しているこれらの精密測定実験では、ミューオンの冷却・再加速によって生成する低エミッタンスビームを用いた新しい手法により、独立した検証を行う。ミューオン線形加速器は各速度域に適した4種類の高周波加速空洞で構成されており、その中でも光速の30%から70%の加速を担う中速度領域の加速器は設計・製作手法が未確立である。現在、中速度領域の加速器として、高い加速効率を持つDisk-and-Washer(DAW)型加速器に着目し開発を進めている。ミューオン加速用DAWは加速空洞であるTankと、ビーム集束に用いる四重極電磁石の設置空間を確保しつつTank間を電磁気的に結合するBridge couplerから構成される。我々は先行研究で製作されたTank試作機に加え、新たにBridge coupler試作機を設計・製作し、製作精度の評価と低電力試験を実施した。低電力試験では、共振周波数やQ値といった高周波特性の確認やビーズ測定による電磁場の測定を行った。さらに、TankとBridge couplerを組み合わせたシステムとしての低電力試験も実施した。本講演では、電磁場解析コードによるBridge couplerの設計と、Tank・Bridge coupler試作機の製作精度・低電力試験について報告する。
 
加速器応用・産業利用 (8月6日 6号館61C)
14:50-15:10 
WEO601

[Slides]
J-PARC・MLF水銀標的からの熱中性子領域における180度方向中性子収量(TTNY)の測定および評価
Measurement and evaluation of Thick Target Neutron Yield(TTNY) at an angle of 180° for mercury target(J-PARC・MLF) in thermal neutron region

○井上 翔一1, 明午 伸一郎2, 岩元 大樹21長岡技術科学大学, 2J-PARC/JAEA)
○Shoichi Inoue1, Shinichiro Meigo2, Hiroki Iwamoto21Nagaoka University of Technology, 2J-PARC/JAEA)
 
J-PARCセンター核変換ディビジョンでは、MLF水銀標的に3GeV陽子ビームを入射することで発生する180度方向中性子を利用した半導体ソフトエラー試験等の様々な中性子利用実験を計画している。これに向けて、本研究ではJ-PARC・3NBT下流に設置した実験ポートにて3GeV陽子入射における180度方向中性子収量(TTNY)のエネルギースペクトルを飛行時間分析(TOF)法によって測定した。測定対象は、熱中性子領域から1MeV付近までの比較的低エネルギーの中性子であり、検出器としてHe-3比例計数管を使用した。また、金箔を用いた放射化法による測定結果の評価についても併せて実施した。この結果、先行研究にて測定した1MeV以上の高エネルギー中性子領域における結果と併せて、1MeV付近にピークを有する蒸発スペクトルとなることが確認され、同時に熱中性子(25meV)より約1桁ほど高いエネルギーにてわずかなピークを有することも確認された。さらに金箔を用いた放射化法による評価により、測定結果の妥当性についても確認できた。以上の結果より、J-PARC・MLF水銀標的からの180度方向中性子を1MeVの準単色中性子源として利用できることが分かり、これらは今後の中性子利用実験に大きく貢献するものと強く確信している。今後は、放射線挙動解析コード(PHITS)を用いた測定結果の評価を実施する予定である。
 
15:10-15:30 
WEO602

アルファ線核医学治療用アスタチン-211製造装置の改良
Improvement of a production system of astatine-211 for targeted alpha-particle therapy
○安良田 寛1, 2, 栗原 嵩司1, 2, 荒井 秀幸1, 2, 佐藤 望2, 南部 明弘2, 重河 優大2, 金山 洋介2, 渡邉 環2, ミトラ サヤンタニ2, 清水 弘道2, 羽場 宏光21金属技研, 2理研)
○Hiroshi Arata1, 2, Takashi Kurihara1, 2, Hideyuki Arai1, 2, Nozomi Sato2, Akihiro Nambu2, Yudai Shigekawa2, Yousuke Kanayama2, Tamaki Watanabe2, Sayantani Mitra2, Hiromichi Shimizu2, Hiromitsu Haba21MTC, 2RIKEN)
 
近年、アルファ(α)線核医学治療に期待されるα線放出核種、アスタチン-211(At-211)の需要が急速に高まっている。At-211は、サイクロトロン等の加速器を用いて28 MeVに加速したヘリウム-4(He-4)ビームをビスマス-209標的(Bi-209)に照射し、Bi-209+He-4→At-211+2n(n: 中性子)で表される核反応によって合成される。我々の研究グループでは、これまで回転式Bi-209標的とオンラインAt-211回収機構を併せ持つ画期的なAt-211製造装置の開発を行い、理研リングサイクロトロンを用いて、最大25 pμA(1 pμA=6.2×1012 粒子/秒)のHe-4ビームによるAt-211の製造に成功していた。今回、より大強度のビーム照射と回収率の向上を目的とし、回転式真空隔壁の開発、標的容器の冷却・加熱機構の改良を実施した。この結果、最大35 pμAのビームによるAt-211の製造に成功したので報告する。
 
15:30-15:50 
WEO603

[Slides]
ビーム窓の散乱を利用した数GeV二次陽子利用法の高度化 2
Secondary GeV protons utilization using scattering at beam window 2

○明午 伸一郎, 山口 雄司, 岩元 大樹(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター)
○Shin-ichiro Meigo, Yuji Yamaguchi, Hiroki Iwamoto(J-PARC Center Japan Atomic Energy Agency)
 
宇宙開発事業において、衛星搭載用の宇宙線センサーの応答測定のため数百MeVからGeV領域の陽子の利用が必要となるが、400 MeV以上のエネルギー領域で供給が可能な加速器施設は世界的に少なく、国内にはJ-PARCが唯一となる。J-PARC加速器施設ではユーザー運転を安定に継続するために、利用者の実験装置を陽子ビームダクト内への設置は困難となる。このため、我々はビームダンプ入口のビーム窓(Al)における散乱陽子を利用した手法を開発した。既にまた、加速器駆動核変換システム等の大強度陽子加速器施設では核内カスケードモデル(INCL)の高度化が重要となる。INCLの改良のためには、最前方方向の放出粒子の二重微分断面積が重要となるが、実験値が殆どないため新たなデータの取得が望まれる。宇宙開発利用の推進およびINCLの高精度化のため、J-PARC 3NBTにおいて数GeV陽子を用いた二重微分断面積を開始した。この結果、400MeV陽子スペクトルには弾性散乱の鋭いピークを有する構造となることが明らかになった。 PHITSの計算は、このピークをよく再現するものの、準弾性散乱の寄与を3倍程度過大評価することが明らかになった。本報では、利用者に供給する0.4GeVから3GeVまでの陽子スペクトル測定とJ-PARC核変換ディビジョンで検討を進めている陽子ビーム照射施設に関してに関して議論する。
 
15:50-16:10 
WEO604

周波数変調型可変エネルギー加速器の設計
Design of Frequency-Modulated Variable-Energy Accelerator

○青木 孝道1, えび名 風太郎1, 羽江 隆光1, 堀 知新1, 関 孝義1, 和久田 毅1, 足利 沙希子1, 岩田 健1, 皆川 俊介1, 宮田 健治1, 小島 啓明1, 和賀 雄飛1, 西田 賢人1, 中島 裕人1, 野田 文章1, 梅澤 真澄21株式会社日立製作所, 2株式会社日立ハイテク)
○Takamichi Aoki1, Futaro Ebina1, Takamitsu Hae1, Chishin Hori1, Takayoshi Seki1, Tsuyoshi Wakuda1, Sakiko Ashikaga1, Takeshi Iwata1, Shunsuke Minakawa1, Kenji Miyata1, Hiroaki Kojima1, Yuhi Waga1, Kento Nishida1, Yuto Nakashima1, Fumiaki Noda1, Masumi Umezawa21Hitachi, Ltd., 2Hitachi High-Tech Corporation)
 
がん治療の一種である陽子線治療の普及にはシステム全体の小型化が必要である。従来加速器のシンクロトロンは偏向電磁石をパターン運転するため、取り出しビームのエネルギーを照射に用いる70MeV~235MeVの範囲で制御可能である。一方、常伝導のシンクロトロンでは軌道周長が約18mとなり、コンパクト性に課題が有った。筆者らは過去の研究において、静磁場かつ可変エネルギーである加速器の基本概念を提案しており、本研究では主磁場を軌道上に一様かつ動径方向外側に減衰する弱収束磁場とすることで、水平チューンが1に近い状態を実現し、ピーラ・リジェネレータ磁場を平衡軌道位置から離れた位置に設置することで、加速中のビームの安定でありながら横方向高周波キックでドライブされる遅い取り出しが可能な加速器を設計することができた。入射・加速・取り出しの各段階において三次元磁場計算に基づく電磁場条件の下で軌道解析を実施した結果、ビームの横方向および縦方向運動の安定性が保持されることが確認でき、任意のタイミングで加速RFを停止することで、任意のエネルギーのビームを安定周回させ、遅い取り出し法により85MeV~225MeVのビームを加速器外に取り出せることを示した。
 
企画セッション② (8月6日 7号館71A/71B)
16:20-16:25 
WEKO01

趣旨説明
Introduction
○坂上 和之(東京大学大学院工学系研究科)
○Kazuyuki Sakaue(Graduate School of Engineering, UTokyo)
 
加速器科学技術の発展をけん引してきた高エネルギー物理学研究者コミュニティでは若手を中心に将来計画委員会を常設している。その委員会を中心として分野の将来計画について、近隣分野も巻き込んだ議論を活発化させている。素粒子物理分野においては、次世代の計画について世界的に議論が活性化している一方で、国内の現行プロジェクトから次世代プロジェクトへの移行する明確なビジョンが確立されていない等解決すべき課題も多い。加速器分野においては、世界的にも技術開発をリードする領域がある一方で、大学における加速器関連講座や産業界のプレーヤーの減少など多くの課題がある。今回、この将来計画委員会と連携して本セッションを企画した。密接な関係にある素粒子物理分野における加速器関連プロジェクトの現状と将来展望を俯瞰し、最後に公開意見交換会で素粒子物理・加速器の将来について議論する。本セッションを通じて、加速器学会における将来に向けた議論の活性化を目指す。
 
16:25-16:35 
WEKO02

高エネルギー物理分野における将来計画議論について
Acitivities of JAHEP CFP
○奥村 恭幸(東京大学)
○Yasuyuki Okumura(The University of Tokyo)
 
高エネルギー物理学分野では、分野研究者が高エネルギー物理学研究者会議(JAHEP)を組織しており、そのもとで将来計画検討委員会(CFP)が常設され、その時々で必要な議論を行う仕組みを持つ。本講演では高エネルギー分野での将来計画議論が展開されるかを共有し、また特に現在の将来計画委員会の活動の目的や主要な議論の論点、展望をまとめる。
 
16:35-16:55 
WEKO03

LHC実験の現状と今後
Status and prospects of the LHC experiments
○生出 秀行(高エネルギー加速器研究機構)
○Hideyuki Oide(KEK)
 
CERNのLHC加速器は世界最高の13.6 TeV重心系衝突エネルギーで陽子・陽子や重イオンを衝突させる素粒子物理のフラッグシップ施設である。周長27 kmのリング内には4つの衝突点が設けられ、標準模型の検証と新物理探索を目的とする汎用測定器ATLAS・CMSの他、B物理専用のLHCb、重イオン物理に特化したALICE実験が稼働している。2008年の初運転以来、LHCはエネルギーとルミノシティを段階的に向上させており、現在は設計値の2倍以上に相当する約21 nb??/sのレベリング輝度で安定運転を継続している。2026年からの長期シャットダウン期間に大型アップグレードを行い、2030年からは高輝度LHC(HL-LHC)として50 nb??/s以上の輝度で運転を行い、2041年までにATLAS・CMS各測定器で約3 ab??ずつのデータを蓄積する計画である。本講演では、LHC加速器とHL-LHC計画の最新状況を概観するとともに、ATLAS実験を中心とした物理成果に加え、日本の技術的貢献や人材育成面での取り組みを紹介し、LHC後の次世代加速器構想に向けた展望についても議論する。
 
16:55-17:15 
WEKO04

SuperKEKB/Belle II実験の現状と今後
Status and prospects of the SuperKEKB/Belle II experiment
○松岡 広大(高エネルギー加速器研究機構)
○Kodai Matsuoka(KEK)
 
SuperKEKB加速器では、7 GeVの電子ビームと4 GeVの陽電子ビームを衝突させ、大量のB中間子、D中間子、τレプトンなどを生成する。次世代加速器の基盤技術となるナノビーム衝突方式を世界で初めて採用し、世界最小のビームサイズ、世界最高のルミノシティを達成している。Belle II実験は、それら大量の粒子の崩壊を精密に測定し、素粒子標準理論の予測と比較することで、崩壊過程に潜む新しい物理法則を発見し、宇宙の消えた反物質の謎などに迫ることを目指している。2019年に本格的な物理データ収集を開始し、途中約1年半の長期シャットダウンによる加速器と測定器の改修を経て、これまでに0.575 ab?1のデータを蓄積した。まだ前身のBelle実験の半分程度のデータ量だが、すでにBelle実験の精度を上回る物理成果を多く出しており、今後データを積み上げてゆくことで、新しい物理法則の発見に迫れると期待している。これから、ビーム電流を上げ、ビームサイズをさらに絞ることで、前身のKEKB加速器の10倍のルミノシティ、さらに2032年からの2度目の改修を経て数10倍のルミノシティを目指す。最終的に、目標とする50 ab?1のデータ量を2042年度末までに蓄積する計画である。本講演では、これまでの成果と今後の様々な挑戦について議論する。
 
17:15-17:35 
WEKO05

[Slides]
J-PARCにおける高エネルギー実験の現状と今後
Status and prospects of the high energy physics experiments at J-PARC

○松原 綱之(KEK/J-PARC)
○Tsunayuki Matsubara(KEK/J-PARC)
 
J-PARCは、MW級大強度陽子加速器を擁する世界的にもユニークな多目的研究施設である。高エネルギー加速器研究機構(KEK)と日本原子力研究開発機構(JAEA)によって共同で建設・運営され、素粒子物理学、原子核物理学、物質・生命科学、そして原子力工学といった多岐にわたる分野で最先端の研究が展開されている。ビーム出力の大強度化によって当初設計を超えるビーム強度を達成するなど、今後も様々な成果が創出されると期待される。特に素粒子実験においては、ニュートリノ振動の精密測定を目指すT2K/Hyper-Kamiokande、K中間子の稀な崩壊現象を探索するKOTO、そしてミューオンの稀崩壊や精密測定を行うCOMETやMuon g-2/EDMなど、日本がホストして世界をリードする実験が進行中である。本講演では、J-PARCにおけるこれらの高エネルギー物理実験の現状を概観し、それぞれの実験が目指す物理、現在の進捗、そして将来的な展望について議論する。
 
17:35-17:55 
WEKO06

電子陽電子ヒッグスファクトリー計画の物理と展望
Physics and prospects of e+e- Higgs factory projects
○末原 大幹(東京大学)
○Taikan Suehara(The University of Tokyo)
 
電子陽電子ヒッグスファクトリーは、ハドロンコライダーであるLHCおよびそのアップグレードHL-LHCの後の大型コライダー計画として、世界で実現を目指している。グローバルプロジェクトを目指す国際リニアコライダー(ILC)は、日本での実現を念頭に加速器技術開発を国際協力(ILC Technology Network)で進めるとともに、グローバルな計画実現のフレームワーク実現を目指す活動も行っている。また、CERNでのリニアコライダーを目指すLCF@CERNも最近立ち上がった。一方、円形コライダーによる計画としては、CERNのFCCeeと中国のCEPCがあり、いずれも今後数年での計画決定を目指して準備を進めている。本講演ではこれらの各計画の開発状況、欧州、米国、日本等での実現戦略検討の状況を概観するとともに、さらに将来のアップグレードを見据えた技術開発についても触れ、大型コライダーの将来を展望する。
 
加速構造・ビーム診断 (8月7日 7号館71A/71B)
8:50-9:10 
THO701

新しいニオブ箔空洞の提案
A novel manufacture of niobium foil cavities
○山中 将1, 原田 祥久2, 松崎 邦夫21高エネ研, 2産総研)
○Masashi Yamanaka1, Yoshihisa Harada2, Kunio Matsuzaki21KEK, 2AIST)
 
超伝導空洞のコストを低減するために、新しい取り組みとして厚さ0.2 mmのニオブ箔パイプを用いて空洞を製造する方法を提案する。成形方法として、「電磁成形」という塑性加工技術が適用できないかと着想した。可能性調査(FS)の結果、ニオブは電磁成形が困難な材料であり、実験の結果、ほとんど成形できないことがわかった。そこで、ニオブを成形するために、ドライバーと呼ばれる銅やアルミの材料をニオブに重ねて成形する方法を試したところ、成形が可能である感触を得た。これまでの実験結果について報告する。
 
9:10-9:30 
THO702

高耐圧セラミック管の開発に向けた多結晶窒化アルミニウムの表面帯電特性
Surface charging characteristics of polycrystalline aluminum nitride for development of high voltage resistant ceramic

○小倉 暁雄1, 山本 将博2, 山納 康31筑波大学, 2高エネルギー加速器研究機構, 3埼玉大学)
○Akio Ogura1, Masahiro Yamamoto2, Yasushi Yamano31University of Tsukuba, 2High Energy Accelerator Research Organization, 3Saitama University)
 
国際リニアコライダー(ILC)、高繰り返しの自由電子レーザー(FEL)や電子・イオン衝突型加速器(EIC)では電子源として低エミッタンスかつ大電流ビーム生成が求められている。光陰極を利用する電子銃から大電流の電子ビームを取り出すためには高強度レーザーを照射する必要があり、レーザー照射によって光陰極表面の温度が上昇し、量子効率や寿命の低下が問題となる。また、低エミッタンスビームの生成には高電圧・高電界加速が必要となるが、世界的にSF6ガスの使用が制限されてきており、DC電子銃では近年SF6ガスを利用しないInverted型セラミック管を利用した電子銃開発が進んでいる。このカソード電極を支持するために、従来はアルミナセラミックス(アルミナ)が利用されてきたが、近年注目されている多結晶窒化アルミニウム(AlN)は、高い熱伝導率と電気絶縁性を兼ね備えた材料であるため、放熱・高耐圧性が必要とされる加速器構造体への応用可能性を有している。しかし、その帯電・耐圧特性に関する詳細な報告は少ない。そこで本研究では、真空下で多結晶AlNに高電圧を印加し、微小放電が発生した際の表面帯電に関する基礎的なデータ取得を目的とする。また、従来のアルミナと比較した時の特徴についても報告する。
 
9:30-9:50 
THO703

[Slides]
低エミッタンスミュオンビーム測定のためのチェレンコフ放射型プロファイルモニターの開発
Development of a Cherenkov Radiation-Based Profile Monitor for Low-Emittance Muon Beam Measurements

○中川 鈴彩1, 宮原 房史1, 2, 大谷 将士1, 2, 橋本 義徳21総合研究大学院大学, 2高エネルギー加速器研究機構)
○Risa Nakagawa1, Fusashi Miyahara1, 2, Masashi Otani1, 2, Yoshinori Hashimoto21SOKENDAI, 2KEK)
 
ミュオンの異常磁気能率および電気双極子能率の精密測定を通じた標準模型の検証を目的として、J-PARCにおけるmuon g-2/EDM実験では、212 MeVのミュオン線形加速器の開発および建設が進められている。実験には、低エミッタンスのビームが要求され、ビームの位置や形状を高精度で測定することが求められる。開発初期段階ではビームパルスあたりのミュオン数がパルスあたり100個以下となることが予想され、さらに暗電流由来の電子がバックグラウンドとして混入するため、既存のモニターでの測定は困難である。そこで本研究では、チェレンコフ放射に着目し、新型ビームプロファイルモニターを開発した。電子とミュオンで放射角度が異なるため、光学系を用いてミュオン起源の光のみを選別し、発光位置を正確に計測することが可能である。本研究では色収差がなく、非点収差以外の収差が補正され、球面鏡で構成されたオフナーリレー光学系を採用した。これにより、Stripline型BPMやCavity BPMなどの電気的な測定や蛍光や遷移放射の発光の測定ではほぼ不可能なミュオン選別をした超低電荷バンチのビーム測定が可能になる。本研究では、運動エネルギー40 MeVのミュオンビームを対象に、光学系設計を行い、鏡の曲率半径や誘電体の厚さを最適化し、光の検出部までの設計を行った。本発表では、今後計画している電子ビームを用いた位置測定試験と運動エネルギー40 MeV, 212 MeV用のモニター使用する耐放射線ガラスとシリカエアロゲルの放射線耐久性テストにおけるセットアップや想定される結果について述べる。
 
9:50-10:10 
THO704

アンジュレータ放射光干渉法による電子ビームエネルギー測定と原子核実験への応用
Undulator radiation interferometry for electron beam energy measurement and its application to nuclear experiment

○西 幸太郎1, 中村 哲1, 2, 4, 永尾 翔1, Pascal Klag31東大, 2東北大, 3マインツ大, 4クォーク・核物理研究機構)
○Kotaro Nishi1, Satoshi N. Nakamura1, 2, 4, Sho Nagao1, Klag Pascal31the Univ. of Tokyo, 2Tohoku Univ., 3Mainz Univ., 4QNSI)
 
我々の国際共同研究グループはマインツ大学マイクロトロンにおいて電子線を用いてΛハイパー核の質量分光を実施している。質量の系統誤差を制限しているのが、200 MeV領域の電子ビームを用いた電子弾性散乱による運動量較正手法である。較正において入射する電子ビームエネルギーの絶対値測定精度がおよそ100 keVと大きいことが課題となっていた。
アンジュレータ放射光干渉法は、200 MeV領域の電子ビームエネルギーを20 keV以下の精度で測定することを目的として開発された。2台のアンジュレータから放射される放射光の干渉光を、アンジュレータ間距離を変化させて測定することで電子ビームエネルギーを測定する。本講演ではアンジュレータ放射光干渉法の系統誤差の評価を含めた測定の結果を報告する。

 
10:10-10:30 
THO705

J-PARC MRにおける新規チューンメータ開発
Development of a new tune meter in J-PARC MR

○長尾 大樹, 中村 剛, 佐藤 健一郎, 岡田 雅之, 外山 毅(高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター)
○Daiki Nagao, Takeshi Nakamura, Kenichirou Satou, Masashi Okada, Takeshi Toyama(KEK/J-PARC center)
 
現在J-PARC MRで用いられているチューン測定システムは、老朽化により更新の時期を迎えている。新たなシステムの開発を行うにあたり、BPMの、ビームを挟む2電極の信号強度のバランスを適切に調整し、それらの差をとった後に増幅することで、微小な振動を測定できるようにして、測定精度の1桁向上を目指す。加えて、ビームの加速に伴い周回周波数およびチューンの周波数は変化するが、ADCサンプリングクロック及びミキサに与えるキャリアの周波数をビームの周回周期に追従させチューンのピーク位置を固定することで、シンプルでわかりやすい信号解析システムの構築も行う。本発表では、このシステムの開発状況について説明する。
 
10:30-10:50 
THO706

[Slides]
SPring-8-IIにおけるビーム不安定性抑制用バンチ毎フィードバックの設計
Design of Bunch-by-Bunch Feedback for Suppressing Beam Instability at SPring-8-II

○正木 満博1, 前坂 比呂和2, 1, 阿部 利徳1, 出羽 英紀1, 高野 史郎1, 21(公財)高輝度光科学研究センター, 2理化学研究所 放射光科学研究センター)
○Mitsuhiro Masaki1, Hirokazu Maesaka2, 1, Toshinori Abe1, Hideki Dewa1, Shiro Takano1, 21Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 2RIKEN SPring-8 Center)
 
SPring-8-IIは、SPring-8を現状より2桁近く輝度が高い硬X線を安定供給する第4世代放射光リングにアップグレードするプロジェクトである。蓄積リングの主要パラメータである電子ビームエミッタンスは100 pm.rad以下、ビームエネルギーが8 GeVから6 GeVに下げられる一方、ビーム電流は100 mAから200 mAに増強される。高輝度化に向けた低エミッタンス化のために、高勾配が必要となる多極磁石のボア径が小さくなり電子ビームが通過する真空チェンバーの開口が狭くなることから、ビーム結合インピーダンスが増加するため、横方向(Transverse)ビーム不安定性の対策が必須となる。また、縦方向(Longitudinal)のビーム不安定性についても、RF加速空洞の高次モード(HOM)の周波数条件によってはビーム電流200 mA以下で不安定性の閾値を超える可能性がある。本発表では、SPring-8-IIにおける横方向及び縦方向のビーム不安定性の見積り、及びそれを抑制するために導入するバンチ毎フィードバック(Bunch-by-Bunch Feedback)の設計に関して、現状を報告する。
 
加速器制御・真空 (8月7日 6号館61C)
8:50-9:10 
THO601

[Slides]
SuperKEKB加速器における機械学習を用いたビーム入射調整の高度化
Upgrade of beam injection tuning using machine learning at the SuperKEKB accelerator

○加藤 臣之輔1, 三塚 岳21東大理, 2高エ研加速器)
○Shinnosuke Kato1, Gaku Mitsuka21UTokyo, 2KEK Acc.)
 
Belle~II実験は7 GeVの電子と4 GeVの陽電子を衝突させるSuperKEKB加速器を用いてB中間子や$\tau$粒子をはじめとするさまざまな粒子を生成し、その崩壊を精密測定することによって新物理を探索することを目的とした実験である。SuperKEKB加速器は2024年12月現在において世界最高の瞬間ルミノシティ記録を保持しており、さらに高いルミノシティを実現するための運転と改良が進められている。高い瞬間ルミノシティを維持するためには高いビーム電流を維持することが重要であり、そのためにはビーム入射部から蓄積リングへの入射効率、つまり入射した電流に対するリングに実際に蓄積された電流の割合を高い水準で維持することが要求される。しかし、SuperKEKB加速器では、入射効率が数時間で低下することが多く、従来はオペレーターが手動で入射調整パラメータを操作することで効率を維持していた。この手法には高い専門技術を要するために対応可能な人材が限られており、また機器の不調からの復旧後やビーム調整の直後においては入射調整が難航することがあった。そこで本研究では、機械学習の一種であるベイズ最適化を用いて入射調整を自動化し、入射効率を改善するツールを開発した。このツールの運用により、入射効率が向上した事例が複数確認され、最も優れた運用例では入射効率を32%向上させることに成功した。
 
9:10-9:30 
THO602

イベントタイミングモジュール用テスト自動化ユーティリティ
Test automation utility for event timing modules

○王 迪, 佐藤 政則(KEK)
○Di Wang, Masanori Satoh(KEK)
 
The timing module plays a crucial role by providing precise triggering signals to various accelerator devices, controlling their operational states under different beam modes, and offering synchronized timestamps. The long-term operational stability of these systems requires a comprehensive stability testing of the timing module during the development phase. However, updates of FPGA firmware, operating systems, kernel drivers, or epics driver can potentially interfere the performance and stability of the timing module. To address this challenge, this study developed an automated testing utility capable of quickly and efficiently verifying key functionalities of the timing module. These functionalities include the reception of event codes, consistency of delay and width setting of front panel output pulses, and so on. This automated utility not only enhances development efficiency but also strengthens reliability verification throughout the software iteration process, significantly improving overall system performance and stability. Through this research, we demonstrate the application value and practical effectiveness of automated testing in the development of accelerator system timing modules.
 
9:30-9:50 
THO603

[Slides]
J-PARC RCSにおける機械学習を用いたペイントバンプ電源用任意波形の生成
Machine learning approach for controlling a Waveform Pattern of the Paint Bump Power Supply at J-PARC RCS

○杉田 萌1, 野村 昌弘1, 植野 智晶2, 栗山 靖敏1, 堀野 光喜2, 高柳 智弘1, 篠崎 信一11JAEA, 2NAT)
○Moe Sugita1, Masahiro Nomura1, Tomoaki Ueno2, Yasutoshi Kuriyama1, Koki Horino2, Tomohiro Takayanagi1, Shin-ichi Shinozaki11JAEA, 2NAT)
 
J-PARC RCSでは、大強度ビームを生成するペイント入射に、4台の水平ペイントバンプ電磁石と2台の垂直ペイントバンプ電磁石を用いる。ペイントバンプ電源は、IGBTユニットを使用して任意の波形の電流を励起する整流器とチョッパによる間接変換装置で構成されている。合成周波数648kHzでのスイッチングで、台形波形や減衰関数波形を任意に設定して出力することで、1%以下の高精度な制御が可能である。現在のペイントパターン調整では、電源制御の応答関数に応じて指令電圧波形を作成するソフトと、手動で指令電圧波形を書き換える調整を組み合わせ、±0.2%以下の偏差を達成している。しかし、1つのペイントパターン調整に1時間程度が必要かつ6台のペイントバンプに対して90種のパターンを必要とするため、数日の調整時間を要しており時間短縮が求められる。そこで、指令電圧波形と出力電流波形における非線形の関係をニューラルネットワーク(NN)で記述することにより、任意の出力電流波形に対して適切な指令電圧波形を瞬時に求められるようにした。発表では、使用したNNの構成や教師データ、NNで予測した指令電圧波形を実機に入力した結果について報告する。
 
9:50-10:10 
THO604

[Slides]
金属3DプリンタによるJ-PARC/ COMET Phase 1用アルミ合金製ビーム窓の開発
Development of 3D-printed beam windows made of AlSi10Mg for J-PARC/ COMET Phase 1

○栗原 謙太1, 牧村 俊助2, 3, 髙橋 正和1, 長澤 豊1, 井上 薫2, 尾ノ井 正裕1, 深尾 祥紀2, 3, 吉田 誠2, 31金属技研㈱, 2高エネ研, 3J-PARC)
○Kenta Kurihara1, Shunsuke Makimura2, 3, Masakazu Takahashi1, Yutaka Nagasawa1, Kaoru Inoue2, Masahiro Onoi1, Yoshinori Fukao2, 3, Makoto Yoshida2, 31MTC, 2KEK, 3J-PARC)
 
ミューオン電子転換過程の探索を目指すJ-PARC/ COMET(COherent Muon to Electron Transition)実験では、2023年2月に陽子ビーム強度0.3 kWでエンジニアリングランであるPhase-αを完了した。その後、陽子ビーム強度3.2kWのPhase1実験に向けた開発を進めている。Phase-αでは、Ti-6Al-4V合金製の球殻状のビーム透過部を持つ窓厚t0.5-Φ270およびΦ220のビーム窓を3Dプリンタ(Additive manufacturing: AM)によって製造し、ビームラインに実装した。現在、Phase 1への導入に向けて、AlSi10Mgを原材料とする金属3Dプリンタによるアルミ合金製ビーム窓の開発を進めている。本開発対象であるビーム窓はソレノイド内筒部に挿入されるφ260 mmのA5052製真空ダクトに取り付けられる。従来のJISフランジ形状のビーム窓では、輸送すべきパイオンがフランジ部で停止してしまうため、ビーム透過面積を最大化すべくA5052製の円筒部に直接、溶接を可能としたビーム窓の開発を進めている。現在、構造および製作方法の検討(金属積層造形、HIP、熱処理、研磨/厚み調整)、CADモデル化、構造解析、その後ビーム窓の製作を進めている。実機ビーム窓の強度確認では、AM+HIPで製作した試験片と熱処理を加えた試験片で各々引張試験をおこなった。また、溶接性の確認では、AM材とA5052との溶接試験、強度試験、溶接によるひずみ量の評価をおこなう。本発表では、金属3DプリンタによるJ-PARC/COMET Phase 1用アルミ合金製ビーム窓の開発について報告する。
 
10:10-10:30 
THO605

無酸素Pd/Ti蒸着非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプの高温活性化と排気特性評価
High-Temperature Activation and Pumping Performance Evaluation of Oxygen-Free Pd/Ti-Coated Non-Evaporable Getter (NEG) Pumps
○狩野 悠1, 正岡 祐介1, 矢部 学1, 濵中 健一1, 吉川 一朗2, 吉岡 和夫2, 富岡 蒼生21入江工研, 2東大 新領域創成科学研)
○Yuu Kanou1, Yusuke Masaoka1, Manabu Yabe1, Kenichi Hamanaka1, Ichiro Yoshioka2, Kazuo Yoshioka2, Aoi Tomioka21IKC, 2U Tokyo Frontier Sciences)
 
宇宙観測機の輸送容器には打上げの衝撃に耐えるため、最大1,120Gの衝撃に耐える堅牢性が求められる。また、打ち上げコスト最小化のため、小型化も重要である。更に観測機に使用される検出器の特性によっては水や酸素での影響で性能が低下するため、密閉性を確保し、それら気体を排除した真空状態が必要となる。更に、宇宙観測機は打ち上機に搭載されてから最大1か月間、無電源状態で待機する必要があり、ドライポンプのような電源が必要な排気装置は使用できない。一方で、無電源かつ室温で排気性能を維持できるNEGポンプにはZrVTi合金をゲッター材とするものがある。このタイプのものは耐衝撃性が低く、容器内部にゲッター材や加熱器具を収納する為の専有体積が必要になり、打ち上げコスト増加といった課題が生じる。これに対し、無酸素Pd/Ti蒸着膜をゲッター材とすると、蒸着膜が容器内壁に密着することで排気機能と吸着抑止によるガス放出抑制効果を発揮。そのためシンプルかつ軽量で堅牢な輸送容器を構成でき、無電源で継続的に排気可能な無酸素Pd/Ti蒸着NEGポンプが好適である。しかし、この無酸素Pd/Ti蒸着NEGポンプは繰り返し再活性化が可能な150℃以下の加熱で水素とCOを排気するが、水やその他活性ガスは排気できない。一方で、原理的には250℃以上に加熱することで、水素に加えて水やCO2などを排気することが示唆されている。本研究では、無酸素Pd/Ti蒸着NEGポンプを250℃以上で高温活性化した際の水に対する排気速度および排気容量を測定し、宇宙機への搭載に必要な要求仕様を検討した。
 
10:30-10:50 
THO606

軟X線光電子分光(XPS)および角度分解硬X線光電子分光(HAXPES)による表面部分窒化高純度チタン蒸着膜非蒸発型ゲッターの活性化機構の研究
Activation mechanism of surface partially nitrided high-purity titanium deposited film as a nonevaporable getter (NEG) studied by soft X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) and angle-resolved hard X-ray photoelectron spectroscopy (HAXPES)
吉田 圭佑1, 菊地 貴司2, 小澤 健一2, 3, ○間瀬 一彦2, 3, 高木 康多4, 垣内 拓大5, 大野 真也11横国大, 2KEK, 3総研大, 4SPring-8/JASRI, 5愛媛大)
Keisuke Yoshida1, Takashi Kikuchi2, Kenichi Ozawa2, 3, ○Kazuhiko Mase2, 3, Yasumasa Takagi4, Takuhiro Kakiuchi5, Shinya Ohno11Yokohama National Univ., 2KEK, 3SOKENDAI, 4SPring-8/JASRI, 5Ehime Univ)
 
非蒸発型ゲッターは、超高真空中で加熱すると活性表面が生成し、室温に戻すと反応性の残留ガスを除去する機能性材料である。最近我々は、高純度Ti蒸着膜の表面を部分的に窒化することで、185°Cで6時間加熱するだけで活性化できることを発見した。この温度は、従来の研究で報告されているTi蒸着膜の活性化温度(350?400°C)に比べて著しく低いため、高純度のTiと表面の窒化処理が活性化温度を低下させていると考えている。本研究では、排気速度測定、軟X線光電子分光(XPS)、および角度分解型硬X線光電子分光(HAXPES)を用いて表面部分窒化高純度チタン蒸着膜の活性化メカニズムについて研究したので報告する。H?に対する排気速度の測定結果からは、表面部分的窒化高純度Tiは、180°Cの加熱により活性化されることが示唆された。一方、XPSおよびHAXPES測定では、250℃加熱によって表面酸素原子のごく一部がTiバルク内部に拡散し、470°Cの加熱によって表面酸素原子の大部分がTiバルク内部に拡散することが示された。以上の結果に基づき、我々は以下のような活性化メカニズムを提案した。180°Cでの加熱では、表面の窒素原子付近に存在する酸素原子がTiバルクに拡散し、その拡散経路に沿っての細い酸素欠損サイト列が形成される。室温に戻ると、この細い酸素欠損サイト列を通じてわずかに水素ガスが排気される。450°Cで加熱すると、表面の酸素原子の大部分がTiバルク内に拡散し、表面の広範囲に金属Tiが露出する。室温に戻ると、この金属Ti表面が高い排気速度で反応性の残留ガスを排気する。
 
企画セッション①-1 (8月7日 7号館71A/71B)
11:00-12:00 
THKO01

[Slides]
加速器運転における機械学習の応用
Machine Learning Applidcations to Accelerator Operation
○前坂 比呂和(理化学研究所)
○Hirokazu Maesaka(RIKEN)
 
人工知能や機械学習は近年様々な分野で革新的な進歩をもたらしており、加速器科学の分野においても例外ではなく、その広範な応用が期待されている。本講演では、加速器運転における性能の最大化や安定な運転、高効率な運転に資する機械学習の最新の応用事例について、国内外の具体的な研究例を交えながら概説する。加速器運転においては、性能の最適化、自動運転、高精度なビーム診断、機器の状態推定、異常検知、故障診断など、多岐にわたる課題が存在する。これらの課題に対し、機械学習を応用することが有効なものが多く提案されており、ベイズ最適化や深層学習、強化学習といった手法が注目を集めている。本講演では、これらの事例を通して、機械学習が加速器運転にもたらす可能性と、今後の展望について議論する。加速器コミュニティの皆様にとって、機械学習の基礎から最新の応用までを理解し、自身の研究や運転業務への導入を検討する一助となれば幸いである。
 
企画セッション①-2 (8月7日 7号館71A/71B)
15:10-16:10 
THKO02

Transformerによる大規模機械学習の現状と、深層学習の科学応用
Current status of large-scale machine learning with Transformer and scientific applications of deep learning
○瀧 雅人(立教大学)
○Masato Taki(Rikkyo University)
 
深層学習におけるこの10年の進展は、シンプルなパターン認識モデルであったニューラルネットワークを、複雑な知的タスクが解決可能な巨大言語モデル(LLM)にまで進化させました。このトークの前半では、特に大規模な機械学習を実現するのに欠かせないTransformerという深層学習モデルについて解説します。
後半では機械学習の自然科学への応用の可能性について、事例をいくつか挙げて議論したいと思います。また、オッカムの倹約原理に従う従来の科学的手法と比較して、現在試み始められている深層学習アプローチのもつ特異性についても議論します。データ駆動的でブラックボックス性の高いモデリングであると言われている深層学習が、科学に本質的な寄与ができうるのかについて、いくつかの視点から考えてみたいと思います。

 
ビーム診断・高周波源 (8月7日 7号館71A/71B)
16:20-16:40 
THO707

畳み込みニューラルネットワークによるビームの6次元位相空間分布の測定
6D Beam Phase Space Meaasurement by Convoluted Neural Network

ムカルジー サヤンタン, ○栗木 雅夫, Zachary Liptak, 郭 磊(広島大)
Sayantan Mukherjee, ○Masao Kuriki, Zachary Liptak, Lei Guo(Hiroshima U.)
 
ビームの品質はその6次元位相空間分布により評価できる。一方で、一般的にそれを直接測定することは困難であり、実空間への射影測定、あるいはQスキャンに代表される、一つの自由度の2次元位相空間への射影測定のみが行われている。本研究では、Dispersionを持つ位置における横方向実空間射影測定を、横方向及び進行方向空間回転を施して複数回行うことで、6次元位相空間粒子分布を再構成する。CTの手法の一種であるが、粒子分布の再構成に畳み込みニューラルネットワークを用いることで、幅広い非線形を含む回転動作に対応する。本研究では、カソード上の6次元位相空間の再構成の例を紹介する。
 
16:40-17:00 
THO708

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J-PARC主リングにおける陽極電流の計算と加速空胴の駆動高周波位相角の最適化
Anode current calculation and optimization for RF cavity detuning angle at J-PARC Main Ring

○清矢 紀世美, 足立 恭介, 原 圭吾, 長谷川 豪志, 野村 昌弘, 大森 千広, 沖田 英史, 島田 太平, 杉山 泰之, 田村 文彦, 山本 昌亘, 吉井 正人(大強度陽子加速器施設)
○Kiyomi Seiya, Kyosuke Adachi, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Masahiro Nomura, Chihiro Ohmori, Hidefumi Okita, Taihei Shimada, Yasuyuki Sugiyama, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto, Masahito Yoshii(apan Proton Accelerator Research Complex)
 
J-PARC主リングは3GeVの陽子を30GeVまで加速し、T2Kニュートリノ実験へ提供している。また、2028年度に開始されるHyper-K実験のためにビーム強度を830kWから1.3MWに増強する。これに伴い、RFシステムは加速電圧と終段増幅器に使用している4極管に供給する陽極電流の増強を行わなければならない。
加速に用いられる空胴は金属磁性体コアを使用し、Q値が低く、共振周波数固定で運転する非同調加速空胴である。本論文では陽極電流を最小限に抑えるための空胴の駆動高周波位相角の最適化について述べる。

 
17:00-17:20 
THO709

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The challenges of the LIPAc circulators toward high duty cycle
○Kouki Hirosawa1, Francesco Scantamburlo2, Ivan Moya2, Luis Gonzalez-Gallego3, Jean-Pierre Adam4, 2, Naoya Kubo1, Terumasa Sasaki1, Wataru Abe1, Keitaro Kondo1, Yann Carin21QST Rokkasho Institute for Fusion Energy, 2Fusion for Energy, 3IFMIF-DONES Espa?a, 4CEA Paris-Saclay)
 
The Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) is a deuteron accelerator that aims to accelerate the 125mA beam up to 9MeV in the continuous wave (CW) operation mode. The objective of the facility is validation of technological and scientific aspects of the base design and to clarify the further challenges towards the 40MeV-125mA-CW deuteron beam for the accelerator part. The RF system of the LIPAc is designed to provide 1.2MW power in total to the RFQ, driven by eight amplification lines up to 200kW per station. In the present operation scenario, we are working to increase the duty cycle under the same beam current until CW operation. Thus, the compensation control of the dissipation for RF devices during beam commissioning is one of the core challenges in our project. Recently, we have struggled with many problems with current circulators, such as mismatches of resonances and demagnetization of magnets due to the coil heating. To solve fundamental parts of the previous design, we procured new circulators of the revised model. In the report, we summarize the test results and the analysis with comparisons between existing and new circulators, and the next plans.
 
17:20-17:40 
THO710

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LIPAc RFカプラにおける電子マルチパクタおよびそれに対する磁気バイアスの効果についてのシミュレーション
Electron simulation about multipactor and effect of magnetic bias in LIPAc RF couplers
○板垣 智信1, Scantamburlo Francesco2, 廣澤 航輝1, 玄 知奉1, 高山 健3, Carin Yann2, Dzitko Herve21QST, 2F4E, 3KEK)
○Tomonobu Itagaki1, Francesco Scantamburlo2, Kouki Hirosawa1, Jibong Hyun1, Ken Takayama3, Yann Carin2, Herve Dzitko21QST, 2F4E, 3KEK)
 
During the LIPAc Phase B+ commissioning from 2021 to 2024, visible light emissions were detected from the rubber O-ring RF couplers for the RFQ alongside with damage observed on several O-rings, despite prior enhancement in the cooling capacity of the coupler’s inner conductor. This issue is suspected to be caused by secondary electrons originating from multi-pactoring. A definitive solution involving the implementation of brazed RF couplers had been recommended early on, and high-power testing of these couplers is currently ongoing. Meanwhile, the application of a magnetic field bias to control electron trajectories in the existing O-ring RF couplers has been proposed. Recent electron simulations conducted using CST Studio Suite comprehensively characterized the multipactor behavior in these couplers. The simulation demonstrated that introducing a magnetic field bias can effectively reduce multipactor occurrences over a wide range of RF power. Based on these promising simulation results, preparations are underway for high-power RF tests of an O-ring RF coupler equipped with magnetic bias.
 
加速器土木・ビームダイナミ (8月7日 6号館61C)
16:20-16:40 
THO607

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高放射化場での効率的な測量を実現する三次元測定機を用いた測量手法の確立
Establishing a Survey Method Using a 3D Measuring Device for Efficient Surveying in High Radiation Fields

○井上 薫, 牧村 俊助, 内山 雄祐, 深尾 祥紀, 角 直幸, 吉田 誠, 飯尾 雅実(高エネルギー加速器研究機構)
○Kaoru Inoue, Shunsuke Makimura, Yusuke Uchiyama, Yoshinori Fukao, Naoyuki Sumi, Makoto Yoshida, Masami Iio(High Energy Accelerator Research Organization)
 
J-PARCのハドロン実験施設南実験棟では、COMET Phase1実験に向けてビームライン装置の設置作業が進んでいる。ビームライン装置をビームライン上に精密に設置するためには、ビームライン上にセオドライ・レベルを設置して、ビームライン機器のズレ量を計測する、またはレーザートラッカーを用いて三次元空間の位置を精密に測量することが行われる。しかし、COMET一次ビームライン室ではビーム運転後では高度に放射化(1~10mSv/h)するため、測量機器をビームライン上へ設置する際に時間を要するため、作業員の被曝量が大きくなる。また、ビームラインの場所の制約からセオドライ・レベルの設置が困難となっている。レーザートラッカーの場合は、高価な機器が汚染される可能性があると同時に、レーザーによってリフレクターを慎重に追尾する作業が必要となる。そこで我々は従来の測量とは異なる手法として、測定プローブの三次元空間上の位置を測定できるキーエンスのワイドエリア三次元測定機WM-3000を使用した。この時、三次元測定機自体はビームライン上以外の任意の場所に設置が可能である。また、測定プローブは追尾が外れても、補助カメラの撮影範囲であれば、即座に測定を再開することができる。この測定手法であれば、測量時間も短く、放射線環境化における効率的な作業を実現し、被爆を少なくすることが可能となる。本発表では高度に放射化している場所および狭い空間でも効率的な測量を可能とする三次元測定機を用いた測量法の現状を報告する。
 
16:40-17:00 
THO608

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大型加速器からの排熱回収と地域内循環利用に向けた取組み
Efforts to recover waste heat from a large accelerator and use it for recycling within the region
○水戸谷 剛1, 河野 裕一1, 鈴木 正哉2, 万福 和子2, 小久保 孝3, 谷野 正幸3, 佐藤 現3, 髙橋 福巳4, 姉帶 康則4, 大平 尚5, 菊池 和也6, 吉岡 正和7, 成田 晋也71東日本機電開発株式会社, 2産業技術総合研究所, 3高砂熱学工業株式会社, 4株式会社WING, 5東北ILC事業推進センター, 6岩手県, 7岩手大学)
○Mitoya Goh1, Yuichi Kono1, Masaya Suzuki2, Kazuko Manpuku2, Takashi Kokubo3, Masayuki Tanino3, Gen Sato3, Fukumi Takahashi4, Yasunori Anetai4, Hisashi Odaira5, Kazuya Kikuchi6, Masakazu Yoshioka7, Shinya Narita71Higashi-nihon Kiden Kaihatsu Co,.Ltd., 2Advanced Industrial Science and Technology, 3Takasago Thermal Engineering Co., Ltd., 4WING Co., Ltd., 5Tohoku ILC Project Development Center, 6Iwate Prefectural Office, 7Iwate University)
 
グリーンILCコンセプトのもと、加速器施設から排出される低品位排熱を回収し、地域内で活用するオフライン排熱回収循環モデルの事業化を目指している。
これまでの回収・再生利用技術の確立を目的とした研究から前進し、事業化を想定した小規模地域における面的な自立運用実証試験の動向について報告する。また、ILC施設が立地した際の排熱回収・利用に関わる検討状況について紹介する。

 
17:00-17:20 
THO609

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多価重イオンの大強度ビーム輸送系に対するMulti-Frequency RFQを用いた質量分離法の適用可能性の検討
Study of mass separation in Multi-Frequency RFQ in high-intensity beam transport system for multiply charged heavy ion

○斎藤 誉志大1, 佐藤 洋一21総研大, 2KEK)
○Yoshihiro Saito1, Yoichi Sato21SOKENDAI, 2KEK)
 
多価重イオンの大強度ビーム輸送系に対する新たな質量分離法として、Multi-Frequency RFQ (MRFQ)を用いる可能性を検討した。元々、MRFQは理化学研究所SCRIT電子散乱施設における、質量差0.002%の同重核分離を目指して開発され、複数の高周波を加えたRFQにおいてskew電場で和共鳴を誘発し分離を行うという手法である。一方本研究では、MRFQを価数比(M/Q; Mはイオンの質量、Qは電荷である)分離に用いることで、大強度に対する低エネルギービーム輸送ライン(LEBT)の短尺化・小型化への寄与を目指した。想定は0.5 mA程度の大電流、200πmm mradの大エミッタンスを持つ重イオンのLEBTである。イオン源から生じるイオンの価数は一般に単一ではないので、目的のM/Qと異なるものを除く必要がある。この価数分離において従来の手法では分析偏向電磁石を用いるが、ビーム径を抑えるには収束力を持つ磁石端部から焦点距離までのビーム経路を要求する。一方、価数分離にMRFQを用いた場合、MRFQ内では常に4極電場が働くためビーム径は大きく変わらず、余分な経路長は必要ない。またMRFQの分離能力は通過時間で高周波が何周期分進むかで決まるので、周波数を上げれば短尺化も期待できる。本発表ではウラン45価のみを残すΔ(M/Q)2%の分離を目標とし、エミッタンスや、ビームがDCかパルスかという条件でMRFQの分離能力をシミュレーションにより比較検討した結果を示す。特に、skew成分のないMRFQによる1m程度のシステムで十分な分離能力があることを示す。
 
17:20-17:40 
THO610

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J-PARC RCS の大強度化に向けた線形和共鳴の補正研究
Study on the compensation of linear sum resonance for further beam power ramp-up in J-PARC RCS

○小島 邦洸1, 原田 寛之1, 地村 幹1, 永山 晶大2, Saha Pranab Kumar11日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター, 2東北大学)
○Kunihiro Kojima1, Hiroyuki Harada1, Motoki Chimura1, Shota Nagayama2, Pranab Kumar Saha11JAEA/J-PARC, 2Tohoku Univ.)
 
J-PARC 3 GeV シンクロトロン(RCS)では、空間電荷力の顕在化による構造共鳴への抵触とビームロスを回避するためにビーム強度が制限される。したがって、設計出力 1 MW を超える大強度化には、動作点を構造共鳴から遠ざけ、その影響を低減することが必要不可欠である。一方で、半整数共鳴や線形和共鳴などの非構造共鳴が強く励起しており、これらビームロス源により動作点選択可能域が狭められている。動作点を構造共鳴から遠ざければ上記の非構造共鳴に抵触し、ビームロスは寧ろ増大する。RCS において半整数共鳴は補正手法を確立したのに対し、線形和共鳴については未だ有効な対策がない。本研究の目的は、ビーム強度の増大に向けた線形和共鳴の補正による動作点選択可能域の拡充である。線形和共鳴は主に歪み四極場により駆動される共鳴であり、その補正には歪み四極電磁石が一般に用いられるが、これは RCS には備わっていない。そこで我々は、六極場中に鉛直方向のバンプ軌道を形成し、実行的な歪み四極場をビームに重畳することで線形和共鳴を補正することを試みた。空間電荷力の影響を排し状況を簡単化した低強度のビーム試験において、先述の操作によりビームロスを大幅に低減可能であることを実証した。本発表では、和共鳴補正の詳細と実験結果について報告する。
 
学会賞受賞講演 (8月7日 7号館71A/71B)
18:20-18:45 
THOP01

J-PARCミューオンg?2/EDM実験のための低エミッタンスミューオンビーム加速に関する研究
Study of Low-Emittance Muon Beam Acceleration for the J-PARC Muon g?2/EDM Experiment
○鷲見 一路(元名古屋大学(現 株式会社アイシン))
○Kazumichi Sumi(Nagoya University (formerly, now Aisin Corp.))
 
素粒子標準模型に含まれていない未知の物理現象の兆候は、ミューオン異常磁気能率 (g?2) の予測値と実験値の乖離として現れる可能性がある。また、ミューオン電気双極子能率 (EDM) は、予測値が現在の実験上限値より極めて小さく、観測されれば物質と反物質の対称性を破る未知の相互作用の証拠となる。g?2とEDMは、磁場中に閉じ込めたミューオンのスピン歳差運動の観測から求められるが、先行実験にはミューオンビームのエミッタンスに起因する不確実性が存在する。大強度陽子加速器施設 (J-PARC) では、低エミッタンスミューオンビームを用いて、先行実験とは異なる手法によるg?2測定値の独立な検証およびEDM探索の感度向上を目指している。このミューオンビームの実現には、ミューオンビームの冷却技術とbeta ~ 0.1の低速域からbeta ~ 0.9の高速域までの速度変化に対応するミューオン専用加速器の開発の双方が必要である。低速域については、熱ミューオニウムのレーザー共鳴イオン化によるミューオン冷却と高周波四重極 (RFQ) 線形加速器による初段加速を実証し、エミッタンスを1/100以下に低減した100 keVのミューオンビームを実現した。高速域については、beta = 0.70-0.94のミューオン専用の円盤装荷型進行波加速管 (DLS) の構造設計とビームダイナミクス設計を実施し、試作機の高周波特性が要求精度を満たすことを示した。
 
粒子源 (8月8日 7号館71A/71B)
8:30-8:50 
FRO701

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ILC 電子ドライブ陽電子源の機械学習による全体最適化
A start-to-end optimization of the ILC E-driven positron source by machine learning

○佐々木 遥大1, 栗木 雅夫1, 高橋 徹1, Zachary Liptak1, 浦川 順治2, 榎本 嘉範3, 大森 恒彦3, 福田 将史3, 森川 祐3, 横谷 馨31広島大院先進理工, 2学術振興会, 3高エネ研)
○Yodai Sasaki1, Masao Kuriki1, Tohru Takahashi1, Liptak Zachary1, Junji Urakawa2, Yoshinori Enomoto3, Tsunehiko Omori3, Masafumi Fukuda3, Yu Morikawa3, Kaoru Yokoya31Hiroshima U. ADSE, 2JSPS, 3KEK)
 
国際リニアコライダー(ILC)は超伝導線形加速器を用いた次世代の電子-陽電子コライダーである。リニアコライダーではビームを再利用できないため、ILC には大量の陽電子が必要である。陽電子生成標的を破壊しないためには、効率的な陽電子生成が求められる。これまで、TPE アルゴリズムによるブラックボックス最適化を用いて、ブースターライナックのRF 位相、ECS のRF 位相や振幅、ビーム光学系などのパラメータの最適化が進められた。本研究ではドライブ電子ビームエネルギー、陽電子生成標的の厚み、キャプチャーライナックのRF 位相などを含めたシステム全体を最適化した。
 
8:50-9:10 
FRO702

[Slides]
産業用100 mA級マイクロ波イオン源の開発
Development of a 100 mA-class microwave discharge ion source for industrial applications

○村瀬 龍, 村田 裕彦, 高橋 伸明, 横山 一博(住友重機械工業株式会社)
○Ryu Murase, Hirohiko Murata, Nobuaki Takahashi, Kazuhiro Yokoyama(Sumitomo Heavy Industries, Ltd.)
 
産業用加速器は、半導体製造や医療など、多様な分野で活用されている。近年、産業用加速器の照射スループットを向上させる必要性が高まっており、これに対応するため、大電流イオン源の開発が求められている。当社では、産業用加速器に組み込むことができる2.45 GHz off-resonance型100 mA級マイクロ波イオン源を開発した。プラズマチャンバーと、導波管とプラズマチャンバーのインピーダンスを一致させるためのマッチングセクションは、解析的手法と有限要素法を用いて設計された。加速・減速モードで動作する単孔の3枚電極からなるビーム引出系の設計は、空間電荷効果を考慮したビーム軌道計算を用いて行った。引出系は陽子ビーム引出しに最適化されている。実際にイオン源の試験機を製作し、ビーム試験を行った結果、150 mAのビーム引出しに成功した。発表では、イオン源の設計に加え、ビーム試験で得られた結果の詳細についても報告する。
 
9:10-9:30 
FRO703

セシウム・アンチモン・酸素を用いた新しいNEA活性化レシピの開発
Development of a New Negative Electron Affinity Activation Method Using Cesium, Antimony, and Oxygen

○郭 磊1, 栗木 雅夫1, ザカリー リプタック 1, 高嶋 圭史21広島大学, 2名古屋大学)
○Rai Kaku1, Masao Kuriki1, Liptak Zachary1, Yoshifumi Takashima21Hiroshima University, 2Nagoya University)
 
負の電子親和力(Negative Electron Affinity, NEA)で活性化されたGaAsフォトカソードは、90%以上の高いスピン偏極度を有する電子ビームを生成可能な唯一の光電子源であり、粒子加速器やスピン分解分光などの先端応用において重要な要素技術である。従来のCs-O活性化法は化学的に不安定で、時間経過や光電子引き出しにより量子効率(Quantum Efficiency, QE)が急速に劣化するため、超高真空(<10-9Pa)での運用が必須となるが、それでも寿命には限界がある。この課題に対し、セシウム(Cs)と酸素に代わる新たな表面活性化手法として、Cs-Sb-O、Cs-Te-O、Cs-K-Te、Cs-Li-Oなど、アルカリ金属とアンチモン(Sb)またはテルル(Te)を用いたヘテロ構造によるNEA活性化が提案されている。これらの手法は、化学的安定性の向上や真空要求の緩和、寿命の延長といった観点で有望とされるが、最適な活性化条件は十分に確立されていない。本研究では、Cs-Sb-O活性化に着目し、Sb堆積温度、Sb膜厚、ならびにSb堆積タイミングの3つのパラメータがフォトカソード特性に与える影響を系統的に検討した。その結果、Sb膜厚0.5 nmの条件で、波長780 nmにおいて約2%のQEを達成し、従来のCs-O活性化と同等の性能を維持しながら、暗寿命が従来比で約10倍に延長されることを確認した。
 
9:30-9:50 
FRO704

大強度陽電子生成標的の開発
Development of high intensity positron production target

○森川 祐, 榎本 嘉範, 福田 将史(高エネルギー加速器研究機構)
○Yu Morikawa, Yoshinori Enomoto, Masafumi Fukuda(KEK)
 
KEK iCASAではILCなどの将来加速器に向けて大強度陽電子生成標的の開発を進めている。この開発に発表する。
 
ハドロン加速器・電磁石 (8月8日 6号館61C)
8:30-8:50 
FRO601

[Slides]
J-PARCリニアック50Hz運転検証試験
J-PARC linac 50Hz operation verification study

○近藤 恭弘1, 地村 幹1, Ersin Cicek2, 福井 佑治2, 二ツ川 健太2, 不破 康裕1, 後藤 陸斗3, 平野 耕一郎1, 石川 将樹4, 伊藤 崇1, 北村 遼1, 小坂 知史3, 宮尾 智章2, 溝端 仁志2, 森下 卓俊1, 守屋 克洋1, 中野 秀仁1, 南茂 今朝雄2, 大越 清紀1, 岡部 晃大1, 柴田 崇統2, 神藤 勝啓1, 高橋 博樹1, 田村 潤1, 田崎 竜太51日本原子力研究開発機構, 2高エネルギー加速器研究機構, 3株式会社NAT, 4原子力エンジニアリング株式会社, 5関東情報サービス株式会社)
○Yasuhiro Kondo1, Motoki Chimura1, Ersin Cicek2, Yuji Fukui2, Kenta Futatsukawa2, Yasuhiro Fuwa1, Rikuto Goto3, Koichiro Hirano1, Masaki Ishikawa4, Takashi Ito1, Ryo Kitamura1, Satoshi Kosaka3, Tomoaki Miyao2, Satoshi Mizobata2, Takatoshi Morishita1, Katsuhiro Moriya1, Hideto Nakano1, Kesao Nanmo2, Kiyonori Ohkoshi1, Kota Okabe1, Takanori Shibata2, Katsuhiro Shinto1, Hiroki Takahashi1, Jun Tamura1, Ryuta Tasaki51Japan Atomic Energy Agency, 2High Energy Accelerator Research Organization, 3NAT Co., 4Nuclear Engineering Co., Ltd., 5Kanto Information Service Co., Ltd.)
 
J-PARCリニアックでは、陽子ビーム照射施設の建設に向けて、さらなる大強度化開発を行っている。現在、リニアックは繰り返し25Hzにて3GeVシンクロトロンに400MeV負水素イオンビームを供給しているが、陽子ビーム照射施設へのビーム供給を両立するためには、繰り返し周波数を25Hzから50Hzに上げる必要がある。そこで、照射施設へのビームライン建設に先立ち、現状のリニアックで可能な範囲内での50Hzビーム加速試験を行うことを計画している。本発表ではJ-PARCリニアックにおける50Hz繰り返しの加速空洞検証運転について報告する。
 
8:50-9:10 
FRO602

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JAEA-ADS入射器のビーム物理設計
Beam Physics Design of the Injector for the JAEA-ADS

○Yee-rendon Bruce, 近藤 恭弘, 田村 潤, 明午 伸一郎, 前川 藤夫(J-PARC Center /JAEA)
○Yee-rendon Bruce, Yasuhiro Kondo, Jun Tamura, Shinichiro Meigo, Fujio Maekawa(J-PARC Center /JAEA)
 
Accelerator-Driven Systems (ADS) represent an efficient solution to the challenge of nuclear waste disposal. Therefore, the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) is designing a 30-MW proton linac as a key element of its proposal for the use of ADS technology. A key feature of ADS accelerators is their extremely high availability and reliability that is required to avoid thermal stress on reactor structures. To this end, JAEA-ADS adopted a combined strategy of hot standby in the front part of the linac and standby element compensation as a fast and efficient way to reduce the downtime due to an element failure. The JAEA-ADS injector is mainly composed of a normal conducting section and ends with the first section of superconducting cavities (Half Wave Resonator). This paper presents the details of the optics design of the JAEA-ADS injector and the results of beam dynamics simulations.
 
9:10-9:30 
FRO603

[Slides]
J-PARC主リングにおける FX 830 kW, SX 90 kW の利用運転達成と今後の展望
Achievements and near future plan of J-PARC Main Ring

○佐藤 洋一1, 2, 發知 英明1, 21高エネ研, 2J-PARC)
○Yoichi Sato1, 2, Hideaki Hotchi1, 21KEK, 2J-PARC)
 
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)では、パワー増強が順調に進み、2025年に速い取り出し(FX)運転における所期性能750 kWを超える830 kWの利用運転、遅い取り出し(SX)運転における所期性能100 kWに迫る92 kWの利用運転を達成した。現在も更なるパワー増強により、2028年度FX 1.3 MW、2026年度SX 100 kW超の利用運転を目指した新光学の開発やハードウエア増強計画が進行中である。本発表ではMRパワー増強の現状と今後の展望について紹介する。
 
9:30-9:50 
FRO604

[Slides]
磁気記録を利用した電磁石磁場マッピング手法の開発
DEVELOPMENT OF MAGNETIC FIELD MAPPING METHOD FOR ACCELERATOR MAGNET USING MAGNETIC RECORDING

○武藤 史真1, 青木 和也1, 上利 恵三1, 秋山 裕信1, 家入 正治1, 倉崎 るり1, 里 嘉典1, 澤田 真也1, 白壁 義久1, 高橋 俊行1, 高橋 仁1, 田中 万博1, 豊田 晃久1, 広瀬 恵理奈1, 皆川 道文1, 森野 雄平1, 山我 拓巳1, 山野井 豊1, 渡邉 丈晃1, 石田 正紀21高エネ研 素粒子原子核研究所, 2高エネ研 共通基盤研究施設)
○Fumimasa Muto1, Kazuya Aoki1, Keizo Agari1, Hironobu Akiyama1, Masaharu Ieiri1, Ruri Kurasaki1, Yoshinori Sato1, Shinya Sawada1, Yoshihisa Shiyakabe1, Toshiyuki Takahashi1, Hitoshi Takahashi1, Kazuhiro Tanaka1, Akihisa Toyoda1, Erina Hirose1, Michifumi Minakawa1, Yuhei Morino1, Takumi Yamaga1, Yutaka Yamanoi1, Hiroaki Watanabe1, Masaki Ishida21KEK-IPNS, 2KEK-ARL)
 
J-PARCのような大型加速器施設におけるビームライン電磁石や、実験に使われるスペクトロメータ電磁石の磁場測定は、測定範囲が数平方メートルと広く、ホール素子を3軸に走査できる大型の磁場測定器が必要となる。特に実験用の大型スペクトロメータ電磁石は、設置するのに数か月を要するものもあり、ビームラインに設置したまま磁場測定を行うほかない。同様に、放射化電磁石もビームラインからの解体が困難であることからビームラインに設置したまま磁場測定を行えることが強く望まれる。しかし、電磁石個々に対して専用の大型磁場測定器を製造するのは高コストであり、電磁石との相対位置を精密にアラインメントすることも容易ではない。これらの課題に対して、磁性材料で作られたシートに電磁石磁場分布を磁気記録として写し取る新しい磁場測定手法を提案している。磁気記録による磁場測定では、電磁石をビームラインに設置したまま広範囲の磁場分布を測定できるので、作業の簡易化とコスト削減が期待できる。本ポスターでは、磁気記録による磁場マッピング手法の概要と測定精度について報告する。
 
特別講演(公開講座) (8月8日 7号館71A/71B)
13:00-14:30 
FROLS01

放課後に加速器!?~高専生、総合科学に挑む~
After-School Accelerators!? ? KOSEN Students Dive into Multidisciplinary Science
○武 恵礼奈5, 大谷 将士1, 熊谷 勇喜2, 神永 真帆2, 谷敷 怜空2, 岡本 恵太2, 芦塚 悠世2, 柳澤 奏太3, 奥村 紀浩3, 斎藤 栄輔3, 吉原 郁4, 中村 蓮太郎4, 熊井 悠太4, 宮島 智宏4, 深澤 永里香4, 新城 樹貴5, 松井 咲希5, 中平 勝也5, 長尾 和樹6, 小暮 聡6, 五味淵 陸6, 塚原 龍壱6, 成田 賢心6, 青木 想弥6, 福田 蒼樹6, 片山 尋士6, 長澤 陽生6, 平野 進一61KEK, 2豊田高専, 3長野高専, 4群馬高専, 5沖縄高専, 6小山高専)
○Elena Take5, Masashi Otani1, Yuki Kumagai2, Maho Kaminaga2, Riku Yashiki2, Keita Okamoto2, Yusei Ashizuka2, Sota Yanagisawa3, Norihiro Okumura3, Eisuke Saito3, Iku Yoshihara4, Rentaro Nakamura4, Yuta Kumai4, Tomohiro Miyajima4, Erika Fukasawa4, Itsuki Shinjo5, Saki Matsui5, Katsuya Nakahira5, Kazuki Nagao6, Satoshi Kogure6, Riku Gomibuchi6, Ryuhi Tsukahara6, Kenshin Narita6, Souya Aoki6, Sojyu Fukuda6, Hiroto Katayama6, Haruki Nagasawa6, Shinichi Hirano61KEK, 2NIT Toyota College, 3NIT Nagano College, 4NIT Gunma College, 5NIT Okinawa College, 6NIT Oyama College)
 
近年、KEKや理研の加速器研究者を中心として、高専における加速器教育活動を支援する取り組み「AxeLatoon(アクセラトゥーン)」が発足した。本活動では、加速器分野の研究者・技術者が高専と協力し、加速器周辺分野の人材育成および加速器の知名度向上を目指している。活動の中心は、高専生が自ら加速器を製作することにあり、既にいくつかの高専においてその取り組みが始まっている。加速器や加速器実験データを用いた演習、あるいは既存の加速器を用いた演習については、これまでにもいくつかの実例がある。一方で、学生が自ら加速器を製作するという取り組みは、世界的にも例がなく、極めて稀有な活動として注目を集めている。本講演では、加速器について簡単な説明を行った後、各高専で活動しているメンバーが活動内容を紹介する。
 
光源加速器・電子加速器 (8月8日 7号館71A/71B)
15:00-15:20 
FRO705

[Slides]
SACLA高度化に向けた高輝度高繰り返し電子源の開発状況
Present status of a high-brightness high-repetition-rate electron gun toward SACLA upgrade

○渡川 和晃1, 佐藤 大輔2, ゴリャシュコ ビタリー3, オパナセンコ アナトリー3, 馬込 保4, 桑原 真人5, 石田 高史5, 菅原 仁6, 吉越 章隆7, 津田 泰孝7, 小川 修一8, 林田 寿和9, 前平 晃太郎9, 竹村 育浩9, 金谷 壮真91理化学研究所, 2産業技術総合研究所, 3ウプサラ大学, 4高輝度光科学研究センター, 5名古屋大学, 6神戸大学, 7日本原子力開発研究機構, 8日本大学, 9スプリングエイトサービス株式会社)
○Kazuaki Togawa1, Daisuke Sato2, Vitaliy Goryashko3, Anatoliy Opanasenko3, Tamotsu Magome4, Makoto Kuwahara5, Takafumi Ishida5, Hitoshi Sugawara6, Akitaka Yoshigoe7, Yasutaka Tsuda7, Shuichi Ogawa8, Toshikazu Hayashida9, Koutarou Maehira9, Yasuhiro Takemura9, Souma Kanaya91RIKEN SPring-8 Center, 2AIST, 3Uppsala Univ., 4JASRI, 5Nagoya Univ., 6Kobe Univ., 7JAEA, 8Nihon Univ., 9SPring-8 Service Co., Ltd.)
 
理化学研究所のSPring-8キャンパスでは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAの高度化に向けた開発研究を行っている。現状のSACLAと比較して輝度とパルス繰り返しの両性能を向上させたXFEL光の発生を可能にするためには、新しい高輝度高繰り返し電子源が必須である。より小さな径の熱カソードから高密度で高い繰り返しの低エミッタンスビームを生成するために、電源を含む電子銃システム全体の見直しを行い、各種コンポーネントの開発研究を行っている。本年会においてその開発状況を報告する。
 
15:20-15:40 
FRO706

高温超伝導クランクリングを用いたアンジュレータ
Undulator with high-temperature superconducting rings
○金城 良太1, 佐野 聖1, Calvi Marco21OIT, 2PSI)
○Ryota Kinjo1, Satoshi Sano1, Marco Calvi21OIT, 2PSI)
 
アンジュレータの短周期化・強磁場化は、アンジュレータ放射およびFELの輝度向上や波長の高エネルギー側への拡大に資する。
本研究は、バルクの高温超伝導体(HTS)を用いたアンジュレータに、リング状のHTSを追加することで、その磁場強度を大幅に向上させるものである。
リングHTSは、追加のアンジュレータ磁場を提供すると同時に、ソレノイド磁場の遮蔽効果を持ち、電子ビームへの影響を抑えながら大きなソレノイド磁場変化を与えることを可能とする。
その結果、バルクHTS自体の磁場も強化され、同一ソレノイドを用いた場合の磁場強度を2~3倍に向上できることがわかった [1]。
これにより、永久磁石を用いた真空封止アンジュレータと同一の周期長とギャップで、10倍以上のアンジュレータ磁場が期待でき、放射光源およびFELのコンパクト化や性能向上に大きく寄与することが期待される。
[1] R. Kinjo, S. Sano, M. Calvi, ""Breakthrough in field amplitude of high-temperature superconductors staggered-array undulators"", Physical Review Research, accepted.

 
15:40-16:00 
FRO707

[Slides]
KEK PF 2.5 GeVリングにおける過渡的変動補償の原理実証試験
Experimental tests to compensate the transient beam loading effect at the KEK-PF 2.5 GeV ring

○内藤 大地, 山本 尚人, 本村 新, 高橋 毅, 坂中 章悟(高エネルギー加速器研究機構)
○Daichi Naito, Naoto Yamamoto, Arata Motomura, Takeshi Takahashi, Shogo Sakanaka(High energy accelerator research organization)
 
極低エミッタンス光源において主空洞と高調波空洞を用いたバンチ伸長は、バンチ内の電子同士の散乱を抑えるために有用な手法である。しかしながらバンチトレイン中に大きなバンチギャップがある場合、空洞電圧が過渡的に変動することでバンチ伸長効率が下がってしまう。この問題を改善するため、我々のグループでは広帯域キッカーを用いてこの過渡的電圧変動を補償するシステムを提唱している [1]。2023年度のKEK PF 2.5 GeV ringのLLRF更新の際には、この過渡的電圧変動を補償できるように任意の補正パターンをRF出力に重畳できる機能を実装した。本発表ではこの機能とPF 2.5 GeV リングの主空洞を用いて行なった、過渡的電圧変動補償の原理実証試験について報告する。また、実証試験の結果の理解と考察についても報告する。
[1] N. Yamamoto et al., PRAB 21, 012001 (2018)

 
16:00-16:20 
FRO708

[Slides]
Z-poleの電子陽電子ERLコライダーの提案
Proposal of Z pole e-e+ ERL collider

○島田 美帆, 横谷 馨(高エネ研)
○Miho Shimada, Kaoru Yokoya(KEK)
 
エネルギー回収型線形加速器ERLをベースとした電子陽電子コライダーを提案した。衝突エネルギーはZ-poleの91.2GeVであり、ILC超伝導加速空洞を用いたダブルループのERLを用いる。本発表では、つくばキャンパスにおけるレイアウトや加速器デザインの方向性について紹介する。
 
16:20-16:40 
FRO709

[Slides]
KEKにおける超伝導加速空洞を用いたクライオモジュールの製造
Production of cryomodule with SRF cavities at KEK
○道前 武, 荒木 隼人, 有本 靖, 井藤 隼人, Viklund Eric, 植木 竜一, 梅森 健成, Omet Mathieu, 片山 領, 久保 毅幸, Kumar Ashish, 結束 汐織, 佐伯 学行, 阪井 寛志, 清水 洋孝, Shanab Safwan, 中西 功太, Bajpai Rishabh, 原 和文, 原 隆文, 本間 輝也, 松本 利広, 山田 智宏, 山本 康史(高エネルギー加速器研究機構)
○Takeshi Dohmae, Hayato Araki, Yasushi Arimoto, Ito Hayato, Eric Viklund, Ryuichi Ueki, Kensei Umemori, Mathieu Omet, Ryo Katayama, Takayuki Kubo, Ashish Kumar, Shiori Kessoku, Takayuki Saeki, Hiroshi Sakai, Hirotaka Shimizu, Safwan Shanab, Kota Nakanishi, Rishabh Bajpai, Kazufumi Hara, Takafumi Hara, Teruya Homma, Toshihiro Matsumoto, Tomohiro Yamada, Yasuchika Yamamoto(KEK)
 
KEKではILC(International Linear Collider) technology networkの下、ILC要求を満たすクライオモジュールの製造を進めており、2027年度には製造したクライオモジュールの冷却試験を行う予定である。クライオモジュールには1.3GHzの楕円型9セル超伝導加速空洞が8台搭載される予定であり、現在、超伝導加速空洞の製造が進められている。加えて、超伝導加速空洞の周波数を調整するチューナーや、RFパワーを入力するカップラー、空洞に装着する磁気シールド、RFシステム、冷却システム、超伝導磁石、断熱真空槽など様々なコンポーネントの製造も並行して進められている。また、本クライオモジュールは高圧ガス保安法に基づいて製造されるため、これに向けた対応も準備中である。本講演ではKEKにおけるクライオモジュール製造の進捗について報告する。
 
16:40-17:00 
FRO710

[Slides]
KEKでのITN (ILC Technology Network)の下での加速器開発の現状
Development of accelerator technologies for ITN (ILC Technology Network) in KEK
○阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構)
○Hiroshi Sakai(KEK)
 
国際リニアコライダー(ILC)は、(1)電子・陽電子を効率よく衝突させるためのナノビーム収束技術、(2)高エネルギーに高効率で加速する超伝導加速空洞技術、(3)電子・陽電子を発生させる粒子発生技術などの先端的な加速器技術から構成されるが、いずれも世界の科学者が知恵を絞り、高性能のマシンとなる工夫を続けている。ILCは世界協力による技術開発が積み重ねられて、2023年度から、具体的にILC国際推進チーム(IDT)の下でILC Technology Network(ITN)として国際協力で研究開発に取り組むことになった。その中で、KEKは現在、世界最大強度の陽電子源をもつSuperKEKBが運用中であり、またTRISTAN以降、KEKB、STF、cERLで長年培ってきた超伝導加速技術の歴史がある。ナノビーム技術についてもKEKの加速器試験施設(ATF)で、国際協力で研究が進められている。これらKEKで培った技術をさらに発展させ、ITN開発に取組み始めた。本発表では、2023年度から続けているITNで取り組むべき課題の中で特に重要な (1)~(3)の開発について報告を行う。ITNを通じた開発はILCのみならず将来加速器の性能向上や産業・医療応用に適用可能であり、国際協力で、これらの世界の共通課題である加速器の重要要素・先端技術開発につながるものである。(謝辞)本研究は、文部科学省「将来加速器の性能向上に向けた重要要素技術開発」事業JPMXP1423812204の助成を受けたものです。
 
電磁石・レーザー (8月8日 6号館61C)
14:40-15:00 
FRO605

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SPring-8-II 蓄積リング磁石システム
Magnet system for the SPring-8-II storage ring

○深見 健司1, 2, 青木 毅1, 安積 則義1, 川瀬 守弘1, 近藤 力1, 2, 高野 史郎1, 2, 田島 美典1, 谷内 努1, 藤田 貴弘1, 増田 剛正1, 松原 伸一1, 山口 博史1, 渡部 貴宏1, 21高輝度光科学研究センター, 2理化学研究所放射光科学研究センター)
○Kenji Fukami1, 2, Tsuyoshi Aoki1, Noriyoshi Azumi1, Morihiro Kawase1, Chikara Kondo1, 2, Shiro Takano1, 2, Minori Tajima1, Tsutomu Taniuchi1, Takahiro Fujita1, Takemasa Masuda1, Shinichi Matsubara1, Hiroshi Yamaguchi1, Takahiro Watanabe1, 21Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 2RIKEN SPring-8 Center (RSC))
 
SPring-8アップグレード計画、SPring-8-IIの蓄積リングはfive-bend achromatラティスで構成される。ノーマルセルの5箇所の偏向部のうち、4箇所はビーム軸方向に磁場勾配を持つLongitudinal Gradient Bend磁石と横方向に磁場勾配を持つ偏向-四極複合型磁石から成り、残り1箇所は通常タイプの偏向磁石である。消費電力抑制、電源故障によるダウンタイム解消のため、偏向-四極複合型磁石以外の偏向磁石は全て永久磁石とした。永久磁石の温度依存性、放射線減磁の対策、及び磁場調整方法について示す。上記以外は電磁石とした。磁石の過度なパッキングを避けるため、多機能型電磁石を多数導入し、軌道補正用ステアリング磁場、カップリング補正用スキュー四極磁場は全て六極、八極電磁石で発生させる。直線区間の多極電磁石群は共通架台上に配置する。共通架台上の磁石群には10ミクロンオーダーの設置精度が要求されるため、架台上アライメントにはVibrating Wire Methodを用いる。トンネル外の温調ブース内で架台上アライメントを行い、共通架台ごとトンネル内に輸送する。全ての磁石、共通架台の設計が完了し、ノーマルセル半セル分の主要な磁石と1セル分の共通架台を先行製作した。今後の量産機の製作工程、及び磁場測定方法、アライメント手順について示す。
 
15:00-15:20 
FRO606

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SiC-MOSFETを用いたJ-PARCキッカー用半導体LTD電源
Solid-state LTD based power supply using SiC-MOSFET for the J-PARC kicker

○高柳 智弘1, 2, 堀野 光喜2, 3, 小野 礼人4, 植野 智晶3, 杉田 萌1, 2, 不破 康裕1, 2, 篠崎 信一1, 2, 徳地 明5, 生駒 直弥5, 中田 恭輔5, 趙 鉄陽5, 亀崎 広明5, 川上 弘晶5, 川瀬 悠太61JAEA, 2J-PARC, 3NAT, 4KEK, 5PPJ, 6岩手大学)
○Tomohiro Takayanagi1, 2, Koki Horino2, 3, Ayato Ono4, Tomoaki Ueno3, Moe Sugita1, 2, Yasuhiro Fuwa1, 2, Shinichi Shinozaki1, 2, Akira Tokuchi5, Naoya Ikoma5, Kyosuke Nakata5, Tieyang Zhao5, Hiroaki Kamezaki5, Hiroaki Kawakami5, Yuta Kawase61Japan Atomic Energy Agency, 2Japan Proton Accelerator Research Complex, 3NAT corporation, 4High Energy Accelerator Research Organization, 5Pulsed Power Japan laboratory ltd., 6IWATE UNIVERSITY)
 
J-PARCでは、次世代パワー半導体の一つであるSiC-MOSFETを用いて、既設のサイラトロンスイッチ電源に代わる半導体スイッチ電源の開発に取り組んできた。そして、LTD(Linear Transformer Driver)モジュール回路を用いた定格出力40kV/2kA、パルス幅1.2?sのJ-PARCキッカー用半導体LTD電源を開発した。ユニット構造の本電源を4台使用し、2並列×2組構成として実機と同様の出力40kV/4kAの双子型電源回路を構築する。構築した本双子型電源回路と実機と同型のキッカー電磁石、さらに、2つを接続する電力伝送用ケーブルに実機と同じ130mの同軸ケーブルを使用した通電試験環境を整備し、励磁波形と磁場波形の各々の性能を評価した。既存のキッカーシステムに要求されるパルスの立上り時間250ns以下と±0.2%以下のフラットトップ平坦度を確認した。これにより、既設のサイラトロンスイッチ電源の置換が可能であることを実証した。開発したSiC-MOSFETの半導体LTD電源の回路仕様と評価結果について報告する。
 
15:20-15:40 
FRO607

[Slides]
g-2/EDM 精密計測用磁石の磁場構成と調整方法の検討
Structure and tuning method of the superconducting magnet for the g-2/EDM precision measurements

○阿部 充志1, 佐々木 憲一1, 三部 勉1, 小川 真治1, 福村 省三2, 飯沼 裕美31高エネルギー加速器研究機構, 2新潟大学, 3茨城大学)
○Mitsushi Abe1, Ken-ichi Sasaki1, Tsutomu Mibe1, Shinji Ogawa1, Seiso Fukumura2, Hiromi Iinuma31KEK, 2Niigata Univ., 3Ibaraki univ.)
 
J-PARCで準備を進めているミューオンの磁気・電気モーメント(g-2/EDM)高精度測定に用いる磁石はミューオンを周回・蓄積するシリンダー状の領域(3cm半径幅、10cm高で直径66.6cm)に、高磁場(3.0T)で超高一様磁場(許容振幅±0.1ppm)を持つ。螺旋入射したmuonを赤道面付近の周回軌道を安定に保つ弱収束磁場(WFF: Weak Focus Field)分布を加えても、理想磁場から±0.1ppm以内の残差とする必要がある。しかし、設置直後の磁場(素磁場)は、組立・設置誤差などで、最大1000ppm程度の誤差磁場を持つ。そこで、実験に先立ち磁場分布を精密に調整(シミング)出来るように、調整ツールを用意する。ハードとして、磁化強磁性体を利用する受動磁場シミング(粗調整、微調整用の2種類)、周回方向6分割の2種類のシムコイル群を用意する。また、計算ソフトとして、磁場分布を連続的に理解するために、離散的な計測磁場から磁場分布を求める磁場分布の再構成計算ツールと、磁場分布調整のためにシム片配置とシムコイル電流を計算するシミング計算ツールも用意する。本報告では、これらのツールについての考え方と適用例のシミュレーションを報告する。
 
15:40-16:00 
FRO608

[Slides]
SPring-8-IIの電磁石電源システム
Magnet power supply system for SPring-8-II

○近藤 力1, 2, 谷内 努1, 増田 剛正1, 藤田 貴弘1, 福井 達2, 青木 毅1, 田島 美典1, 松原 伸一1, 山口 博史1, 中澤 伸候3, 深見 健司1, 2, 渡部 貴宏1, 21高輝度光科学研究センター, 2理研RSC, 3スプリングエイトサービス株式会社)
○Chikara Kondo1, 2, Tsutomu Taniuchi1, Takemasa Masuda1, Takahiro Fujita1, Toru Fukui2, Tsuyoshi Aoki1, Minori Tajima1, Shinichi Matsubara1, Hiroshi Yamaguchi1, Shingo Nakazawa3, Kenji Fukami1, 2, Takahiro Watanabe1, 21JASRI, 2RIKEN SPring-8 Center, 3SPring-8 Service Co., Ltd.)
 
SPring-8のアップグレード計画SPring-8-IIでは低エミッタンスの蓄積リングを目指しており、全周1.4 kmに渡り1700台以上の電磁石が設置される。この内、多極電磁石群は全17ファミリーで組まれ、ファミリー毎に70-450 kWの大電力電源を励磁に用いる。また一部の多極電磁石やステアリング電磁石などの励磁では、磁石の特性に応じた様々な電流定格、出力様式を備える400台以上の小電力電源(50 W-9 kW)を用いる。これらの電源はデジタル制御を用いた統一的な制御システムとし10 ppmオーダーの高い電流安定度を備える。小電力電源では制御ユニット1台により複数の電力ユニットをCAN通信によって制御する方式を採用した。これらに加え、以下に述べる設計や工夫を導入する。本計画ではGreen Facilityを目標に掲げており、大電力電源では93%以上という高い電力効率を目指している。これにはスイッチング素子にSiC MOSFETモジュールを用いることで達成する。また、多極電磁石の磁場を個別に変更する手法として、補助電源を用いる従来の方式に加えて、シャント抵抗を用いる方式を新たに確立した。このシャント抵抗方式は、BPMのBeam-based alignmentで電流を2値で変更する場合に使用する。電力ケーブルの配線では、既存ケーブルを組み替えて再利用することでコスト抑制と共に作業期間も短縮する。更に将来的な導入を目指し、電源の故障時に磁石の励磁電流を維持したまま出力を故障電源から予備電源へ変更する高速切替器を開発した。本発表では電源システム概要と各技術の詳細を述べる。
 
16:00-16:20 
FRO609

量子メス入射器に向けたレーザー駆動重イオンバンチの高繰り返し加速
High-repetition-rate acceleration of laser-driven heavy ion bunches toward a quantum scalpel injector

○小島 完興1, 榊 泰直1, 2, ヂン タンフン 1, 畑 昌育1, 青木 宣篤1, 2, 大石 沙也加1, 3, 黒木 宏芳4, 清水 祐輔4, 原田 寿典 4, 井上 典洋4, 近藤 公伯11量子科学技術研究開発機構, 2九州大学, 3奈良女子大学, 4カナデビア株式会社)
○Sadaoki Kojima1, Hironao Sakaki1, 2, Thanh Hung Dinh1, Masayasu Hata1, Nobuatsu Aoki1, 2, Sayaka Oishi1, 3, Hiroyoshi Kuroki4, Yusuke Shimizu4, Hisanori Harada4, Norihiro Inoue4, Kiminori Kondo11QST, 2Kyushu University, 3Nara Women's University, 4Kanadevia corporation)
 
重粒子線治療は、高い線量集中性と正常組織への低侵襲性により近年注目を集めているが、治療装置の大規模さがその普及を妨げる要因となっている。
我々はこの課題の解決に向けて、次世代の小型重イオンがん治療装置「量子メス」の実現を目指し、極めて高い加速勾配を有するレーザー駆動イオン加速技術に着目してきた。
現在、小型レーザーモジュールおよび加速用テストベンチの開発を進めており、サブMeV/uの炭素イオンを高繰り返しで加速する実験に取り組んでいる。
本講演では、この加速システムによる最新の実験成果を報告するとともに、臨床応用を見据えた今後の技術的課題と展望について議論する。

 
16:20-16:40 
FRO610

量子メス用レーザー駆動イオン加速入射器開発の現状
Current Status of the Laser-driven Ion Injector

○榊 泰直1, 小島 完興1, 諏訪田 剛2, ヂン タンフン1, 筒井 裕士4, 戸内 豊4, 大友 清隆4, 井上 典弘5, 黒木 宏芳5, 松本 悠椰3, 青木 宜篤3, 大石 沙也加6, 石井 邦和6, 畑 昌育1, 山本 洋一1, 伊東 富由美1, 錦野 将元1, 白井 敏之7, 近藤 公伯11量子科学技術研究開発機構 関西研, 2KEK, 3九州大学, 4住友重機, 5カナデビア, 6奈良女子大, 7量子科学技術研究開発機構 量医研)
○Hironao Sakaki1, Sadaoki Kojima1, Tsuyoshi Suwada2, Thanh-Hung Dinh1, Hiroshi Tsutsui4, Yutaka Touchi4, Kiyotaka Ohtomo4, Norihiro Inoue5, Hiroyoshi Kuroki5, Haruya Matsumoto3, Nobuatsu Aoki3, Sayaka Oishi6, Kunikazu Ishii6, Masayasu Hata1, Yoichi Yamamoto1, Fuyumi Itou1, Masaharu Nishikino1, Toshiyuki Shirai7, Kiminori Kondo11QST Kansai, 2KEK, 3Kyushu Univ., 4SHI, 5Kanadevia, 6Nara Women's Univ., 7QST inage)
 
量研で開発している量子メス用イオン入射器は、位相回転空洞と非破壊型モニタであるWall current monitor を利用することで、数%のエネルギー分散でシングルパルスで高フラックスのイオンの生成を実証できるところまで来ている。これまでに得た知見を発表するとともに、量子メス入射器としてさらに必要な開発な点などを報告したい。
 
ポスターセッション① (8月6日 7-1F-A)
12:40-14:40 
WEP001

Upgrade project to introduce a photo-injector into t-ACTS at RARiS, Tohoku University
○Pitchayapak Kitisri1, Kenichi Nanbu1, Fujio Hinode1, Shigeru Kashiwagi1, Toshiya Muto2, Ikuro Nagasawa1, Ken Takahashi1, Kotaro Shibata1, Hiroki Yamada1, Anjali Bhagwan Kavar1, Hayato Abiko1, Hiroyuki Hama11RARiS, Tohoku University, 2SANKEN, Osaka University)
 
The test-accelerator as coherent terahertz (THz) source (t-ACTS) has been routinely producing short electron bunches at the Research Center for Accelerator and Radioisotope Science (RARiS), Tohoku University. According to a theoretical consideration of the pre-bunched Free Electron Laser (FEL) technique, it is expected to produce the THz radiation with extremely high electric fields exceeding 10 MV/cm. In order to achieve the pre-bunched oscillation of FEL, it is required to increase the bunch charge up to 50 pC for the t-ACTS accelerator. However, the maximum bunch charge of the current thermionic RF gun is limited to about 5 pC due to the back-bombardment effect. To overcome this limitation, a project is underway to replace the current thermionic cathode for the RF gun with a photocathode. Currently, the laser system for the photo-injector is being constructed. The system consists of a Yb fiber laser oscillator with a synchronization system, a pulse extraction section, an amplifier stage, and a wavelength conversion section. The project aims to produce a UV laser with an energy of more than 2 ?J and to achieve a phase difference between the laser system and the RF system of less than 1 degree with respect to a frequency of 2856 MHz. We will present the status of the laser system in terms of the improvements of the laser power and the synchronization for the upcoming photo-injector in t-ACTS.
 
12:40-14:40 
WEP002

PFリングにおけるビーム入射時の放射線抑制について
Suppression of radiation level caused by injection loss at the KEK photon factory

○下崎 義人(高エネルギー加速器研究機構)
○Yoshito Shimosaki(KEK)
 
PF(Photon Factory)リングはKEKに設置された放射光実験施設のひとつであり、2.5 GeV-450 mAの電子ビームについてトップアップ運転を行いながらユーザーへ放射光を供給している。入射器から出射された電子ビームはPF-BTと呼ばれる輸送ラインを通ってPFリングへ入射される。ビーム入射に再現性が無いことからトップアップ運転中に蓄積電流が450 mAを維持できずに、入射ビームロスによって実験フロアの放射線レベルが急上昇することがPFリングで問題となっていた。そこでビーム入射時における実験フロアの放射線レベルの抑制を目的として、PF-BT自動軌道補正の導入[1]、PFリングへの自動チューン補正の導入、PFリングへの入射タイミング自動補正の導入などを行ってきた。ビーム入射時における実験フロアの放射線レベルに抑制の効果が見られたので、詳細について報告する予定。

[1] Y. Shimosaki, T. Obina, S. Nagahashi, N. Higashi, “Modification of simulation model for machine tuning at KEK PF-BT”, PASJ2023 TUP47.

 
12:40-14:40 
WEP003

連続高輝度電子ビーム生成のための最新4K超伝導技術を用いた超伝導RF電子銃の提案
A Proposal of Superconducting RF Electron Gun with the Latest 4K Superconducting Technology for CW High Brightness Electron Beam Generation

○栗木 雅夫1, 郭 磊1, Zachary Liptak1, 早野 仁司2, Xiang Rong3, Andre Arnold 3, Teichert Jochen3, 許斐 太郎41広島大学, 2株式会社 ノバセル, 3ヘルムホルツ ツェントルム ドレスデン-ロッセンドルフ, 4ミシガン州立大学)
○Masao Kuriki1, Lei Guo1, Zachary Liptak1, Hitoshi Hayano2, Rong Xiang3, Andre Arnold3, Jochen Teichert3, Taro Konomi41Hiroshima U., 2Novacell Co. Ltd., 3Helmholtz Zentrum Dresden-Rossendorf, 4Michigan State U.)
 
超伝導電子加速器は常伝導に比べてその電気抵抗がおよそ1/1000000と極めて低いのがその特徴であり、その効率の高さに加えて、高い稼働率が実現できるのが特徴である。一方で、超伝導RF電子銃は研究開発が進められているが、その実用化例は限られており、また連続運転の実証はされておらず、連続ビーム加速を行う超伝導加速器においても、電子銃には常伝導電子銃が使われており、そこが運転上のボトルネックとなっている。本研究では、連続運転が可能な超伝導RF電子銃についての設計研究について発表する。
 
12:40-14:40 
WEP004

cERL主空洞アライメントエラーの見積もり
Estimation of misalighnment of main cavity at cERL
○島田 美帆, 本田 洋介, 谷川 貴紀, 田中 織雅(高エネ研)
○Miho Shimada, Yosuke Honda, Takanori Tanikawa, Olga Tanaka(KEK)
 
超伝導加速空洞のアライメントエラーはビーム軌道やエミッタンスに影響を及ぼすため、cERLでは1mm、1mrad以下の誤差を目指している。しかし、冷却によって位置が変動するため、ビーム運転時のアライメント精度は明確に分かっていない。ビームは設置誤差に比例して蹴られ、加速位相依存性を調べることによって定量的に判断できる。本研究では、現在のcERLのアライメントエラーを見積もった結果を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP005

Sバンドニオブスズ超伝導高周波空洞を用いた電子ビーム加速
Demonstration of Electron Beam Acceleration using An S-band Nb3Sn Superconducting RF Cavity

○柏木 茂1, 梅森 健成2, 菊池 章弘31東北大学先端量子ビーム科学研究センター, 2高エネルギー加速器研究機構, 3物質・材料研究機構)
○Shigeru Kashiwagi1, Kensei Umemori2, Akihiro Kikuchi31RARiS, Tohoku University, 2KEK, 3NIMS)
 
本研究グループでは、4Kニオブスズ超伝導電子加速器の開発をスタートした。ニオブスズ超伝導高周波空洞は大量の液体ヘリウムを必要とせず、伝導冷却で到達可能な4Kで運転が可能であるため、大学などの小規模な施設においても超伝導高周波加速器システムの構築できる。我々は、4Kニオブスズ超伝導電子線形加速器のビーム応用を目指している。具体的には、大電流ビームを用いた医療用放射性同位元素(RI)製造や水の浄化などへの利用を検討している。大強度ニオブスズ超伝導加速器実現の第一歩として、Sバンド(2856MHz)の単セル空洞を製作し、東北大学先端量子ビーム科学研究センターでのビーム加速実証実験を計画している。本学会では、ニオブスズ超伝導空洞およびその空洞を冷却するクライオモジュールの設計・製作状況、ビーム加速実証実験の計画について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP006

コリメータ付きピローシールの開発
Development of collimator-integrated pillow seal

○森川 祐, 榎本 嘉範, 保住 弥紹(高エネルギー加速器研究機構)
○Yu Morikawa, Yoshinori Enomoto, Mitsugu Hosumi(KEK)
 
KEK iCASAではILC等の将来加速器に向けて大強度陽電子源の開発を進めている。大強度陽電子源では陽電子生成標的から生成される発散角の大きな不要な粒子を吸収させるために20kW級の熱量に耐えるコリメータが必要となっている。また、陽電子生成標的を保持する真空チャンバーと下流の加速管の接続にはピローシールの仕様を想定している。今回、このコリメータが付いたピローシールを開発した。この開発について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP007

SuperKEKB加速器の高ルミノシティ化に向けた因果探索手法の探求
Exploration of Causal Discovery Methods for Achieving High Luminosity at the SuperKEKB Accelerator

○有馬 諒太1, 松岡 広大2, 3, 4, 三塚 岳2, 3, 小関 忠2, 11東大, 2高エネ研, 3総研大, 4名古屋大)
○Ryota Arima1, Kodai Matsuoka2, 3, 4, Gaku Mitsuka2, 3, Tadashi Koseki2, 11UTokyo, 2KEK, 3SOKENDAI, 4Nagoya Univ)
 
SuperKEKB加速器では、目標ルミノシティ値の早期達成へ向けて、コミッショニングを継続している。ルミノシティに影響を与える要因は多岐にわたり、かつ相互の因果関係は不明確であるため、人手によって網羅的に解明することは困難である。そこで本研究では、因果関係を定量的に明らかにすることを目的として、機械学習を用いてルミノシティに寄与する要因の特定を試みた。本研究の主な課題は、因果探索手法の加速器運転への応用を検証する点にある。本発表では、因果関係を探索するために用いたLiNGAMの理論的背景とSuperKEKBの運転データへの適用結果を示すとともに、現時点での課題と今後の展望について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP008

MADOCA 4.0加速器運転端末システム更新の記録
Record of system updates on MADOCA 4.0 accelerator operation console

○岡田 謙介1, 福井 達2, 濱野 崇1, 梶 泰之3, 清道 明男1, 杉本 崇1, 2, 山鹿 光裕1, 21高輝度光科学研究センター, 2理化学研究所, 3スプリングエイトサービス(株))
○Kensuke Okada1, Toru Fukui2, Takashi Hamano1, Yasuyuki Kaji3, Akio Kiyomichi1, Takashi Sugimoto1, 2, Mitsuhiro Yamaga1, 21JASRI, 2RIKEN, 3SES)
 
MADOCA 4.0では、制御室に設置した複数台の加速器運転端末にて、主にGraphical User Interface (GUI)を通じて、データベースに記録された機器状態を把握し、設定値を定め、抽象化された機器対象に制御命令を投げることで、加速器運転を行っている。これまで10年以上運転端末のOperation System (OS)はSUSE Enterprise 11を利用してきたが、この先ハードウェア更新時に古いOSのインストールが困難になることから、今回OSの更新を行った。同時にGUIビルダーとして、設計の古さがみえてきたX-MateからQtへの移行を計画した。十分な準備期間が確保できたNewSUBARU、NanoTerasuでの導入は比較的順調であったが、SPring-8/SACLAについては運転継続中の条件下で、多数の既存X-Mate GUIの動作を担保しながら、新規Qt GUIの整備をする困難があった。GUI動作確認の個数以外に問題となったのは、ユーザ管理下に散らばる設定ファイル依存性、概ね厳格になる方向のC言語コンパイラのバージョンの違いへの対処、旧MADOCAベースの機器制御GUIの移植、外部アプリケーション依存性である。本発表では、MADOCA 4.0の運転端末管理の方針と、ソフトウェア開発環境、運転環境担保の思想について説明し、一部の加速器運転端末を試験導入した並行運用と、数回のビームタイムテストを経て、システム更新を行った経緯を紹介する。
 
12:40-14:40 
WEP009

KEK加速器試験施設タイミングシステム改良状況報告
KEK Accelerator Test Facility Timing System Upgrade Status Report

Konstantin Popov, ○Aryshev Alexander, Kaji Hiroshi, Okugi Toshiyuki, Terunuma Nobuhiro(高エネルギー加速器研究機構 総研大)
Konstantin Popov, ○Alexander Aryshev, Hiroshi Kaji, Toshiyuki Okugi, Nobuhiro Terunuma(KEK)
 
The KEK ATF facility is Accelerator Test Facility devoted to develop beam instrumentation technologies for International Linear Collider (ILC) project. The ATF facility timing system supplies trigger and gate signals for DAQ, klystrons, laser systems, interlocks etc. Before upgrade trigger signals generation and synchronization to LLRF was realized using NIM and CAMAC modules and distributed via both the optical fibers with associated electro-optics transmitters, receivers and RF cables. Since 2021 it was gradually migrated to SINAP event- based timing system and signal distribution within ATF facility was switched to industrial optical fibers. This report presents KEK ATF facility timing system status and its performance during recent operation.
 
12:40-14:40 
WEP010

RCNPにおける電磁石電源制御更新及びRF故障検知機構の開発
Update of the control system of magnet power supply and development of anomaly detection system for RF stable operation at RCNP

○依田 哲彦, 松田 洋平, 神田 浩樹, 福田 光宏(阪大RCNP)
○Tetsuhiko Yorita, Yohei Matsuda, Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda(RCNP, Osaka Univ.)
 
RCNPサイクロトロン施設ではビーム供給の安定運用のため様々な方策に取り組んでいる。電磁石電源ンの制御に関しては、レガシーな制御機器であるSHI製のマイコンボードUDCのPLCへの置き換えを順次進めている。RCNPの制御システムの大部分はInTouchというSCADAシステムで運用されているが、置き換えられたPLC制御はEPICSの配下に置き、制御系全体としてはEPICS、さらにEPICS制御比率を上げていっている。ただし、SCADAとEPICSの間にOPC UAサーバーを介することで電源制御を旧来通りSCADAからも制御できるようにすることで、制御移行の過渡期における混乱を避ける仕組みを今回新たに構築する。これにより、従来通りのオペレーションが引き続きできる一方で、EPICSからPythonを通じて機器情報を得ることが可能となり、機械学習への適応などが容易にできるようになり、機器の安定運用につながる。これとは別に、すでにEPICS単体で制御されているRFシステムについては、取得されたRF波形をニューラルネットでラベル付け機械学習をすることにより、RFシステムでのクローバー作動などの予兆を検知するシステムの構築を進めており、こちらも、RFの安定運用や長寿命化につながる情報が得られることが期待される。
 
12:40-14:40 
WEP011

KEK電子陽電子入射器におけるPodmanを用いたArchiver Applianceの導入
Introduction of Archiver Appliance Using Podman at the KEK electron/positron injector LINAC

○佐武 いつか1, 佐藤 政則1, 王 迪1, 草野 史郎2, 工藤 拓弥2, 櫻井 雅哉31高エネルギー加速器研究機構, 2三菱電機システムサービス株式会社, 3関東情報サービス株式会社)
○Itsuka Satake1, Masanori Sato1, Di Wang1, Shiro Kusano2, Takuya Kudou2, Masaya Sakurai31KEK, 2MSC, 3Kis)
 
KEK電子陽電子入射器は、SuperKEKB電子リングおよび陽電子リング、PFリング、PF-ARの4つのリング、さらにSuperKEKBの陽電子ダンピングリングにビームを供給している。安定した運転の維持とさらなるビーム性能向上のためには、継続的な技術開発・研究と運転状況の詳細な把握が不可欠である。そのため、機器および周辺環境の多様な運転パラメータを記録するデータアーカイバシステムが重要な役割を担っている。KEK電子陽電子入射器では、データ取得ソフトウェアとしてArchiver Applianceを採用し、17万件以上の制御対象を効率的に収集・保存している。本発表では、システムの再現性向上、導入作業の簡素化、および運用効率の向上を目的として、Podmanを用いたArchiver Applianceのコンテナ化を実施した。本発表では、従来の仮想マシン環境での運用経験を踏まえて、Podman環境においてArchiver Applianceを構築した際に得られた知見について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP012

小型ミューオンリニアックにJ-PARC加速器制御システムを導入する挑戦
Challenges in Applying the J-PARC Control System to a Small Muon Linac

○楊 敏, 上窪田 紀彦, 山田 秀衛, 木村 真人, 大谷 将士(高エネルギー加速器研究機構)
○Min Yang, Norihiko Kamikubota, Shuei Yamada, Masato Kimura, Masashi Otani(KEK)
 
A compact muon linear accelerator (linac) is under construction at J-PARC as part of the muon g-2/EDM experiment. Unlike large-scale accelerators, this small-scale system is managed by a compact team with limited resources. To facilitate easy and fast development of its control system, we adopted the same control system framework used in the J-PARC accelerator. Development of the control system began in 2024. The implementation of the Ultra-Slow Muon (USM) section -- the muon source part of the accelerator -- was mostly completed by April 2025. Core functionalities of the control system are scheduled for verification during May and June, with beam commissioning of the USM section planned for December 2025. This paper describes the current development status of the control system for the muon linac and discusses the advantages and challenges of adapting a large-facility control system framework to a small-scale project.
 
12:40-14:40 
WEP013

誘電体レーザー加速に向けたデュアルピラー構造の加速シミュレーション
Simulating Acceleration of Dual Pillar Structure for Dielectric Laser Acceleration

○丸 征那1, 澁谷 達則2, 佐藤 大輔2, 坂上 和之11東京大学, 2産業技術総合研究所)
○Sena Maru1, Tatsunori Shibuya2, Daisuke Sato2, Kazuyuki Sakaue11The University of Tokyo, 2AIST)
 
レーザー誘電体加速(DLA)は従来よりも小型かつ高加速勾配を実現できる新しい加速手法である。それは加速勾配を決める加速電場の最大周波数が、材料が持つ電磁場 周波数の破壊閾値によって制限されることに起因し、高周波加速器に広く用いられる金属よりも誘電体の方が2桁程度高い破壊閾値を持つため高加速勾配を実現できる。 DLAでの加速用構造は、構造周期が粒子の光速比とレーザー波長の積βλでスケーリングされるためマイクロスケールの加速器として応用が期待されている。近年多く採用されているデュアルピラー構造は1枚の基盤上にピラー対を周期的に配置するもので、初期に提案されたグレーティング構造と比べ製作・配置が容易である。しかし、初期エネルギーが低い電子での加速では周期方向の加速構造の形状が小さく構造の製作が困難である。実証報告例での電子の初期エネルギーは低いものでも57keV[1]や28.1keV[2]と、20 keV以上での加速に限定されている。DLAのみで加速器として成立するには、低エネルギーをはじめとしたすべてのエネルギー領域での加速が必要である。 そこでDLA加速器の開発に向け、電子の初期エネルギー5keVと低エネルギーでの加速の実証を本研究の独自性としつつ、日本において初めてのDLA加速実証を目的とし、加速用マイクロ構造の設計を行なった。本講演では構造周期を3βλとして設計した構造体でのシミュレーション結果および今後の展望について報告する。 [1] D.S.Black, Physical review letters,123, 26, 264802(2019). [2] P.Yousefi. et al., Opt.Lett, 4, 6, 1520-1523(2019).
 
12:40-14:40 
WEP014

高速パルスチョッパを用いたレーザー駆動イオンビームの核種選別手法の開発
Development of an ion selection technique for laser-driven ion beams using a high-speed pulse chopper

○大石 沙也加1, 2, 小島 完興2, 青木 宣篤2, 3, タンフン ヂン2, 松本 悠椰3, 2, 村川 真宙3, 岡野 朱莉1, 石井 邦和1, 熊谷 嘉晃1, 榊 泰直2, 31奈良女子大学, 2量子科学技術研究開発機構, 3九州大学)
○Sayaka Oishi1, 2, Sadaoki Kojima2, Nobuatsu Aoki2, 3, Dinh Thanh-Hung2, Haruya Matsumoto3, 2, Mahiro Murakawa3, Akari Okano1, Kunikazu Ishii1, Yoshiaki Kumagai1, Hironao Sakaki2, 31Nara Women’s University, 2National Institutes Quantum Science and Technology, 3Kyu-Shu University)
 
主に放射線医学分野で注目されているレーザー駆動イオン加速によるイオンビームは、超短パルスかつ高密度という特性を持ち、次世代の照射技術として大きな期待が寄せられている。本研究では、通常加速器による直流イオンビームとレーザー駆動イオン加速による超短パルスビーム照射による物質表面相互作用の差異を計測することで、新たな物理現象の解明および応用分野の開拓を目指している。
 その実現には、レーザー駆動イオンビームの核種組成やエネルギー分布を精密に制御することが不可欠である。特に、ビームに含まれる多種の不純物イオンを除去し、単一核種かつ単色エネルギーのビームを得ることが重要な課題となっている。
 本研究では、飛行時間によるイオン核種選別手法の開発を進めており、その一環として実施した予備実験の成果について報告する。ビーム照射後のラジオクロミックフィルム(RCF)による観測とともに、ビームの空間分布や線量分布については輸送・照射シミュレーションにより解析を行い、イオン核種選別の有効性を評価した。得られた結果は、イオン核種によるビーム高純度化の実現可能性を裏付けるものであり、今後の高精度な照射実験や表面構造解析への応用が期待される。

 
12:40-14:40 
WEP015

中赤外光周波数コム自由電子レーザーのための試験調和共振器を用いた精密調整方法の検討
A Study of Accurate Alignments for Mid-IR Frequency Combs FEL with a Test Harmonic Resonator

○原田 一輝1, 住友 洋介1, 飯田 翔之介1, 島貫 蒼1, 根本 妃那1, 境 武志2, 早川 建2, 早川 恭史21日大理工, 2日大LEBRA)
○Kazuki Harada1, Yoske Sumitomo1, Shonosuke Iida1, So Shimanuki1, Hina Nemoto1, Takeshi Sakai2, Ken Hayakawa2, Yasushi Hayakawa21CST Nihon Univ., 2LEBRA Nihon Univ.)
 
日本大学の電子線形加速器を用いた共振器型自由電子レーザー装置は、2.856 GHzの高繰り返しで高強度な中赤外光パルス生成を得意としており、水素を含む多くの分子の吸収帯域に密接に結びついた新奇物理領域の開拓の可能性を秘めた装置である。この特性を活用するため、高強度極短光パルスによる非線形的効果を利用し、水素を始めとした分子操作を可能とする技術開発を進めている。光パルスには極短時間幅による周波数広がりがあるので、吸収波長に周波数成分を集中させるために、共振器型自由電子レーザーを応用発展させ、光周波数コムとして光パルスを高度化することを計画している。共振器型自由電子レーザーの光パルスはビームのショットノイズが起因して相対位相が揃っていないため、異なるパルス間で相関を発生させ位相同期を行う必要がある。具体的な方法として、2枚の凹面鏡での共振器内に曲率の異なる3枚目の凹面鏡を1パルス分の経路差をつけて設置した調和共振器を用いてパルス位相を揃えることを計画している。高い難易度が要求される調整に向け、構築中の試験共振器内において分岐比の異なるスプリッターを用いて周回数を高めた上で、3枚の凹面鏡による共振状態の精密調整方法の手順の確立を行っている。本発表では、現在の試験調和共振器を用いた検討状況について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP016

BeCuの放射光刺激脱離評価
Synchrotron radiation-stimulated desorption from BeCu
○金 秀光(高エネルギー加速器研究機構)
○Xiuguang Jin(KEK)
 
放射光源加速器では、発生するハイパワーの放射光はアブソーバー、真空チェンバーなどの真空部品に照射される。放射光刺激によるガス脱離は熱脱離に比べ桁違いに多く、放射光源加速器の主なガス源である。放射光の刺激によるガス脱離が少ない材料や表面処理方法の探索は、放射光源加速器の長年の課題である。
近年、BeCuは無酸素銅に比べ熱脱離が極めて少ないことが知られており、いろんな真空部品への応用が期待される。BeCuは熱処理を行うことで表面に薄いBeO膜を生成し、ガスの熱脱離を抑制しつつ、大気開放中における水分や他のガスの吸着も減少させると考えられる。
本研究ではBeCu板を用いて、PFのBL21において放射光刺激脱離の評価を行った。加工済のBeCu板は、化学研磨及びBeO表面を生成する熱処理を行った。測定結果、BeCuは同じ表面処理を行った無酸素銅に比べて初期脱離係数が5倍ほど大きい。H2、CO、CO2、CH4のいわゆるガスの脱離が多い結果となる。放射光刺激脱離は熱脱離とガス放出のメカニズムが異なり、熱脱離と逆の結果が得られたと考えられる。

 
12:40-14:40 
WEP017

無酸素Pd/Ti蒸着した超高真空チャンバー内の 残留ガス分析
Residual gas analysis in oxygen-free Pd/Ti deposited UHV chamber
○菊地 貴司1, 片岡 竜馬1, 田中 宏和1, 若林 大佑1, 2, 大東 琢治1, 2, 石井 晴乃1, 仁谷 浩明1, 間瀬 一彦1, 21高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所, 2総研大)
○Takashi Kikuchi1, Ryoma Kataoka1, Hirokazu Tanaka1, Daisuke Wakabayashi1, 2, Takuji Ohigashi1, 2, Haruno Ishii1, Hiroaki Nitani1, Kazuhiko Mase1, 21Institute of Materials Structure Science, KEK, 2SOKENDAI)
 
最近我々は新しい非蒸発型ゲッター(NEG)である無酸素Pd/Tiを開発した。150℃でのベーキング後の室温において、無酸素Pd/Tiの初期排気速度は、H2に対して3.2 L s-1 cm-2、COに対して7.6 L s-1 cm-2である。また、残留炭化水素ガスがPdの触媒作用によりCOやCO2となり、ターボ分子ポンプ(TMP)で排気できる、真空チャンバーや部品からの脱ガスを低減できる、3)NEGポンプの設置スペースが不要である、専用電源や電流フィードスルーが不要である、電源喪失時の安全が確保できる、などの利点を持つ。フォトンファクトリーの新BL-11軟X線ビームラインの第一ミラーテストチャンバー内面に無酸素Pd/Tiを蒸着し、ミラーとミラーホルダーシステムを設置して、90-110℃で52時間ベーキングしたところ、6.9×10-8 Paに到達した。また、TMPをゲートバルブで切り離しても約5×10-7 Paを維持した。これらの結果は、90-110℃のベーキングにより無酸素Pd/Tiが活性化し、残留ガスを排気していることを示している。白色ビーム照射後、M1ミラーにわずかに炭素汚染が観察されたが、白色ビーム照射下でM1チャンバー内に2日間酸素を導入すると、炭素汚染はある程度除去された。無酸素Pd/Ti蒸着M1テストチャンバー内の残留ガスを分析した結果、炭化水素の量は検出限界以下であった。この結果はPdの触媒作用により、チェンバー内の炭化水素が除去されていることを示している。
 
12:40-14:40 
WEP018

コリメータ形状がウェイク場に及ぼす影響と横方向双極性キックファクターの低減
Effects of Collimator Geometry on Wakefields and Mitigation of Transverse Dipolar Kick Factors

○石橋 拓弥, 周 徳民(高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設)
○Takuya Ishibashi, Demin Zhou(KEK Accelerator Laboratory)
 
Collimators are major sources of impedance in a storage ring. In particular, the transverse impedance of the collimators can induce beam instabilities, and therefore, it is essential to minimize the impedance as much as possible to mitigate such effects. In this study, we mainly use GdfidL to investigate how the geometry of simplified collimator models affects the wake potential. Based on these results, we propose impedance reduction strategies and quantitatively evaluate their effectiveness in mitigating instabilities using PyHEADTAIL, taking the Low Energy Ring (LER) of SuperKEKB as a case study.
 
ポスターセッション① (8月6日 7-1F-B)
12:40-14:40 
WEP019

IFMIF/EVEDA原型加速器の超伝導加速器据付のための真空システムと清浄化作業の検証
Verification of vacuum system and cleaning for the installation of SRF linac on IFMIF LIPAc
○蛯沢 貴1, 柳町 太亮1, 近藤 恵太郎1, 増田 開1, 春日井 敦1, 長谷川 和男1, Bazin Nicolas2, Chambrillon Janic3, Scantamburlo Francesco3, Gex Dominique3, Dzitko Herve3, Carin Yann31量研, 2CEA, 3F4E)
○Takashi Ebisawa1, Taisuke Yanagimachi1, Keitaro Kondo1, Kai Masuda1, Atsushi Kasugai1, Kazuo Hasegawa1, Nicolas Nicolas2, Janic Chambrillon3, Francesco Scantamburlo3, Dominique Gex3, Herve Dzitko3, Yann Carin31QST, 2CEA, 3F4E)
 
核融合エネルギー分野における日本と欧州による共同事業の一つである、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)の一環として、原型加速器(LIPAc)の建設・実証試験がQST六ヶ所フュージョンエネルギー研究所で進行中である。LIPAcでは、超伝導高周波加速器(SRF: Superconducting Radio Frequency accelerator linac)の据付を開始する前に、2020年から2024年の間、仮設ビーム輸送系を設けて高周波四重極加速器(RFQ: Radio Frequency Quadrupole accelerator)の長パルスビーム加速試験、ビームダンプ等のコミッショニングを実施した。LIPAcでは、SRF linacを構成する超伝導空洞の電界放出による加速性能劣化の抑制のため、SRF接続部は超高真空(10-8 mbar台)を維持するように真空システムが設計された。また、清浄な真空環境を維持するため、クリーン環境下でのビームライン組立作業等を徹底してきた。RFQの長パルスビーム加速試験後、真空のデータの解析により真空システムの設計を検証し、ガス放出が十分低く抑えられ、またこれまでのビームラインの清浄化作業により微粒子汚染を抑制し、SRF接続が可能な環境であることを確認した。
 
12:40-14:40 
WEP020

高速インターロック機能を備えたRI製造ライン用真空制御装置の開発
Development of vacuum control equipment for RI production line with high-speed interlock function

○渡邉 環1, 羽場 宏光1, 清水 弘通1, 重河 優大1, 金山 洋介1, 南部 明弘1, 佐藤 望1, 臼田 祥子1, 黒須 弘典21理化学研究所, 2株式会社トリオ二クス)
○Tamaki Watanabe1, Hiromitsu Haba1, Hiromichi Shimizu1, Yudai Shigekawa1, Yousuke Kanayama1, Akihiro Nambu1, Nozomi Sato1, Sachiko Usuda1, Hironori Kurosu21RIKEN, 2TRIONIX Inc.)
 
サイクロトロンやリニアックによって加速された重イオンビームを用いた放射性同位体(RI)製造用ビームラインに於いては、真空制御は極めて重要である。特に、大強度ビーム照射によってRI製造装置の真空窓が損傷して真空が悪化した場合に、実験装置と加速器を保護するため、ビームラインのゲートバルブを瞬時に閉じ、ビームと真空ポンプを緊急停止するインターロックが必須となる。また、ビームラインの真空を引く際には、真空度や各真空ポンプの状態監視と状態遷移のシーケンス制御が必要である。これらの問題を解決するために、ビームラインの真空制御装置VCS (Vacuum Control System )の設計と開発を行い、それを実用化した。真空度は、コールドカソードゲージが常時監視し、真空の悪化を検出すると、ビームラインのFCV (Fast Closing Valve)を約14 ms以内に閉じる。また同時に、VCSを通してBIS (Beam Interlock System)信号が加速器側に送信され、ビームを緊急停止する。VCSはFPGA (Field Programmable Gate Array) を搭載したシステムで構築されており、従来のシステムの100倍以上の速さでBIS信号を送信することが可能となった。今回の学会では、測定システムと測定結果について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP021

真空不平等電界下における電極ギャップに対する低ダメージコンディショニング法
Low-damage Conditioning Methods for Vacuum Electrode Gaps under Non-uniform Electric Fields

○加藤 拓万, 仲泊 明徒, 山納 康(埼玉大学)
○Takuma Kato, Akito Nakadomari, Yasushi Yamano(Saitama University)
 
加速器の電子銃やイオン源などの真空高電圧機器において、荷電粒子の加速のために真空が用いられる。しかし真空ギャップに電圧印加の初期段階から高い電圧や電界を印加した場合に、異物や電界電子放出に起因する真空絶縁破壊現象が発生することがあり、機器の破損や停止を引き起こす恐れがある。真空機器によっては、1回の絶縁破壊が致命的な損傷を引き起こす場合があるため、絶縁破壊を発生させずに真空ギャップの耐電圧を向上させることが求められ、適切なコンディショニング法が必要である。そこで本研究では無放電で耐電圧を向上させるために数百マイクロ時間の高電圧を可能な限り絶縁破壊させないようにして、3回ずつまたは30回ずつ印加させ、徐々に電圧を上げる方法を用いた。これにより、絶縁破壊による電極の金属蒸着や損傷を避け、かつ効率よく耐電圧を向上させる低ダメージコンディショニング法について調査した。真空環境下においてSUS304製の針対平板電極を試験対象として、低ダメージコンディショニングを行った結果、電圧印加を3回、30回行った電極で共に、電圧印加のみで耐電圧が向上し、コンディショニング効果を確認できた。その際、絶縁破壊を電圧印加3回の電極では1回、30回の電極では0回と減少させることができ、デコンディショニングによる電極の損傷を抑えることができた。また、電圧印加30回の電極は、3回の電極よりも低い電圧印加だけでも、微小電流が低減されることが確認され、電圧印加の回数が増加するとコンディショニング効果が顕著に表れると考えられる。
 
12:40-14:40 
WEP022

GaNパワー半導体スイッチを用いた誘導性エネルギー蓄積方式パルスパワー電源の開発と高出力化に向けた課題
Development of Inductive Energy Storage Pulsed Power Generators Using GaN FET Switches and Issues for High-Power Increases

○長尾 和樹1, 須貝 太一2, 徳地 明2, 3, 江 偉華21小山工業高等専門学校, 2長岡技術科学大学, 3株式会社パルスパワー技術研究所)
○Kazuki Nagao1, Taichi Sugai2, Akira Tokuchi2, 3, Jiang Weihua21National Institute of Technology, Oyama College, 2Nagaoka University of Technology, 3Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.)
 
半導体スイッチを用いたパルスパワー電源は,学術分野にとどまらず産業界でも広く使われるようになってきた。制御可能な電力はまだまだ小さいが,優れた入手性と寿命の長さ,高速スイッチングと高い繰り返し動作は,産業界/学術分野で求められている需要と一致している。近年登場したワイドギャップ半導体である窒化ガリウム(GaN)半導体は,耐圧特性が高く,また電流容量も多いだけでなく,オン抵抗も小さく,高速なスイッチングも可能であり,GaN半導体スイッチのパルスパワー利用に最適である。本研究では,GaN半導体スイッチを用いた誘導性エネルギー蓄積方式のパルスパワー電源を開発してきたので紹介し,高出力化に向けた課題と可能性についてまとめた。
 
12:40-14:40 
WEP023

可搬型加速器中性子源RANS-IIIの開発
Development of accelerator-driven portable neutron source RANS-III
○小林 知洋1, 大胡 武1, 池田 裕二郎1, 大竹 淑恵1, 池田 翔太2, 林崎 規託21(国研)理化学研究所, 2東京科学大学)
○Tomohiro Kobayashi1, Takeru Ohgo1, Yujiro Ikeda1, Yoshie Otake1, Shota Ikeda2, Noriyosu Hayashizaki21RIKEN, 2Science Tokyo)
 
当チームでは2013年より7MeV陽子線リニアック(RFQ+DTL)とBeターゲット、遮蔽体から構成される理研小型中性子源システム(RANS)を稼働させ、主に実用構造材料の分析を行ってきた。現場設置可能な小型中性子源を開発するRANS-IIプロジェクトでは全体のシステムの小型化、特に遮蔽体の小型軽量化は、陽子線エネルギーを2.49MeVに下げることにより実現され、Liターゲットと組み合わせて2019年に稼働開始した。RANSとRANS-IIは現在いずれも常設の中性子源として同時運転可能となっており、中性子散乱実験、放射化分析、検出器開発(太陽電池線量計など)が行われている。RANS-IIで得られた加速器技術、測定技術、遮蔽パラメータを基に、トレーラー車載状態での現場利用を目指したRANS-IIIを現在開発中である。RANS-IIIは軽量化を行ったRFQ加速器 (500MHz)と標的、遮蔽体、および検出器を搭載している。中性子を下方に向けて照射し、中性子後方散乱測定と即発ガンマ線分析(PGAA)による水分・塩分測定を通して橋梁の劣化を測定するシステムである。2024年度に機器車載と加速器動作試験が完了し、現在は新設の専用建屋にトレーラーを格納した状態で中性子発生試験と実サンプル測定の準備を行っている。
 
12:40-14:40 
WEP024

都市大タンデムを用いたIBIL分析の基礎検討と岩絵具への応用
Fundamental Study of IBIL Analysis Using the TCU-Tandem and Its Application to Mineral Pigments

○梅垣 堅介, 片桐 悠汰, 王 聿恒, 河原林 順, 羽倉 尚人(東京都市大学)
○Kensuke Umegaki, Yuta Katagiri, Yuheng Wang, Jun Kawarabayashi, Naoto Hagura(Tokyo City University)
 
近年、材料科学や考古学の分野において、非破壊かつ高感度に化学構造情報を取得できる分析手法として、イオンビーム誘起発光分析(Ion Beam Induced Luminescence: IBIL)が注目されている。しかし、その定量性や化学種識別能力に関しては未解明な点が多く、基礎的検討が求められている。本研究では、東京都市大学の1.7 MVペレトロン・タンデム加速器を用いて、IBIL法の基礎的有用性および文化財材料への応用可能性について検討した。まず、代表的な発光元素であるEuを含む化合物を対象としたIBIL測定を行い、Eu??に由来する?D?→?F_J(J=1,2,4)遷移に起因する明瞭な発光ピークが確認され、化学種の同定におけるIBILの有効性を確認した。加えて、岩絵具として日本画などに用いられる「天然白翠末」に対してPIXEおよびIBIL分析を実施し、PIXEではSi、K、Feなどの主要元素が検出され、IBILでは母体鉱物としてカリ長石(KAlSi?O?)を仮定した際に期待されるPb??由来の発光、および長石特有とされる450 nmおよび730 nm付近の発光ピークが観測された。これらの結果から、当該試料がアマゾナイト(緑色微斜長石)である可能性が示唆された。本研究は、IBIL法が光学特性に基づく非破壊的同定手法として有効であることを示すとともに、文化財分析への応用に向けた基礎的知見を提供するものである。
 
12:40-14:40 
WEP025

普及型RFQリニアック用ECRイオン源の性能評価
Performance evaluation of ECR ??ion source for commercial RFQ linac
○舛岡 優史1, 山内 英明1, 山内 一成1, 脇本 大介1, 長江 大輔3, 2, 池田 翔太2, 林崎 規託2, 大久保 颯人4, Ha Syuai51タイム株式会社, 2科学大, 3埼玉大, 4長岡技科大, 5ミロトロン)
○Masashi Masuoka1, Hideaki Yamauchi1, Issei Yamauchi1, Daisuke Wakimoto1, Daisuke Nagae3, 2, Shota Ikeda2, Noriyosu Hayashizaki2, Hayato Okubo4, Syuai Ha51TIME Corporation, 2Science Tokyo, 3Saitama University, 4Nagaoka University of Technology, 5Mirrotron)
 
タイム株式会社は自社の精密機械加工技術を応用して、独自の三体構造をもつ普及型RFQリニアックを開発した。現在は東京科学大学と共同で、このRFQリニアックに接続するECRイオン源の開発に取り組んでおり、試作機を用いた陽子ビームの発生試験を進めている。本発表ではその性能評価について発表する。
 
12:40-14:40 
WEP026

荷電粒子誘起発光を用いたEu試料分析の現状
Current Status of Eu Sample Analysis Using Ion Beam Induced Luminescence

○片桐 悠汰, 梅垣 堅介, 王 聿恒, 河原林 順, 羽倉 尚人(東京都市大学)
○Yuta Katagiri, Kensuke Umegaki, Yuheng Wang, Jun Kawarabayashi, Naoto Hagura(Tokyo City University)
 
高レベル放射性廃液には、アメリシウム(Am)をはじめとするマイナーアクチニド(MA)が含まれており、その化学状態解析は再処理および廃棄物処理技術の向上において重要である。しかし、従来の分析手法では、溶媒中のAmの化学状態を直接観察することが困難であった。そこで、Amと類似した電子構造を持ち、発光特性が良く知られているEuをモデル試料に使用し荷電粒子誘起発光(IBIL)分析を行った。IBIL分析は東京都市大学原子力研究所において運用されている1.7MVペレトロン・タンデム加速器(都市大タンデム(TCU-Tandem))によるプロトンビームを用いて行った。IBIL分析によりEuに起因する特定の電子遷移過程を同定出来ることを実証した。本発表では、IBIL分析を用いた化学状態分析を行うための研究課程の現状を報告するものである。
 
12:40-14:40 
WEP027

小型陽子加速器中性子源による核燃料物質非破壊分析に向けた高速静電チョッパーの開発
Development of a high speed electrostatic chopper for nondestructive analysis of nuclear fuel materials using a compact proton accelerator neutron source
○萩原 駿行1, 林崎 規託1, 池田 翔太1, 奥野 泰希21東京科学大学, 2理化学研究所)
○Takeyuki Hagiwara1, Noriyasu Hayashizaki1, Shota Ikeda1, Yasuki Okuno21Science Tokyo, 2RIKEN)
 
主な核燃料物質の非破壊分析手法であるアクティブ中性子法は、数μsecの短パルス中性子ビームを用いた分析手法であるが、線源のポータブル性と短い分析時間の両立が課題となっている。理化学研究所のRANS-Ⅱは陽子線形加速器を用いた小型中性子源であるため現地への設置が容易であるうえに、中性子発生率が1011個/秒と高く、D-D中性子源に比べて短時間の計測で非破壊分析ができることが期待される。そのためRANS-Ⅱによるアクティブ中性子法の実証に向け、静電チョッパーによる短パルス陽子ビーム生成の研究開発を開始した。本発表では静電チョッパーおよびビームラインの構成や、チョッパーの開発状況について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP028

重粒子線治療用傾斜余弦θスキャニング電磁石の設計
Conceptual design of Canted-Cosine-Theta scanning magnet for heavy ion therapy
○宮武 立彦1, 水島 康太1, 松葉 俊哉1, 片桐 健1, 藤本 哲也2, 楊 叶3, 岩田 佳之11量研機構 量医研, 2加速器エンジニアリング, 3ローレンスバークレー国立研究所)
○Tatsuhiko Miyatake1, Kota Mizushima1, Syunya Matsuba1, Ken Katagiri1, Tetsuya Fujimoto2, Ye Yang3, Yoshiyuki Iwata11QST, 2Accelerator Engineering Corporation, 3Lawrence Berkeley National Laboratory)
 
現在重粒子線治療装置の照射システムは、細く集束した荷電粒子ビームを3次元的に高速走査し腫瘍を塗りつぶすように照射するスキャニング照射法を用いることが主流であり、それらのシステムは回転ガントリー先端に取り付けられる。ガントリー径縮小のために照射システム長を短尺化する必要があるが、既存システムは電磁石下流側の大口径部で磁束密度を得にくいため、システム短尺化のために電源装置が大型化、高コスト化してしまうという課題がある。そこで本研究では、スキャニング電磁石システムに傾斜余弦θ(CCT; Canted Cosine Theta)電磁石と呼ばれる、逆向きに傾斜したソレノイドコイルを積層することで偏向磁場を生成する機構の採用を検討している。CCT電磁石の磁束密度は電流、コイル傾斜角、コイルピッチの関係によって決定され、開口径に依存しない特徴を持つ。そのため、既存システムで磁束密度の得にくい大口径部でも効率的に磁束密度を得ることが可能であり、照射システムの短尺化と電源容量抑制に寄与することが期待されている。本学会では、CCT型スキャニング電磁石の概念設計、構造最適化の結果について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP029

小型放射光源における放射線発生の研究
Research on radiation generation from compact synchrotron radiation sources

○村山 瑠渚1, Christian John3, 島田 美帆2, 3, 宮内 洋司2, 3, 加藤 政博3, 41広島大学大学院, 2高エネ研, 3HiSOR, 4UVSOR)
○Runa Murayama1, John Christian3, Miho Shimada2, 3, Hiroshi Miyauchi2, 3, Masahiro Katoh3, 41Hiroshima Univ. ADSE, 2KEK, 3HiSOR, 4UVSOR)
 
HiSORは1990年代に建設され、その後30年近くにわたり真空紫外・軟X線領域を得意とする低エネルギー放射光源として稼働を続けてきたが、近年、光源性能の競争力の低下や老朽化による故障の増大などの問題に直面している。このため、ストレージリングの全面的な更新を含む将来計画の検討を進めている。大学の施設として適正な規模で高輝度低エネルギー放射光源を実現するためには、加速器本体は言うまでもないが、放射線防護も含めた建屋の合理化も重要な検討事項である。我々は小型放射光源における放射線発生をシミュレーション及び実測に基づき研究を進めている。その最新の状況について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP030

無線LANシステム更新のためのSuperKEKB加速器トンネル内放射線量測定
Radiation dose measurement in the SuperKEKB accelerator tunnel for updating wireless LAN system

○伊藤 史哲, 塩澤 真未(高エネルギー加速器研究機構)
○Fumiaki Ito, Mami Shiozawa(KEK)
 
2024年夏のSuperKEKB加速器シャットダウン期間中に加速器制御ネットワークの無線LANシステムの更新を行った。無線LANシステムは加速器トンネル内にも敷設されており、放射線への対策が必要である。更新前の無線LANシステムは加速器運転開始前に導入されたものであるため、運転時の放射線量を踏まえた上で遮蔽に関して再度検討を行うことが望ましい。そのため、加速器運転中及び停止中の放射線測定を行った。また無線LANシステムのエラーや、故障についても情報を収集し、放射線測定結果と合わせることで、放射線対策への検討材料とした。
 
12:40-14:40 
WEP031

KEKの放射線モニタリングシステムの現状
Present status of the radiation monitoring system at KEK
○大山 隆弘, 飯島 和彦, 坂木 泰仁(KEK)
○Takahiro Oyama, Kazuhiko Iijima, Yasuhito Sakaki(KEK)
 
放射線モニタリングは、加速器施設およびその周辺の安全確保において不可欠な取り組みである。KEKでは、1980年頃、旧12GeV PSの安全管理設備として放射線モニタリング装置を導入し、放射線量の常時監視を通じてスタッフやユーザ等の安全確保に努めてきた。2025年現在、ガンマ線および中性子線の測定を行うモニタリングポストは計133台に達している。本発表では、KEKにおける放射線モニタリング装置の構成と稼働状況について概観し、特にSuperKEKB周辺における近年の取り組みを紹介する。
 
12:40-14:40 
WEP032

J-PARC RCS におけるシングルエンド金属磁性体空胴の運転経験
Operational experience of single-ended magnetic alloy cavities at J-PARC RCS

○田村 文彦, 沖田 英史, 山本 昌亘, 吉井 正人, 大森 千広, 清矢 紀世美, 杉山 泰之, 野村 昌弘, 島田 太平, 長谷川 豪志, 原 圭吾, 足立 恭介(J-PARC センター)
○Fumihiko Tamura, Hidefumi Okita, Masanobu Yamamoto, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Kiyomi Seiya, Yasuyuki Sugiyama, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Kyosuke Adachi(J-PARC Center)
 
大強度陽子加速器施設 (J-PARC) の 3GeV シンクロトロン (RCS) の金属磁性体 (MA) 加速空胴の交換計画が数年にわたり進行中である。従来の空胴は加速ギャップの上流側と下流側の電極に一対の四極真空管から交互に RF 電流を供給するプッシュプル (PP) 型であり、これを新たに開発されたシングルエンド(SE)型空胴に全て置き換える予定である。広帯域の MA 空胴では、大強度ビーム加速時にビーム負荷の補償のために大振幅のマルチハーモニック RF 信号が必要となるが、PP 空胴では上流側、下流側の四極管動作にマルチハーモニック RF に起因する大きなアンバランスが生じ、このアンバランスがビーム強度を制限する要因のひとつとなっていた。このアンバランスは SE 空胴では原理的に生じないものであり、交換計画の完了によって設計ビーム出力 1MW を超えた運転が可能になると期待されている。現在、12台の空胴中6台の置き換えが完了している。SE 空胴は偶数次の高次高調波をキャンセルする構成を持たないため、高調波成分が従来の PP 空胴とは異なる。この違いは、マルチハーモニック RF フィードバックの動作に影響を与える可能性がある。本発表では、J-PARC RCS での大強度ビームを用いたシングルエンド空胴の運転経験について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP033

J-PARC RCS荷電変換フォイルの温度計測にむけた開発
Development for temperature measurement of the stripper foil in J-PARC RCS

○吉本 政弘1, 山田 逸平1, 仲野谷 孝充1, サハ プラナブ1, 畠山 衆一郎1, 佐伯 理生二1, 倉持 勝也2, 大津 聡31日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター, 2サンナノテクノロジー, 3三菱電機システムサービス)
○Masahiro Yoshimoto1, Ippei Yamada1, Takamitsu Nakanoya1, Pranab Saha1, Shuichiro Hatakeyama1, Riuji Saeki1, Masaya Kuramochi2, Satoru Ohtsu31JAEA/J-PARC, 2San-nano Technorogy, 3Mitsubishi SC)
 
J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)では、大強度陽子ビームを実現させるために、荷電変換フォイルを用いた荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。この荷電変換フォイルには、ビーム入射期間中はリニアックからの入射ビームだけでなくRCSにおける周回ビームも照射されており、形状や膜厚の変化、亀裂やピンホールなどが発生し最終的には破損に至る。加速器の安定運転の観点から、荷電変換フォイルのビーム照射寿命は重要な課題の一つとなっている。
これまでRCSの設計出力である1MWでの連続運転において、荷電変換フォイルが利用運転を継続するために十分な寿命を有していることを実証してきた。一方で、J-PARCではさらなる大強度化に向けた検討を進めており、RCSでは最大2MWの出力の実現を目指している。その際、シミュレーションの結果から、ビーム照射による荷電変換フォイルの温度は真空中における炭素の昇華温度近くまで上昇することが予想されており、フォイルの寿命に大きく影響すると考えられる。そこで、現在のフォイル観測系システムを拡張してフォイル温度を計測することを検討している。その第一歩として、モニタ校正用の電子ビーム装置を改造し、近赤外線カメラを用いて電子ビーム照射によるフォイルの温度上昇を測定するためのモックアップを構築している。本発表では、2MWシミュレーションによる温度上昇の結果と、フォイルの温度計測に向けた開発の進捗について報告する。

 
12:40-14:40 
WEP034

J-PARC RCSにおける2倍高調波を用いたバンチ平坦化操作の最適化
Optimization of bunch lengthening using second harmonic in J-PARC RCS

○足立 恭介, 沖田 英史, 田村 文彦, 野村 昌弘, 島田 太平, 吉井 正人, 大森 千広, 清矢 紀世美, 原 圭吾, 長谷川 豪志, 杉山 泰之(J-PARC センター)
○Kyosuke Adachi, Hidefumi Okita, Fumihiko Tamura, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Kiyomi Seiya, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Yasuyuki Sugiyama(J-PARC center)
 
J-PARC 3GeV シンクロトロン (RCS) はメインリング (MR) に大強度陽子ビームを供給している。しかし、現在の運転条件下におけるRCSの取り出しビームのバンチ長は短く、これがMR入射後のビームロスの一つの要因となっている。この改善のため、RCSの加速終盤にステップ的に駆動する二倍高調波電圧を用いて発生させる不安定点を利用した非断熱的な操作と、基本波電圧によるバンチ回転操作を組み合わせたバンチ平坦化手法の検討を進めている。この手法は、スリップ係数の小さいRCSの加速終盤においても短時間でバンチ長を伸ばすことができる利点を持つ。さらに、二倍高調波の印加パターンを工夫することでバンチ形状の細かな調整が可能となるため、MRの受け入れバケツ形状とのマッチング向上が期待できる。本発表では、バンチ形状操作の最適化によるマッチング向上の検討結果と、ビーム試験の結果について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP035

J-PARC遅い取り出しのためのスピル制御四重極電磁石セラミックダクトのRFシールド強化
Enhancement of RF shielding for ceramic ducts in spill control quadrupole magnets for J-PARC slow extraction

○冨澤 正人, 武藤 亮太郎, 中村 剛, 外山 毅, 魚田 雅彦(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC)
○Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Takeshi Nakamura, Takeshi Toyama, Masahiko Uota(KEK/J-PARC)
 
J-PARCメインリングでは、30GeVに加速されたビームを、速い取り出し方法を使ってニュートリノ実験施設に供給する運転と、遅い取り出し方法を使ってハドロン実験施設に供給する運転がある。速い取り出し運転の加速サイクルは現在1.36秒で平均ビームパワーは830kWである。遅い取り出し運転の加速サイクルは4.24秒でビームパワーは92kWである。速い取り出し運転において、ビーム強度を上げる過程で、遅い取り出しのためのスピル制御四重極電磁石付近の真空ゲージ(B-Aゲージおよび冷陰極ゲージ)がビームの影響によりうまく読めない現象が発生していた。この原因はスピル制御四重極電磁石のセラミック真空ダクトの外側に全周に渡って取り付けられた47本の幅5mm厚さ0.3mm隙間5mmの銅ストライプのRFシールドが端部で一本にまとめられており、端部でのRFシールド性能が不十分であるために発生していると推測された。一本にまとめられた銅ストライプの構造はそのままに残し、クランプ状のRFシールドを新たに取り付けることにより、端部のRFシールド性能を強化することにした。このRFシールドクランプの構造、製作、取り付け後の速い取り出し運転での真空測定値の異常の解消について述べる。RFシールドクランプ取り付け前後のビームカップリングインピーダンスの計算結果も示す。
 
12:40-14:40 
WEP036

J-PARC RCS におけるビームロスの局所化に向けた研究
Study of the beam loss localization in the J-PARC RCS

○小島 邦洸, 原田 寛之, Saha Pranab Kumar(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター)
○Kunihiro Kojima, Hiroyuki Harada, Pranab Kumar Saha(JAEA/J-PARC)
 
J-PARC 3 GeV シンクロトロン(RCS)のような大強度の陽子シンクロトロンでは、ビームロスに伴う放射化の影響を最小化することがビーム大強度化において重要となる。この目的のためコリメータが設置されており、ビームロスの局所化による他機器の放射化の低減が図られている。コリメータは一つの散乱体と五つの吸収体で構成されており、ビームロスに繋がる大振幅な粒子は散乱体で蹴り出された後に吸収体で回収される。散乱体の開口部径を最も狭くすることで、コリメータ外部でのビームロスを防いでいる。一方で、コリメータ直下流のアーク部をはじめ、RCS の各所で有意なビームロスが確認されており、局所化は十分ではない。本研究では、ビームの更なる大強度化に向けた局所化の改善を目的とし、コリメータ外部におけるビームロスの発生原因について調査した。このようなビームロスは、コリメータをすり抜ける過程で中途半端にエネルギーを失った粒子のダクト内壁への衝突により発生すると考えられる。そこで RCS の全周に置されたビームロスモニタの信号を精査し、時間応答の比較からコリメータ外部で損失する粒子の経路を同定した。加えて、数値シミュレーションによるビームロス分布の再現を試みた。本発表では、これら実験と数値シミュレーションの結果について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP037

産研テラヘルツ自由電子レーザー高強度化のための検討
Considerations for increasing the intensity of the terahertz free-electron laser at SANKEN

○川瀬 啓悟1, 武藤 俊哉2, 細貝 知直2, 羽島 良一11QST関西研, 2阪大産研)
○Keigo Kawase1, Muto Toshiya2, Tomonao Hosokai2, Ryoichi Hajima11KPSI, QST, 2SANKEN, Osaka Univ.)
 
大阪大学産業科学研究所のテラヘルツ自由電子レーザー(FEL)は3 - 6 THzで世界最高強度の狭帯域テラヘルツパルスを発生させており、4.3 THzで260 uJに達する。この強度をさらに向上させるため、FEL共振器内にキャビティダンプ機構の導入を検討している。本発表ではこれまでの検討状況を報告するとともに、エンハンスメント共振器についての検討も議論する。
 
12:40-14:40 
WEP038

赤外自由電子レーザーとファイバーレーザーとの同期のための位相同期システムの評価
Evaluation of the phase-locking system for the synchronization between the midinfrared free electron laser and the fiber laser

○川瀬 啓悟1, 全 炳俊2, 大垣 英明2, 羽島 良一11QST関西研, 2京大エネ研)
○Keigo Kawase1, Heishun Zen2, Hideaki Ohgaki2, Ryoichi Hajima11KPSI, QST, 2IAE, Kyoto Univ.)
 
赤外自由電子レーザー(FEL)のキャリアエンベロープ位相(CEP)を安定化するために、ファイバーレーザーを基礎としたCEP安定化中赤外レーザーをシード光として入力することを計画している。そのためにはFELとシードレーザーとを同期させる必要があり、加速器の高周波信号に対してシードレーザーを駆動するファイバーレーザー発振器の光路長フィードバック制御し、高周波基準信号に同期させる方式をとる。これまでに繰り返し30 MHzのファイバーレーザー発振器を3 GHz領域の高周波信号に位相同期システム(PhaseLock, TEM Messtechnik GmbH)を用いて同期させる試験を実施した。本発表では、この試験詳細について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP039

EUV-FELにおける再生増幅化の検討
Study on Regenerative Amplification of EUV-FEL
○加藤 龍好, 谷川 貴紀, 本田 洋介(高エネルギー加速器研究機構)
○Ryukou Katou, Takanori Tanikawa, Yosuke Honda(High Energy Accelerator Research Organization)
 
我々はこれまでEUV光に対してより高い反射率が得られる斜入射ミラー材質の評価を行い、それとMo/Si多層膜ミラーを組み合わせて、EUV-FELに組み込むことのできる再生増幅システムの検討を行ってきた。昨年度はGENESISに組み込まれた光伝搬の機能を用いて、再生増幅システムの簡易的な評価を行ったが、今回は光の伝搬にOcelotコードを用いて、より現実的な再生増幅FELのシミュレーションを行ったのでその結果を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP040

自由電子レーザーで駆動する高繰り返しアト秒光源の研究: 2025
Research towards attosecond x-ray pulse generation using free-electron laser oscillators: 2025

○羽島 良一1, 川瀬 啓悟1, 全 炳俊2, 大垣 英明2, 早川 恭史3, 境 武志3, 金井 恒人4, Tenio Popmintchev51量子科学技術研究開発機構, 2京都大学, 3日本大学, 4分子科学研究所, 5カリフォルニア大学サンディエゴ校)
○Ryoichi Hajima1, Keigo Kawase1, Heishun Zen2, Hideaki Ohgaki2, Yasushi Hayakawa3, Takeshi Sakai3, Tsuneto Kanai4, Tenio Popmintchev51National Inst. for Quantum Science and Technology, 2Kyoto University, 3Nihon University, 4Institute for Molecular Science, 5University of California San Diego)
 
われわれは、文科省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)の支援のもと、2018年度から、自由電子レーザーで駆動する高繰り返しアト秒光源の研究を行っている。本研究は、共振器型の赤外自由電子レーザーを超放射領域で動作させ、発生した数サイクルの超短パルスをガス中に集光することで、高次高調波としてアト秒X線の生成を目指すものである。これまでに、京都大学、日本大学の自由電子レーザー施設にて、気体のトンネル電離に十分なFEL強度を実現し、固体および気体からの高調波の発生に成功した。また、FEL実験と並行して、数サイクルパルスの位相安定化に必要な中赤外レーザーの開発も行っている。本発表では、これまでの成果を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP041

KEK PFにおける次世代光源適用を目指す超伝導マルチポールウィグラー開発
Development of Superconducting Multi-Pole Wiggler for Application of Next-Generation Light Source in KEK PF

○満田 史織1, 2, 齊藤 寛峻1, 2, 鈴木 研人1, 3, 野上 隆史1, 2, 江口 柊1, 2, 篠原 智史1, 2, 土屋 公央1, 2, 荻津 透1, 3, 帯名 崇1, 2, 西 将汰4, 斉藤 一功5, 横山 彰一5, 伊藤 聡5, 吉川 正敏51高エネルギー加速器研究機構, 2加速器研究施設 第6研究系, 3共通基盤研究施設 超伝導低温工学センター, 4総合研究大学院大学, 5ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー(株))
○Chikaori Mitsuda1, 2, Saito Hirotoshi1, 2, Kento Suzuki1, 3, Takashi Nogami1, 2, Shu Eguchi1, 2, Satoshi Shinohara1, 2, Kimichika Tsuchiya1, 2, Toru Ogitsu1, 3, Takashi Obina1, 2, Shota Nishi4, Kazuyoshi Saito5, Shoichi Yokoyama5, Satoshi Ito5, Masatoshi Yoshikawa51KEK, 2ACCL Accelerator Division VI, 3ARL Cryogenic Science Center, 4SOKENDAI, 5Japan Superconductor Technology Ink.)
 
KEK-PFにおける次世代光源での適用を目指す超伝導マルチポールウィグラーの開発を開始した。広く普及する超伝導ウィグラーに比べ比較的短周期となる超伝導マルチポールウィグラーは蓄積ビームエネルギーを2.5~3.0 GeVと低く保ちながらも高輝度な高次高生成の利用を目指す広波長領域光利用の鍵となる光源装置として期待されている。また、短周期化によりビーム軌道振幅を低減することでエミッタンス増大の抑制に効果があり、低エミッタンスリングで広波長光利用を目指す次世代挿入光源として有望である。ビーム軌道領域を30mm程度確保した広いギャップの中心軌道で3T程度の高いピーク磁場を得るには、電流密度を高く出来る超伝導材の利用が不可欠である。その中でも短周期化にはNbTi線材よりも高い臨界磁場と電流密度の実現が可能なNb3Sn線材の適用が必須である。現在、マルチポールウィグラーの適用候補材となるNb3Snコイルの基礎性能データーを実際の実装に近い形態で取得するため、3つのポールで構成される基本コイルユニットの1台目の試作を終えた。今回、基本性能を補償する300Aの低電流領域での励磁試験に成功している。全体概念設計から試作コイルユニットの製作、励磁試験結果、1000A以上の大電流試験への試験装置の準備状況、年次計画について報告する。
 
ポスターセッション① (8月6日 6-1F)
12:40-14:40 
WEP042

等時性電子蓄積リングと誘導加速で駆動するCW-FELのシミュレーション
Numerical Simulation of CW-FEL driven in Isochronous Storage Ring with DC Induction Cell
○坂本 文人1, 高山 健2, 橋本 智31秋田工業高等専門学校, 2高エネルギー加速器研究機構, 3兵庫県立大学)
○Fumito Sakamoto1, Ken Takayama2, Satoshi Hashimoto31NIT, Akita College, 2KEK, 3LASTI, Univ. of Hyogo)
 
我々は世界で唯一,逆偏向電磁石を有し,等時性運転が可能だと想定される兵庫県立大学のニュースバル電子蓄積リングに実効的直流誘導加速装置を導入し,一般的な高周波加速による電子バンチ構造ではなく,直流電子ビームを周回および蓄積させるこれまでにない直流蓄積リングの計画を進めている。この等時性リングを周回する直流ビームで駆動する自由電子レーザ(FEL)は,直流ビーム内に形成されるマイクロバンチ構造が周回毎で崩れることなく常に維持されることから,シンクロトロン放射およびFEL出力分のエネルギー補償を電子ビームに施すことで,ビーム電流が小さな電子蓄積リングにおいても高効率・高出力な連続波光源(CW-FEL)となり得ることが期待される。最終的には平均出力が数kWの半導体リソグラフィ用極紫外(EUV,波長13.5 nm)光源を目標に,原理検証として等時性リングにおける3次元時間領域解析による直流ビームを模擬したマルチターンFELシミュレーションを行なっている。本発表では原理実証実験の条件に合わせた可視光(532 nm)におけるマルチターンシミュレーションの結果について報告し,今後の展望について議論する。
 
12:40-14:40 
WEP043

RCNP AVFサイクロトロンにおける入射領域の最適化
Optimization of the Injection System for the RCNP AVF Cyclotron

○板倉 菜美, 松田 洋平, 福田 光宏, 依田 哲彦, 神田 浩樹, 友野 大, 安田 裕介, 斎藤 高嶺, 田村 仁志, 荘 浚謙, 趙 航, Shali Ahsani Hafizhu, 松井 昇大朗, 井村 友紀, 石畑 翔, 辻阪 匡(阪大RCNP)
○Nami Itakura, Yohei Matsuda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Dai Tomono, Yusuke Yasuda, Takane Saito, Hitoshi Tamura, Tsun Him Chong, Hang Zhao, Ahsani Hafizhu Shali, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Sho Ishihata, Tasuku Tsujisaka(RCNP)
 
大阪大学核物理研究センターでは、高強度かつ高品質なビームの供給に向けて、AVFサイクロトロンのアップグレードが行われた。現在もアップグレードは継続して行われており、その一環として、サイクロトロンへの入射効率とビームのエネルギー分解能の向上を目的とした入射系の最適化が進められている。具体的には、垂直入射ラインからAVFサイクロトロンに入射する際の入射角、入射位相、中心バンプ磁場構造などの最適な条件について検討を行い、Dee先端電極、インフレクターなどの装置自体の改良を行う。改良に際し、磁場計算にはOPERA-3d、空間電荷効果を考慮したビームの軌道計算にはOPALを用いる。本発表ではそれらの詳細について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP044

あいちSRにおけるコヒーレント・シンクロトロン振動数の測定
Measurement of coherent synchrotron frequencies at the Aichi Synchrotron Radiation Center

○坂中 章悟1, 山口 孝明1, 山本 尚人1, 高嶋 圭史2, 3, 藤本 將輝2, 3, 岡島 康雄2, 31高エネルギー加速器研究機構, 2名古屋大学シンクロトロン光研究センター, 3あいちシンクロトロン光センター)
○Shogo Sakanaka1, Takaaki Yamaguchi1, Naoto Yamamoto1, Yoshifumi Takashima2, 3, Masaki Fujimoto2, 3, Yasuo Okajima2, 31KEK, 2NUSR, Nagoya University, 3AichiSR)
 
蓄積リングにおいて、ビームバンチが進行方向に一斉に振動するコヒーレント・シンクロトロン振動の振動数は、加速空洞のビーム負荷の状態に応じて時に複雑に変化する。KEK PF 2.5 GeV電子蓄積リングにおけるコヒーレント・シンクロトロン振動数の測定では、非常に興味深い現象が見つかっている[1]。空洞電圧が低くRobinson限界に近い条件では、測定されたコヒーレント振動数が標準的な4次の特性方程式で予測される値と合わず、また理論的に予想されていない振動モードが出現したのである。同様の現象がPFリング以外の蓄積リングでも起きるのかを調べるため、我々はあいちシンクロトロン光センターの1.2 GeV電子蓄積リングにおいて、コヒーレント振動数をビーム電流を変えながら(空洞電圧一定)、および空洞電圧を変えながら(ビーム電流一定)、測定した。その結果、ビーム電流が約200 mA以上の時には、異なる振動モードに対応すると考えられる2つのピークが観測された。そのうち、振動数が低い方のピークの振動数は、4次方程式から予測される値とうまく一致しない事がわかってきた。また、ビーム電流一定で空洞電圧を下げた場合、Robinson限界に近い条件においてビーム電流が保持されたままでビームが激しいコヒーレント振動を行う様子が観測された。本発表では、これらの興味深い測定結果について報告する。
[1] T. Yamaguchi et al., Phys. Rev. Acc. Beams 26 (2023) 044401.

 
12:40-14:40 
WEP045

NEGコーティング電気伝導度の真空パイプインピーダンスへの影響
Effects of NEG-coating electric conductivity on vacuum-pipe impedance

○中村 典雄(高エネルギー加速器研究機構)
○Norio Nakamura(KEK)
 
NEGコーティングされた真空パイプは放射光源を含む加速器の真空性能向上を目的として世界的に使用され、KEKの次期光源でもその利用が検討されている。NEGにはその組成及び内部形状から多くの種類があり、真空性能がそれぞれ異なるとともにその電気伝導度も大きく異なるために、NEGの選定には真空性能のみならず真空パイプのインピーダンスの観点からも検討が行われる必要がある。本発表では、広範囲に渡るNEGコーティング電気伝導度に対してNEGコーティング真空パイプのインピーダンスを計算し、ロスファクターやキックファクターへの影響を調べた結果を報告する。また、電子ビームのバンチ長やNEGコーティング厚の影響についても述べる。
 
12:40-14:40 
WEP046

RCNP超伝導ECRイオン源の高耐圧構造の開発
Development of a High-Voltage-Resistant Structure for the Superconducting ECR Ion Source at RCNP

○辻坂 匡, 松田 洋平, 福田 光宏, 依田 哲彦, 神田 浩樹, 友野 大, 荘 浚謙, 趙 航, Shali Ahsani Hafizhu, 松井 昇大朗, 井村 友紀, 石畑 翔, 板倉 菜美(大阪大学核物理研究センター)
○Tasuku Tsujisaka, Yohei Matsuda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Dai Tomono, Tsun Him Chong, Hang Zhao, Shali Ahsani Hafizhu, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Sho Ishihata, Nami Itakura(Osaka univ. RCNP)
 
大阪大学RCNPの加速器は、原子核物理やRIの製造、医療応用など、さまざまな分野に対して大きな貢献をしている。加速器の機能向上、特に大強度化はこれらの分野の研究の大きな進歩につながる。RCNPではAVFサイクロトロンの更新が2019年より実施されてきた。この更新の一環で、入射効率向上のため、イオン源の加速電圧を旧来の15 kVから50 kVに引き上げた。NEOMAFIOSなどの軽イオン源では引き出し電圧の50 kV化はすでに達成した。これを超伝導ECRイオン源(SCECR)においても達成することを目指す。本研究では、有限要素法を用いた電場シミュレーションを行い、それをもとにコロナ放電や沿面放電を防ぐことができるような絶縁体の形状や電極配置に関する設計を行い、制作し、実際に耐圧試験を実施した。本発表ではその成果と現状を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP047

ILC電子駆動型陽電子源の捕獲部における ビームシミュレーションによるYield改善の研究
Beam Simulation Studies for Yield Improvement in the Capture Section of the ILC Electron-Driven Positron Source

○福田 将史, 榎本 嘉範, 森川 祐, 佐藤 幹(高エネ研)
○Masafumi Fukuda, Yoshinori Enomoto, Yu Morikawa, Motoki Sato(KEK)
 
国際リニアコライダー(ILC)の電子駆動型の陽電子源において、陽電子は、3GeVの電子ビームをターゲットに照射した際の電磁シャワーにより生成し、ソレノイド磁場中の陽電子捕獲用ライナックで加速する。ILCでは高いビーム電流のマルチバンチビーム要求されるため、ビームローディングの影響が重要な問題の一つとなる。本研究では、陽電子捕獲部における陽電子のYield向上を目指し、CST stuidoの PIC solverによる詳細なビームシミュレーションを実施した。シミュレーションにより、例えば、Flux concentratorの横方向磁場成分によるビームキックが粒子損失を引き起こす、ビームローディングの影響により後方バンチのエネルギーが低下するだけでなくバンチ長も伸びる、などの結果が得られている。これらの結果から、加速位相、加速電界、FCの磁場強度などのパラメータ調整、および、電界の振幅変調によるローディング補正などによるYieldへの影響を調べ、Yield改善策を検討している。本発表では、これらのシミュレーション結果の詳細と、Yield改善に向けた具体的な検討状況について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP048

回転ドラム型液体金属ターゲットを用いたレーザーイオン源の検討
Study of a Laser Ion Source with a Liquid Metal Target Formed in a Rotating Drum

○高橋 一匡, 渡邊 駆大, 石川 創士, 近藤 勇仁, 佐々木 徹, 菊池 崇志(長岡技術科学大学)
○Kazumasa Takahashi, Kakeru Watanabe, Soshi Ishikawa, Yuto Kondo, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi(Nagaoka University of Technology)
 
レーザーイオン源では、パルスレーザーをターゲットに照射し、アブレーションによりプラズマを生成する。この方法では高密度プラズマを生成できるため、大電流イオンビームを形成可能である。しかし、レーザー照射ごとにターゲット表面にアブレーションによる損傷が残るため、ターゲットの位置をレーザー照射ごとに移動させる必要がある。その結果、レーザー照射数はターゲットの表面積によって制限され、定期的なターゲット交換が避けられない。
そこで連続的かつ再現性の高いプラズマ生成を実現するために、回転するドラムの内壁に液体金属の膜を形成し、この膜をレーザーターゲットとして用いるレーザーイオン源のシステムを提案する。この手法により、アブレーションした箇所が自己修復し、同じ箇所への連続的なレーザー照射と、大電流イオンビームの連続生成が可能となる。本発表では構築した回転ドラム型液体金属標的レーザーイオン源のシステムを紹介し、生成したプラズマの測定結果について議論する。

 
12:40-14:40 
WEP049

陽子加速器標的用タングステン合金の評価と製造工程の最適化
Evaluation of tungsten alloys for proton accelerator target and optimization of manufacturing processes

○石田 正紀, 武智 英明, 牧村 俊助, 栗下 裕明(高エネルギー加速器研究機構)
○Masaki Ishida, Hideaki Takechi, Shunsuke Makimura, Hiroaki Kurishita(High Energy Accelerator Research Organization)
 
J-PARC(東海村)では、黒鉛標的により生成したミュオンを用いた幅広い研究が展開されている。その中で、極めて稀な確率で起きる素粒子事象の探索には、高密度標的による高効率なミュオン生成が求められる。タングステン(W)は、高密度(19.25 g/cm3)・高融点(3422°C)の優れた材料であるが、再結晶脆化と照射脆化という弱点を有している。高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、これらの脆化を克服するためWの粒界を遷移金属炭化物の粒界偏析・析出によって強化するとともに、照射欠陥の逃げ場(粒界,ナノ析出物)を多く含む微細組織を有する新規標的材料の開発を産学連携で進めている。ここでは、X線分析法を活用した標的材料(W合金)の開発支援について発表する。このW合金はCERN AD targetへの提供が決定されている。CERNに送付する材料を事前にSEM/EDSによって観察したところ、欠陥が発見されたため再製造を提言した。この結果により、高品質の標的材料を提供することに貢献した。また、別のW試作合金について、蛍光X線分析による不純物濃度、X線回折による合金化過程の評価を実施し、この結果は材料製造工程の最適化につながった。
 
12:40-14:40 
WEP050

レーザープラズマ集束のためのテーパー型ソレノイド電磁石の設計・製作
Development of a tapered solenoid for laser plasma focusing

○柏木 啓次, 細谷 青児, 山田 圭介(QST高崎)
○Hirotsugu Kashiwagi, Seiji Hosoya, Keisuke Yamada(QST Takasaki)
 
レーザーイオン源は、真空チェンバー内の固体試料にパルスレーザーを集光照射して発生したプラズマからイオンを引き出してビームを生成する装置である。様々な固体試料をイオン源内に装填することで、多種なイオンビームを迅速に切り替えて生成できる。この特長を生かし、材料開発向けのイオン注入装置用レーザーイオン源を開発している。
レーザーイオン源で生成したプラズマは広い角度分布を持ち、3次元的に拡散する。このため、引出電極孔付近に到達するプラズマの中心軸部付近のイオンのみがビームとして引き出され、中心軸付近以外の多くのイオンはイオン源内で損失する。そこで、イオン源内のプラズマ生成領域近傍に磁場を印加し、プラズマを集束することでビーム強度を高めるため、イオン源内に設置するテーパー型ソレノイド電磁石の開発を行っている。発表では、テーパー型ソレノイドの設計及び製作について報告する。

 
12:40-14:40 
WEP051

理論的な化学量論に近づくようにカリウム含有量を増やすための、アンチモン化カリウムセシウム光電陰極の新しい成膜方法
A new deposition method for potassium cesium antimonide photocathodes about increasing the potassium content towards theoretical stoichiometry

○郭 磊1, 山本 将博4, 山口尚登 尚登3, Wang Gaoxue 3, 高嶋 圭史21広島大学, 2名古屋大学, 3ロスアラモス研究所, 4高エネルギー加速器研究機構)
○Rai Kaku1, Masahiro Yamamoto4, Hisato Yamaguchi3, Gaoxue Wang3, Yoshifumi Takashima21Hiroshima University, 2Nagoya University, 3Los Alamos National Laboratory, 4High Energy Accelerator Research Organization)
 
近年、加速器や電子顕微鏡の高度化に伴い、低エミッタンスかつ高量子効率(QE)を有する高性能フォトカソードの開発が求められている。中でも、CsK2Sbフォトカソードは、可視光での励起が可能であり、高QEと低熱エミッタンスを兼ね備えていることから、次世代光電子源として注目されている。しかしながら、CsK2Sbには依然として二つの課題が存在する。第一に、化学量論的な結晶組成を安定的に得るための普遍的な成膜レシピが確立されていないこと、第二に、活性表面が高感度であるため動作には超高真空が要求され、寿命が短く抽出可能な電荷量が制限されることである。これらの課題を克服するには、成膜されたフォトカソードの元素組成を詳細に解析し、動作時の残留ガス圧力および寿命との相関関係を明らかにすることが不可欠である。本研究では、放射光X線光電子分光法(Synchrotron Radiation X-ray Photoelectron Spectroscopy, SR-XPS)を用いて作製したCsK2Sbフォトカソードの深さ方向の元素組成プロファイルを取得し、それらと活性圧力との関係について検討した結果を報告する。
 
ポスターセッション① (8月6日 61A)
12:40-14:40 
WEP052

ニオブスズ超伝導電子加速器の開発へ向けたSバンドシングルセル超伝導空洞伝導冷却システムの構築
Construction of conducting cooling system for S-band single-cell superconducting cavities towards the development of a Nb3Sn superconducting electron accelerator

○安彦 颯人, 柏木 茂, 日出 富士雄, 濱 広幸, 南部 健一, 長澤 育郎, 高橋 健, 柴田 晃太朗, 胡 文卿, Kavar Anjali, 山田 悠樹, Kitisri Pitchayapak(東北大学先端量子)
○Hayato Abiko, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Hiroyuki Hama, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Kotaro Shibata, Wenqing Hu, Anjali Kavar, Hiroki Yamada, Pitchayapak Kitisri(RARiS, Tohoku University)
 
近年、放射性同位元素(RI)を使った核医学治療が注目されている。我々は、医療用RIの大生産の実現へ向けた、大電流ビーム加速が可能なニオブスズ超伝導電子加速器の開発研究を行っている。ニオブスズ超伝導空洞は、液体ヘリウムを使わずに伝導冷却で4Kまで冷やすことにより高い高周波性能が得られるため、大学などの小規模施設においても超伝導加速器の構築が可能である。現在は、GM冷凍機を用いた3GHzシングルセル超伝導空洞の冷却システムの構築を行っており、冷凍機から空洞へ冷却を伝えるサーマルリンクの設計を進めている。本学会ではGM冷凍機による空洞の冷却試験及び超伝導空洞の共振周波数測定、サーマルリンクの設計の進捗について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP053

超伝導薄膜研究用ニオブ製3GHzシングルセル空洞の基本特性測定
Basic characteristics measurement of Niobium 3 GHz single-cell cavity for superconducting thin film research

○不破 康裕1, 服部 綾佳2, 井藤 隼人3, 岩下 芳久4, 片山 領3, 久保 毅幸3, 佐伯 学行31日本原子力研究開発機構J-PARCセンター, 2茨城工業高等専門学校, 3高エネルギー加速器研究機構, 4大阪大学 核物理研究センター)
○Yasuhiro Fuwa1, Ayaka Hattori2, Hayato Ito3, Yoshihisa Iwashita4, Ryo Katayama3, Takayuki Kubo3, Takayuki Saeki31J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency, 2National Institute of Technology, Ibaraki College, 3High Energy Accelerator Research Organization, 4RCNP, Osaka University)
 
超伝導空洞への薄膜構造導入による性能向上が理論的に予測されており、実験による検証が必要となっている。本研究では薄膜構造導入の効果を検証するために、比較的小型で取り扱いが簡便なニオブ製3GHzシングルセル空洞を開発している。この3GHzシングルセル空洞に対して標準的なBCP処理及びEP処理を施した状態で縦測定を行い、薄膜構造導入前の基礎となるデータを取得した。本発表では、3GHz空洞の縦測定セットアップと測定結果、及び今度の研究計画を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP054

3GHzニオブ単セル空洞の縦型電解研磨
Vertical Electro-polishing of a 3GHz Niobium single-cell cavity

○仁井 啓介1, 上田 英貴1, 山口 隆宣1, 片山 領2, 佐伯 学行2, 不破 康裕31マルイ鍍金工業株式会社, 2KEK, 3JAEA)
○Keisuke Nii1, Hideki Ueda1, Takanori Yamaguchi1, Ryo Katayama2, Takayuki Saeki2, Yasuhiro Fuwa31Marui Galvanizing Co., Ltd., 2KEK, 3JAEA)
 
ニオブ製超伝導空洞の製造では、性能向上のための表面処理として電解研磨が採用されている。マルイ鍍金工業では、これまでKEK、CEA Saclay、コーネル大学と共同で1.3GHz単セル、1.3GHz9セル、704MHz単セルの各ニオブ製加速空洞の縦型電解研磨(VEP)用ニンジャカソードや電解研磨装置の開発、VEPの最適条件出しと実施、評価を行い、良好な加速性能を達成してきた。今回、新たにKEKと共同で3GHz単セル空洞についてVEPを実施した。3GHz単セル空洞は従来の1.3GHz単セル空洞に比べて全長、セル径が約半分程度の小型の空洞である。この空洞用のニンジャカソードとVEPセットアップを作製し、VEPを実施したので結果を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP055

ラージグレインニオブ板の強度評価と設計応力強さの導出
Strength evaluation of large grain niobium sheets and derivation of allowable stress
梅澤 裕明1, 3, ○山中 将2, 1, 西田 尚志31総研大, 2高エネ研, 3東京電解)
Hiroaki Umezawa1, 3, ○Masashi Yamanaka2, 1, Naoshi Nishida31SOKENDAI, 2KEK, 3Tokyo Denkai)
 
ニオブインゴットをスライスした板は大きな結晶粒を含み、ラージグレイン(LG)と呼ばれる。LGニオブを用いた超伝導空洞は最大加速勾配とQ値が高く、製造コストが低い特徴がある。ここでは、RRRが異なる2種類のLGニオブ板を使って、室温で多数個の引張試験を行った。引張強度はそれぞれ79.2 MPa、83.3 MPaであり、通常のファイングレイン(FG)ニオブの約半分である。また結晶方位によりばらつきが大きい。LG空洞を高圧ガス保安法へ適用するために、材料強度学的な考察により最小引張強さを推定し、設計応力強さを導出した。得られた結果はそれぞれ12 MPa、15 MPaであり、FGニオブの半分以下になる。ここで示した強度の推定方法はn=50程度の引張試験結果があれば適用できる。結晶方位の測定も不要で、簡便で汎用性がある。
 
12:40-14:40 
WEP056

HOM減衰型スポーク空洞の製作
Fabrication of HOM-damped spoke cavities

○沢村 勝(量研)
○Masaru Sawamura(QST)
 
大電流加速の超伝導加速器ではHOM減衰が重要であり、様々なタイプのHOM減衰器が取り付けられている。スポーク空洞を光源用加速器として用いると、同じ周波数ならば楕円空洞に比べて、空洞サイズを小さくすることができるが、HOM減衰器は従来型のままでは小さくできないため、加速器全体をコンパクトにすることができない。そこでスポーク内部にC形導波管を組み込むことにより加速器全体をコンパクトにできるHOM減衰型スポーク空洞モデルを提案し、その製作を進めている。
HOM減衰型スポークは3重の同軸構造と各同軸をつなぐ接続板で構成されている。製作工程を減らすため同軸と接続板をプレス加工により一体で製作する。トリム加工により寸法を整えた各部品は溶接により組み上げ、製作精度を確認する。HOM減衰型スポークは、スポーク空洞モデルに組み込んでHOM減衰特性の評価を行う。HOM減衰型スポークの製作状況について報告する。

 
12:40-14:40 
WEP057

J-PARC SDTL空洞で発生したマルチパクタに対する抑制方法の検討
Study on suppression method for multipactor occurred in the J-PARC SDTL cavity

○伊藤 崇(日本原子力研究開発機構)
○Takashi Ito(Japan Atomic Energy Agency)
 
J-PARC SDTL空洞の内壁表面で重度のマルチパクタが発生していた時、周波数調整用のチューナーの挿入量を変化させるとマルチパクタが一定程度抑制される現象が観測された。本発表では、本現象のシミュレーション及びその検討結果について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP058

SnメッキによるNb3Sn成膜技術の検討
Study on Nb3Sn Coating Technology Using Sn Electroplating
○井藤 隼人1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学)
○Ito Hayato1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
Nb3Snは、従来のNbに比べて高い転移温度と臨界磁場を有しており、次世代の超伝導加速空洞材料として高い期待が寄せられている。現在広く用いられている蒸気拡散法では、成膜に専用の大型成膜炉を要するため、製造設備にかかるコストが大きい。一方、本研究で検討しているSnメッキ法を用いた成膜では、より汎用的な真空炉を利用できる可能性があり、産業応用や量産を見据えた実装性の観点からも有利な手法となり得る。さらに、Snメッキ法では成膜前にSn膜をあらかじめ形成することで、蒸気拡散法においてSnCl2やSnの蒸気圧によって制限されていたNb3Snの核生成および結晶成長の過程を、より緻密に制御できる可能性がある。本研究では、Nb基板上にSnをメッキし、その後の熱処理によってNb3Sn膜を形成する手法について、サンプルベースでの基礎的な検討を行った。本発表では、Snメッキおよびその後の熱処理によって得られたNb3Sn膜の構造・組成・超伝導特性を紹介し、Snメッキ法を用いたNb3Sn成膜技術の有用性とその開発状況について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP059

KEKにおけるNb3Sn成膜炉の移設および空洞開発の進捗
Relocation of the Nb3Sn Coating Furnace and Progress in Cavity Development at KEK
○井藤 隼人1, 2, 山田 智宏1, 2, 梅森 健成1, 2, 阪井 寛志1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学)
○Ito Hayato1, 2, Tomohiro Yamada1, 2, Kensei Umemori1, 2, Hiroshi Sakai1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
Nb3SnはNbと比較して約2倍高い転移温度を持つことから、これまでNb空洞が2Kの温度で達成していた高Q値を4Kの温度で実現することができ、液体ヘリウムを用いない伝導冷却での加速器運転を可能とする。また、臨界磁場もNbに比べて約2倍高いため、将来的にはNb空洞の約2倍に達する加速勾配も理論的に可能とされており、次世代超伝導加速空洞の有力な候補材料として注目されている。 KEKでは2019年より、国際的にも標準的手法として用いられている蒸気拡散法に基づいたNb3Sn空洞製造開発を進めている。この手法では、専用の成膜炉を用いて、Nb空洞の内面にNb3Sn膜を形成することで、Nb空洞をNb3Sn空洞へと変換する。KEKはこれまでに、1.3 GHz TESLA型単セル空洞を用いた成膜試験を実施し、膜構造や成膜条件の最適化とともに空洞性能を着実に向上させている。 昨年度、大型成膜炉が設置されている建屋の環境整備に伴い、約1年をかけて本成膜炉の解体・移設・再立ち上げを行った。移設後は炉の安定動作とNb3Sn成膜の再現性を確認するための準備が進められており、今後の本格的な成膜試験再開に向けた体制を整えつつある。 本発表では、成膜炉移設作業の具体的な内容と現在進めているNb3Sn空洞開発の状況について詳細に報告する。
 
12:40-14:40 
WEP060

縦方向分割方式Cバンド小型加速管の開発
Development of C-band Compact Accelerating Structure made of Longitudinally-Split Two Halves

○木村 優志1, 菅野 東明1, 重岡 伸之1, 原 博史1, 比嘉 究作1, 阿部 哲郎21三菱重工機械システム株式会社, 2高エネルギー加速器研究機構)
○MASASHI KIMURA1, Tomei Sugano1, Nobuyuki Shigeoka1, Hiroshi Hara1, Kyusaku Higa1, Tetsuo Abe21Mitsubishi Heavy Industries Machinery System, Ltd., 2High Energy Accelerator Research Organization)
 
当社の6MeV医療用Cバンド加速管は、多数の無酸素銅部品をビーム軸方向に積層するディスク積層方式で組み立てている。サイドカップル型構造(SC型)および加速ギャップを空洞中心に有するリエントラント構造を採用しており、形状が複雑で部品点数が多く、製造効率に課題がある。一方で、縦方向分割方式はセル数に関係なくビーム軸を含む平面で分割した構造となるため部品点数の大幅削減が期待できる。そこで当社では、CLICプロジェクトでの縦方向分割方式Xバンド加速管構造を基に、小型かつ高加速勾配、高シャントインピーダンスを持つ縦方向分割方式SC型Cバンド加速管の開発を進めてきた。本発表では、製作からRF試験、周波数調整、実機使用環境でのビーム試験の進捗を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP061

KEK電子陽電子入射器でのScandiNova K-300 モジュレータのテスト
High Power Test of ScandiNova K-300 Modulator in KEKB Injector Linac

○松本 修二, 設樂 暁, 東 保男, 中島 啓光, 設楽 哲夫, 夏井 拓也, 竹中 たてる, 惠郷 博文(高エネルギー加速器研究機構)
○Shuji Matsumoto, Satoru Shitara, Yasuo Higashi, Hiromitsu Nakajima, Tetsuo Shidara, Takuya Natsui, Tateru Takenaka, Hiroyasu Ego(KEK)
 
KEK電子陽電子入射器内のクライストロンテストホールにてScandiNova社製 K-300モジュレータの高電力試験を行なった.入射器で使用しているE3730A(キヤノン電子管デバイス社製 50MW Sバンドクライストロン)を装荷することで、K-300を入射器に実装した場合を想定して、その性能評価のため.2024年春から秋にかけて行った試験の概要と結果を報告する.
 
12:40-14:40 
WEP062

スカンジノバ・システムズの加速器関連技術への貢献
ScandiNova Systems contributions to accelerator-related technologies
○湯城 磨1, Lindholm Mikael1, 21スカンジノバ・システムズ株式会社, 2ノディカ グループ - ScandiNova -)
○Osamu Yushiro1, Mikael Lindholm1, 21ScandiNova Systems KK, 2ScandiNova Systems part of Nodica Group AB)
 
ScandiNova Systems was restructured as the ""Nodica Group"" at the end of last year. This paper will discuss the contributions of ScandiNova Systems and the Nodica Group to accelerator-related equipment/technologies around the world, as well as new proposals.
 
12:40-14:40 
WEP063

ILC電力分配システム用可変電力分配器のプロトタイプの開発
Development of a prototype variable power divider for the ILC power distribution system

○Joshi Prakash1, MATSUMOTO Toshihiro1, 2, MICHIZONO Shinichiro1, 2, OMET Mathieu1, 21SOKENDAI, 2KEK)
○Prakash JOSHI1, Toshihiro MATSUMOTO1, 2, Shinichiro MICHIZONO1, 2, Mathieu OMET1, 21SOKENDAI, 2KEK)
 
The R&D of the radio frequency (RF) power distribution system (PDS) for the International Linear Collider is ongoing. To maximize the beam energy, PDS uses power dividers and phase shifters, which allow driving all cavities below their respective operational limits over the whole flattop. This is necessary to drive 39 superconducting RF (SRF) cavities by a 10 MW multibeam klystron. Following the design of the variable power divider (VPD) developed at SLAC, we intend to combine power dividing and phase-shifting capabilities in a single device. The prototype VPD comprises two folded magic tees (FMTs), four H corners, and two variable phase shifters (VPS). In prototype VPD coupling ratio between the two ports can be interchanged with the same output phase by moving VPS in the opposite direction. This is verified by simulation and low-power test. Preparations for its high-power testing are currently underway.
 
12:40-14:40 
WEP064

KEK 電子陽電子入射器における大電力高周波源の運転状況(2024年度)
Operation Status of RF System in KEK Electron-Positron Linac(FY2024)

○馬場 昌夫1, 東福 知之1, 今井 康雄1, 久積 啓一1, 明本 光生2, 荒川 大2, 宇賀神 貴洋2, 片桐 広明2, 川村 真人2, 設楽 哲夫2, 竹中 たてる2, 中島 啓光2, 夏井 拓也2, 松下 英樹2, 松本 修二2, 松本 利広2, 三浦 孝子2, 矢野 喜治2, 王 盛昌21三菱電機システムサービス株式会社, 2高エネルギー加速器研究機構)
○Masao Baba1, Tomoyuki Toufuku1, Yasuo Imai1, Keiichi Hisazumi1, Mitsuo Akemoto2, Dai Arakawa2, Takahiro Ugajin2, Hiroaki Katagiri2, Masato Kawamura2, Tetsuo Shidara2, Tateru Takenaka2, Hiromitsu Nakajima2, Takuya Natsui2, Hideki Matsushita2, Shuji Matsumoto2, Toshihiro Matsumoto2, Takako Miura2, Yoshiharu Yano2, Sheng Chang Wang21Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd., 2KEK)
 
KEK電子陽電子入射器は、高周波源として総数61台の大電力Sバンドクライストロンが使用されており、最大で7GeVの電子および4GeVの陽電子を加速する線形加速器である。2024年度中は約5,800時間の運転が行われた。
現在設置されている大電力Sバンドクライストロンアセンブリの平均運転時間は約87,000時間であり、2024年度はクライストロン冷却水配管からの水漏れと、クライストロン集束電磁石の内壁からの漏水により計2台の交換が行われた。
現在設置されているサイラトロンの平均運転時間は約42,000時間であり、2024年度には、リザーバー電流低下やキープアライブ電流低下などのトラブルにより8台が交換されたほか、予備品確保のための事前交換が8台行われ、計16台が交換された。
クライストロンから加速管へ至るマイクロ波搬送路の途中に設置されている導波管高周波窓の平均運転時間は約116,000時間である。2013年長期メンテナンス後から2024年度までの期間で、ユニットの新設・復元作業及び保守作業により大気曝露が行なわれているが、真空漏れ等のトラブルによる導波管高周波窓の交換は行われていない。
本稿では2024年度のクライストロン,サイラトロン,導波管高周波窓に関する統計及び高周波源に関する不具合事例と運転維持管理について報告する。

 
12:40-14:40 
WEP065

RF信号発生器を用いたパルスコンプレッサー出力波形の最適化
Optimizing the output waveform from a pulse compressor using an RF signal generator

○牛本 信二1, 惠郷 博文21三菱電機システムサービス株式会社, 2高エネルギー加速器研究機構)
○Shinji Ushimoto1, Hiroyasu Ego21Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd., 2KEK)
 
KEK 電子陽電子入射器(以下、入射器)では、下流の5つの蓄積リングへ異なるエネルギーの電子および陽電子ビームを供給しており、SuperKEKB(HER/LER)への入射ではより効率の良い入射を目指し、100ns間隔の2バンチビーム加速をおこなっている。
入射器では最大で7GeVのビーム加速を実現するため、クライストロンから出力したRFをパルスコンプレッサーで圧縮・増幅し、最大で4本の加速管へ供給する。
現在クライストロンへ入力する低電力のRFは4マイクロ秒の方形波で、振幅は一定。位相のみパルスコンプレッサーで出力を得るため、3マイクロ秒後に180°反転する仕様となっている。
パルスコンプレッサーは空洞内に貯めたRFを位相が反転したタイミングで放出することで、急峻な立ち上がりを持ったピークパワーを発生した後、出力が減衰する。このような出力特性に応じて、位相も変化する。
多バンチビーム加速においてはバンチの時間差によって異なる位相でビームが加速されるため、バンチ毎のエネルギー広がりに差異が生じ、Super KEKB入射において影響が指摘されている。
本報告では、多バンチビーム加速における位相の安定化を実現するため、テストスタンドにおいて従来の低電力RF生成システムから任意波形が出力できるRF信号発生器を使用して構築した低電力システムの紹介、および実際のパルスコンプレッサー出力を観測しクライストロンへ入力するRF波形を生成するプログラムの開発し実際の出力波形における振幅・位相の最適化試験結果について報告する。

 
12:40-14:40 
WEP066

J-PARCリニアック大電力高周波源の50Hz運転対応に関する検討
Study on the 50 Hz operation of the J-PARC linac high-power RF system

○不破 康裕1, 溝端 仁志2, 中野 秀仁1, 篠崎 信一1, 高柳 智弘1, 浅野 博之1, 岩間 悠平11日本原子力研究開発機構J-PARCセンター, 2高エネルギー加速器研究機構)
○Yasuhiro Fuwa1, Satoshi Mizobata2, Hideto Nakano1, Shinichi Shinozaki1, Tomohiro Takayanagi1, Hiroyuki Asano1, Yuhei Iwama11J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency, 2High Energy Accelerator Research Organization)
 
J-PARCリニアックは25Hzの繰り返しで後段のRCSに負水素イオンビームを供給している。J-PARC加速器施設の将来計画の1つとしてリニアックを50Hzの繰り返しで運転し半数のパルスを照射利用や核変換システムの基礎研究に供給することが検討されている。J-PARCリニアックの大電力高周波源は45式のクライストロンから構成されており、その動作繰り返しを50Hzに増強するためには電気的動作や熱的負荷の影響を十分に分析する必要がある。本発表では、J-PARCリニアック大強度高周波源の50Hz運転対応に向けた分析結果を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP067

SuperKEKB クライストロン電源のクローバー回路
Crowbar Circuit for SuperKEKB Klystron Power Supply (KPS)

○小野 礼人, 吉本 伸一(高エネ研)
○Ayato Ono, Shin-ichi Yoshimoto(KEK)
 
SuperKEKB加速器ではメインリングで16台、ダンピングリングで1台のクライストロン電源(KPS)を使用している。これらの電源はTRISTAN加速器時代から改良や更新を加えながら使用しており、いずれの電源にもクライストロンの保護の為クローバー回路を有している。高速で動作するがノイズ等に弱いところもあり、当初から誤動作に苦慮してきた。ここでは、これまで行ってきた誤動作対策及び現状のクローバー回路のパフォーマンスについて報告する。
 
12:40-14:40 
WEP068

KEKにおけるITN(ILC Technology Network)クライオモジュール試験用RF電力分配系
RF Power Distribution System for cryomodule testing of the ITN (ILC Technology Network) at KEK
○松本 利広1, 2, 明本 光生1, 荒川 大1, 片桐 広明1, 中島 啓光1, Omet Mathieu1, 2, 松本 修二1, 三浦 孝子1, 2, 道園 真一郎1, 2, JOSHI Prakash21高エネ研, 2総研大)
○Toshihiro Matsumoto1, 2, Mitsuo Akemoto1, Dai Arakawa1, Hiroaki Katagiri1, Hiromitsu Nakajima1, Mathieu Omet1, 2, Shuji Matsumoto1, Takako Miura1, 2, Shinichiro Michizono1, 2, Prakash JOSHI21KEK, 2SOKENDAI)
 
国際リニアコライダー(ILC)は、超伝導加速空洞を用いた線形加速器として世界協力による技術開発が積み重ねられている。2023年度よりILC国際推進チーム(IDT)のもとでILC Technology Network(ITN)として国際協力で研究開発に取り組みを行っており、具体的にはKEKの超伝導加速器利用促進化推進(COI)棟内にILCの要求を満たす超伝導空洞を組み込んだクライオモジュールの製作並びに試験施設を構築、評価試験を目指して準備を進めている。このCOI棟内クライオモジュール試験設備へのマイクロ波供給は、隣接する超伝導リニアック試験施設(STF)棟の高周波源から導波管伝送により行うべく計画を進めている。本報告では約200m長となるRF電力分配系やクライオモジュールと統合した電力分配系の開発状況について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP069

抵抗と磁場分布測定によるJ-PARC MR偏向電磁石コイルの層間短絡箇所を特定する試み
Attempt to locate a layer short in the J-PARC MR bending magnet coil via resistance and field measurements

○岩田 宗磨1, 石井 恒次1, 芝田 達伸1, 湯井 良介2, 吉井 正人1, 森田 裕一1, 三浦 一喜1, 發知 英明1, 大越 隆夫1, 松本 教之1, 松本 浩11高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター, 2株式会社NAT)
○Soma Iwata1, Koji Ishii1, Tatsunobu Shibata1, Ryousuke Yui2, Masahito Yoshii1, Yuichi Morita1, Kazuki Miura1, Hideaki Hotchi1, Takao Oogoe1, Noriyuki Matsumoto1, Hiroshi Matsumoto11KEK / J-PARC, 2NAT Corporation)
 
2024年5月、J-PARC主リングの偏向電磁石BM116で層間短絡が発生した。予備電磁石と交換し、約2週間後に加速器運転を再開した。BM116は、予備コイルに交換し、2025年1月に新たな予備電磁石として復旧した。層間短絡の原因調査は現在も継続中である。取り外したコイルは放射化しているため、破砕粉が生じる切削は最小限に抑える必要があり、短絡箇所は非破壊で特定しなければならない。コイル外観に異常はなく、通電による局所的な温度上昇もなかった。コイル周長は約14mで、5ターン×6層で構成されており、各層は独立した冷却水路をもつ。冷却水配管接続口を介して、任意の層に通電することができるが、通電層以外の層で電流が検知されたことから、4層と5層の間で短絡していることが分かった。その後、通電層の組み合わせを変え、通電区間全体の電圧・電流と各層の電流を測定し、4層または5層の配線接続点と短絡箇所までの抵抗を算出した。その結果、短絡箇所は冷却水配管のためにホローコンダクタが引き出されるコイル端部の折り返し付近であると推定された。この推定には短絡状況の仮定が含まれるが、コイル表面の磁場分布測定結果は、その仮定に基づくシミュレーションと一致していた。さらに、Heリーク試験を実施し、推定箇所付近からリークが検出され、推定を強く裏付けた。これは、ホローコンダクタに穴があり、そこから水が漏れていることを示唆している。2025年9月に推定箇所付近の絶縁被覆を除去し、直接確認する予定である。
 
12:40-14:40 
WEP070

SPring-8-II縦勾配型偏向永久磁石の製作
Fabrication of Permanent-Magnet-Based Longitudinal Gradient Bend for SPring-8-II

○谷内 努1, 青木 毅1, 安積 則義1, 川瀬 守弘1, 近藤 力1, 2, 高野 史郎1, 2, 田島 美典1, 藤田 貴弘1, 増田 剛正1, 松原 伸一1, 山口 博史1, 深見 健司1, 2, 渡部 貴宏1, 21高輝度光科学研究センター, 2理研RSC)
○Tsutomu Taniuchi1, Tsuyoshi Aoki1, Noriyoshi Azumi1, Morihiro Kawase1, Chikara Kondo1, 2, Shiro Takano1, 2, Minori Tajima1, Takahiro Fujita1, Takemasa Masuda1, Shinichi Matsubara1, Hiroshi Yamaguchi1, Kenji Fukami1, 2, Takahiro Watanabe1, 21JASRI, 2RIKEN RSC)
 
SPring-8-II蓄積リングは five-bend achromat ラティスにより極低エミッタンスを実現する。各セルに配置される5台の偏向磁石のうち4台は放射励起を抑制するための縦勾配型、残る1台は通常型の偏向永久磁石であり、リング全周に計218台が設置される。今回、量産に先立ち、設計仕様や機器間の取り合い、性能確認などを目的として、1セル分の機器のうち約半数を先行セルとして製作した。これには磁石、真空機器、ビームモニタ、支持構造(架台)などが含まれており、全体の統合性や性能を評価する重要なステップとなっている。本発表では、この先行セルに含まれ量産初号機となる2種類の縦勾配型偏向永久磁石(各1台)の設計・製作・磁場調整等について報告する。
 
ポスターセッション① (8月6日 61B)
12:40-14:40 
WEP071

高温超伝導体HTSの鞍型コイルによる2極磁石の誤差磁場の動的変動評価
Evaluation of magnetic field dynamics of an HTS dipole magnet made of saddle-shaped coils

○鈴木 研人(高エネルギー加速器研究機構)
○Kento Suzuki(High Energy Accelerator Research Organization)
 
高温超伝導体(HTS)として入手性の良いREBa2Cu3O7?δ?(REBCO, RE: rare earth elements)」のテープ線材によって鞍型コイル状に巻線されたHTS2極磁石の磁場評価を進めている。過去の励磁試験では通電中に磁束跳躍とみられる100ppmオーダーの急激な磁場変動が観測されており、これをさらに精査するため、ホール素子を用いた測定装置を開発し、HTS磁石が生み出す誤差磁場の動的変動の定量評価を進めている。本研究ではホール素子を用いた測定を行い、10k-100kHz程度のサンプリングで動的変動を捉える測定装置の開発を進めている。ここでは誤差磁場評価(多極展開)を行うとともに、磁束跳躍が起きた導体箇所の特定を同時にリアルタイムで行う事を計画している。
本発表では本測定装置の構成と測定原理を述べ、また励磁試験によるHTS磁石の磁場測定の結果を報告する。

 
12:40-14:40 
WEP072

ILC主線形加速器用NbTi伝導冷却超伝導四極磁石の開発
Development of a Conduction-Cooled NbTi Superconducting Quadrupole Magnet for the ILC Main Linac
○有本 靖1, 山田 智宏1, 山本 明1, 堀井 弘幸2, 小坂 大輔21KEK, 2三菱電機)
○Yasushi Arimoto1, Tomohiro Yamada1, Akira Yamamoto1, Hiroyuki Horii2, Daisuke Kosaka21KEK, 2Mitsubishi Electoric Co.)
 
ILCの主線形加速器では、超伝導高周波(SRF)加速空洞によってビームを加速する。このSRF空洞は、極低温環境を維持するクライオモジュールと呼ばれる容器に収納されており、内部にはSRF空洞とともに、ビームの集束や偏向を担うビーム光学要素である機能結合型超伝導四極磁石(SCQ)も格納される。KEKでは2023年度より、1台のクライオモジュールを開発する計画が進行中であり、SCQも開発のうえ、その中に組み込む予定である。SCQは、伝導冷却、スーパーフェリック構造、機能結合型設計など、さまざまな制約を踏まえた特徴的な構造を有している。昨年度は磁石部品および試験用クライオスタットの製作を行い、本年度には磁石を完成し、試験用クライオスタットを用いた冷却および励磁試験を実施する予定である。本稿では、SCQ開発の現状について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP073

MW級ビームパワーに向けたJ-PARC主リング主電磁石電源の増強
Upgrading magnet power supplies of J-PARC main ring toward MW-class beam power

○森田 裕一1, 2, 吉井 正人1, 2, 三浦 一喜1, Tan Yulian1, 小野 礼人1, 吉成 柾3, 佐川 隆41高エ研, 2総研大, 3NAT, 4ユニバーサルエンジニアリング)
○Yuichi Morita1, 2, Masahito Yoshii1, 2, Kazuki Miura1, Yulian Tan1, Ayato Ono1, Masaki Yoshinari3, Ryu Sagawa41KEK, 2SOKENDAI, 3NAT, 4Universal Engineering)
 
J-PARC主リングでは、2021年度に主電磁石システムの大規模な更新を行い、T2K実験へのビーム取り出しの繰り返し周期を2.48 sから1.36 sへと短縮することによって、主リングの当初の設計値750 kWを超えるビームパワーを実現した。次の計画では、繰り返し周期をさらに短縮して、1 MWを超えるビームパワーを目指す。高繰返し化においては、主電磁石電源の出力電圧とピーク受電電力の増大への対処が課題である。例えば偏向電磁石電源では、コンデンサバンクのコンデンサ増設及び制御指令値の調整によりこれらを解決する。本報告では、MW級ビームパワーのためのJ-PARC主リング主電磁石電源の改造および調整について述べる。
 
12:40-14:40 
WEP074

13kV SiC-MOSFETを用いた高電圧パルス電源の評価
Evaluation of high voltage pulsed power supply using 13kV SiC-MOSFET

○伊藤 俊輝1, 中田 恭輔1, 徳地 明1, 東使 潔2, 小林 進二21株式会社パルスパワー技術研究所, 2京都大学)
○Toshiki Ito1, Kyosuke Nakata1, Akira Tokuchi1, Kiyoshi Tohshi2, Shinji Kobayashi21Pulsed Power Japan Laboratory LTD., 2Kyoto University)
 
加速器研究や核融合研究用のパルス電源は、高電圧、大電流を必要とし、そのスイッチとしてサイラトロン、イグナイトロン等の電子管が用いられてきた。しかし、それらの電子管は部品ごとの性能のばらつき、寿命が短い、メンテナンスが必要等の課題がある。更には、研究分野でのニーズに反して、電子管市場の縮小により入手難易度の高まり、価格高騰、製造中止のリスクも抱えている。一方、近年ではそれらの問題解決の為、メンテナンス不要で半永久的な寿命を持つ半導体デバイスへ置換する動きが盛んである。本稿では、13kVという高い定格電圧を持つSiC-MOSFETを用いた高電圧パルス電源の出力試験結果について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP075

回生deQ付共振充電を使用した高速充電器の高精度化に関する開発
Development for Higher accuracy of High-speed charger using Resonant charging with DeQing for Recirculation

○中山 響介, 森 均, 徳地 明((株)パルスパワー技術研究所)
○Kyosuke Nakayama, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi(Pulsed Power Japan Lab. Ltd.)
 
近年、パワー半導体の発展に従って充電器の性能が飛躍的に向上している。我々はショット毎に電荷を使い切るタイプの容量負荷に対し、1ショットの正弦半波電流で充電を完了する共振充電型の高速充電器を開発した。この充電器はdeQ回路を回生に使用する機能も有し電力効率に優れる。しかし、様々な要因により充電電圧の精度が悪化する問題があり、長らく高精度化の改修が期待されていた。ここでは目標精度±0.01%を目指して行った新技術の開発および結果について考察する。現行仕様は20 kW, 2 kV, 5 kHz, 精度±0.03%である。
 
12:40-14:40 
WEP076

永久磁石による高効率中性子輸送
High Efficiency Neutron Transport with Permanent Magnets

○岩下 芳久1, 清水 裕彦2, 北口 雅暁2, 広田 克也3, 栗山 靖敏4, 不破 康裕4, 山田 雅子31大阪大学, 2名古屋大学, 3高エネルギー加速器研究機構, 4日本原子力研究開発機構/J-PARCセンター)
○Yoshihisa Iwashita1, Hirohiko Shimizu2, Masaaki Kitaguchi2, Katsuya Hirota3, Yasutoshi Kuriyama4, Yasuhiro Fuwa4, Masako Yamada31Osaka U., 2Nagoya U., 3KEK, 4JAEA/J-PARC center)
 
中性子の輸送には、物質表面での反射を利用した中性子ガイドチューブが用いられる。中性子ガイド管に中性子多層膜ミラーを用いることで、広い発散角を持つ中性子ビームを下流に輸送することができる。しかし、SANSなどの多くの実験では、q分解能の良い測定を達成するために、入射ビームの発散角を十分に小さくする必要がある。従って,中性子のほとんどはコリメータによって廃棄される。実際、多くのSANS測定ではスーパーミラーのm=1に相当する発散角を持つビームしか使用されていない。さらに、最新の中性子施設では、1つの実験装置が1つのガイド管の端に直接設置されている。このような場合、大きな発散角を許容するガイドチューブは必要ない。試料の大きさに合わせて細いガイド管を複数配置することで、施設全体の効率が良くなる。細いガイド管では反射回数が増えるため、反射率をできるだけ高く保つことが重要である。多層膜ミラーの場合、材料表面の状態(表面粗さなど)によって反射率が低下する。また、組立工程における隙間や段差も有効反射率を低下させる。非常に精度の高い設置にはコストがかかり、地震などの衝撃に弱い。
我々は、勾配磁場中での中性子の偏向を利用した新しいタイプの中性子ミラーを開発している。このミラーは1 x 1 x 50 mmの永久磁石棒を使用し、容易化軸は50 mmの軸に垂直である。50本の磁石棒を、50 x 50 mmの板を形成するように並べている。これで中性子ガイドを形成するように中性子経路を囲む。磁石素板の製作に関する研究開発と、磁場測定結果について述べる。

 
12:40-14:40 
WEP077

電磁石水冷導体の発熱の状態推定
State Estimation on Heating of Water-cooled Conductor of Magnet

○尾崎 俊幸(カルピオ AI)
○Toshiyuki Ozaki(Carpio AI)
 
電磁石のコイル、通電路のブスバーは、多くは水冷導体である。その水路の水量の調整のために、オリフィスを入れている。PF-ARのブスバーのオリフィスは、円板に直径1mmの穴を開けて水量を調整している。長い年月のうちに、水流で削られて広がる事や詰まる事が予想される。放射線環境下であり、高度な電子機器での監視はできない。本研究では、水冷パイプに温度計としてサーミスタを張り付けた。長いケーブルで地上の計測器まで配線した。その途中で、電源ノイズが乗るが、カルマンフィルタによるデジタル信号処理をして、1桁落ちにできた。今後の保守に使えそうであるので報告する。
 
12:40-14:40 
WEP078

ビーム位置モニタを利用したレーザー駆動イオン加速ビーム診断
Beam Diagnostics for Laser-Driven Ion Acceleration Using a Beam Position Monitor

○青木 宣篤1, 2, 諏訪田 剛3, 榊 泰直1, 2, 小島 完興2, 大石 沙也加2, 4, Din Thanh-Hung2, 山本 洋一2, 伊東 富由美2, 松本 悠椰1, 2, 錦野 将元2, 白井 敏之2, 近藤 公伯21九州大学, 2量子科学技術研究開発機構, 3高エネルギー加速器研究機構, 4奈良女子大学)
○Nobuatsu Aoki1, 2, Tsuyoshi Suwada3, Hironao Sakaki1, 2, Sadaoki Kojima2, Sayaka Oishi2, 4, Hung Thanh Din2, Yoichi Yamamoto2, Huyumi Itou2, Haruya Matsumoto1, 2, Masaharu Nishikino2, Toshiyuki Shirai2, Kiminori Kondo21Kyushu university, 2QST, 3KEK, 4Nara Women’s University)
 
高強度レーザーと、数μm厚さの薄膜標的とのプラズマ相互作用による高エネルギーイオン加速現象は、従来の加速器と比較して小型化が可能であり、高エネルギーの重粒子線を得るための加速器を小型化することが期待できる。このことは、特に小型重粒子線がん治療用加速器の実現に不可欠な技術であり、量研(QST)では、その実現を目指した開発を進めている。患者の安全性の観点から治療用ビームは、加速器入射するビーム仕様を高精度に制御・管理することが求められる。そのため、実時間診断可能な非破壊型ビームモニタの開発が不可欠になる。 本発表では、レーザー駆動イオン加速ビームの高精度な実時間診断を目指した、ストリップライン型ビーム位置モニター(SBPM)を開発の進捗について述べる。
 
12:40-14:40 
WEP079

FNAL 8 GeV 陽子ビームのための広ダイナミックレンジをもつビームハローモニターの開発状況
Status of development of a wide dynamic range beam halo monitor for the FNAL 8 GeV proton beam

○佐々木 知依1, 橋本 義徳1, 大森 千広1, 三橋 利行1, 佐藤 洋一1, 手島 昌己1, 外山 毅1, 魚田 雅彦1, Ainsworth Robert2, Babacan Betiay2, Schreckenberger Adam2, Murphy Martin21高エネルギー加速器研究機構, 2フェルミ国立加速器研究所)
○Tomoi Sasaki1, Yoshinori Hashimoto1, Chihiro Ohmori1, Toshiyuki Mitsuhashi1, Yoichi Sato1, Masaki Tejima1, Takeshi Toyama1, Masahiko Uota1, Robert Ainsworth2, Betiay Babacan2, Adam Schreckenberger2, Martin Murphy21KEK, 2FNAL)
 
米国フェルミ国立加速器研究所(FNAL)では、ビーム強度の増強と高品質化を目的に陽子ビーム入射器をアップグレードしている。これに合わせて高精度なビームハローの診断を計画しており、そのためのモニターの開発を日米科学技術協力の一環としてJ-PARCに依頼した。これを受けて、J-PARCのRCSからメインリングへのビーム輸送路において実績のある、OTR(Optical Transition Radiation)と蛍光による6桁程度のダイナミックレンジの2次元ビームプロファイルモニターの技術をFNALへ導入することにした。FNAL HALO MONITORのデザインは、J-PARCの基本コンセプトと同様である。ただし、陽子ビームのエネルギー、バンチあたり陽子数、サイズ(σ)が異なる。それぞれJ-PARC/FNALの比較で、3/8 GeV、1013/1011台、10/3 mm 程度であり、FNALは、特に低強度とサイズが小さいことが特徴である。これらの条件で、J-PARCと同じくバンチごとのビームプロファイルを6桁程度で測定することを目標に装置設計を行った。装置は日本で製作中である。装置の真空容器内に格納される、ビームイメージを検出する大口径光学系は完成している。現在は、J-PARC内のテストベンチにて大口径光学系の調整と特性の評価を進めている。本発表では、モニターの設計とその開発状況ついて報告する。
 
12:40-14:40 
WEP080

理研RIBFにおけるビームロスモニターを用いた保護システムの試験
Test of a Protection System Using Beam Loss Monitor in RIKEN RIBF

○足立 泰平(理研仁科センター)
○Taihei Adachi(RIKEN Nishina Center)
 
理研RIBFでは重イオンビームのさらなる大強度化を目指しているが、それに伴い、ビームロスによる機器損傷を回避することが、より重要となっている。その中でも特に、サイクロトロンからのビーム取り出し部にあるElectrostatic Deflection Channel (EDC)のセプタム電極は、とりわけ損傷しやすく、その保護が重要である。これまで、EDCの保護は電極の上下に取り付けた熱電対で温度を監視することで行なってきたが、応答が遅いという課題があり、放射線検出器を用いた保護システムの開発が進められてきた。今回、比例計数管式のビームロスモニターをEDC近傍に設置し動作試験を行なったので、その結果を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP081

t-ACTSにおける狭帯域チェレンコフ回折放射光の測定
Measurement of narrowband Cherenkov diffraction radiation in the THz region at t-ACTS

○南部 健一, 柏木 茂, 日出 富士雄, 濱 広幸(東北大学先端量子ビーム科学研究センター)
○Kenichi Nanbu, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Hiroyuki Hama(RARiS, Tohoku University)
 
東北大学先端量子ビーム科学研究センターの試験加速器t-ACTS(test Accelerator as Coherent THz Source)は、バンチ長が100fs以下の極短電子ビームによる、テラヘルツ(THz)領域のコヒーレント放射を利用した、高輝度THz光源や、ビーム診断技術の開発研究を行ってきた。このような背景のもと、荷電粒子が周期的構造を持った金属表面近傍を通過する際に発生するスミス=パーセル放射の干渉効果に着目し、周期的構造を有するラジエータを用いることで、干渉効果によりチェレンコフ回折放射光を、同様に狭帯域化することができるのではないかと考えた。チェレンコフ回折放射光の狭帯域化が可能になれば、ラジエータの周期長制御による波長可変性を有する狭帯域THz光源や、非侵襲ビーム診断ツールとしての展開が期待できる。基礎的な放射特性などを把握するために、周期的構造を有するラジエータからのテラヘルツ領域におけるチェレンコフ回折放射光の角度分布や分光測定を行ったので報告する。
 
12:40-14:40 
WEP082

電子サイクロトロン共鳴イオン源における低Zイオンの選択的加熱による多価イオン生成高効率時のプラズマパラメータ測定
Plasma parameter measurement during efficiently producing multicharged ions by selectively heating low-Z ions on Electron Cyclotron Resonance Ion Source in mixing low-Z gases

○Tokuno Shinji1, 藤村 優志1, 井手 章敦1, 浅地 豊久2, 北川 敦志3, 村松 正幸3, 加藤 裕史11大阪大学, 2滋賀県立大学, 3量子科学技術研究開発機構)
○Shinji Tokuno1, Yushi Fujimura1, Akinobu Ide1, Toyohisa Asaji2, Atsushi Kitagawa3, Masayuki Muramatsu3, Yushi Kato11The University of Osaka, 2The University of Shiga Prefecture, 3QST)
 
電子サイクロトロン共鳴イオン源(ECRIS)は様々な領域に応用されており,例として加速器,イオン注入などがあげられる.私たちは2.45GHzECRISで多価イオンビームの効率的生成に関する研究を行なっている.低Zガスミキシングは経験的に多価イオン生成を効率化する方法として知られている.ガスミキシングによってもたらされる効果の一つとして考えられるのがイオンクーリング効果である.私たちはそのイオンクーリング効果に着目し,低Zガスをイオンサイクロトロン共鳴(ICR)でイオンを選択的に加熱することにより,イオンクーリング効果を増幅させることを試みている.今回の実験ではXeを動作ガスとするプラズマに低ZガスとしてHeやArガスをミキシングし,そこにHe+もしくはAr+加熱用の低周波数RF電磁波(400kHz or 40kHz)をICRアンテナによって導入すると,多価イオンの収量が増加することが引き出されたイオンビームの質量価数分布(CSD)測定によって確認できた.He+を加熱した場合のほうがより顕著に収量が増加した.本研究ではミキシングプラズマに低周波数RF電磁波を導入し,ラングミュアプローブ法で測定を行なうことにより,イオン源内にてどのようなプラズマパラメータの変化が起きているか計測した.Xe/He, Xe/Arどちらも電子温度と電子密度の上昇が見られ,Xe/Heの場合,より顕著に表れ,イオンビーム電流の増大結果と良い対応関係にある.本報告ではこれらの実験の詳細を述べるとともにイオンセンシティブプローブを用いたイオン源内でのイオン温度測定をおこなう予定である.
 
12:40-14:40 
WEP083

機械学習の適用によるビーム不安定性の判定と対策
Application of machine learning to judge and counter beam instability

○小林 愛音, 外山 毅(高エネルギー加速器研究機構)
○Aine Kobayashi, Takeshi Toyama(KEK)
 
加速器研究の分野において、機械学習の応用は広まっているが、大強度陽子加速器のような施設では、学習のために大量の統計を取ることや失敗によってビームロスを増やすことは機器の放射化や故障に直結してしまうため、適用は慎重にならざるを得ない。本研究では、加速器やビームラインの最適化において課題となるビームロスの最小化を目的とし、ログファイルの数値情報と対応するスクリーンショット画像の視覚情報を活用した機械学習モデルを構築を目指している。まずは機械学習を利用し運転中にビーム不安定性の判定や装置の異常等の兆候の発見に役立つツールを作る。その次のステップとして、横方向ビーム不安定性の制御に用いるフィードバックシステムの調整の最適値を導く手法を確立する。このステップでは少ない統計数で導出できるようにするという必要がある。現状J-PARC MRでのこの調整はビーム条件が変わる毎に行われ、パラメーターを振った結果を担当者が判断して良いと思われる値に設定しており、ビーム条件が変わる毎に設定し直す必要がある。担当者の腕によることや時間がかかってしまうという問題点がある。迅速に最適値を導出することは、ビーム強度とビーム供給時間の向上に貢献できる。本研究の進捗状況を発表する。
 
12:40-14:40 
WEP084

サイクロトロンで加速された5MeV透過型ミュオン顕微鏡のビームライン設計
Beam line design of 5 MeV cyclotron-accelerated transmission muon microscope

○大西 純一1, 永谷 幸則2, 新井 善博3, 足立 泰平1, 後藤 彰2, 山崎 高幸2, 三宅 康博21理研仁科センター, 2高エネ研, 3テラベース(株))
○Jun-ichi Ohnishi1, Yukinori Nagatani2, Yoshihiro Arai3, Taihei Adachi1, Akira Goto2, Takayuki Yamazaki2, Yasuhiro Miyake21RIKEN, 2KEK, 3Terabase Inc.)
 
J-PARC MLFの超低速ミュオンビームライン(30 keV)に設置している小型サイクロトロンによりミュオンを5 MeVまで再加速し、得られた低エミッタンスビームを用いて透過型ミュオン顕微鏡を製作する。ミュオンサイクロトロンについてはこれまでの加速器学会で報告しているが、ミディアンプレーンが鉛直面(縦置き)で取り出し半径が260 mm、住友重機械工業のHM10サイクロトロンをもとに新しく設計されたものである。サイクロトロンはビーム入射可能な状況であるが、諸般の事情によりコミッショニングが2年近く遅れている。昨年度から新規に科研費が得られたため顕微鏡本体ビームラインと超低速ミュオンの低エミッタンス化のための設計、製作を開始している。サイクロトロンと顕微鏡ビームラインはU1Bライン実験エリアに設置するがスペースが極めて狭い。加速ビームは斜め45度上方取り出され、床面から約3.3 m上方に設置する135度BMによって鉛直下向きにミュオン顕微鏡を配置する。ビームエミッタンスは現状5 MeVにおいて約10pi mmmrad(計算値)であるが、超低速ミュオン生成部の改良によって約1/10の低エミッタンス化を実現する計画である。ビームラインにはBMおよび5台のQMを設置し、顕微鏡拡大系は2つの超伝導ソレノイドを用いる。本発表ではビームラインの設計および拡大レンズ系の収差低減、分解能などについて述べる予定である。
 
12:40-14:40 
WEP085

SAGA-LS蓄積リングにおける機械学習を用いたビーム診断
Beam diagnosis at the SAGA-LS storage ring using machine learning

○竹田 晴信, 高林 雄一, 岩崎 能尊(九州シンクロトロン光研究センター)
○Harunobu Takeda, Yuichi Takabayashi, Yoshitaka Iwasaki(SAGA Light Source)
 
SAGA-LSでは通常1回あるいは2回、300 mA・255 MeVの入射と1.4 GeVへのランプアップを行い、10:00-21:00の間は減衰モードでのユーザー利用運転を行っている。しかし近年はRF空洞反射に起因する突発的な蓄積ビーム全ロスやビーム寿命急落による蓄積電流値急減が13:00以降の運転で顕著に発生し運転上の課題となっている。そこでビーム不安定性の原因調査と予兆検知を目的とし、蓄積リングのBPM信号、各所の真空度などの大規模時系列データを対象に、機械学習ベースのビーム診断システムを構築した。 2021 年 9 月-2024 年 12 月のユーザー運転期間中に累積したデータベースのうち、ビームロス発生などが比較的少ない入射直後の11:00-13:00に収集した約 2.68×105件の時系列データについて、全結合ニューラルネットワーク構造の変分オートエンコーダで学習した。診断対象として2025年2月-2025年3月のユーザー運転日27日間(同時刻帯)のデータを用い、これを学習モデルに通して得られる再構成誤差をビーム異常判定に用いるスコアとした。ビーム全ロス発生/ビーム寿命急減発生日のデータをビーム異常(ラベル1)、それ以外を正常(ラベル0)としてROC解析した結果、AUC=0.887を得てモデルの高い識別性能を確認した。加えて特定箇所の真空度の変動とビーム異常との強い関連性も示した。 現在は高時間分解能での診断や、電磁石および冷却水の追加パラメータを含む学習モデルの拡張を検討している。本発表ではこのシステムを用いたビーム診断結果と今後の展望について報告する。
 
12:40-14:40 
WEP086

cERL大電流化に向けたロスモニターの開発
Development of loss monitor for cERL with large current

○路川 徹也1, 倉田 正和2, 本田 洋介21アルテンジャパン株式会社, 2高エネルギー加速器研究機構)
○Tetsuya Michikawa1, Masakazu Kurata2, Yosuke Honda21Alten japan Co.,LTD., 2KEK)
 
大電流の電子ビームの加速および蓄積において、ビームロスの低減は発生する放射線、機器の放射化を抑制する上で非常に重要である。加速器全体のビームロスを把握するためには多数の放射線モニタが必要となるが、市販機器は非常に高価であるため導入を困難にしている。そこで、放射線測定のみに特化し測定を簡素化することで安価で通信機能や応答速度にも考慮したロスモニターの開発を進めている。現時点での開発の進捗と問題点及び今後の予定を報告する。
 
12:40-14:40 
WEP087

ナノテラスにおける縦方向ビーム不安定性抑制の状況
Status of longitudinal instability suppression at NanoTerasu

○上島 考太1, 齋田 涼太1, 2, 高橋 隼也1, 2, 土山 翼1, 2, 森谷 佳津貴1, 2, 吉岡 里紗1, 2, 安居院 あかね1, 安積 隆夫1, 保坂 勇志1, 稲葉 健斗1, 菅 晃一1, 西森 信行1, 小原 脩平1, 佐治 超爾11量子科学技術研究開発機構 ナノテラスセンター, 2NAT)
○Kota Ueshima1, Ryota Saida1, 2, Shunya Takahashi1, 2, Tsubasa Tsuchiyama1, 2, Kazuki Moriya1, 2, Risa Yoshioka1, 2, Akane Agui1, Takao Asaka1, Yuji Hosaka1, Kento Inaba1, Koichi Kan1, Nobuyuki Nishimori1, Shuhei Obara1, Choji Saji11QST, 2NAT)
 
高輝度放射光施設NanoTerasuは、当初の計画通り2024年4月から利用運転を開始し、200mAの蓄積ビーム電流で安定した放射光供給を行なっている。NanoTerasu蓄積リングでは、加速器設計段階からビーム不安定性への対応が施されている。段差を極力低減した真空ダクト形状とすることは勿論、高周波空胴ではHOM吸収体を装備した新型空胴を採用している。また、横方向ビーム不安定性について能動的に作用する4電極型RFキッカーも予め導入された。これらの適用により、横方向ビーム不安定性は効果的に抑えられていることがビームコミッショニング期間に確認された。しかしながら、蓄積ビーム電流が220mA以上になると縦方向ビーム不安定性が確認され、現在これが蓄積ビーム電流値に制限を与えている。こうした問題克服のため、縦方向ビーム不安定性に対応するピルボックス型RFキッカー空胴・駆動システムを開発し、現在、蓄積リングに導入した。本発表では、ピルボックス型RFキッカー空胴の特性、ならびにビーム試験結果を示す。また、横方向RFキッカーを縦方向ビーム不安定性に対して適用した効果も併せて報告する。
 
ポスターセッション② (8月7日 7-1F-A)
13:00-15:00 
THP001

KEKにおける超伝導加速空洞を用いたクライオモジュールの設計検討
Design study of a cryomodule with superconducting cavities at KEK
○原 隆文, 梅森 健成, 山本 康史, 道前 武, 山田 智宏(高エネルギー加速器研究機構)
○Takafumi Hara, Kensei Umemori, Yasuchika Yamamoto, Takeshi Dohmae, Tomohiro Yamada(KEK)
 
KEKでは将来の加速器に用いるクライオモジュールの設計製造を進めている。クライオモジュールとは、ニオブ製超伝導空洞、高周波チューナー、超伝導空洞に大電力の高周波を供給する入力カップラー、超伝導空洞を2Kまで冷却・保持するための冷却配管・輻射シールドが一体となった加速器コンポーネントである。従来KEKで開発されたクライオモジュールは、80Kと5Kにそれぞれ冷却されたアルミ板でできた2層の輻射シールドを搭載しているが、開発中のクライオモジュールは60Kに冷却された1層の輻射シールドを採用することで製作コストの削減を図る。現在KEKでは、ガス戻り配管、冷却配管や超伝導空洞の支持構造の設計検討、クライオモジュール内の温度分布を調べるための温度計の設置の検討、フィードスルーの設計、真空ベッセルの設計開発に取り組んでいる。本ポスター発表では、KEKにおけるクライオモジュールの設計の現状について報告する。
 
13:00-15:00 
THP002

小型超伝導加速器による可搬型ミューオン源
A Portable Muon Soure by A Compact Superconducting Electron Accelerator

○栗木 雅夫1, 髙橋 徹1, 早野 仁司21広島大学, 2株式会社ノバセル)
○Masao Kuriki1, Tohru Takahashi1, Hitoshi Hayano21Hiroshima U., 2NovAcell Co. Ltd.)
 
ミューオンは高い透過性、エネルギーによる侵入深さの制御など、非破壊検査や、物質評価などに有用である。一方で、その発生には一般的に高エネルギーの陽子ビームが必要であり、大型加速器施設のみで利用可能である。本研究では、小型の超伝導電子加速器によりミューオンを生成することで、一般的な中型トレーラーに搭載可能なミューオン源を提案する。これにより、ミューオンを使用したその場観察が可能となり、大型構造物の非破壊検査、文化財などの観察が可能となる。Nb3Snによる薄膜超伝導体による超伝導加速空洞を用いることで、小型の冷凍機設備により、高い加速勾配を実現し、装置を小型化する。ミューオン生成にはグラファイト標的を用いるが、デルタ共鳴を用いることで大量のミューオンを生成する。本発表では、装置の設計について紹介する。
 
13:00-15:00 
THP003

次世代FEL光源の開発に向けた入射部の検討
Investigation of the injector for the development of the next generation FEL light source
○倉田 正和, 本田 洋介, 山本 将博, 島田 美帆, 谷川 貴紀, 梅森 健成, 田中 オリガ, Shanab Safwan, 阪井 寛志, 中村 典雄(KEK)
○Masakazu Kurata, Yosuke Honda, Masahiro Yamamoto, Miho Shimada, Takanori Tanikawa, Kensei Umeori, Olga Tanaka, Safwan Shanab, Hiroshi Sakai, Norio Nakamura(KEK)
 
次世代FEL光源開発において低エミッタンス、短バンチ電子ビームの生成は必須である。入射部で生成された電子ビームの品質で性能がほぼ決定されるため、ターゲットとするFEL光発生のため、スペックを満たすビームを生成する入射部の詳細な検討は重要である。ここでは入射部検討の進捗状況について概観する。
 
13:00-15:00 
THP004

KEK電子陽電子入射器アップグレードによるビーム入射性能向上
Improvement on beam injection by the upgrade of the KEK electron/positron injector LINAC

○惠郷 博文, 明本 光生, 荒川 大, 飯田 直子, 岡安 雄一, 柿原 和久, 片桐 広明, 紙谷 琢哉, 川村 真人, 阪本 雅昭, 佐武 いつか, 佐藤 政則, 設樂 暁, 設楽 哲夫, 周 翔宇, 白川 明広, 諏訪田 剛, 清宮 裕史, 染谷 宏彦, 竹中 たてる, 張 叡, 中島 啓光, 夏井 拓也, 古川 和朗, 東 保男, 肥後 寿泰, 松下 英樹, 松本 修二, 松本 利広, 三浦 孝子, 宮原 房史, 矢野 喜治, 横山 和枝, 吉田 光宏, 由元 崇, 王 迪, 王 盛昌(高エネルギー加速器研究機構)
○Hiroyasu Ego, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Naoko Iida, Yuichi Okayasu, Kazuhisa Kakihara, Hiroaki Katagiri, Takuya Kamitani, Masato Kawamura, Masaaki Sakamoto, Itsuka Satake, Masanori Sato, Satoru Shitara, Tetsuo Shidara, Xiangyu Zhou, Akihiro Shirakawa, Tsuyoshi Suwada, Yuji Seimiya, Hirohiko Someya, Tateru Takenaka, Rui Zhang, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Kazuro Furukawa, Yasuo Higashi, Toshiyasu Higo, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Fusashi Miyahara, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida, Takashi Yoshimoto, Di Wang, Shengchang Wang(High Energy Accelerator Research Organization)
 
素粒子物理学実験と放射光科学実験のために、KEK電子陽電子入射器は最大7GeVの電子と4GeVの陽電子を4つの蓄積リングに同時トップアップ入射にて供給している。この入射スキームでは、各リングから要求される複雑なビームパラメータを50Hzで高速に切り換えながらビーム生成と加速を行う。SuperKEKBリングのビーム寿命は短く、低エミッタンスかつ大電荷のビーム入射を安定に行わなければならない。同時に、エネルギーや電荷量が異なる放射光リングへの入射安定性向上も必要である。2022年度から行なっている入射器アップグレードにより、大口径四極パルス電磁石、高速ビーム軌道補正キッカー、高精度ビーム診断ラインが整備された。これらの新機器による入射器ビーム性能の向上について報告する。
 
13:00-15:00 
THP005

我が国の加速器開発における富士電機の足跡に関する歴史的考察
Historical Study on the contribution of FUJI ELECTRIC for Particle Accelerator Development in Japan
○林崎 規託(科学大)
○Noriyasu Hayashizaki(Science Tokyo)
 
これまで発表されてきた論文や資料などをもとに,過去に富士電機が開発した加速器の足跡をたどり、我が国の加速器開発における歴史的な位置付けについて考察する。
 
13:00-15:00 
THP006

J-PARC向けPLC型TIMING受信モジュールの開発
DEVELOPMENT OF PLC-TYPE TIMING RECEIVER FOR J-PARC

○上窪田 紀彦1, 楊 敏1, 田島 佑斗2, 佐藤 健一1, 山田 秀衛11J-PARCセンター, KEK and JAEA, 2関東情報サービス)
○Norihiko Kamikubota1, Min Yang1, Yuto Tajima2, Kenichi C. Sato1, Shuei Yamada11J-PARC Center, KEK and JAEA, 2KIS)
 
J-PARC TIMING SYSTEMは、J-PARC加速器用に設計され、すべての加速器機器に適切なtriggerやMaster Clockを供給している。2006年のJ-PARC加速器運転開始時のTIMING SYSTEMモジュールは、10年を経過したのち老朽化によるトラブルが起こるようになり、また修理・追加製造が困難になっていた。このため2018年度に、次世代系として相互互換性のあるモジュールを開発した[1]。
 次世代系では、従来通りのVME型受信モジュールに加え、Main Ring(MR)向けにPLC型受信モジュールを開発した。2019年度に最初の3台が納品されたが、2020年度以降はコロナによる部品入手難で追加手配できず、MRの新モジュール導入計画は頓挫した。また、PLC型受信モジュールの評価で電源回路に不具合が見つかり、量産前に再検討が必要となった。2024年度にようやく部品調達が可能となり、PLC型受信モジュールの再設計が行われた。電源回路見直しのほか、現時点で入手しやすい新しいFPGAを再選択し、改修版PLC型受信モジュールを試作した。
 本稿では、新・旧PLC型TIMING受信モジュールの評価を詳述し、今後の導入計画について解説する。

[1] J-PARC次世代タイミングシステム、田村文彦 et.al.,
  2019年8月加速器学会年会(京都)、THOI08 pp.149-152

 
13:00-15:00 
THP007

EPICSクライアントアプリケーション開発のためのパイプラインツールの開発
Development of a pipeline tool for EPICS client application development

○佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構)
○Shinya Sasaki(KEK)
 
制御システム構築のためにEPICSを採用する施設では、様々な用途のEPICSクライアントアプリケーションが利用される。これらのアプリケーションの中には、EPICS PVの値を入力として処理を行い、別のシステムに出力するものや、別のシステムのデータを入力としてEPICS PVに出力するものがある。例えば、SuperKEKBでは、EPICS PVの値を入力としてその値をZabbixに定期的に送信するアプリケーションを開発して利用している。 このようなアプリケーションの多くは、特定の目的に応じて専用のアプリケーションとして開発される。しかし、機能を適切に分割し、それらの機能を繋ぎ合わせることでアプリケーションを実装できれば、より汎用的で再利用性の高いシステムが実現できると考えた。そこで、ノードという形に機能を分割し、それらを繋ぎ合わせることで目的に応じたアプリケーションを実現できるパイプラインツールの開発を行った。本稿では開発中のパイプラインツールの詳細とその利用例に関して報告する。
 
13:00-15:00 
THP008

KEK電子陽電子入射器のデータアーカイビングシステムとビッグデータ解析
Data Archiving System and Big Data Analysis for the KEK e+/e- Linac

○宮原 房史1, 早乙女 秀樹2, 大房 拓也2, 草野 史郎3, 工藤 拓弥3, 佐武 いつか1, 佐藤 政則1, 王 迪11高エネルギー加速器研究機構, 2関東情報サービス, 3三菱電機システムサービス)
○Fusashi Miyahara1, Hideki Saotome2, Takuya Ofusa2, Shiro Kusano3, Takuya Kudou3, Itsuka Satake1, Masanori Satoh1, Di Wang11KEK, 2KIS, 3MELSC)
 
KEK電子陽電子入射器はSuperKEKB HER, LERおよびPF, PF-ARへビームを供給しており、最大50Hzのビーム繰り返しを各円形加速器の要求に応じてそれぞれに割り当てる運転を行っている。各円形加速器への入射効率や入射の安定性は入射ビームの軌道やエミッタンスに影響されるため、実験的な理解には入射ビームと各機器のパラメータのデータが必要になる。例えばHER, LER入射では加速管中のウェイク場によるエミッタンス増大を抑制することが重要になるが、エミッタンス増大を起こしている場所の特定にはショットごとのビーム軌道データが重要となる。またビームのショットごとの不安定性や稀に発生する異常な軌道の原因特定にはビームと同期したRF位相・振幅とパルス電磁石電流値のデータも必要となる。入射器では全てのビームに関して、ビーム位置モニターとRFモニター、パルス電磁石の同期データをアーカイブしている。データ量が膨大となるためデータ圧縮と高速読み出しが可能なバイナリファイル(HDF5)に変換している。このデータはEPICS ArchiverApplianceでサンプリング的に保存された入射器のその他機器や環境温度、円形加速器への入射効率等の情報と同期解析が可能となっている。また、誰もが解析を可能とするためにWEBベースの簡易解析ツールの開発も行っている。データアーカイビングシステムと解析事例を報告する。
 
13:00-15:00 
THP009

ベイズ最適化を用いたサイクロトロン調整
Cyclotron tuning using Bayesian optimization

○江原 悠太1, 中島 秀1, 高橋 祐輝21住友重機械工業株式会社, 2住重アテックス株式会社)
○Yuta Ebara1, Shu Nakajima1, Yuki Takahashi21Sumitomo Heavy Industries, Ltd., 2SHI-ATEX Co., Ltd.)
 
本発表では、ベイズ最適化を用いたサイクロトロンの調整試験結果について報告する。対象とした加速器は、陽子線治療向けの超電導サイクロトロンSC230である。本加速器は、陽子線治療用加速器として現時点で最大となる1?μAのビーム電流を生成可能であり、同時に、陽子線治療用AVFサイクロトロンとしては最小サイズ・最小消費電力を実現している。これらの性能を達成するためには、静電デフレクタの電圧やハーモニックコイルの電流値など、複数のパラメータを精密に調整する必要がある。近年、加速器調整において、深層学習やベイズ最適化といった機械学習技術を用いた自動調整手法が盛んに研究されている。当社においても、これまで調整作業は熟練者によって手動で行われてきたが、自動化が実現すればサイクロトロン製造における生産性の向上が期待される。自動化における技術的課題の一つは、最適なパラメータ探索点の決定にある。本研究では、ベイズ最適化を用いて探索点を決定し、実機を用いて調整試験を実施した。
 
13:00-15:00 
THP010

制限付きベイズ最適化の加速器チューニングへの応用
Application of constrained Bayesian optimization to tuning particle accelerators

○三塚 岳1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学)
○Gaku Mitsuka1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
我々はベイズ最適化の加速器チューニングへの応用を進めている。KEK入射器におけるビームロス低減やSuperKEKBビーム入射部における入射効率改善に対して、ベイズ最適化を用いたビーム軌道チューニングが効果を発揮している。一方、最適化の途中で、チューニングの対象となるパラメータ値が一時的に大きく劣化する、または加速器運転を停止しかねない大きなビームロスが発生する、という問題点も明らかになってきた。そこで我々は、制限付きベイズ最適化を導入し、チューニング対象や任意の測定値を一定の閾値以上に保ったまま実施できる加速器チューニングを目指している。本発表では制限付きベイズ最適化の概要と、KEKで行うビーム試験の結果を報告する。
 
13:00-15:00 
THP011

量子FELの数値計算モデル
Numerical Models on Quantum FELs

○尾崎 俊幸(カルピオ AI)
○Toshiyuki Ozaki(Carpio AI)
 
量子FELは、その出力光が、空間コヒーレンスと時間コヒーレンスの両方を持つ完全で理想的なレーザーである。従来のSASE-FELは空間コヒーレンスしかもたない。従って、その研究は重要である。しかしながら、量子領域での動作であるから、量子力学で記述され、数値計算モデルを作るのは難しさがある。本論文では、これを解決したので発表する。また、諸外国で量子FELの進展も紹介する。
 
13:00-15:00 
THP012

光導波路による自由電子レーザの伸長抑制
Pulse Stretch Suppression in Free-Electron Laser by using Waveguides

○南野 冠汰1, 坂本 文人2, 林崎 規託11科学大, 2秋田高専)
○Kanta Minamino1, Fumito Sakamoto2, Noriyosu Hayashizaki11Science Tokyo, 2NIT, Akita College)
 
自由電子レーザ(Free-Electron Laser : FEL) は波長可変性が最大の特徴で、光科学や原子核物理など様々な分野での応用が期待されている光源である。しかし、FELの光増幅過程では放射光と電子ビームの位相が揃っている必要があるため、周期磁場を通過する電子ビームを放射光が追い越してしまい、パルス幅の伸長が生じる。この現象は時間スリップと呼ばれ、アト秒領域の超短パルスレーザ発振の妨げとなっている。本研究では、放射波長20μmの赤外FEL を対象に時間スリップを極限まで低減させる手法を提案し、その原理をシミュレーションによって実証することを目的とした。この波長帯域におけるFELの最大の利点は優れた時空間コヒーレンスで、特に時間コヒーレンスの改善は、アト秒領域に達する短パルス化や大強度光の実現につながる。本研究では時間スリップを極限まで低減する具体的な手法として、導波路中における光の群速度が自由空間での光速度より遅くなる性質を応用し、放射光の速度と電子ビームの速度を一致させた。また、FEL シミュレーションには世界的に広く用いられているオープンソースコードであるGENESIS1.3を改変して利用し、境界条件を考慮した数値計算を行った。その結果、導波路高さを適切に設定することで、求める放射波長で十分なパルス幅の伸長抑制効果があることを示すことができた。
 
13:00-15:00 
THP013

J-PARCリニアックMEBT2における真空系トラブル事例と対策
Vacuum system troubles and countermeasures at J-PARC Linac MEBT2

○諸橋 裕子1, 山田 逸平1, 小林 史憲1, 田村 潤1, 宮尾 智章2, 守屋 克洋1, 神谷 潤一郎11原子力機構, 2高エネ研)
○Yuko Morohashi1, Ippei Yamada1, Fuminori Kobayashi1, Jun Tamura1, Tomoaki Miyao2, Katsuhiro Moriya1, Junichiro Kamiya11JAEA, 2KEK)
 
J-PARCリニアックでは、324 MHzおよび972 MHzの高周波(RF)を用いてビーム加速を行っており、周波数が切り替わるMEBT2において、ビームの縦方向分布を評価するためにバンチシェイプモニタ(BSM)を設置している。本BSMは2012年に開発・導入されたものであるが、2024年11月、このBSM真空系においてターボ分子ポンプの急停止および破損を伴うトラブルが発生した。本発表では、当該トラブルの詳細と緊急対応及び恒久措置について報告する。
 
13:00-15:00 
THP014

PF-ARチタンサブリメーションポンプ端子の老朽化対策の検討
Consideration of deterioration for PF-AR titanium sublimation pumps terminals

○田中 窓香, 内山 隆司(高エネルギー加速器研究機構)
○Madoka Tanaka, Takashi Uchiyama(High Energy Accelerator Research Organization)
 
KEK PF-ARのチタンサブリメーションポンプ(TSP)の大気側端子部分で真空リークが発生した。リークの起きた端子には緑青が発生していて、これがリークの原因と考えられる。これを機に、全TSPの端子のチェックを行ったところ、数か所で緑青が、30ヶ所近くのTSPでケーブルの損傷が見つかった。TSPの多くは偏向電磁石の外側にあり、放射光の影響を受けやすく、ケーブル硬化や緑青発生の原因のひとつと考えられる。また端子にはステンレス製のカバーがついており、かねてからケーブルを傷つける原因と見做されている。それ以外にも何らかの悪影響を与えている可能性があり、再制作の必要性が論じられていた。以上の理由から、新しいカバーの制作にあたって、放射線の影響を論じるために、ガフクロミックフィルムを用いて放射線の調査を行った。その結果と今後の対策の検討について発表する。
 
ポスターセッション② (8月7日 7-1F-B)
13:00-15:00 
THP015

空洞共振器法によるPdコーティング膜の表面抵抗測定
Surface Resistance Measurement of Pd Coating Films Using Cavity Resonator Method

○姚 慕蠡, 金 秀光, 阿部 哲郎, 岡田 貴文, 照井 真司(高エネルギー加速器研究機構)
○Mulee Yao, Xiuguang Jin, Tetsuo Abe, Takafumi Okada, Shinji Terui(KEK)
 
Recently, it was found that Pd coating films exhibited ultra-low photon-stimulated desorption and low resistivity values. These advantages suggest that Pd coatings could be applied to small aperture tubes, including undulator vacuum tubes, which have a significant effect on resistive wall impedance. In previous studies, the DC electrical resistivity of Pd films was measured using the four-probe technique. The surface resistance under high-frequency conditions relevant to accelerators remained insufficiently explored. This study aims to address this gap by employing the “cavity resonator method” to measure the surface resistance of this film under high-frequency electromagnetic fields. By depositing Pd films onto the inner surface of a copper alloy resonator, the quality factor (Q-factor) was measured and compared to that of the uncoated copper alloy, allowing for the calculation of the practical surface resistance. These results could provide a basis for evaluating the heat generation and cooling requirements of this film in accelerator applications.
 
13:00-15:00 
THP016

金属積層造形法によって製造するアルミ合金製ビーム窓の耐圧および座屈解析
Pressure Resistance and Buckling Analysis of Aluminum Alloy Beam Windows Manufactured by Metal Layering Method

○井上 薫1, 栗原 謙太2, 牧村 俊助1, 高橋 正和2, 長澤 豊2, 尾ノ井 正裕2, 深尾 祥紀1, 吉田 誠11高エネルギー加速器研究機構, 2金属技研株式会社)
○Kaoru Inoue1, Kenta Kurihara2, Shunsuke Makimura1, Masakazu Takahashi2, Yutaka Nagasawa2, Masahiro Onoi2, Yoshinori Fukao1, Makoto Yoshida11High Energy Accelerator Research Organization, 2Metal Technology Co.Ltd.)
 
J-PARCのハドロン実験施設・COMET実験で利用される超電導電磁石で構成されたビームラインでは、ビームラインへのヘリウム漏洩という重大事故に備え、ヘリウムが漏洩する可能性のある領域をビーム窓によって隔離している。ビーム窓はビームの損失を減らすために薄く、低密度での材料で作られると同時に、漏洩した液体ヘリウムが気化した際の圧力上昇に耐える必要がある。これまでKEKは金属技研株式会社との共同研究で積層造形法による球殻型ビーム窓の製造法の開発を進めており、Ti-6Al-4Vによる積層造形法で製造した大口径、薄型、高耐圧のビーム窓をCOMET実験施設のビームラインに設置した。引き続いて、低温中で使用されるアルミ合金(AlSi10Mg)製ビーム窓の開発に着手した。積層造形法によるアルミ合金製ビーム窓の開発全体の報告は金属技研の栗原が行う。耐圧・座屈性能はビーム窓の厚みと球殻の曲率半径に依存する。また、座屈性能はビーム窓端部を厚くすることによって向上することができるため、窓厚を薄くできる領域、すなわち有効半径をどこまで大きくできるかの評価を進めている。本発表では、積層造形法によるアルミ合金製ビーム窓の耐圧・座屈性能についてANSYSを用いた解析結果を報告する。
 
13:00-15:00 
THP017

メタバース加速器博物館の新展示室群とVR加速器シミュレーションキット
New Exhibition Rooms at the Metaverse Accelerator Museum and VR Accelerator Simulation Kit

○古坂 道弘1, 広田 克也1, 池田 進1, 内藤 富士雄1, 設楽 哲夫1, 大谷 将士1, 加美山 隆2, 平賀 富士夫2, 長倉 宏樹2, 矢野 博明3, 笹 公和4, 大和 良広4, 吉田 哲郎4, 長尾 和樹5, 家城 佳6, 高嶋 圭史7, 髙橋 将太8, 金安 達夫9, 岩下 芳久10, 生天目 博文11, 笠井 聖二11, 竹田 晴信14, 山本 昌志12, 城野 哲131高エネ機構, 2北大・工, 3筑波大・システム情報, 4筑波大・放射線・アイソトープ地球システム, 5小山高専, 6東大・宇宙線研, 7名大・シンクロトロン光研究センター, 8名大・KMI, 9分子研, 10阪大・RCNP, 11広島大学・放射光科学, 12(株)オメガソリューションズ, 13(株)エーイーティー, 14九州シンクロトロン・光研究センター)
○Michihiro Furusaka1, Katsuya Hirota1, Susumu Ikeda1, Fujio Naito1, Tetsuo Shidara1, Masashi Otani1, Takashi Kamiyama2, Fujio Hiraga2, Hiroki Nagakura2, Hiroaki Yano3, Kimikazu Sasa4, Yoshihiro Yamato4, Tetsuro Yoshida4, Kazuki Nagao5, Kei Ieki6, Yoshifumi Takashima7, Shota Takahashi8, Tatsuo Kaneyasu9, Yoshihisa Iwashita10, Hirofumi Namatame11, Seiji Kasai11, Harunobu Takeda14, Masashi Yamamoto12, Tetsu Jono131KEK, 2Hokkaido Univ., Eng, 3Tsukuba Univ., ISIE, 4Tsukuba Uni., CRiES, 5NIT, Oyama College, 6Univ. Tokyo, ICRR, 7Nagoya Univ., NUSR, 8Nagoya Univ., KMI, 9IMS, 10Osaka Univ., RCNP, 11Hiroshima Univ., HiSOR, 12Omega Solutions, Inc, 13AET Ltd., 14SAGA-LS)
 
■ 第1段階として2024年8月にメタバース加速器博物館(MAM)をソーシャル・メタバース・システムであるVRChat上に制作し、その玄関ホールおよびKEKの教育加速器展示室を公開した。■ 第2段階として、実際に研究に使われている大学関係の加速器群を平成25年度から翌年度にかけてにかけて順次公開する予定である。5月には筑波大学の6MVタンデム加速器を公開し、さらに公開を控える施設として、広島大学HiSOR、愛知シンクロトロン、スーパーカミオカンデ、北大電子加速器中性子施設HUNSがある。世界に公開されているメタバース加速器の数が増え、多くの大学等が関わることで、これまでとは全く異なった展開が見えて来る。■ 第3段階(a)として、加速器を部品ごとに分解して表示できるようにし、通常は見えない加速器の内部構造とその仕組みを簡潔に説明できるように、また電磁場を可視化する方向で開発を進めている。■ 第3段階(b)として、3Dゲーム開発環境であるUnityを用い、遊びながら試行錯誤できる加速器シミュレーションキットを開発中である。Unity 編集環境に粒子源、加速用の電界、偏向磁石、4極磁石などを配置し、実行すると荷電粒子が運動方程式に従って動くようになる。それらの配置・形状、パラメタ、時間スケール等を変更すると、粒子の運動が3次元リアルタイムで変わる。
 
13:00-15:00 
THP018

RF電子銃を用いた超高圧パルス電子顕微鏡の開発
Development of RF gun based ultrahigh-voltage pulsed electron microscopy
○楊 金峰1, 漆 鴻1, 井藤 隼人2, 山田 智宏2, 許斐 太郎3, 梅森 健成2, 阪井 寛志21阪大産研, 2高エネルギー加速器研究機構, 3ミシガン大学)
○Jinfeng Yang1, Hong Qi1, Ito Hayato2, Tomohiro Yamada2, Tarou Konomi3, Kensei Umemori2, Hiroshi Sakai21SANKEN, The University of Osaka, 2KEK, 3Michigan State University)
 
我々は、最先端レーザーフォトカソード高周波(RF)電子銃技術を用いて相対論的フェムト秒電子線パルスを発生し、超高速電子顕微鏡装置の開発と次世代超高圧パルス電子顕微鏡の実用化を推進している。本研究では、まず、常伝導SバンドRF電子銃を用いた超高速電子顕微鏡を世界に先駆けて製作し、RF電子銃から発生したフェムト秒電子線パルスを用いた電子顕微鏡像の観察に成功した。RF電子銃を用いた超高圧パルス電子顕微鏡の実現可能性を示した。その後、ビームの高繰返し化とパルスごとのエネルギー安定性の向上のために、4.2K伝導冷却で1.3GHzの連続運転可能なNb3Sn超伝導RF電子銃を考案・設計し、これを用いた超高圧パルス電子顕微鏡の開発を進めている。本発表では、RF電子銃を用いた超高速電子顕微鏡の現状、Nb3Sn超伝導RF電子銃と伝導冷却クライオモジュールの設計、ビームシミュレーションの結果およびこれを用いた超高速電子顕微鏡の概念設計について報告する。
 
13:00-15:00 
THP019

Xバンド電子線形加速器によるマルチ高エネルギーX線CTの撮像システム
Imaging system for multi-high energy x-ray CT based on the X-band electron linear accelerator
○尾崎 健人1, 長江 大輔2, 吉田 昌弘1, 長谷川 大祐1, 山田 貴典1, 塩田 佳徳1, 石渡 淳平1, 長瀬 敦1, 山本 昌志31MTC, 2埼玉大, 3オメガソリューションズ)
○Kento Ozaki1, Daisuke Nagae2, Masahiro Yoshida1, Daisuke Hasegawa1, Takanori Yamada1, Yoshinori Shiota1, Junpei Ishiwata1, Atsushi Nagase1, Masashi Yamamoto31MTC, 2Saitama Univ., 3Omega Solutions)
 
埼玉大学と金属技研株式会社はXバンド電子線加速器をX線源としたマルチ高エネルギーX線CTの開発を進めている。
X線CTは非破壊検査においても、内部構造を三次元的に表現できる数少ない手法であり、産業利用は年々増加している。
近年、金属積層造形を代表とする新技術が利用されるにあたり検体形状が複雑化かつ大型化する傾向にあり、
X線CTシステムには、より高い透過能と高分解能を有し大型検体の撮像が可能である事が求められている。
昨年の発表では、X線源の小焦点化について報告した。
本発表では、小焦点高エネルギーX線の特性を活かした高精度かつ高耐荷重の撮像システムの構築について報告する。

 
13:00-15:00 
THP020

X線CT用Xバンド電子加速器の設計
Design of the X-band electron linac for X-ray CT system
○長江 大輔1, 吉田 昌弘2, 尾崎 健人2, 山田 貴典2, 長谷川 大祐2, 塩田 佳徳2, 石渡 淳平2, 長瀬 敦2, 山本 昌志31埼玉大学, 2金属技研, 3オメガソリューションズ)
○Daisuke Nagae1, Masahiro Yoshida2, Kento Ozaki2, Takanori Yamada2, Daisuke Hasegawa2, Yoshinori Shiota2, Junpei Ishiwata2, Atsushi Nagase2, Masashi Yamamoto31Saitama Univ., 2MTC, 3Omega Solutions)
 
埼玉大学と金属技研を中心として、産業用高エネルギーX線CTシステムの開発を進めている。
本システムでは、Xバンド・サイドカップル型加速管を用い、電子銃からの20 keV の電子を9 MeVまで加速し、ターゲットで高輝度X線を生成する。
電子の速度は光速の28%からほぼ100%へ急速に増加するため、加速管の詳細設計には高精度シミュレーションが不可欠である。
そこで、3次元電磁場シミュレーションソフトウェアを用いて加速管内の電磁場と電子銃のカソードからターゲットまでのビーム輸送を統合的に解析した。
解析手法ならびに得られた電磁場の高周波特性とビームダイナミクスについて報告する。

 
13:00-15:00 
THP021

国際加速器スクールISBA
International School on Beam Dynamics and Accelerator Technology ISBA A Report from ISBA24 in Chiang Mai, Thailand

○栗木 雅夫1, リムジャエム サクホーン2, ウォンラタナフィス ドゥマニー31広島大学, 2チェンマイ大学, 3タイ卓越物理セ)
○Masao Kuriki1, Sakhorn Rimjaem2, Duangmanee Wongratanaphis31Hiroshima U., 2Chiang Mai University, 3ThEP Center)
 
International School on Beam Dynamics and Accelerator Technology (ISBA)は2018年から実施されている加速器スクールである。IINASおよびIINAS-NXプログラムによる支援をもとに、アジアを中心とした各国の研究所の協力のもとに実施されている。2022年までは広島大学をホストとして開催されてきたが、2023年はKAERIをホストとして韓国の浦項で開催、2024年はタイのチェンマイ大学をホストとして同大学を会場として開催されてきた。2025年は中国のSARI(Shanghai Advanced Research Institute)をホストとして同研究所にて開催を予定している。国際的な加速器スクールとしてはCAS(CERN Accelerator School)およびUSPAS(US Particle Accelerator School)が実績を有しているが、ISBAはいまやそれに続く存在である。ISBAの活動を紹介するとともに、本スクールのさらなる充実にむけた議論を行う。
 
13:00-15:00 
THP022

加速器中性子源の水中ファントム3次元計測
Three-dimensional measurement of underwater phantoms using accelerator neutron sources
○奥野 泰希1, 2, 刀谷 吉徳3, 小林 知洋1, 中山 佳則1, 大竹 淑恵11理化学研究所 光量子工学研究センター, 2東北大学, 3豊橋技術科学大学)
○Yasuki Okuno1, 2, YOSHINORI KATANAYA3, Tomohiro Kobayashi1, YOSHINORI NAKAYAMA1, Yoshie Otake11RIKEN RAP, 2Tohoku Univ., 3TUT)
 
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、がん細胞に選択的に集積したホウ素薬剤と中性子線を組み合わせることで、正常組織への影響を抑えつつ、がん細胞を破壊する革新的な放射線治療法である。しかし、治療効果は中性子線の空間分布と強く関係しており、治療部位に応じた中性子場の精密な評価技術が求められてきた。従来は金箔による放射化法が用いられていたが、長時間を要するうえ、空間分布の把握には不十分であり、陽子線の制御条件と中性子場の関係性を精密に把握する手段が限られていた。本研究では、HOIP(有機・無機ハイブリッドペロブスカイト)半導体にB-10変換膜を組み合わせた新型中性子センサーを開発し、陽子線の照射条件と中性子場の変動の関係性を、リアルタイムかつ3次元的に可視化可能な評価技術を確立した。このシステムは、従来数時間を要した計測を数十分で完了できる高速性と、高放射線環境下での安定性を両立しており、BNCT治療時の中性子場の定常点検や毎回の評価を可能とする。特に、陽子ビームエネルギーやビームスポットのわずかな変動が中性子場分布に及ぼす影響を逐次的に評価することで、中性子源の品質保証および治療精度の向上に直結する成果を得た。
 
13:00-15:00 
THP023

高エネルギー放射線環境下での市販ガラス線量計の測定と計算の比較
Comparison of Measurements and Simulation Results of Commercially Available Glass Dosimeters under High Energy Irradiation Environments

○倉田 瑞希1, 住友 洋介1, 内永 聖哉1, 鈴木 和麿1, 境 武志2, 早川 建2, 早川 恭史21日大理工, 2日大LEBRA)
○Mizuki Kurata1, Yoske Sumitomo1, Seiya Uchinaga1, Kazuma Suzuki1, Takeshi Sakai2, Ken Hayakawa2, Yasushi Hayakawa21CST Nihon Univ., 2LEBRA Nihon Univ.)
 
現在、活発に行われている宇宙開発において高エネルギー環境下での機器や材料の放射線耐性が今後重要になってくると考える。また、気軽に照射試験を行いたいという企業側からの要望がある。これらのニーズに応えるため、日本大学にある電子線形加速器を利用した照射環境の構築に取り組み始めた。日本大学の電子線形加速器は100 MeVまでのエネルギー生成が可能であり、運転時に発生する放射線を利用して照射試験を行う予定である。私たちは、プレテストなど「容易に使用」できる照射設備を目標とし、そのため、加速器運転中の線量は安価な市販の線量計を用いて測定を行いシミュレーションと比較することでエネルギー分布や中性子も含めた線量を算出する。利用に対する敷居を下げ、今後活発になっていくベンチャーを始めとする多くの企業の宇宙開発に大いに役立つような照射環境の構築を目指す。本発表では、現段階での加速器運転中に発生する線量評価の進捗と高エネルギー環境におけるガラス線量計の測定値の比較について報告する。
 
13:00-15:00 
THP024

PFトンネル内の放射線強度測定のための遠隔電動台車の開発
Remote Radiation Monitoring Cart for the PF Tunnel

○高巣 晃1, 路川 徹也2, 塩澤 真未1, 帯名 崇1, 平木 雅彦11高エネルギー加速器研究機構, 2(株) 東日本技術研究所)
○Akira Takasu1, Tetsuya Michikawa2, Mami Shiozawa1, Takashi Obina1, Masahiko Hiraki11KEK, 2East Japan Institute of Technology Co.,Ltd.)
 
放射光施設の安全かつ効率的な運転のため、運転中のトンネル内を遠隔から観察可能な小型ロボットを開発した。本ロボットはPhoton Factory(PF)での運用を想定し、放射線が発生するため人が立ち入れないトンネル内においても、リアルタイムで温度や放射線強度を測定できる。手のひらサイズの筐体にWebカメラ、熱感知カメラ、放射線センサーを搭載し、安全な場所からの遠隔操作によってトンネル内の状況を把握可能である。これまでに複数回の運転中観測を実施し、安定した動作を確認している。現在は、より広範な計測と走行性能の向上を目指し、1mサイズの新型ロボットの開発も進めている。
 
13:00-15:00 
THP025

デジタルレベルを用いたSuperKEKBメインリングトンネルにおける長期変位測定
Report on long-term displacement of the SuperKEKB main ring tunnel

○長崎 岳人, 増澤 美佳, 植木 竜一, 中村 衆, 大澤 康伸(高エネルギー加速器研究機構)
○Taketo Nagasaki, Mika Masuzawa, Ryuichi Ueki, Shu Nakamura, Yasunobu Ohsawa(KEK)
 
SuperKEKB加速器は7GeVの電子と4GeVの陽電子を衝突させる非対称エネルギー電子陽電子衝突型加速器である。メインリングのトンネルは地下10mに設置されており、周長約3000mで4辺が直線に潰れた円形を成している。この直線部並びに接続している地下4階の実験室には基礎に杭打ちを行っているが、アーク部については杭なしで地中にフリーの状態で置かれている。またトンネル自体は40年前に建設されたトリスタン実験の物であり、本実験の前身であるKEKB時も含めこれまでにトンネルに大きな改修は行われていない。地盤変動等に伴うトンネル自体の相対的な高さは、加速器の安定な運転にとって重要である。そのため、トンネル全周の長期的な変動およびSuperKEKBへの改修時に行われた機械棟の増設やメインリングを跨ぐ形で建設されているPF-AR直接入射路の影響などを調べるため、毎年Leica製DNA03デジタルレベル計を使用してトンネルのレベル測量を実施してきた。さらに、今回
トンネル内に設置されている電磁石の相対的な高さ測量も行った。本論文ではこれまでのトンネルレベルの変動の状況に加えて、トンネルレベルと電磁石の高さの比較についても報告する。

 
13:00-15:00 
THP026

KEK 電子陽電子入射器ビーム診断ライン用ビームコリメータ及び遮蔽の開発
R&D of a beam collimator and its shielding for a beam diagnostics line in the KEK e-/e+ injector linac
○岡安 雄一(高エネルギー加速器研究機構)
○Yuichi Okayasu(KEK)
 
2025 年 1 月, KEK 電子陽電子入射器の最下流にビーム診断ラインの建設が完了した.
当該診断ライン下流に展開する実験セットアップへのバックグラウンド低減を図るため,
銅タングステン製のビームコリメータを設置した.
併せてコリメータに隣接する形で放射線遮蔽を設置した.
線量評価は PHITS を使用し,放射線遮蔽の構成を最適化した.
銅タングステン製ビームコリメータ製作の過程,PHITS による遮蔽体最適化について報告する.

 
13:00-15:00 
THP027

J-PARC MR速い取り出しにおけるビームロス低減ビーム光学系
Beam optics for beam loss reduction at fast extraction in J-PARC MR

○安居 孝晃, 岩田 宗磨, 石井 恒次, 芝田 達伸, 佐藤 洋一(高エネルギー加速器研究機構)
○Takaaki Yasui, Soma Iwata, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Yoichi Sato(KEK)
 
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)の速い取り出し(FX)運転において、取り出しセプタム電磁石SM30での残留線量が非常に多く、ビーム強度増強の制約となっている。これはビーム取り出しの際、直上流にある四極電磁石QDT155において生じた鉛直方向のビームハロー散乱が原因である。対策として、QDT155における鉛直方向のベータトロン関数を小さくするビーム光学系を開発・適用し、ビームロス低減に成功した。しかし残留線量は依然高いため、さらなる改良を進めており、本研究でその進捗を記述する。最初のビーム試験では問題の切り分けのためチューンは固定して行うなどいくつか制約を設けていたが、本研究では制約を緩めQDT155での鉛直ベータトロン関数をより小さくした。実際にビーム試験でニュートリノビームラインに取り出し、ロス低減を確認した。
 
13:00-15:00 
THP028

J-PARC RCSにおける1MW出力を超える利用運転に向けたビームロス低減
Beam loss mitigation for operation beyond 1 MW beam power of the J-PARC RCS

○Saha Pranab Kumar, 原田 寛之, 田村 文彦, 菖蒲田 義博, 小島 邦洸, 吉本 政弘, 沖田 英史, 岡部 晃大, 畠山 衆一郎, 仲野谷 孝充, 守屋 克洋, 地村 幹, 山田 逸平, 高柳 智弘(日本原子力研究開発機構, J-PARC)
○Pranab Kumar Saha, Hiroyuki Harada, Fumihiko Tamura, Yoshihiro Shobuda, Kunihiro Kojima, Masahiro Yoshimoto, Hidefumi Okita, Kota Okabe, Shuichiro Hatakeyama, Takamitsu Nakanoya, Katsuhiro Moriya, Motoki Chimura, Ippei Yamada, Tomohiro Takayanagi(JAEA, J-PARC)
 
We have performed systematic beam tests and numerical simulations for beam loss mitigation at the 3-GeV RCS of J-PARC at beyond 1 MW beam power. To ensure net 1 MW beam power to the current neutron target while beam sharing is reducing to around 85% due to the Main Ring cycle approaching faster to nearly 1 s, and construction of a 2nd neutron target, the RCS has to achieve at least 1.5 MW in the near future. Keeping the beam loss rate at the same level as the current operation at 1 MW is one of the key points to ensure a stable operation by keeping the machine activation proportional to an increase of beam power. In a recent beam study by optimizing injection beam parameters along with transverse and longitudinal paintings in the RCS, the beam loss rate at 1.5 MW is achieved to be a less than 5E-4 level. The beam loss occurs only at injection energy, well localizing at the collimator section with only 70 W loss power as compared to the collimator limit of 4 kW. The beam loss power is kept to only 1.27 times increase from that of 55 W at the current 1 MW operation to demonstrate the RCS capability to run at 1.5 MW beam power with a minimum beam loss.
 
13:00-15:00 
THP029

J-PARC核破砕中性子源の陽子ビーム窓材の照射試験
Irradiation test of proton beam window material of spallation neutron source in J-PARC

○山口 雄司1, 明午 伸一郎1, 大久保 成彰21原子力機構 J-PARC, 2原子力機構 基礎工)
○Yuji Yamaguchi1, Shin-ichiro Meigo1, Nariaki Okubo21J-PARC, JAEA, 2NSEC, JAEA)
 
J-PARCの核破砕中性子源(JSNS)ではアルミニウム合金製の陽子ビーム窓(PBW)を用いて,加速器の高真空領域とターゲットステーションの大気圧ヘリウム雰囲気とを隔離している。JSNSの運転において,常に大強度陽子ビームの照射を受けるPBWについて照射の影響を理解することは,安定運転のために重要となる。現状,J-PARCには照射済みPBWに対する材料試験を実施できる施設は無いため,放射化させずに短時間で材料に損傷を導入できる重イオン照射試験を実施している。本発表では,高崎量子技術基盤研究所のイオン照射研究施設を利用して実施しているアルミニウム合金の照射試験の現状について報告する。
 
13:00-15:00 
THP030

J-PARC MRにおける二倍高調波重畳による非対称RFバケツを用いたバンチ整形
Bunch shape control using asymmetric RF bucket with the second harmonic RF in the J-PARC MR

○杉山 泰之1, 清矢 紀世美1, 冨澤 正人1, 武藤 亮太郎1, 田村 文彦2, 吉井 正人1, 大森 千広1, 原 圭吾1, 長谷川 豪志11高エネルギー加速器研究機構/J-PARCセンター, 2原子力研究開発機構/J-PARCセンター)
○Yasuyuki Sugiyama1, Kiyomi Seiya1, Masahito Tomizawa1, Ryotaro Muto1, Fumihiko Tamura2, Masahito Yoshii1, Chihiro Ohmori1, Keigo Hara1, Katsushi Hasegawa11KEK/J-PARC center, 2JAEA/J-PARC center)
 
J-PARC MRではハドロン実験施設への遅い取り出しにおいて92kWのビーム強度を達成している。
ビームロスや不安定性を抑制したビーム加速にはバンチ整形が不可欠となっている。
ビーム入射直後には空間電荷効果の影響が大きいため、バンチ整形によるピーク強度低減が求められる。
遅い取り出しプロセスのためのデバンチ過程においては、ビーム不安定性に伴う電子雲やビームロスの低減の為に運動量方向にも大きい縦方向エミッタンスの大きいビームが求められる。
2024年までのビーム運転においては、RFバケツへの位相オフセット入射を用いてバンチ整形を行い83kWの強度を実現していた。
更なるビーム強度増強のためには、入射直後のロスのさらなる低減が求められたため、二倍高調波重畳によるバンチ整形を検討した。
ビーム試験の結果、基本波と二倍高調波の位相をずらして非対称RFバケツを形成することで、
入射直後のロスのさらなる低減とデバンチ過程でのビーム不安定性抑制を両立できることが分かった。
非対称RFバケツの採用により、92kWのビーム強度達成が可能となった。
本発表では、ビーム試験での測定結果と縦方向シミュレーションによる検証について述べる。

 
13:00-15:00 
THP031

compact ERLにおける再生増幅型FEL開発の現状
Current status of regenerative-amplifier FEL development at the compact ERL
○谷川 貴紀, 本田 洋介, 加藤 龍好, 島田 美帆, 中村 典雄, 内山 隆司, 山本 将博, 阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構)
○Takanori Tanikawa, Yosuke Honda, Ryukou Katou, Miho Shimada, Norio Nakamura, Takashi Uchiyama, Masahiro Yamamoto, Hiroshi Sakai(KEK)
 
ERL原理の実証機として2013年にKEKに建設されたcompact ERLは、その後2台のアンジュレータが設置され、2021年に中赤外FEL光の光増幅が観測された。しかしながら光強度は飽和に至っておらず、今後の産業利用展開を鑑みると更なる光強度増強が必要となる。光強度増強には様々な手法が考えられるが、その一つとして短尺のアンジュレータでも光強度飽和が可能となりうる再生増幅型FELを選択し、その開発に着手した。本発表では開発中の再生増幅型FELの設計及び開発状況について報告する。
 
13:00-15:00 
THP032

UVSOR-IIIにおける単一電子蓄積実験の現状
Status of single electron storage experiment at UVSOR-III

○浅井 佑哉1, 4, 島田 美帆2, 3, 宮内 洋司2, 3, 金安 達夫4, 加藤 政博3, 41広島大学大学院, 2高エネ研, 3広島大学放射光科学研究所, 4分子研UVSOR)
○Yuya Asai1, 4, Miho Shimada2, 3, Hiroshi Miyauchi2, 3, Tatsuo Kaneyasu4, Masahiro Katoh3, 41Hiroshima Univ. ADSE, 2KEK, 3HiSOR, 4UVSOR Synchrotron Facility)
 
我々は、放射光の量子性・可干渉性の応用の可能性を探っている。その一環で単一光子レベルでの放射光の特性を実験的に調べることを目的として、放射光源リングに単一電子を蓄積し、その放射を観測する実験に取り組んでいる。実験は、分子科学研究所の放射光源UVSORにおいて行っている。2023年度からはUVSORの光源開発用ビームラインBL1Uにおいて単一電子が放射する紫外線領域でのアンジュレータ光のスペクトル特性を観測することにも成功した。また、単一電子からの光子統計を測定し、確率的には非常に稀ではあるが、アンジュレータを一度通過する際に光子が2つ同時に放出されることを実験的に明らかにした。2025年度は測定効率の向上を目指し、また、単一光子レベルの微弱光に対する干渉計の設計を行っている。年会ではその最新の状況を報告する。
 
ポスターセッション② (8月7日 6-1F)
13:00-15:00 
THP033

LEBRA FELビームラインにおけるテラヘルツ波光源開発
Development of Terahertz Source at LEBRA FEL Beam Line

○境 武志1, 清 紀弘2, 早川 恭史1, 住友 洋介3, 早川 建1, 田中 俊成1, 野上 杏子1, 髙橋 由美子11日大量科研, 2産総研, 3日大理工)
○Takeshi Sakai1, Norihiro Sei2, Yasushi Hayakawa1, Sumitomo Yoske3, Ken Hayakawa1, Toshinari Tanaka1, Nogami Kyoko1, Yumiko Takahashi11LEBRA, Nihon University, 2AIST, 3CST, Nihon University)
 
日本大学電子線利用研究施設LEBRAでは、KEKと産業技術総合研究所との共同研究により、100MeV電子線型加速器の高度化、FEL、パラメトリックX線放射とテラヘルツ波(THz)光源開発を行っている。THz波源はFELライン、PXRラインそれぞれで開発しており、学内外の共同利用研究に用いている。PXRラインでは、超乾燥空気システムを用いた低湿度環境下での測定が可能なグローブボックスを改良した測定系が構築され、測定時の空気中の水分の吸収影響を抑えられるようにしている。FELラインではFELとTHzの重畳ビームラインが構築されており、FELとTHzの同時測定が可能である。特にTHz測定は超高速検出器を用いるなどでFEL発振時のTHzの変化測定が可能となってきている。しかし、FELラインのTHz測定は大気中で行っているため、測定時に水の吸収の影響を受ける問題が発生していた。そこでPXRラインを参考に、新たにグローブボックスを構築することとした。これまでの測定時の作業効率を考慮して、サンプル交換や測定器の入れ替えなどがスムーズにできるように、グローブボックスの開放が少なくなるよう工夫した。本発表では、FELラインでのTHz光源開発とその測定系等に関して報告を行う。
 
13:00-15:00 
THP034

ナノテラスにおける電子ビームエネルギー分散の推定
Estimation of energy spread parameter at NanoTerasu

○小原 脩平1, 保坂 勇志1, 齋田 涼太1, 21量子科学技術研究開発機構 NanoTerasuセンター, 2株式会社NAT)
○Shuhei Obara1, Yuji Hosaka1, Ryota Saida1, 21QST NanoTerasu Center, 2NAT Corporation)
 
2023年にNanoTerasu加速器コミッショニングを実施し、その結果ほぼデザインと無矛盾なオプティクスモデルを得た。一方でX線ピンホールカメラから得られたビームサイズはデザイン値よりも少しだけ太っており、その原因は未だ不明である。Dispersionのある箇所に設置されているため、単純にエミッタンスとbeta関数によるものか、dispersion関数とエネルギー分散によるものかの切り分けを行うためには、独立した手法で確認を行う必要がある。そこで、クロマティシティを変えることによって生じるベータトロンチューンとそれのサイドバンド比からエネルギー分散を推定可能な先行研究があったため、同様の手法にてNanoTerasuのエネルギー分散推定を行った。測定精度・感度が不足していたものの、1つの独立測定による指標としての数値を得ることはできた。本発表ではその結果について公表する。
 
13:00-15:00 
THP035

軌道角運動量を運ぶ遷移放射の初観測
Observation of transition radiation carrying orbital angular momentum
○高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター)
○Yuichi Takabayashi(SAGA Light Source)
 
1990年代に螺旋状の波面を持つ電磁波(光渦)が軌道角運動量を運ぶことが示されて以来,可視レーザーを用いて光渦の研究が精力的に行われてきた.より広い波長域の光渦を求め,円偏光アンジュレータ,レーザーコンプトン散乱,チャネリング等,相対論的電子ビームを用いて光渦を生成する研究も行われるようになっている.このような背景のもと,本研究では軌道角運動量を運ぶ遷移放射の初観測を目的とする.遷移放射とは高速の荷電粒子が誘電率の異なる物質の境界面に入射した際に生じる放射現象である.円偏光アンジュレータ等と異なり,螺旋運動をしない直進する電子から軌道角運動量を運ぶ光が生成される点が興味深い.実験はSAGA-LSリニアックからの220 MeV電子ビームを利用して行った.45度傾けた金コートシリコンウェハーにビームを入射させ,90度方向に生成された遷移放射を真空窓を通して大気中へと取り出した.そして,バンドパスフィルターで周波数0.3 THz(波長1 mm)の遷移放射を選び,1/4波長板と偏光板を用いてスピン角運動量を選択した後,正三角形アパーチャーやダブルスリット通過後の遷移放射の回折パターンを測定した.得られた回折パターンから,遷移放射が軌道角運動量を運ぶことが明らかになった.分子研らのグループは螺旋運動する電子から軌道角運動量を運ぶ光が生成されるので,光渦は遍在する(ubiquitousである)と主張していたが,本研究により直進する電子からも軌道角運動量を運ぶ光が生成されることがわかったので,光渦はより遍在していると言える.
 
13:00-15:00 
THP036

時間領域での電磁場分布を直接用いた高次モードの局所的電力の評価方法
New local power evaluation method for higher-order-mode directly using the electromagnetic field calculated by the time-domain simulation

○山口 孝明, 小林 鉄也, 岡田 貴文, 西脇 みちる(高エネルギー加速器研究機構)
○Takaaki Yamaguchi, Tetsuya Kobayashi, Takafumi Okada, Michiru Nishiwaki(KEK)
 
大電流ビームを運転する蓄積リングでは、真空装置内にビームが発生させる高次モードの電力が問題となる。特に高次モード減衰型加速空洞では、ビーム不安定性の原因となる高次モードを、マイクロ波吸収体を用いて強力に減衰させている。一方、ビーム電流が大きくなると、マイクロ波吸収体が吸収する電力により吸収体の温度が上昇し、熱膨張等の原因により破損してしまう可能性がある。そのため、予め各装置の高次モード電力を推定することが重要である。高次モード電力を推定する方法として、各装置のwake potentialまたはloss factorを電磁場解析から計算する方法が一般的である。しかしこの方法は、電磁場解析で計算する構造全体の高次モード電力を勘定する。そのため例えば、構造内に吸収体が複数ある場合などで、吸収電力の偏り・分布などを議論することはできない。そこで本研究では、wake potentialを直接用いずに高次モード電力を計算する方法を新たに検討した。CST Particle StudioのWakefield solverでは、wakeを計算する3次元モデルの任意の場所の電磁場を記録するField Probeという機能があり、本方法ではこの機能を用いて高次モード電力を計算する。これにより、複数ある吸収体の吸収電力をそれぞれ個別に評価することが可能となる。本発表では、まずその計算方法について議論した後、SuperKEKBの高次モード減衰型超伝導空洞についてこの方法を適用する。さらに実際のビーム運転で得られた測定結果との比較も行う。
 
13:00-15:00 
THP037

J-PARC MRでの非線形ディスパージョン関数を用いた六極誤差磁場の探索
Search for the sextupole error field using with the non-linear dispersion function measurement at J-PARC MR

○五十嵐 進, 浅見 高史, 佐藤 洋一, 發知 英明, 譚 玉蓮, 安居 孝晃(高エネルギー加速器研究機構)
○Susumu Igarashi, Takashi Asami, Yoichi Sato, Hideaki Hotchi, Yulian Tan, Takaaki Yasui(KEK)
 
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)の大強度ビーム運転では、3νx=64 および νx+2νy=64の 3次共鳴の補正により、ビームロスを低減している。この3次共鳴の原因としては、六極電磁石等の誤差磁場が考えられる。共鳴補正を更に効率的に行うため、誤差磁場の場所を特定する方法について検討した。Non-linear dispersion 関数η1は非斉次方程式で表され、その非斉次項に六極磁場の強さが入ることが分かっている。運動量を変化させ、その際のビーム軌道をMRの一周にわたってビーム位置モニターを使って測定する。その結果からη1を算出し、六極の誤差磁場の分布について検討する。
 
13:00-15:00 
THP039

J-PARCイオン源での90mA負水素イオンビーム試験
90mA negative hydrogen ion beam experiments at J-PARC ion source

○柴田 崇統1, 南茂 今朝雄1, 大越 清紀2, 神藤 勝啓2, 飛田 健太郎31高エネルギー加速器研究機構, 2日本原子力研究開発機構, 3日本原子力エンジニアリング)
○Takanori Shibata1, Kesao Nanmo1, Kiyonori Ohkoshi2, Katsuhiro Shinto2, Kentaro Tobita31KEK, 2JAEA, 3NECO)
 
J-PARCでは2024年に、RCSシンクロトロンで1MW, MRシンクロトロンで800kWと建設当初の目標を超える陽子ビーム強度を達成し、最近は更なる大強度化に向けた加速器のアップグレードに関する議論が開始された。イオン源(負水素イオン:H-イオン)においては、2024年度は1MW運転に対してイオン源から62.5mAのH-イオンビームを出力し、またRCS1.5MW運転を目標とした加速器スタディ(R&D)に対しては75.0mAの出力を供給した。上記の条件におけるイオン源出力は、2019年ごろまでに確認されていたため加速器スタディ対応が可能であった。更に次のアップグレードではイオン源大出力の確認を加速器に先んじて実施する必要がある。今年のJ-PARC加速器国際諮問委員会(ATAC2025)では、一案としてRCSでの2.0MW陽子ビーム運転目標が提案された。この目標値に対するイオン源仕様として、現在と同じ初段ビームエネルギー(50keV)を維持してビーム電流値を85mA以上に引き上げることが要求として示された。上記要求値を念頭に、イオン源では大出力H-イオンビーム試験を実施した。本報告では、特に90mAのH-イオンビーム出力試験におけるイオン源の安定性、および位相空間などビーム性能について議論する。
 
13:00-15:00 
THP040

SACLA高度化に向けた高輝度電子銃用単結晶CeIr2熱電子源の研究開発
Research and development of a single crystalline CeIr2 thermionic cathode for a high-brightness electron gun toward SACLA upgrade
○佐藤 大輔1, 渡川 和晃2, 菅原 仁31(国研)産業技術総合研究所, 2理化学研究所, 3神戸大学)
○Daisuke Sato1, Kazuaki Togawa2, Hitoshi Sugawara31AIST, 2RIKEN SPring-8 Center, 3Kobe University)
 
理化学研究所のSPring-8では、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAの高出力化に向けた研究開発を推進している。将来的には、現状のSACLAと比較して輝度とパルス繰り返しの両性能を向上させたXFEL光の発生を目指しており、新たに高輝度・高繰り返し電子銃の検討を進めている。新型電子銃においては、ビームのピーク電流量1Aを維持しつつ、電子ビームの初期エミッタンスを小さくすることで高輝度化を目指す計画である。そのため、従来よりも小さなカソード径の熱電子源を用いて、より高い電流密度で電子銃を運転する必要がある。このような電子銃においては、熱電子源として仕事関数が小さく、かつ寿命の長い高融点材料を使用することが必須である。本研究では、低仕事関数材料として知られるセリウムイリジウム合金の単結晶化に取り組み、その熱電子放出特性の評価とSACLA電子銃テストスタンドでのビーム試験を進めている。本会議においてその研究開発の現状を報告する。
 
13:00-15:00 
THP041

Recent Progress on Highly Charged Ion Beam Production from the RIKEN 18GHz ECRIS
○Saquilayan Glynnis Mae, Yoshihide Higurashi, Takashi Nagatomo, Yasuyuki Morita, Osamu Kamigaito(RIKEN Nishina Center Accelerator Group)
 
The R-18GHz Electron Cyclotron Resonance Ion Source (ECRIS) has been providing stable medium to heavy ion beams for the Radioactive Isotope Beam Facility (RIBF) at RIKEN. Highly charged ions of 40Ar, 84Kr, and 129Xe have been produced and accelerated for various nuclear physics experiments. The ion source operational parameters such as the chamber gas pressure and injected RF power have been studied as it affects the charge state distribution in the ECR plasma. To yield higher beam intensities, an empirical technique involving gas mixing has also been used. With oxygen as the mixing gas, measurements of the charge state distribution have been performed for different gas mixing ratios. Calculated mean charge state in the ECR plasma was observed to increase which has also enhanced the beam intensity for higher charge state ions. In this systematic study, the dependence on the RF power, chamber gas pressure and gas mixing ratios were investigated to understand the influence of gas mixing on the ion charge state distribution in the ECR plasma.
 
ポスターセッション② (8月7日 61A)
13:00-15:00 
THP042

ECRイオン源のビーム量増強と運用効率向上のための引き出し電極の改良
Improvement of extraction electrode for increasing beam amount and operational efficiency of ECR ??ion source
○斎藤 僚太(RARiS)
○Ryota Saito(RARiS)
 
東北大学先端量子ビーム科学研究センター(RARIS)の保有する930型AVFサイクロトロンでは、イオン源から供給されたイオンを加速し、ターゲットに当てることで原子核反応を生じさせ、散乱の様子などを観測することで原子核の性質を調べるということを行なっている。イオン源からサイクロトロンに供給できるビームを増やすことができれば、ターゲットまで輸送できるイオンの量が増加し、原子核反応数の増加による統計誤差の減少や加速器の運用時間の短縮などの利点が期待できる。今回の実験では、AVFサイクロトロンにイオンを供給するイオン源のうち、炭素や酸素などのイオンを供給するECRイオン源の電極を改良することでビーム量を増強させることを試みた。また、従来の電極では、導入から半年ほどで電極への電圧印加ができなくなるといった課題も生じたため、長期的な運用が可能な電極を作成することを目指す。
 
13:00-15:00 
THP043

リングサイクロトロンにおける多目的RF空洞最適化のための変分オートエンコーダによる次元削減
Dimensionality Reduction with Variational Autoencoders for Multiobjective RF Cavity Optimization in Ring Cyclotron

○Shali Ahsani Hafizhu, 福田 光宏, 依田 哲彦, 神田 浩樹, 松田 洋平, 荘 浚謙, 趙 航, 松井 昇大朗, 井村 友紀, 板倉 菜美, 石畑 翔, 辻坂 匡(大阪大学)
○Ahsani Hafizhu Shali, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yohei Matsuda, Tsun Him Chong, Hang Zhao, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Nami Itakura, Sho Ishihata, Tasuku Tsujisaka(The University of Osaka)
 
A variational autoencoder-assisted multi-objective optimization scheme for the design of RF cavities in a ring cyclotron is studied. The cavity geometry is parameterized using Non-Uniform Rational B-Splines (NURBS), with control point positions and weights acting as the design space. A variational autoencoder is trained to learn low-dimensional latent representation of NURBS parameters, allowing optimization processes to run efficiently. Multi-objective optimization is performed in the latent space using differential evolution, with objective functions evaluated using an ensemble of neural network surrogate models trained on eigenmode simulations from Ansys HFSS. Both the surrogate model and the variational autoencoder are periodically retrained during the optimization process using new simulation data, improving the accuracy. In this presentation, we demonstrate that dimensionality reduction of the design space using a variational autoencoder can reduce the number of function evaluations required by differential evolution, potentially improving overall optimization efficiency.
 
13:00-15:00 
THP045

放射光源加速器のための1.5GHz-TM020高調波空洞の大電力モデル設計
Design of high power model of the 1.5GHz-TM020 Harmonic cavity for a synchrotron ring

○山本 尚人1, 山口 孝明1, 坂中 章悟1, 髙橋 毅1, 内藤 大地1, 山田 寛人2, 須山 寛2, 坂口 香織21高エネルギー加速器研究機構, 2東芝エネルギーシステムズ株式会社)
○Naoto Yamamoto1, Takaaki Yamaguchi1, Shogo Sakanaka1, Takeshi Takahashi1, Daichi Naito1, Hiroto Yamada2, Hiroshi Suyama2, Kaori Sakaguchi21KEK, 2Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation)
 
高調波空洞を用いたバンチ伸張は高輝度放射光源リングにおいて、大電流蓄積時のエミッタンス増大・ビーム不安定性・真空機器発熱の抑制、十分なビーム寿命の確保を目的として用いられる。
KEKでは過渡的電圧変動に強いTM020型の1.5GHz空洞の開発設計が進んでおり[1]、これまでに高周波設計と低電力モデルによる性能確認が終わっている[2]。2024年度は、本空洞の実機製作を見据え大電力モデルの検討を行った。
具体的には、設計・組み立て精度を考慮した3次元空洞モデルの製作、実際の熱負荷と冷却水路を考慮した熱構造解析、保守性を考慮した高周波ダンパ部の真空フランジ設計が検討項目であり、これらについて一定の結論を得た。
本発表ではこれら検討項目の詳細と残された課題について議論したい。

[1] N. Yamamoto, T. Takahashi, S. Sakanaka, Reduction and compensation of the
transient beam loading effect in a double rf system of synchrotron light sources,
Phys. Rev. Accel. Beams 21 (2018) 012001.
[2] T. Yamaguchi, N. Yamamoto, N. Daichi, T. Takahashi, S. Sakanaka, Design and low-power measurement of 1.5 GHz TM020-type harmonic cavity for KEK future synchrotron light source, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A 1053 (2023) 168362

 
13:00-15:00 
THP046

Nb3Sn SRF空洞のためのワイヤーカソードNbスパッタリング成膜試験と評価
Wire cathode Niobium magnetron sputtering coating test and evaluation for Nb3Sn superconducting cavities
○岡田 貴文1, 2, 山本 将博1, 2, 井藤 隼人1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総研大)
○Takafumi Okada1, 2, Masahiro Yamamoto1, 2, Ito Hayato1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
Nb?Sn超伝導空洞の実現に向けて、ワイヤーカソードを用いたDCスパッタリング試験の進捗について報告する。
Nb?Snは、転移温度がNbより高く、4.2 K運転においてNbを上回る高いQ?値を示すことから、伝導冷却方式による超伝導空洞の実用化における有力な候補とされている。

2023年には、Nb/Snワイヤーカソードを用いた試料作製および表面分析結果を報告したが、カソードの融解という課題が明らかとなった。
これに対処するため、Snメッキを施した銅基板を使用する新たなアプローチが検討された。
本報告では、銅基板およびSnメッキ銅基板に対して行ったNbスパッタリングの実験結果、ならびに表面分析およびMT測定による超伝導特性評価の結果を紹介する。

 
13:00-15:00 
THP047

ワイヤーカソードNb/Zrスパッタリング成膜試験と評価
Wire cathode Niobium/Zirconium magnetron sputtering coating test and evaluation for superconducting cavities
○岡田 貴文1, 2, 山本 将博1, 2, 井藤 隼人1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総研大)
○Takafumi Okada1, 2, Masahiro Yamamoto1, 2, Ito Hayato1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
NbZrはバルクでは、Tc=10 K程度とNbをわずかに上回る程度の合金超伝導体であったため、これまで超伝導RF空洞への応用は期待されていなかった。
しかし、2023年に理想的な対称構造を持つと、Tcは18 K程度まで達するという理論的予測がなされた。
Nb-Zrは合金であり、比較的正確な化学量論比を空洞全体で必要とされるNb3Snに対してより高性能な空洞を得やすい可能性がある。
現在、高いTcを達成したと報告されているNbZr合金は電気めっきを用いたものである。
一方、筆者らはDCワイヤーカソードを用いたNbを超える超伝導空洞の材料開発を行っているが、
ZrはNEGコーティングにも用いられるカソード材料として使われており、Nb-ZrのスパッタはほかのNb3Snなどの超伝導材料と比較して、この手法に適していると考えた。
今回は、初めてNb/Zrワイヤーカソードによるスパッタリング試験を行ったため、その結果と一連の処理および表面特性評価について報告する。

 
13:00-15:00 
THP048

超伝導マッシュルーム空洞のビーズ摂動法による電磁場分布評価手法の検討
Study on evaluation method of electromagnetic field distribution in the superconducting mushroom cavity by bead perturbation method

○相田 大翔, 服部 綾佳(茨城高専)
○Haruto Aida, Ayaka Hattori(NIT (KOSEN), Ibaraki College)
 
超伝導加速空洞の空洞内表面に、超伝導薄膜を多層に成膜し、高い臨界磁場を得る方法の開発研究が行われている。その超伝導薄膜のRF臨界磁場評価のために、評価サンプル面に強い磁場を印加できるTE013モードを共振するマッシュルーム空洞が設計された。これまでの研究で、その設計に基づき製造された室温試験用のアルミ製空洞でTEモードの共振がビーズ測定により確認されている。本研究では、冷却試験用ニオブ製マッシュルーム空洞でも、たしかにTE013モードが励振されることを、室温で確認するための方法を提案し、その方法の妥当性を検討することを目的とする。ここで、課題となるのが、ニオブ製マッシュルーム空洞には、構造上、ビーズ測定のためのワイヤーを張れないことである。そこで、ニオブ製マッシュルーム空洞内に評価サンプルを挿入するための開口部からセラミック棒を挿入し、ニオブ製マッシュルーム空洞内へのセラミック棒の挿入量と共振周波数の変化量から共振モードを特定する方法を提案し、その方法の検証を、すでにTE013モードの共振を確認できているアルミ製マッシュルーム空洞に対して行い、実測値とCSTによるシミュレーションからの算出値とを比較した。その結果、両者のセラミック棒の挿入長に対する変化の傾向は類似したものであったが、変化量に差がみられた。本発表ではその差の原因について検討した結果を踏まえ、提案した方法の妥当性を議論する。
 
13:00-15:00 
THP049

1.3 GHz Nb/Cuフルシームレス液圧成形空洞の性能向上
Improvement of performance for 1.3 GHz Nb/Cu hydroformed full-seamless cavity
○山中 将1, 荒木 隼人1, ロサズ ギローム2, ピラ クリスティアン3, 八木 祐介41高エネ研, 2セルン, 3INFN, 4中野科学)
○Masashi Yamanaka1, Hayato Araki1, Guillaume Rosaz2, Cristian Pira3, Yushuke Yagi41KEK, 2CERN, 3INFN, 4Nakano & Co. Labs)
 
超伝導空洞のコストを低減するために、銅で空洞本体を製作し、内部をニオブでコーティングして超伝導を発現させ、廉価な空洞を実現する研究が近年、盛んに行われている。加速空洞の内面は滑らかさが求められ、コーティングの下地は継ぎ目の無い空洞が理想的である。そこで、1本の銅パイプから継ぎ目のないシームレス空洞を製造することを着想し、液圧成形による試作に成功した。 CERNにて、マグネトロンスパッタリングにより膜厚約5 ?mのニオブコーティングを施した。KEKにて電界性能試験を行い、加速勾配は4 Kで12 MV/m、1.85Kで16 MV/mに到達した。さらに性能向上を図るための改良を行っている。液圧成形後のセル内面は肌荒れが生じる。これをポリッシングで平滑して粗さを改善する取組みと、セル形状精度を向上するために新しく金型を設計して、液圧成形を行った結果について報告する。
 
13:00-15:00 
THP050

PF-Ringクライストロンで発生した出力不安定事象の原因調査と対策
Investigation into the cause of an output failure of a PF-Ring's klystron

○本村 新, 坂中 章悟, 高橋 毅, 内藤 大地, 山本 尚人(高エネルギー加速器研究機構)
○Arata Motomura, Shogo Sakanaka, Takeshi Takahashi, Daichi Naito, Naoto Yamamoto(High energy accelerator research organization)
 
KEK PF-Ringでは高周波(RF)増幅器として周波数500.1 MHzのCWクライストロン(キヤノン電子管デバイス E3774)を4台使用している。2024年12月頃、このうちの1台において、一定以上のRF電力を出力しようとすると空洞からの反射が突如大幅に増加し機器保護インターロックによりRFが停止する事象が発生した。該当クライストロンの使用時間はヒーター通電時間で約6万時間程度であった。また、空洞入力RFシグナルを2023年度に導入したデジタルRF制御システムの高速モニタを用い観測すると、RF出力停止直前に振幅と位相に大きな変動が生じていることが確認された。この結果からクライストロン本体に異常が発生している可能性が高いと判断した。続いて該当のクライストロンをダミーロードに接続し大電力試験を行ったところ、上述したRF出力とほぼ同じ値にてRF増幅ゲインの不連続な変動が観測された。また、この変動の振る舞いはクライストロンビーム電流集束用のソレノイドコイル電流値により変化することも確認された。以上の観測事実からクライストロン内部でのマルチパクタ放電が疑われたものの、PFでは同じクライストロンを用いての運転継続が必要であったため、ソレノイドコイル電流値を調整して新たな運転条件を探した。その結果、PF運転に必要な出力電力範囲にて運転可能な条件を見出すことに成功し、その後の運転を継続することができた。本発表では今回生じた不具合および対策の詳細について報告する。
 
13:00-15:00 
THP051

J-PARCリニアック低電力高周波制御システムの現状と更新の方針
Current Status of LLRF System for J-PARC LINAC

○二ツ川 健太1, 4, Ersin Cicek1, 4, Delialioglu Osman4, 方 志高1, 4, 福井 佑治1, 溝端 仁志1, 中野 秀仁2, 佐藤 福克31高エネルギー加速器研究開発機構, 2日本原子力研究開発機構, 3株式会社NAT, 4総合研究大学院大学)
○Kenta Futatsukawa1, 4, Ersin Cicek1, 4, Osman Emre Delialioglu4, Zhigao Fang1, 4, Yuji Fukui1, Satoshi Mizobata1, Hideto Nakano2, Yoshikatsu Sato31High Energy Accelerator Research Organization, 2Japan Atomic Energy Agency, 3NAT Corporation, 4SOKENDAI)
 
J-PARCリニアックの低電力高周波制御システム(LLRF)では, デジタルフィードバック・フィードフォワード(DFB&DFF)システムを活用して, 高精度の空洞内電界を実現し, 安定した出射運動量を下流のRCSへ供給するために重要な役目を果たしている。ピーク電流で50 mAという大電流ビームを加速するJ-PARCリニアックでは, ビーム負荷補償が空洞内電界の安定性を担保するために最も重要な役目となる。これまで, デジタル系が更新された324-MHzステーションにおいて, 間引きがないMLF行きのビームに対しては, 実測した応答関数を用いて周波数領域での計算を使用した適応型のビーム負荷補償を実装して, 高精度の空洞内電界を実現させていた。2024年の夏期シャットダウン以降は, 間引きしたMR行のビームに対応した適応型のビーム負荷補償システムを実装して、運用を開始した。これにより、間引きのビームに対しても高周波の要求性能を満たせるようになった。 本講演では, 現在のJ-PARCリニアックのLLRFシステムの現状を報告する。
 
13:00-15:00 
THP052

J-PARCリニアックの972-MHzデジタルシステム更新時のための実証試験
Demonstration of 972-MHz Digital Feedback and Feedforward System Update for J-PARC LINAC

○二ツ川 健太1, 4, Ersin Cicek1, 4, Delialioglu Osman4, 方 志高1, 福井 佑治1, 溝端 仁志1, 中野 秀仁2, 佐藤 福克31高エネルギー加速器研究開発機構, 2日本原子力研究開発機構, 3株式会社NAT, 4総合研究大学院大学)
○Kenta Futatsukawa1, 4, Ersin Cicek1, 4, Osman Emre Delialioglu4, Zhigao Fang1, Yuji Fukui1, Satoshi Mizobata1, Hideto Nakano2, Yoshikatsu Sato31High Energy Accelerator Research Organization, 2Japan Atomic Energy Agency, 3NAT Corporation, 4SOKENDAI)
 
J-PARCリニアックの低電力高周波制御システム(LLRF)は, 324-MHzシステムでのビーム運転が開始されてから15年以上使用されてきた。デジタルフィードバック・フィードフォワード(DFB&DFF)システムはアナログボードもデジタルボードも製造中止になり, 今後も運転を継続するためにはシステムの更新が必要になっている。324-MHzのシステムは, 既に全てのデジタル系は更新され, 来年度にはアナログ系の更新も予定している。一方で, 972-MHzシステムの更新は, 今後の課題である。そこで, デジタル系が更新されていない972-MHzのACS21に暫定的にデジタイザボックスを導入して, システムの動作試験を実施した。細かいデバックはあったが, これまで324-MHz系の更新時に開発したシステムを活用することができ, 高精度のビーム負荷補償を実施することもできた。 本講演では, 972-MHz ACS21ステーションに, 暫定的にデジタイザボックスを導入して試験を行った結果を示す。
 
13:00-15:00 
THP053

SuperKEKB加速空洞における過渡的ビーム負荷の状況
Present Situation of Transient Beam Loading in SuperKEKB Acceleration Cavity

○小林 鉄也, 阿部 哲郎, 山口 孝明(高エネ研)
○Tetsuya Kobayashi, Tetsuo Abe, Takaaki Yamaguchi(KEK)
 
SuperKEKBは電子陽電子非対称衝突型円形加速器で、新物理の探索を目的として前人未到のルミノシティ達成を目指し、デザイン蓄積ビーム電流も非常に挑戦的な値である。高周波加速システムにとっても多くの課題があり、過渡的ビーム負荷もその1つである。ここで過渡的ビーム負荷とは、バンチ列中のアボート・ギャップ(=アボート・キッカー立ち上げ用の空バケットが続く歯抜け部分)により加速電圧に変調が起こることである。これによりバンチ毎の同期位相がずれ、ルミノシティの低下が懸念される。更にSuperKEKBではアレス空洞と呼ばれる特殊な3連空洞システム(π/2モード運転)を採用しているため、ギャップにより寄生モード(0, π モード)が励起される。その結果、通常の変調に加えて、バンチ列の先頭(ギャップ直後)に速くて大きな位相変化が作られる。これは衝突への影響の他にも、アレス空洞に備わる0, π モード減衰器への電力負荷の増加も懸念される。本発表では、過渡的ビーム負荷の課題について改めて整理しつつ、最近の運転状況(空洞変調の測定結果など)を紹介する。現在の蓄積ビーム電流は1.6A(デザイン電流は3.6A)で大きな問題にならずにルミノシティの世界最高記録を更新した。デザイン電流における評価や対策案などはすでに論文発表されているが、シミューションにおけるアレス空洞のパラメータ(空洞間結合度)の扱いに進展があり、より実際に近い評価が可能となったので、改めてシミュレーンと測定結果を比較する。
 
13:00-15:00 
THP054

ILC用 MARX電源における制御電源供給の信頼性向上
Improving the reliability of the control power supply in the ILC MARX Modulator

○澤村 陽1, 徳地 明1, 明本 光生2, 中島 啓光21株式会社パルスパワー技術研究所, 2高エネルギー加速器研究機構 (KEK))
○Yo Sawamura1, Akira Tokuchi1, Mitsuo Akemoto2, Hiromitsu Nakajima21Pulsed Power Japan Laboratory Ltd., 2High Energy Accelerator Research Organization KEK)
 
ILC(国際リニアコライダー)計画は、全長約30kmの直線加速器により、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験を行う計画である。宇宙初期に匹敵する高エネルギーの反応を作り出すことによって、宇宙創成や時間・空間、質量の謎に迫る。
クライストロン電源は、マルクス変調器と呼ばれる装置であり、120kV、140A、1.65msのパルス電圧を生成してマルチビームクライストロンのカソードに供給する。
本稿では、ILC加速器に設置されるクライストロン用モジュレータ電源の信頼性向上に関する取り組みについて報告する。搭載される電源には、小型化、低コスト化、高信頼性が強く求められており、出力するパルスについても、フラットトップ1.65msという長いパルス幅と、電圧変動率1%以内という高い精度および高信頼性が要求される。

本研究では、ILC用MARX電源における制御用電源DCDCコンバータを、市販品のDCDCコンバータから高周波トランス方式に置換することで、信頼性の向上を図った。その設計と評価について述べる。

信頼性の課題として、MARXユニットで出力過電流異常が発生した。その原因はDCDCコンバータにあると考えられたため、コロナ放電試験による評価を行い、高周波トランス方式への置換対策を実施した。

 
13:00-15:00 
THP055

SPring-8 高周波加速システムにおける RF位相の初期化と整列
RF phase initialization and alignment of the RF acceleration system at SPring-8

○岩井 瑛人1, 2, 大島 隆1, 2, 前坂 比呂和2, 1, 稲垣 隆宏2, 11高輝度光科学研究センター, 2理研RSC)
○Eito Iwai1, 2, Takashi Ohshima1, 2, Hirokazu Maesaka2, 1, Takahiro Inagaki2, 11JASRI, 2RSC)
 
SPring-8 では SPring-8-II アップグレードに先行して MTCA.4 ベースの LLRF システムに移行した。この LLRFシステムでは、加速空洞の共振周波数 508.58 MHz の 5/7 倍 の 363.27 MHz をサンプリングクロックとした ADC でアンダーサンプリングによる IQ検波を行い、RFの振幅, 位相を測定する。この IQ検波 では数値制御発振器(NCO; Numerically Controlled Oscillator) を用いて計算を行うが、このNCO が基本周波数に対するどのサンプリングクロックを起点にするかにより、位相計算値に 144度毎/72度単位の不定性が生ずるため、適切な初期化が必要である。SPring-8 には4つのRFステーションがあるため、ステーション間の位相関係がずれると、蓄積ビームに対する加速電場が低下し、ビーム寿命の低下などの問題を生じる。これまでは各ステーションのRFの振幅と位相を大きく振ってシンクロトロン振動周波数を測定し、その応答をフィットすることで各ステーションの振幅と位相を測定してきた。ただし、この測定には時間がかかるので、その代替方法として、先行研究[1, 2] を参考に蓄積電流を増加した際のクライストロン出力電力の増加率と空洞ピックアップ電圧の増減率からステーション間, 空洞間の位相差を推定する試験を行なった。SPring-8 におけるこれらの取り組みについて紹介する。
[1] T. Kobayashi et al., Proc. of PASJ2020, WEPP38.
[2] S. Ogasawara et al., Proc. of PASJ2022, TUP048.

 
13:00-15:00 
THP056

半導体MARX型パルス電源における出力電圧オーバーシュート抑制方法の検討
Suppression of output voltage overshoot on solid-state MARX-type pulsed power supplies

○生駒 直弥, 徳地 明(パルスパワー技術研究所)
○Naoya Ikoma, Akira Tokuchi(PPJ)
 
我々はこれまで,半導体MARX方式を採用したパルスクライストロン及びマグネトロンモジュレータ電源を開発してきた.そのような電源では,負荷短絡時に,短絡電流の増加を遅らせるため,電源内部に直列リアクトルを挿入する方法が採られる.一方負荷には,出力ケーブル等に起因する浮遊容量が並列に入っており,これらのLC共振によって出力電圧にオーバーシュートが生じることがあった.半導体MARX方式は,各段に異なるトリガ信号を入力することで柔軟な波形制御が可能という原理的な特徴を有しているため,今回8段のMARX回路を試作し,出力電圧を階段状に立ち上げることによる,オーバーシュート抑制効果を検討したので報告する.
 
13:00-15:00 
THP057

J-PARC MRにおける三次共鳴補正のためのTrim-Sアップグレードの設計
The design of Trim-S upgrade for third-order resonance correction at J-PARC MR

○譚 玉蓮1, 下川 哲司1, 森田 裕一1, 安居 孝晃1, 吉井 正人1, 發知 英明1, 五十嵐 進1, 三浦 一喜1, 小野 礼人1, 佐川 隆2, 吉成 柾31高エネルギー加速器研究機構, 2ユニバーサルエンジニアリング, 3株式会社NAT)
○Yulian Tan1, Tetsushi Shimogawa1, Yuichi Morita1, Takaaki Yasui1, Masahito Yoshii1, Hideaki Hotchi1, Susumu Igarashi1, Kazuki Miura1, Ayato Ono1, Ryu Sagawa2, Masaki Yoshinari31KEK, 2Universal Engineering, 3NAT Corporation)
 
In the J-PARC Main Ring (MR), suppressing beam loss has become the top priority in achieving a 1.3 MW beam, as maintaining a hands-on maintenance environment is essential. One of the primary sources of beam loss is the random third-order resonances of 3νx = 64 and νx + 2νy = 64. We have successfully mitigated these beam losses using 4 Trim-S units, either the original 4 sets or 4 newly selected ones. However, beam loss persists due to the resonance influence on off-momentum particles (?p/p = + 0.2% and -0.2%) and unaddressed fourth-order resonance 4νx = 85, which is combined by νx = 21 and 3νx = 64. Hence, a project involving 24 Trim-S units has been proposed. This paper presents the specifications and overall configuration of the Trim-S upgrade based on the parameters of Trim-S magnets and current settings, with consideration of the MR 1.3 MW power upgrade.
 
ポスターセッション② (8月7日 61B)
13:00-15:00 
THP058

小型放射光源のための複合機能型電磁石の開発
Research and development of combined-function magnets for a compact synchrotron light source

○奈良井 隆也1, Christian John2, 島田 美帆3, 2, 宮内 洋司3, 2, 原田 健太郎3, 高嶋 圭史4, 加藤 政博2, 51広島大学, 2HiSOR, 3高エネ研, 4名古屋大学, 5UVSOR)
○Takaya Narai1, John Christian2, Miho Shimada3, 2, Hiroshi Miyauchi3, 2, Kentaro Harada3, Yoshifumi Takashima4, Masahiro Katoh2, 51Hiroshima University, 2HiSOR, 3KEK, 4Nagoya Univ., 5UVSOR)
 
HiSORは1990年代に建設され、その後30年近くにわたり真空紫外・軟X線領域を得意とする低エネルギー放射光源として稼働を続けてきた。しかし、極めてコンパクトで合理的な設計であるため、新しい技術の導入による性能向上の余地がなく、光源性能の競争力の低下や老朽化による故障の増大などの問題に直面している。このため、ストレージリングの全面的な更新を含む将来計画の検討を進めている。大学の施設として適正な規模で高輝度低エネルギー放射光源を実現するための方策の一つとして、ラティス電磁石は全面的に複合機能型とする予定である。磁極面形状による多極磁場発生に補助コイルを組み合わせることで一定範囲での多極磁場強度の可変性を実現することを目指す。設計検討の最新の状況を報告する。
 
13:00-15:00 
THP059

加速器電源への応用のためのスイッチング素子「Solidtron」の評価試験
Evaluation test of “Solidtron” solid-state switching device for accelerator applications

○言美 龍二郎, 生駒 直弥, 徳地 明((株)パルスパワー技術研究所)
○Ryujiro Gombi, Naoya Ikoma, Akira Tokuchi(PPJ)
 
加速器では,多数の高電圧パルス電源が用いられる.高電圧パルス電源の要となる要素の1つが,スイッチング素子である.高電圧パルス電源のスイッチング素子としては,従来はサイラトロンが用いられてきたが,近年は制御性や寿命等の観点からSiC MOSFETをはじめとしたパワー半導体デバイスを採用した電源の開発が進んでいる.本研究では,加速器電源への応用を目指し,近年新たに登場したサイリスタの一種であるExcelitas Technologies社製「Solidtron」の性能を評価したので報告する.
 
13:00-15:00 
THP060

HL-LHC向け超伝導磁石 D1 のクエンチ保護システム安定性評価と 超伝導挿入光源への展開
Evaluation of quench protection system for the HL-LHC D1 magnet with an advanced simulation and its extensive application to new superconducting insertion devices

○西 将汰1, 鈴木 研人2, 4, 菅野 未知央2, 4, 中本 建志2, 4, 荻津 透2, 4, 山崎 祐司3, 満田 史織2, 5, 1, 篠原 智史2, 5, 齊藤 寛峻2, 51総合研究大学院大学, 2高エネルギー加速器研究機構, 3神戸大学, 4共通基盤施設 超伝導低温工学センター, 5加速器研究施設 第六研究系)
○Shota Nishi1, Kento Suzuki2, 4, Michinaka Sugano2, 4, Tatsushi Nakamoto2, 4, Toru Ogitsu2, 4, Yuji Yamazaki3, Chikaori Mitsuda2, 5, 1, Satoshi Shinohara2, 5, Saito Hirotoshi2, 51SOKENDAI, 2KEK, 3Kobe University, 4ARL Cryogenic Science Center, 5ACCL Accelerator Division)
 
高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、超伝導低温工学センターを中心にLHC高輝度化アップグレード(HL-LHC)向けビーム分離用双極磁石D1の試験/量産化を行っている。D1は150mmの大口径で、定格電流 12110 Aにて積分磁場 35 T・mを発生し、蓄積エネルギーは2.1 MJに及ぶ、NbTi製超伝導磁石である。 熱擾乱などで常伝導転移(クエンチ)が起こると、ジュール発熱で、急激にコイル温度が上昇し、最悪の場合、熱焼損を伴うリスクが発生する。そのためクエンチ発生後の即断的な電流遮断で、コイルの温度上昇を最小限に抑え熱焼損を防ぐクエンチ保護が重要である。KEK磁石試験では、蓄積エネルギーを回収する外部抵抗として5器並列の非線形抵抗器が導入されたが、その個体差や温度依存性で、非線形性がばらつき、特定の非線形抵抗器に流れる電流値の過剰な増加や、エネルギー回収効率の低下、周辺機器への影響が懸念された。そこで、非線形抵抗器のモデルを精密化し、高精度クエンチシミュレーションを作成した。そして、これまでの励磁試験における非線形性のばらつきの範囲で磁石が安全に保護できることを確かめた。 また本研究で開発したシミュレーションを応用し、KEK PF次世代光源リングに向けたNb3Sn超伝導挿入光源(SC-MPW)への展開を目指している。本発表では独自に開発したシミュレーションによるD1クエンチシステムの安定性評価に加え、さらなる大電流密度化が必須となるSC-MPWのクエンチ保護の検討状況を報告する。
 
13:00-15:00 
THP061

3GeV陽子ビーム輸送施設のためのパルス偏向電磁石とセプタム電磁石の検討
Pulse bending magnet and septum magnet for 3-GeV proton beam transport line

○山口 雄司1, 近藤 恭弘1, 明午 伸一郎1, 高柳 智弘1, 藤森 寛2, 篠崎 信一11原子力機構, 2高エネ機構)
○Yuji Yamaguchi1, Yasuhiro Kondo1, Shin-ichiro Meigo1, Tomohiro Takayanagi1, Hiroshi Fujimori2, Shinichi Shinozaki11JAEA, 2KEK)
 
J-PARC 3GeV陽子ビーム輸送施設(3NBT)では,3GeVシンクロトロンから物質・生命科学実験施設(MLF)へ陽子ビームを輸送している。MLFの利用運転では設計ビーム出力1 MWが達成され,将来施設として第2ターゲットステーション(TS2)の計画がある。TS2への陽子ビーム輸送については,3NBTラインの途中に分岐をつくってビームを振り分ける計画となっており,振り分け方法の一案はパルス偏向電磁石の利用である。この方法ではパルス偏向電磁石の他に,分岐ラインと干渉し得る既存の偏向電磁石に取って代わる偏向電磁石が必要となる。本発表では,これら電磁石に関する設計検討の現状を報告する。
 
13:00-15:00 
THP062

BigRIPSの第一超伝導三連四重極電磁石 (STQ1)における励磁試験
Excitation Test of the First Superconducting Triplet Quadrupole Magnet (STQ1) in BigRIPS

○吉本 雅浩, 日下 健祐, 柳澤 善行, 大竹 政雄, 吉田 光一, 道正 新一郎(理化学研究所 仁科センター)
○Masahiro Yoshimoto, Kensuke Kusaka, Yoshiyuki Yanagisawa, Masao Ohtake, Koichi Yoshida, Shin-ichiro Michimasa(RIKEN Nishina Center)
 
第一超伝導三連四重極電磁石(STQ1)は、生成された不安定原子核を効率的に収束させるため、超伝導RIビーム分離生成装置BigRIPSにおけるRIビーム生成標的直下に配置され、高放射線環境下で運用されてきた。不安定核は、220~345 MeV/核子のエネルギーを持つ重陽子からウランまでの高出力(1~20 kW)イオンビームの照射によって生成される。STQ1は、3連の超伝導四重極電磁石と、3番目の四重極電磁石の内側に配置された1基の超伝導六極電磁石で構成され、広角度に広がるRIビームを高効率で収集するため、大立体角アクセプタンスを有している。生成標的からの放射線による熱負荷を低減する目的で、空芯構造を採用している。コイルはレーストラック型で、NbTi超伝導線をエポキシ樹脂で成形している。エポキシの耐線量限度が10 MGyオーダーであるのに対し、運用を開始した2007年からの積算線量は約2 MGyと見積もられている。 STQ1は各実験シーズンごとに液体ヘリウムで冷却された後、励磁試験を実施している。コミッショニング以来、電流掃引中にコイル間の電圧を測定した結果、多数の電圧スパイクが継続的に観測されている。本発表では、これらの観測結果を詳細に報告するとともに、将来的なコイルの健全性について議論する。
 
13:00-15:00 
THP063

SuperKEKBビームエキサイト用バーティカルキッカー
VERTICAL KICKERS FOR SuperKEKB BEAM EXCITATION

○内藤 孝, 小玉 恒太(高エネルギー加速器研究機構)
○Takashi Naito, Kota Kodama(High Energy Accelerator Research Organization(KEK))
 
SuperKEKBリングに於いて、リングの特性を知るために周回ビームに振動を起こす
装置が必要となる。水平方向の振動は入射キッカーの振幅を調整することによって
行うことが出来るが、垂直方向の振動を起こすためのキッカーが必要になる。振動
は最大50micro-rad程度なのでキッカーマグネットは既存のものを使い、パルス
電源は新たにサイリスタを用いた小型パルス電源を開発した。この小型パルス電源
は+/-極性切り替えを可能にするなどの特色を持つ。
本報告では、その開発状況について報告する。

 
13:00-15:00 
THP064

直流偏向電磁石用磁場測定プローブの設計
Design of a magnetic field measurement probe for DC bending magnets

○横山 和枝1, 染谷 宏彦1, 鈴木 和彦21高エネルギー加速器研究機構, 2三菱電機システムサービス(株))
○Kazue Yokoyama1, Hirohiko Someya 1, Kazuhiko Suzuki21High Energy Accelerator Research Organization, 2Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.)
 
KEK電子陽電子入射器は、異なるビームモード(エネルギー、電荷量など)で4つのリング(PF、PF-AR、KEKB e-/e+)へ同時入射を行っている。リアルタイムでのビーム診断やビーム照射実験をリングへの入射と同時に行えるように、昨年、ビームラインの改造を行った。切り替え電磁石をパルス化し、分岐した下流にそれぞれ異なるタイプの偏向電磁石を新設した。ここでは、各々の偏向電磁石の磁場測定用に製作した2種類のプローブについて報告する。
 
13:00-15:00 
THP065

RFSoCを使ったストリップライン型BPM用検波器の開発と評価
Development and evaluation of an RFSoC based stripline BPM readout hardware prototype

○Urbschat Bela1, 2, 三塚 岳2, Ruckman Larry31名大, 2高エ研, 3SLAC)
○Bela Urbschat1, 2, Gaku Mitsuka2, Larry Ruckman31Nagoya U., 2KEK, 3SLAC)
 
AMD社のRFSoCという集積回路を使用して、Beam Position Monitor(BPM)の読み出し回路の開発を行う。RFSoCはアナログ-デジタル変換回路(ADC)、大規模なFPGAとCPUなどを一つの集積回路にまとめたもので、非常に柔軟なプラットフォームである。開発する装置はKEKのLinacとSuperKEKBをつなげるBeam Transport Line(BT)に取り付け、SuperKEKBの入射点直前のビーム軌道を測る予定。具体的には、既存の装置ではできない、96 ns間隔で2つのバンチが入射される「2バンチ入射モード」において、バンチ毎の軌道測定の実現を目指す。また、今後は軌道測定で得られる情報を入射調整のインプットとして活用し、よりよい入射効率の達成に貢献できると考える。SuperKEKB・Belle IIが目指す前代未聞のルミノシティーの達成には大電流での運転が必要で、そのような電流を保つためには常に高い効率での入射が欠かせない。上記の研究を通じて、入射効率の向上を図り、SuperKEKB・Belle IIの運用に貢献する。本発表では読み出し回路のプロトタイプの開発と、KEKのLinacを使った試験または評価の結果について報告する。
 
13:00-15:00 
THP066

J-PARCリニアックMEBT2における縦方向ビームマッチングのためのバンチシェイプモニタのトラブル事例と進捗報告
Trouble Cases and Progress Report of Bunch Shape Monitor for Longitudinal Beam Matching in J-PARC Linac MEBT2

○宮尾 智章1, 守屋 克洋2, 石川 将樹3, 諸橋 裕子2, 神谷 潤一郎21KEK J-PARC, 2JAEA J-PARC, 3NECO)
○Tomoaki Miyao1, Katsuhiro Moriya2, Masaki Ishikawa3, Yuko Morohashi2, Junichiro Kamiya21KEK J-PARC, 2JAEA J-PARC, 3NECO)
 
J-PARCリニアックは324MHzと972MHzのRFを用いてビームを加速している。周波数が変わる場所(MEBT2)で縦方向ビームをラティスにマッチするために、バンチシェイプモニタ(BSM)を用いてビーム縦方向の分布を測定できるように調整を進めている。BSM開発者の協力により、2012年にJ-PARC用BSMが開発・設置されたが、2024年11月にこのBSMが故障した。多くの問題を抱えていたこのBSMは2025年1月に撤去され、現在はJ-PARCで開発した新しいBSMを用いてビーム測定準備を進めている。本報告では、BSMのトラブル事例と新しく開発したBSMの進捗と課題について報告する。
 
13:00-15:00 
THP067

low β 用超伝導線形加速器におけるビーム位置モニターを用いたビームエンベロープの測定
Beam envelope measurements using beam position monitors for low-beta superconducting linear accelerator
○西 隆博1, 渡邉 環1, 足立 泰平1, 小山 亮2, 坂本 成彦1, 山田 一成1, 上垣外 修一11理化学研究所 仁科加速器科学研究センター, 2住重加速器サービス)
○Takahiro Nishi1, Tamaki Watanabe1, Taihei Adachi1, Ryo Koyama2, Naruhiko Sakamoto1, Kazunari Yamada1, Osamu Kamigaito11RIKEN Nishina Center, 2SHI Accelerator Service Ltd.)
 
超伝導線形加速器におけるビームダイナミクスの正確なモニタリングは、ビーム損失の最小化と安定した運転の維持にとって非常に重要である。一方で超伝導領域では粒子の発生や脱ガスなどの問題を防ぐため破壊的な検出器を用いることが難しく、ビームエンベロープの直接測定は困難となる。本研究ではこの問題に対処すべく、ビーム位置モニター(BPM)を用いてビーム分布の四重極モーメントを測定することで、ビームエンベロープを非破壊的に推定する手法を試みた。この原理自体は1980年代に提案されていたが、信号感度の不足や従来型BPM設計における幾何学的制約により、特にハドロンビームへの応用は限定的であった。そこで本研究では四重極成分に対する感度が高く、特に low β の重イオンビームに効果的な cos2θ型の電極構造を持つBPMを採用した。これを理化学研究所の超伝導線形加速器(SRILAC)に実装し、8台のBPMからのデータを転送行列および補助的なワイヤスキャナー測定と組み合わせて解析を行った。その結果、推定されたビームエンベロープは標準的な四重極スキャンによる結果と良く一致することが確認された。この結果は本手法が超伝導加速器システムにおける非破壊かつ日常的なビーム診断手法として実用的であることを示唆している。
 
13:00-15:00 
THP068

オートエンコーダー法によるビーム位置検出器データの分析の試み
Attempt to analyze beam position monitor data based on autoencoder method

澤田 康輔1, 笠井 聖二1, ○加藤 政博1, 帯名 崇21広島大学, 2KEK)
Kousuke Sawada1, Seiji Kasai1, ○Masahiro Katoh1, Takashi Obina21Hiroshima University, 2KEK)
 
広島大学、呉工業高専、広島商船高専では、過去数年間、KEK加速器科学国際育成事業(IINAS-NX)の支援を得て、AI・機械学習や仮想現実といった技術最新デジタル技術の加速器分野への応用とそれを通じた人材育成に取り組んできた。残念ながらこの活動へのIINAS-NXの支援は昨年度末で終了したが、これまでの活動のいくつかは、今後もKEKの指導なども得て、自助努力で継続したいと考えている。本発表では、機械学習に関する活動の中から、KEK Photon Factoryのビーム位置検出器のデータを用いたビームの異常や検出系の故障の検出を目指した研究を紹介する。
 
13:00-15:00 
THP069

J-PARC RCS用イントラバンチ型ビーム不安定性抑制装置の検討
Design of an intra-bunch transverse beam stabilizer for J-PARC RCS

○山田 逸平1, 菖蒲田 義博1, 小林 愛音2, 中村 剛2, 外山 毅21原子力機構/J-PARC, 2高エネ研)
○Ippei Yamada1, Yoshihiro Shobuda1, Aine Kobayashi2, Takeshi Nakamura2, Takeshi Toyama21JAEA/J-PARC, 2KEK)
 
J-PARC 3 GeVシンクロトロン(RCS)は,出力1MWの大強度加速器であり,より安定かつ安全な運転を実現するためには,ビームロスの最小化が必須である.そのためには様々な加速器構成機器をパラメータとして,運転条件を最適化する必要がある.しかし,条件によってはビームの不安定性が生じるため,選択可能なパラメータ空間が制限される.ビーム不安定性を回避することができれば,より広範囲なパラメータを選択できるため,不安定性抑制装置の検討を開始した.J-PARC RCSにおける不安定性の主なソースは出射キッカー電磁石の横方向インピーダンスであり,およそ10 MHz以下が主要な成分である.RCSビームの縦方向の全幅は最大で500 ns程度であるため,イントラバンチ型の抑制装置が必要である.そこで既に実装済みの帯域10 MHzのチューン測定用のビーム重心位置モニタ(BPM)およびエキサイタ(ストリップライン型キッカ)を用いて,横方向重心振動を抑制することを検討している.また,BPM測定信号からエキサイタへの出力信号への処理回路は,J-PARC主リング(MR)でも適応可能な回路として設計しており,既に評価段階にある.本発表では,J-PARC RCSのビーム不安定性の現状,およびチューン測定系を用いた不安定性抑制装置の実現可能性の検討について報告する.
 
13:00-15:00 
THP071

SiC半導体検出器を使ったミューオンビームモニターの開発
Development of the Muon Beam Monitor using SiC Semiconductor Sensors

○深尾 祥紀1, 五十嵐 洋一1, 内之八重 広宣1, 岡部 剣也4, 岸下 徹一3, 児島 一聡2, 小杉 亮治2, 庄子 正剛1, 田中 保宣2, 西口 創1, 濱田 英太郎1, 藤田 陽一1, 三原 智1, 山口 佳樹51KEK, 2産総研, 3ボン大学, 4総研大, 5筑波大)
○Yoshinori Fukao1, Youichi Igarashi1, Hironori Uchinoyae1, Kenya Okabe4, Tetsuichi Kishishita3, Kazutoshi Kojima2, Ryouji Kosugi2, Masayoshi Shoji1, Yasunori Tanaka2, Hajime Nishiguchi1, Eitaro Hamada1, Yowichi Fujita1, Satoshi Mihara1, Yoshiki Yamaguchi51KEK, 2AIST, 3University of Bonn, 4SOKENDAI, 5University of Tsukuba)
 
J-PARCで建設中のCOMET実験のためのミューオンビームモニターの開発を行なっている。COMET実験はミューオンから電子への転換事象の探索を行う実験である。ミューオン・電子転換は素粒子の標準模型においては強く制限されており、現在の実験精度で検出されることはない。したがって転換事象が発見された場合、それは標準模型を越えた物理現象であると言える。
稀崩壊事象であるミューオン・電子転換を確実に捕えるためには、安定した測定環境を保証しなければならない。本研究において開発中のミューオンビームモニターは、ビームのプロファイル(位置分布、時間分布)を定常的に監視することで、実験において背景事象の要因となり得る異常なビーム入射を測定データから除去する。
モニターのセンサーとしてはSiC(炭化ケイ素)半導体検出器を使用する。COMET実験では高統計のデータ量が必要であるため、大強度のミューオンビームを利用する。したがって、ビームが直接照射されるセンサー部分は高い放射線耐性を有する必要がある。シンチレーターや通常のシリコン半導体では、放射線損傷による劣化が予想されるため、放射線耐性の高いSiC半導体を採用した。
モニター検出器の試作機を開発し、昨年度にはJ-PARC MLFにおいてミューオンビーム照射試験を行い、ミューオン照射によるSiC半導体検出器の応答を測定した。本発表では、ミューオンビームモニターの開発状況を報告する。

 
13:00-15:00 
THP072

SuperKEKB加速器のための超高速ビームサイズモニターの開発
R&D of an Ultrafast X-ray Beam Size Monitor for SuperKEKB

○能丸 理玖1, 三塚 岳2, Andrew Matthew3, 吉原 圭亮3, Ruckman Larry41東大理, 2高エ研, 3ハワイ大学, 4SLAC)
○Riku Nomaru1, Gaku Mitsuka2, Matthew Andrew3, Keisuke Yoshihara3, Larry Ruckman41UTokyo, 2KEK, 3University of Hawaii, 4SLAC)
 
SuperKEKB加速器は、高ルミノシティ電子・陽電子衝突型加速器であり、自らが樹立した瞬間ルミノシティの世界記録をさらに10倍上回ることを目標としている。しかし、Sudden Beam Loss (SBL)と呼ばれる現象が安定的な加速器運転を妨げている。SBLは、数十マイクロ秒という極めて短い時間でビーム不安定性が発生し、ビームの大部分が失われてビームアボートに至るというものである。これまでの観測結果から、SBL発生時にはビームサイズの急激な増大が起こっている可能性が示唆されている。この高速に発展するビームサイズ不安定性を観測し、SBLの解明に近づくために、我々はバンチバイバンチX線ビームサイズモニターを新たに開発している。本モニターはシンクロトロン放射光をシリコンストリップセンサーで高速に読み出すことで、最小4 ns間隔で到来する全てのバンチの垂直サイズを記録可能とする。また、本モニターはSBLのみならずSuperKEKBでかねてより懸念されてきた電子雲効果などによる様々なビーム不安定性も観測可能なモニターとなる。本発表では、X線ビームサイズモニター開発の詳細と、X線の代わりにレーザー光を用いた初期動作試験の結果を報告する。
 
ポスターセッション③ (8月8日 7-1F-A)
10:00-12:00 
FRP001

クライオモジュール製造に向けた極めて清浄な空洞連結作業の検討
Investigation of an extremely clean string assembly for a cryomodule
○井藤 隼人1, 2, 山田 智宏1, 2, 道前 武1, 2, 山本 康史1, 2, 梅森 健成1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学)
○Ito Hayato1, 2, Tomohiro Yamada1, 2, Takeshi Dohmae1, 2, Yasuchika Yamamoto1, 2, Kensei Umemori1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
超伝導加速器の組み立て工程中に空洞内部へ微粒子(パーティクル)が侵入すると、フィールドエミッションや異常発熱の原因となり、空洞性能を著しく劣化させる。このため、クリーンルーム環境下における空洞連結作業(ストリングアッセンブリ)では、微粒子の侵入を極力抑制するための高度かつ信頼性の高い清浄組み立て技術の確立が、重要な技術的課題となっている。 本研究では、1.3 GHz TESLA型9セル超伝導空洞のエンド部構造を模擬したモックアップを製作し、アッセンブリ工程中に空洞内部へ侵入する微粒子数をリアルタイムで計測可能なパーティクルモニタリングシステムを構築した。さらに、空洞間ベローズの構造および表面処理の見直しを行い、組立時の作業性と清浄度の向上を図った。加えて、クライオモジュール両端に設置されるクリーンゲートバルブの清浄度調査や、ストリングアッセンブリ時に空洞を機械的に支持する空洞サポートポストの検討・試作も実施した。 本発表では、これらの開発項目に関する設計・試作・評価結果について報告するとともに、今後の高清浄なストリングアッセンブリ技術の確立に向けた展望について紹介する。
 
10:00-12:00 
FRP003

SPring-8-II蓄積リングの高周波システムの設計と準備状況
Design and preparation status of the RF system for the SPring-8-II storage ring

○稲垣 隆宏1, 2, 大島 隆2, 1, 斗米 貴人2, 馬込 保2, 1, 岩井 瑛人2, 1, 山口 博史2, 細田 直康2, 前坂 比呂和1, 21理化学研究所/SPring-8, 2JASRI/SPring-8)
○Takahiro Inagaki1, 2, Takashi Ohshima2, 1, Takato Tomai2, Tamotsu Magome2, 1, Eito Iwai2, 1, Hiroshi Yamaguchi2, Naoyasu Hosoda2, Hirokazu Maesaka1, 21RIKEN SPring-8 Center, 2JASRI)
 
SPring-8の放射光輝度を100倍明るくするアップグレード計画SPring-8-IIでは、加速空洞や高周波源、低電力高周波制御系は現在のものをそのまま使用する。電子エネルギーが8 GeVから6 GeVに下がるため、必要な加速電場も16 MVから8 MVに下がる。そこで4か所のRFステーションにて、ベル型加速空洞を32台から16台に減らして4.2 mの直線部に収まるように再設置する。空洞部の両端には光アブソーバを設置して、上流の偏向磁石からの放射光を吸収する。蓄積電流が100 mAから200 mAに増え高周波空洞でのビーム負荷が大きくなるので、カプラーの結合度を調整して反射電力を減らす。4台の空洞への入力電力は合計で500 kW程度であり、既存の1.2 MWクライストロンでドライブ可能である。SPring-8-IIでは、加速空洞の共振周波数が508.58 MHzから508.76 MHzに変更されるが、この違いは空洞のチューナーの調整範囲内であり、クライストロンの帯域にも収まっているので問題無い。電子エネルギーの低下と蓄積電流の増加に伴い、空洞のHOMによる結合バンチ不安定性が起きやすくなるので、各空洞でのHOMの周波数とQ値の評価と、不安定性の回避に向けた検討を進めている。本発表では、これらの準備状況について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP004

阪大産研Cバンド超短パルス電子ビーム加速器の建設
Construction of C-band ultrashort-pulsed electron accelerator at the University of Osaka

○楊 金峰1, 韓 新宇1, 堀 利彦1, 武藤 俊哉1, 古川 和弥1, 福井 宥平1, 誉田 義英1, 細貝 知直1, 増田 剛正2, 大竹 雄次21阪大産研, 2高輝度光科学研究センター)
○Jinfeng Yang1, Xinyu Han1, Toshihiko Hori1, Toshiya Muto1, Kazuya Furukawa1, Yuhei Fukui1, Yoshihide Honda1, Tomonao Hosokai1, Takemasa Masuda2, Yuji Otake21SANKEN, The University of Osaka, 2JASRI)
 
未来社会創造事業「レーザー駆動による量子ビーム加速器の開発と実証」では、相対論的フェムト秒超短パルス電子ビームの発生を目指してCバンド高周波(RF)線形加速器の開発を行い、それを利用したビーム創薬・がん治療の応用研究を進めている。本Cバンド加速器は、レーザー駆動型CバンドフォトカソードRF電子銃、バンチャーと運転温度が20Kの低温加速管から構成され、阪大産研量子ビーム科学研究施設に設置される予定である。本大会では、Cバンド加速器の配置とビームラインの設計について報告し、フォトカソードRF電子銃による短パルス電子ビームの発生、バンチャーを用いたエネルギー変調、低温加速管でのベロシティバンチング等のシミュレーション結果を発表する。
 
10:00-12:00 
FRP005

NanoTerasuにおける3-GeV線型加速器のビーム光学系の構築
Development of beam optics of 3GeV-linear accelerator in NanoTerasu

○菅 晃一, 安積 隆夫, 上島 考太, 小原 脩平, 保坂 勇志, 西森 信行(量研)
○Koichi Kan, Takao Asaka, Kota Ueshima, Shuhei Obara, Yuji Hosaka, Nobuyuki Nishimori(QST)
 
NanoTerasuの入射器である3 GeV線型加速器は、2023年にコミッショニングを経て、当初の計画通り2024年4月から放射光のユーザー利用運転が開始されている。NanoTerasuの蓄積リングは、Multi-Bend Achromatラティスによる低エミッタンス化が行われており、入射器は高安定で低エミッタンスの電子ビーム(エネルギー安定度 <0.2%、エミッタンス <2 nm rad、電荷量 0.3 nC)の供給を目指している。
本発表では、線型加速器で構築されているビーム光学系について、加速器の運転パラメータ(電磁石、加速管RF出力・位相)を加味したモデル計算とQスキャン法により測定した結果の比較の詳細を示し、蓄積リングへのトップアップ入射運転の状況についても報告する。

 
10:00-12:00 
FRP006

J-PARC初段加速器試験装置における人員保護システムの高度化
Advancement of the Personnel Protection System for J-PARC Accelerator Front-End Test Stand

○地村 幹1, 渡邉 和彦2, 高橋 博樹1, 平野 耕一郎1, 神藤 勝啓1, 北村 遼1, 川瀬 雅人2, 鈴木 隆洋2, 森下 卓俊11原子力機構, 2三菱電機システムサービス)
○Motoki Chimura1, Kazuhiko Watanabe2, Hiroki Takahashi1, Koichiro Hirano1, Katsuhiro Shinto1, Ryo Kitamura1, Masato Kawase2, Takahiro Suzuki2, Takatoshi Morishita11JAEA, 2Mitsubishi Electric System & Service)
 
大強度加速器施設J-PARCでは,加速器最上流部にあたるイオン源とRFQによる初段加速装置及びそれら周辺装置の性能試験を行うため,初段加速器試験装置が設けられている。本装置の使用に係る安全対策として人員保護システムが構築され,本システムによって作業を行う人員の安全が保証されている。J-PARC加速器がさらなる大強度化や高安定化を達成するために,今後も本装置を用いた多様な試験が実施されることが予定されており,本システムはそれらの試験に適合できるように高い保守性を持つことが要求される。そこで,健全性を担保しつつ保守性を向上させることを目的とし,ハードウエア構成や機能の更新など,本システムの高度化が実施されてきた。本発表では,J-PARC初段加速器試験装置における人員保護システムの高度化について,変更における方針や結果等について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP007

MELSEC iQ-R C言語インテリジェント機能ユニット上へのEPICS組み込みとPythonによるデバイスサポートの検証
Evaluation of Embedded EPICS with Python-based Device Support on MELSEC iQ-R C Intelligent Function Module

○内山 暁仁, 込山 美咲, 山田 一成(理研仁科センター)
○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama, Kazunari Yamada(RIKEN Nishina Center)
 
RIBF制御系はEPICSを用いて構築されており、TCP/IPベースの商用および自作デバイスが多数接続されている。しかし、これらのデバイスでは、ネットワークスイッチや機器の予期せぬ電源断によりソケット通信が切断された後、EPICS IOCとの再接続が行われず、運用上の問題となるケースがある。このような課題への対応として、横河FA-M3シリーズのPLCにLinux CPUを搭載し、その上にEPICSを実装する組込システムの構成が制御系として採用されている。一方で、FA-M3だけでなく産業界で広く使用されている三菱電機製MELSECシリーズをRIBF制御系でも採用されるケースがある。その場合、従来は別のLinuxマシン上で動作するEPICS IOCから、TCP/IPを介した非同期なデバイスサポートによりPLCにアクセスさせていた。今回、そのような構成においてもEPICS IOCとデバイス間の通信信頼性を向上させることを目的として、MELSEC iQ-Rシリーズに搭載可能なOSとしてLinuxが走るC言語コントローラ(RD55UP06-V) 上でEPICSを動作させる実証試験を実施した。このC言語コントローラのプログラム開発にはネイティブコンパイル環境が必要となるため、デバイスサポートの初期開発にはインタプリタであるPythonを用い、PyDeviceを介してEPICSとの連携を実現した。本発表では、MELSEC iQ-RシリーズにおけるEPICSデバイスサポートの開発手法、実装状況、および今後の展望について報告する。
 
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FRP008

KEK PFの新インターロックシステム
NEW INTERLOCK SYSYTEM FOR THE KEK PF

○濁川 和幸1, 長橋 進也1, 石井 晴乃21高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設, 2高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所)
○Kazuyuki Nigorikawa1, Shinya Nagahashi1, Haruno Ishii21KEK Accelerator Laboratory, 2KEK Institute of Materials Sttucture Science)
 
2021年度から開始したKEK PF光源加速器のインターロックシステム更新が終了し、2024年秋の運転から本格的に新しいインターロックシステムでの運転を開始した。
本発表では、インターロックシステム更新作業と新インターロックシステムに関して報告を行う。

 
10:00-12:00 
FRP009

SuperKEKBにおけるアボート事象分類webシステムの構築
Development of the abort verification web system for SuperKEKB

○小笠原 舜斗, 池田 仁美, 佐々木 信哉(KEK)
○Shunto Ogasawara, Hitomi Ikeda, Shinya Sasaki(KEK)
 
電子・陽電子の2リングからなる衝突型加速器であるSuperKEKBでは、より多くの物理実験データを蓄積するために、安定な衝突運転を長く続けることが重要である。
2024年冬の運転(2024c)では、80日間の運転で2リング合わせて1444回(マニュアルアボートを除く)のビームアボートが発生した。これらのアボートの中には、Sudden Beam Loss(SBL)のように詳細な解析が急がれるものもあれば、装置の不具合や人的ミスのように原因が明確なもの、逆に原因を誤認しやすいもの等もあり、その様態は多種多様である。これらのアボート事象を正しく分類し、発生頻度なども含めて詳しく分析することは、加速器の安定運転を続ける上で不可欠である。
そこで、これらのアボート事象を取りまとめ、解析を支援するシステムをwebベースで構築した。本システムは、アボート情報に一定の関連情報を自動的に紐づけてデータベースで管理し、その情報をwebサーバを通じて利用者に提供する。利用者は任意のwebブラウザを通じてアボート情報を閲覧できるほか、各アボート事象に手動でカテゴリを割り当て、必要に応じて分類の根拠や特筆すべき事項などをコメントの形で書き込むことができる。またフィルタ機能を充実させたうえで集計機能を搭載することで、細かい条件毎にアボートの発生回数を一目でわかるようにしている。
本発表では、その基本的な機能の設計や実装について報告する。

 
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FRP010

J-PARC Main Ring向けEPICS I/Oコントローラとしての小型ファンレスサーバの運用10年
Ten years of operation of tiny fanless severs as EPICS I/O controllers for J-PARC Main Ring

○山田 秀衛(KEK/J-PARC)
○Shuei Yamada(KEK/J-PARC)
 
J-PARC Main Ring (MR)ではフロントエンド計算機であるEPICS I/Oコントローラ(IOC)として、小型ファンレスサーバを導入している。J-PARC MR建設期の2007年にIOCとして導入されたのはVMEシングルボード計算機(VME-SBC)であった。その後、制御対象の大半はネットワーク機器でVMEバスは必ずしも必要ないことが判明し、2014年に小型ファンレスサーバをIOCとして試験導入した。2015年からは本格的な導入を開始し、2023年までにVME-SBCから小型ファンレスサーバへの移行を完了した。本稿では、小型ファンレスサーバの運用経験を振り返り、今後の展望について検討する。
 
10:00-12:00 
FRP011

LWFA電子ビーム品質の向上
Enhancement of LWFA Electron Beam Quality
○金 展1, 3, 神門 正城2, 3, 顧 彦?1, 3, 黄 開2, 3, 中新 信彦2, 3, 武藤 俊哉1, 3, 山本 樹4, 細貝 知直1, 31大阪大学 産業科学研究所, 2関西光量子科学研究所, 3理研SPring-8センター, 4高エネルギー加速器研究機構)
○Zhan Jin1, 3, Masaki Kando2, 3, Yanjun Gu1, 3, Kai Huang2, 3, Nobuhiko Nakanii2, 3, Toshiya Muto1, 3, Shigeru Yamamoto4, Tomonao Hosokai1, 31SANKEN, Osaka Univeristy, 2KPSI, QST, 3SPring-8, RIKEN, 4KEK)
 
Laser wakefield acceleration (LWFA) offers strong potential as a compact, low-cost alternative to conventional particle accelerators. However, improvements in electron beam reproducibility, pointing stability, and energy stability are essential to satisfy the demanding requirements of applications such as free-electron lasers (FELs). In this work, we present efforts to address these challenges. A shock injection scheme was developed to enable precise injection control and stable plasma formation. In addition, careful control of phase rotation and beam loading produced monoenergetic electron beams with energy spreads below 1%. Recent proof-of-concept experiments demonstrated clear amplification of undulator radiation in the XUV range, confirming the feasibility of LWFA-driven FELs.
 
10:00-12:00 
FRP012

SuperKEKB用RF電子銃およびレーザーシステムの現状
Current status of RF electron gun and laser system for SuperKEKB

○周 翔宇1, 2, 張 叡1, 2, 熊野 宏樹3, 豊富 直之3, 吉田 光宏1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学, 3三菱電機システムサービス株式会社)
○Xiangyu Zhou1, 2, Rui Zhang1, 2, Hiroki Kumano3, Naoyuki Toyotomi3, Mitsuhiro Yoshida1, 21KEK, 2SOKENDAI, 3Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.)
 
SuperKEKBの長期安定運転を実現するため、レーザーシステムをアップグレードし、ビーム入射性能の向上を図った。大口径・高出力VECSELモジュールの導入によりレーザーの出力安定性が向上し、監視および自動計測システムの強化によって運転中の問題も迅速に検出・対応された。2024年の運転期間中、電子銃は数か月間にわたり安定して高品質な電子ビームを連続出力した。一方で、放電や電子銃窓の劣化といった課題も確認されており、2025年にはRF電子銃の共振空洞交換を計画している。
 
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FRP013

THz 加速器のためのプラズマ電磁波源の開発
Development of a Plasma Electromagnetic Wave Source for Terahertz Accelerators

○大塚 崇光, 髙久 隼太郎, 坂本 千明 , 種倉 遥斗, 塩澤 友紀, 白坂 幹人, 湯上 登(宇都宮大学)
○Takamitsu P. Otsuka, Juntaro Takaku, Chiaki Sakamoto, Haruto Tanekura, Tomoki Shiozawa, Mikito Shirasaka, Noboru Yugami(Utsunomiya University)
 
テラヘルツ加速の実現を目指し,波長 800 nm,最大エネルギー 120 mJ,パルス幅 120 fsの 1 TW超短パルスレーザーを用いて,レーザー航跡場加速電子源およびプラズマ電磁波源の研究を行っている.超短パルスレーザーにより励起されたガスプラズマからは電磁波が放射される.このプラズマにレーザー進行方向と平行に外部電場を印加すると,電磁波強度が増加することが知られており,実験においてもその傾向が確認された.放射された電磁波はレーザー進行軸から角度をもって放射され,ラジアル偏波特性を示す.電磁波強度は印加電場の2乗に比例して増加し,印加方向にも依存する.さらに,レーザー進行方向に対して垂直な方向に電場を印加した場合には,印加方向に対応した直線偏波となり,同様に強度は電場の2乗に比例して増加した.また,電磁波強度は電極長に依存して増加し,ガス圧により放射される電磁波の周波数が変化することも確認された.これらの結果を説明するための放射モデルの構築を進めている.加えて,レーザー装置の改造も進行中であり,その現状についても併せて報告する.
 
10:00-12:00 
FRP014

SPring-8-II蓄積リングにおけるビーム寿命の評価
Beam lifetime evaluation based on simulation of a vacuum pressure distribution for the SPring-8-II storage ring

○上田 庸資1, 出羽 英紀1, 正木 満博1, 増田 剛正1, 太田 紘志1, 谷内 友希子1, 大石 真也1, 2, 小路 正純1, 2, 高野 史郎1, 2, 田村 和宏1, 2, 渡部 貴宏1, 21JASRI, 2理研)
○Yosuke Ueda1, Hideki Dewa1, Mitsuhiro Masaki1, Takemasa Masuda1, Hiroshi Ota1, Yukiko Taniuchi1, Masaya Oishi1, 2, Masazumi Shoji1, 2, Shiro Takano1, 2, Kazuhiro Tamura1, 2, Takahiro Watanabe1, 21JASRI, 2RIKEN)
 
SPring-8では次世代放射光施設SPring-8-IIへのアップグレード計画を進めている。SPring-8-IIの多極磁石は密に配置されており、かつ磁極間隔も狭い。従って光吸収体やポンプ等の真空機器配置に制約が生じ、またコンダクタンスの小さい小口径の真空チェンバを採用しなければならない。このため、SPring-8-II真空システムでは小型光吸収体を分散配置すると同時に、光脱離ガスの主な放出源である光吸収体の近傍にNEGポンプを設置することで排気効率の向上を図っている。しかし、NEGポンプの排気速度はガス吸着量の増大に伴って低下していくので、安定した加速器運転に必要なビーム寿命を確保するためには適切なタイミングでのNEG再活性化が不可欠である。
SPring-8-II蓄積リングにおけるビーム寿命を評価するにあたり、NEGポンプ排気速度のガス吸着量依存性が圧力分布に及ぼす影響と、圧力分布やベータトロン関数等の位置依存性がガス散乱ビーム寿命に及ぼす影響を考慮する必要がある。これらを踏まえて1セル分の圧力分布シミュレーションを行い、ビームドーズ量に対するビーム寿命を求めた。さらに、Iτ積(ビーム電流とビーム寿命の積)のビームドーズ依存性から、排気速度低下による寿命の減少について評価した。その結果を排気速度低下を考慮しない場合のIτ積と比較することにより、最適なNEG活性化タイミングについて検討した。
本発表では上記の検討結果について報告する。

 
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FRP015

ウェイク場低減に向けたATF最終収束ビームラインの高度化
Upgrade of the ATF final focus beamline to mitigate wakefield effects on the nanometer small beam

○阿部 優樹1, 2, 久保 浄1, 2, 奥木 敏行1, 2, 照沼 信浩1, 21KEK, 2総研大)
○Yuki Abe1, 2, Kiyoshi Kubo1, 2, Toshiyuki Okugi1, 2, Nobuhiro Terunuma1, 21KEK, 2SOKENDAI)
 
KEK-ATFでは、国際リニアコライダー(ILC)に要求される極小ビームの生成を目指し、最終収束技術の検証およびビーム制御・計測技術の研究開発を進めている。ATFでは、バンチ強度の増加に伴いビームサイズが増大する現象が観測されており、その主因としてウェイク場の影響が指摘されている。詳細な評価の結果、ATFビームラインにおいてβ関数の大きい区間に配置された真空フランジや空洞型BPMなどの極小ビームに対する影響が強いことが示された。この課題に対し、ウェイク場の影響を低減するためにビームラインの高度化を実施した。特に、ビームに対する影響が大きいとされる区間の真空フランジおよびベローズを、ビームから見た際に内面構造が滑らかな形状のものへと優先的に交換した。本報告では、これらの対策によるウェイク場低減効果の評価結果と、さらなるビームライン高度化に向けた取り組みの進捗および現状について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP016

SuperKEKBにおける突発的ビームロス対策のための真空作業
Vacuum works as a countermeasure against sudden beam loss in SuperKEKB

○柴田 恭, 石橋 拓弥, 姚 慕蠡, 白井 満, 照井 真司, 秋田 尚樹, 末次 祐介(高エネルギー加速器研究機構)
○Kyo Shibata, Takuya Ishibashi, Mulee Yao, Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Naoki Akita, Yusuke Suetsugu(High Energy Accelerator Research Organization)
 
SuperKEKB加速器では、突発的なビーム損失(Sudden beam loss, SBL)により安定な運転が妨げられており、SBLの原因究明と対策が喫緊の課題となっている。2024年秋の運転(2024c運転)では、陽電子リング(LER)ウィグラー部のビームパイプ内で黒い薄膜状の付着物が発見され、それを除去することでSBL頻度が減少することが確認された。2025年は加速器運転を秋から実施する予定であり、それまでに黒色薄膜が付着している可能性が高い衝突点領域やLERウィグラー部でビームパイプの内部点検、及び黒色薄膜が確認された場合はその除去作業が行われている。その他にも、2024年夏期シャットダウン中には、SBL対策としてLERウィグラー部の電子雲除去電極付きビームパイプの上下反転作業を実施したが、2024c運転でSBL頻度減少の効果がないことが判明した。ここでは、2024-2025年にSBL対策として実施した真空作業、ビームパイプ上下反転作業と黒色薄膜除去作業について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP017

Pd/Ti (Pd表面層を持つTi)膜とPd/Zr膜の排気性能の評価
Evaluation of pumping performance for Pd/Ti (Pd covered Ti) and Pd/Zr films
○金 秀光, 内山 隆司, 谷本 育律, 本田 融(高エネルギー加速器研究機構)
○Xiuguang Jin, Takashi Uchiyama, Yasunori Tanimoto, Tohru Honda(KEK)
 
非蒸発ゲッター(NEG)コーティングは、真空チェンバ―の内壁を真空ポンプに変えることで、排気コンダクタンスが制限される環境の真空改善に不可欠な技術である。また、光刺激脱離(PSD)を大幅に下げることで、多くの光源加速器に利用されている。NEGコーティングには、低温で再活性化できるTiZrV膜がよく使われている。
 我々は、Pd/TiZrV(Pd表面層を持つTiZrV)膜を開発し、TiZrV膜より高い水素の排気速度と低いPSDを有することを発見した。コーティング膜をもっと簡易にするために、本研究ではPd/TiとPd/Zr膜を作製し、その排気性能を調べた。
 マグネトロンスパッタを用いて、Ti(或いはZr)膜をCuダクトの内面に成膜し、その後Pd表面層を作製した。TiとZrの膜厚は約2 ?mで、Pdの膜厚は80 nmである。Ti(或いはZr)のターゲットをPdに切り替える際、Ti(或いはZr)コーティン膜は大気に触れてしまう。Ti(或いはZr)コーティング膜の表面酸化層を減らすため、250℃で加熱した後、Pdを成膜した。排気速度の測定結果、Pd/TiとPd/Zr膜は高い水素吸着量を示し、Pd表面で吸着した水素がTiとZr膜に入ることが分かった。また、Pd/Ti膜はPd/Zr膜より高い水素高い排気速度を示し、PdとTi或いはZrの界面の違いによると考えられる。

 
ポスターセッション③ (8月8日 7-1F-B)
10:00-12:00 
FRP018

高専における小型加速器制作にかかわる活動報告
Educational Construction of Compact Accelerators at Multiple National Institute of Technology (KOSEN)

○大谷 将士1, 熊谷 勇喜2, 神永 真帆2, 谷敷 怜空2, 岡本 恵太 3, 柳澤 奏太3, 奥村 紀浩 3, 斎藤 栄輔 3, 吉原 郁  4, 中村 蓮太郎 4, 熊井 悠太 4, 宮島 智宏 4, 深澤 永里香 4, 新城 樹貴 5, 武 恵礼奈 5, 松井 咲希 5, 中平 勝也 5, 長尾 和樹 6, 小暮 聡 6, 五味淵 陸6, 塚原 龍壱 6, 成田 賢心 6, 青木 想弥 6, 福田 蒼樹 6, 片山 尋士 6, 長澤 陽生 6, 平野 進一 61高エネルギー加速器研究機構, 2豊田工業高等専門学校, 3長野工業高等専門学校, 4群馬工業高等専門学校, 5沖縄工業高等専門学校, 6小山工業高等専門学校)
○Masashi Otani1, Yuki Kumagai2, Maho Kaminaga2, Riku Yashiki2, Keita Okamoto3, Sota Yanagisawa3, Norihiro Okumura3, Eisuke Saito3, Iku Yoshihara4, Rentaro Nakamura4, Yuta Kumai4, Tomohiro Miyajima4, Erika Fukasawa4, Itsuki Shinjo5, Erena Take5, Saki Matsui5, Katsuya Nakahira5, Kazuki Nagao6, Satoshi Kogure 6, Riku Gomibuchi6, Ryuhi Tsukahara 6, Kenshin Narita 6, Souya Aoki 6, Sojyu Fukuda 6, Hiroto Katayama 6, Haruki Nagasawa 6, Shinichi Hirano 61KEK, 2NIT, Toyota College, 3NIT, Nagano College, 4NIT, Gunma College, 5NIT, Okinawa College, 6NIT, Oyama College)
 
我々は、高等専門学校(以下、高専)において、小型加速器の製作を中心とした加速器関連の活動を行っている。現在、主に取り組んでいるのは小型サイクロトロン加速器の製作であり、真空チェンバーの設計や高周波の調整をはじめ、初のビーム観測を目指して各種の調整作業を進めている。また、活動時期や進捗状況に応じて、シミュレーションによる検討や電磁石の製作など、各高専ごとに特色ある取り組みが展開されている。本ポスターでは、小型サイクロトロン加速器の製作活動を中心に、各高専における具体的な活動内容を紹介する。
 
10:00-12:00 
FRP019

高専における加速器制作活動AxeLatoonと活動内容
AxeLatoon: Accelerator Construction Activities at KOSEN and Their Overview

○大谷 将士1, 熊谷 勇喜2, 神永 真帆2, 谷敷 怜空2, 岡本 恵太 3, 柳澤 奏太3, 奥村 紀浩 3, 斎藤 栄輔 3, 吉原 郁  4, 中村 蓮太郎 4, 熊井 悠太 4, 宮島 智宏 4, 深澤 永里香 4, 新城 樹貴 5, 武 恵礼奈 5, 松井 咲希5, 中平 勝也 5, 長尾 和樹 6, 小暮 聡 6, 五味淵 陸6, 塚原 龍壱 6, 成田 賢心 6, 青木 想弥 6, 福田 蒼樹 6, 片山 尋士 6, 長澤 陽生 6, 平野 進一 61高エネルギー加速器研究機構, 2豊田工業高等専門学校, 3長野工業高等専門学校, 4群馬工業高等専門学校, 5沖縄工業高等専門学校, 6小山工業高等専門学校)
○Masashi Otani1, Yuki Kumagai2, Maho Kaminaga2, Riku Yashiki2, Keita Okamoto3, Sota Yanagisawa3, Norihiro Okumura3, Eisuke Saito3, Iku Yoshihara4, Rentaro Nakamura4, Yuta Kumai4, Tomohiro Miyajima4, Erika Fukasawa4, Itsuki Shinjo5, Erena Take5, Saki Matsui5, Katsuya Nakahira5, Kazuki Nagao6, Satoshi Kogure 6, Riku Gomibuchi6, Ryuhi Tsukahara 6, Kenshin Narita 6, Souya Aoki 6, Sojyu Fukuda 6, Hiroto Katayama 6, Haruki Nagasawa 6, Shinichi Hirano 61KEK, 2NIT, Toyota College, 3NIT, Nagano College, 4NIT, Gunma College, 5NIT, Okinawa College, 6NIT, Oyama College)
 
我々は、高等専門学校(以下、高専)において、小型加速器の製作を中心とした加速器関連の活動「AxeLatoon」を行っている。現在、主に取り組んでいるのは小型サイクロトロン加速器の製作であり、真空チェンバーの設計や高周波の調整をはじめ、初のビーム観測を目指して各種の調整作業を進めている。また、活動時期や進捗状況に応じて、シミュレーションによる検討や電磁石の製作など、各高専ごとに特色ある取り組みが展開されている。本ポスターでは、AxeLatoonの概要と、各高専における活動内容を紹介する。
 
10:00-12:00 
FRP020

高エネルギー中性子を含む放射線環境下における市販LED照明の寿命評価
Evaluation of an LED lighting equipment in a radiation area including high energy neutrons

○渡邉 丈晃, 野村 正, Lim GeiYoub(高エネルギー加速器研究機構)
○Hiroaki Watanabe, Tadashi Nomura, GeiYoub Lim(KEK)
 
J-PARCハドロン実験施設・中性K中間子実験エリアにおいては、蛍光灯製造中止への対応および省エネ対策として、2023年までに実験エリア内の全照明器具を蛍光灯から市販LEDへ更新を行った。この実験エリアは、中性子とガンマ線を主要成分とする複合的な放射線環境であり、高エネルギー中性子が多いことを特徴としている。このような環境における市販LED照明の寿命に関しては知見が少ない状況である。そこで、実験エリア内でも比較的高線量となるビームダンプ近傍にLED照明を設置し、2025年のビーム運転において寿命評価を試みた。本発表では、故障に至るまでの線量評価およびLEDの電流値や温度挙動について報告を行うものである。
 
10:00-12:00 
FRP021

小型加速器中性子源の大強度化へ向けた正負イオン同時加速の試み
Simultaneous Acceleration of Positive and Negative Ions for Enhancing the Intensity of a Compact Accelerator-Driven Neutron Source

○時田 武1, 小林 知洋2, 羽倉 尚人1, 河原林 順1, 池田 翔太31東京都市大学, 2理化学研究所, 3東京科学大学)
○Takeshi Tokita1, Tomohiro Kobayashi2, Naoto Hagura1, Jun Kawarabayashi1, Shota Ikeda31TCU, 2RIKEN, 3Science Tokyo)
 
RFQ加速器へ正イオンと負イオンを同時に入射することで、空間電荷効果の緩和を図りつつ、コンパクトかつ大強度な加速器中性子源の実現を目指した。加速器中性子源では、ビーム強度の向上が重要な課題である。RFQ加速器は、正イオンと負イオンを同方向に同時加速することが可能であり、また中性子発生には正負いずれのイオンも利用可能である。さらに、正負両イオンを同時に用いることで、空間電荷効果の緩和も期待される。本研究では、正負イオンの同時入射を実現するために、Csスパッタ型負イオン源の立ち上げを行うとともに、正イオン源として用いたECRイオン源との組み合わせによる入射系の構築を行った。正負の各イオンはそれぞれ+30°および?30°の角度からマグネットへ導入され、合流後にRFQ加速器への入射が可能な構成とした。本発表では、Csスパッタ型負イオン源の立ち上げ、および正負イオン同時入射に向けたビームライン構築の過程について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP022

重粒子線治療用シンクロトロンの超伝導偏向磁石ヨークに生じる渦電流損失評価
Evaluation of eddy current loss induced in superconducting bending magnet yoke of heavy-ion therapy synchrotron
○水島 康太1, Yang Ye2, 藤本 哲也3, 松葉 俊哉1, 宮武 立彦1, 折笠 朝文4, 高山 茂貴4, 天野 沙紀4, 川崎 瑠斗4, 岩田 佳之11量子科学技術研究開発機構, 2ローレンスバークレー国立研究所, 3加速器エンジニアリング株式会社, 4東芝エネルギーシステムズ株式会社)
○Kota Mizushima1, Ye Yang2, Tetsuya Fujimoto3, Syunya Matsuba1, Tatsuhiko Miyatake1, Tomofumi Orikasa4, Shigeki Takayama4, Saki Amano4, Ryuto Kawasaki4, Yoshiyuki Iwata11QST, 2LBNL, 3AEC, 4TESS)
 
量子科学技術研究開発機構では、次世代の重粒子線治療装置として超伝導電磁石を採用した小型シンクロトロンを設計開発中である。シンクロトロンに使用される超伝導電磁石の特徴としては、最大二極磁場を3.5 Tとし、液体ヘリウムを使用しない小型冷凍機による伝導冷却システムを採用しながら、およそ0.7 T/sの速い励磁速度を実現することを目標としている。超伝導磁石の安定な交流運転を実現するためには、最大励磁電流を抑えて超伝導線の負荷率を下げることが好ましい。過去の研究にて、磁石ヨークに設ける磁場調整用ホールの配置・サイズを最適化することにより、所望の磁場均一度を保ちながら最大励磁電流を5%低減することに成功した。その一方で、ヨークの積層鋼板を垂直に貫く向きの磁場成分は大きく増加し、交流運転に伴うヨーク中の渦電流損失が増大する結果となった。本発表では、ヨークに生じる渦電流の解析から交流運転での渦電流損失を評価し、ヨークに対してスリットを設けた場合の効果を比較した結果を報告する。
 
10:00-12:00 
FRP023

小型ECRイオン源を使った重粒子線治療装置用入射器によるマルチイオンビーム加速試験
Multi-Ion Beam Acceleration Test Using an Injector with a Compact ECR Ion Source for Heavy Ion Therapy

○安田 浩昌1, 大久保 遼太郎1, 川﨑 泰介1, 佐古 貴行1, 左古田 淳平1, 佐藤 潔和1, 富田 和仁1, 平田 寛1, 龍頭 啓充1, 林崎 規託2, 池田 翔太2, 陶 沢2, 岡村 昌宏2, 岩田 佳之3, 片桐 健3, 村松 正幸3, 山田 聰31東芝ESS, 2科学大, 3QST)
○Hiromasa Yasuda1, Ryotaro Okubo1, Taisuke Kawasaki1, Takayuki Sako1, Junpei Sakoda1, Kiyokazu Sato1, Kazuhito Tomita1, Yutaka Hirata1, Hiromichi Ryuto1, Noriyosu Hayashizaki2, Shota Ikeda2, Ze Tao2, Masahiro Okamura2, Yoshiyuki Iwata3, Ken Katagiri3, Masayuki Muramatsu3, Satoru Yamada31Toshiba ESS, 2Science Tokyo, 3QST)
 
重粒子線治療装置はQOL(Quality of Life)を維持するがん治療方法として世界的に注目を浴びている。近年、従来の炭素線のみを用いた重粒子線治療に加え、ヘリウムからネオンなど炭素以外のイオンを照射するマルチイオン治療によって治療効果が向上することが示唆されている。本発表ではマルチイオン治療に対応した重粒子線治療装置用入射器のビーム試験結果について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP024

日大LEBRA-PXRビームラインの現状と今後の計画
Current Status and Future Plans of LEBRA-PXR beamline at Nihon University

○早川 恭史1, 早川 建1, 胡桃 聡2, 野上 杏子1, 境 武志1, 清 紀弘3, 住友 洋介2, 高橋 由美子1, 田中 俊成1, 王 智豪21日大LEBRA, 2日大理工, 3産総研)
○Yasushi Hayakawa1, Ken Hayakawa1, Satoshi Kurumi2, Kyoko Nogami1, Takeshi Sakai1, Norihiro Sei3, Yoske Sumitomo2, Yumiko Takahashi1, Toshinari Tanaka1, Zhihao Wang21LEBRA, N. U., 2CST, N.U., 3AIST)
 
日大電子線利用研究施設には125MeV電子リニアックにつながる2本のビームラインがあり、その内の1つがX線源およびTHz光源として利用されている。THz光源として変更電磁石からのエッジ放射や金属薄膜ターゲットからの遷移放射が用いられてきたが、現在、チェレンコフ放射に基づくコヒーレント放射を新たなTHz放射源として開発中である。X線源の原理としては、パラメトリックX線放射(PXR)を採用しており、世界的にもユニークなビームラインとなっている。2022年以降、利用研究者の要望により、40keV以上の単色X線ビームを供給できるSi(400)結晶をPXR放射源として用いている。エネルギー選択性を利用して一定の成果は得られたものの、X線収量が低く、結晶回折を利用した高度なイメージングが実施できないという問題があった。2025年度は、一旦、PXR放射源をSi(111)またはSi(200)結晶に戻し、先端的なイメージング実験を再開する予定である。また、Si結晶は採用する結晶面にかかわらず、電子ビームの集束条件によってはマクロパルス内の温度上昇により破壊が生じ得る、という問題を抱えている。将来的に耐久性が高く光源サイズの小さなPXR線源の実現を目指すため、Siに比べて高い融点を持つSiC結晶をPXR放射源として試験することを計画している。
 
10:00-12:00 
FRP025

マルチイオン治療用14-GHz ECRISのイオン強度安定化のための改良
Modification of multi-ion ECRIS for ion-intensity stabilization
○片桐 健1, 坪松 悟史2, 野村 真史2, 村松 正幸1, 岩田 佳之1, 白井 敏之1, 高橋 伸明2, 宮川 真奈2, 藤原 正2, 戸内 豊2, 橘 正則21量子科学技術研究開発機構 (千葉), 2住友重機械工業株式会社)
○Ken Katagiri1, Satoshi Tsubomatsu2, Shinji Nomura2, Masayuki Muramatsu1, Yoshiyuki Iwata1, Toshiyuki Shirai1, Nobuaki Takahashi2, Mana Miyagawa2, Tadashi Fujiwara2, Yutaka Touchi2, Masanori Tachibana21QST-HIMAC, 2Sumitomo Heavy Industries, Ltd.)
 
QSTは,重粒子線がん治療における治療効果のさらなる向上,副作用の低減,及び治療期間の短縮のために,線量分布だけでなく線質分布の最適化を可能とするマルチイオン治療の実用化を進めている.次世代重粒子線がん治療装置である量子メスにてこのマルチイオン治療を実施するために,4種類のイオン(He2+, C4+, O6+, Ne7+)の生成とそれらの素早い切り替えが行えるイオン源(multi-ion ECRIS)の開発を我々は進めてきた.このイオン源では,マイクロ波電力が400 W程度であっても,それ以上の電力を入力するとイオン強度が不安定になる現象が生じており,特にO6+やNe7+等の多価イオンの生成の際には,この現象が強度増強の妨げとなっていた.我々は,この現象の原因は軸方向磁場の極小値Bminと共鳴磁場BECRの不適当な関係にあると推定し,その改善のために軸方向磁場分布の改良を検討してきた.本発表では,この改良の方法,その進捗の状況と,改良の結果を示す実験の結果を紹介する.
 
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FRP026

J-PARC50Hz試験用ダンプの放射線遮蔽設計検討
Study on radiation shielding design for the 50?Hz test beam dump at J-PARC

○中野 秀仁, 山本 風海, 森下 卓俊, 岡部 晃大, 増川 史洋(日本原子力研究開発機構)
○Hideto Nakano, Kazami Yamamoto, Takatoshi Morishita, Kota Okabe, Fumihiro Masukawa(J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency)
 
J-PARCリニアックは繰り返し周波数25Hzで後段の3GeVシンクロトロンに負水素イオンビームを供給している。J-PARC加速器の将来計画の1つとして繰り返し周波数を50Hzに増強し、一部を陽子照射利用する計画が検討されている。新しいビームラインを増設するにあたり、ビーム試験を行うためのビームダンプが必要となる。本発表では、既存のリニアックビームダンプの調査と新しいビームダンプの設計検討について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP027

J-PARC MR 30 kWビームダンプ冷却系の設計
Design of Cooling System for 30 kW Beam Dump of J-PARC MR

○白形 政司1, 2, 佐藤 洋一1, 2, 門脇 琴美1, 2, 西川 雅章1, 21高エネルギー加速器研究機構, 2J-PARCセンター)
○Masashi Shirakata1, 2, Yoichi Sato1, 2, Kotomi Kadowaki1, 2, Masaaki Nishikawa1, 21KEK, 2J-PARC)
 
茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCでは、主リングのビーム強度1.3 MWを目指して機器のアップグレードを行ってきた。主リングはビーム調整のために専用のビームダンプを持っているが、7.5 kWという容量の上限値が効率的なビーム調整に対して制約を課すようになった。具体的には、陽子数250兆個以上の大強度ビームについては一時間あたり20ショット未満しか撃つことができない。この問題を解決するため、ビームダンプの容量を7.5 kWから30 kWにアップグレードする計画が進行中である。ビームダンプの容量増加に伴い、冷却システムが必須となった。ビームダンプの冷却には、窒素ガス循環による空冷システムを用いる。ここでは空冷システムの詳細、およびビームによって窒素ガス中に生成される放射性同位元素についても詳述する。
 
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FRP028

J-PARC 3 GeVシンクロトロン入射ダンプの中性子によるサンプル放射化評価 (2)
EVALUATION OF THE SAMPLE ACTIVATION AT THE INJECTION DUMP OF J-PARC 3 GeV RAPID CYCLING SYNCHROTRON (2)

○山本 風海1, 中野 秀仁1, 松本 哲郎21日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター, 2産業技術総合研究所)
○Kazami Yamamoto1, Hideto Nakano1, Tetsuro Matsumoto21J-PARC Center, JAEA, 2AIST)
 
To accumulate a high-intensity beam in the Rapid Cycling Synchrotoron(RCS), the H- beams from the linac converted into protons and injected into the RCS. In this process, a certain amount of the beam is not converted, and it leads to the injection dump. Since the secondary particles are constantly produced inside the dump due to this waste beam, we have studied if those secondary particles can be used as an irradiation test. In this report, we compare the residual nuclides obtained from the calculations using PHITS/DCHAIN codes and measurements using a germanium-semiconductor detector after activating a bismuth-209 sample. We also developing the sample insertion system for irradiation test.
 
10:00-12:00 
FRP029

高温超伝導空芯サイクロトロンの設計および実現性の研究
Design and feasibility study of a HTS air-core cyclotron

○荘 浚謙1, 松田 洋平1, 福田 光宏1, 依田 哲彦1, 神田 浩樹1, 趙 航1, Ahsani Hafizhu Shali1, 松井 昇大朗1, 板倉 菜美1, 石畑 翔1, 辻坂 匡1, 石山 敦士2, 野口 聡3, 植田 浩史4, 吉田 潤51大阪大学核物理研究センター, 2早稲田大学, 3北海道大学, 4岡山大学, 5住友重機械)
○Tsun Him Chong1, Yohei Matsuda1, Mitsuhiro Fukuda1, Tetsuhiko Yorita1, Hiroki Kanda1, Hang Zhao1, Hafizhu Shali Ahsani1, Shotaro Matsui1, Nami Itakura1, Sho Ishihata1, Tasuku Tsujisaka1, Atsushi Ishiyama2, So Noguchi3, Hiroshi Ueda4, Jun Yoshida51RCNP, Osaka U., 2Waseda U., 3Hokkaido U., 4Okayama U., 5Sumitomo Heavy Industries Ltd.)
 
An air-core cyclotron uses HTS coils as magnets. Previous studies have verified the feasibility of beam injection, acceleration, and extraction using this air-core cyclotron. However, some problems remain unsolved. Previous study investigated the beam properties of the cyclotron without considering the HTS coil properties. Also, the fabrication cost and cyclotron volume also need to be reduced for the cyclotron to be put into practical use. In this presentation, a modified air-core cyclotron model is presented, which is designed to satisfy the engineering requirement from HTS coils. The cyclotron volume, the magnetic field property, and its feasibility as a medical cyclotron are discussed.
 
10:00-12:00 
FRP030

J-PARC 3GeVシンクロトロンにおける荷電変換フォイルの 使用状況とフォイル駆動機構の交換作業概要
Operation status of the charge exchange foil and replacement work of the foil transfer mechanism in the J-PARC 3GeV synchrotron

○仲野谷 孝充1, 吉本 政弘1, Saha Pranab Kumar1, 竹田 修2, 佐伯 理生二2, 武藤 正義2, 御代 卓也21日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター, 2株式会社NAT)
○Takamitsu Nakanoya1, Masahiro Yoshimoto1, Pranab Kumar Saha1, Osamu Takeda2, Riuji Saeki2, Masayoshi Mutoh2, Takuya Miyo21JAEA J-PARC, 2NAT Corporation)
 
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS:Rapid Cycling Synchrotron)では、前段加速器であるリニアックから入射した400MeVのH-ビームを荷電変換フォイルによりH+ビームに変換して、3GeVまで加速させている。当初、RCSではKEKで開発された微量のホウ素が添加された炭素材を原料としたHBCフォイル(Hybrid Boron mixed Carbon stripper foil)を荷電変換フォイルとして使用してきた。しかし、近年このホウ素添加炭素材の入手が困難となったため、純炭素材による荷電変換フォイルの開発を進めてきた。 2023年3月にJAEA内作の純炭素製荷電変換フォイルを利用運転で初めて使用し、その結果が良好であったため、以後現在に至るまで純炭素フォイルによる利用運転を行っている。そのような中、2023年11月には荷電変換フォイルの交換や位置調整を行うフォイル駆動機構にトラブルが発生し、遠隔操作でのフォイル交換が不可能になった。このため、2024年9月から10月にかけてこの装置の交換を行った。 本発表ではこれまでの純炭素製フォイルによる利用運転の状況とフォイル駆動機構のトラブルとその後の交換作業の概要について報告する。
 
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FRP031

J-PARC RCSの縦方向ビーム操作の現状
Current Status of longitudinal beam manipulation in J-PARC RCS

○沖田 英史, 田村 文彦, 野村 昌弘, 島田 太平, 足立 恭介, 吉井 正人, 大森 千広, 清矢 紀世美, 原 圭吾, 長谷川 豪志, 杉山 泰之(JAEA/KEK J-PARC センター)
○Hidefumi Okita, Fumihiko Tamura, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Kyosuke Adachi, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Kiyomi Seiya, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Yasuyuki Sugiyama(JAEA/KEK J-PARC Center)
 
J-PARC 3GeV シンクトロトン (RCS) は設計ビーム強度1MWでの安定した連続ビーム運転を達成した。
現在は1MWでの更なるビーム損失低減や設計ビーム強度を超える大強度ビーム試験が実施されている。
近年の縦方向ビームパラメータ調整や装置更新の結果、RCSの縦方向ビーム挙動は1MWビーム達成当初から大きく変化している。
特に、デバンチャーを用いて入射ビームの運動量拡がり幅を倍近まで拡張できるようになり、運動量拡がり幅を増加させることで従来の縦方向ペイント入射よりもバンチングファクタが改善され、ビーム損失低減に有効であることが確認されている。
また、現在RCSにある12台のRF空胴のうち、半分の6台がシングルエンド型のRF空胴に置き換えられており、ウェイク電圧に含まれる高次高調波の発生の分布も異なる。
本発表では、最近の縦方向ビームパラメータを反映した縦方向ビームシミュレーションを用いて近年の大強度ビーム加速中の縦方向ビーム挙動について議論する。

 
10:00-12:00 
FRP032

J-PARC遅い取り出しビームロス低減のためのシリコン湾曲結晶の開発
Development of Bent Silicon Crystal for Beam Loss Reduction in J-PARC Slow Extraction

○武藤 亮太郎1, 浅見 高史1, 木村 琢郎1, 松村 秋彦2, 村杉 茂1, 沼井 一憲1, 岡村 勝也1, 白壁 義久1, 冨澤 正人1, 柳岡 栄一11高エネルギー加速器研究機構, 2株式会社NAT)
○Ryotaro Muto1, Takashi Asami1, Takuro Kimura1, Akihiko Matsumura2, Shigeru Murasugi1, Kazunori Numai1, Katsuya Okamura1, Yoshihisa Shirakabe1, Masahito Tomizawa1, Eiichi Yanaoka11KEK, 2NAT Corporation)
 
J-PARCメインリングでは、ハドロン実験施設にむけて30GeVおよび8GeV陽子ビームの3次共鳴を用いた遅い取り出しを行っている。2025年5月の運転では30GeV, 92 kWでのユーザー利用運転を達成したが、さらなる大強度化のためには遅い取り出しにおけるビームロスのさらなる低減が必須である。ビームロスは主に、遅い取り出し直線部の最上流に位置する静電セプタムでおこるため、このビームロスを低減するための一手法として湾曲シリコン結晶の開発を行っている。これは、湾曲させたシリコン結晶の荷電粒子に対するチャネリング効果を用いて静電セプタムのセプタム電極に衝突してしまう陽子を偏向させ、ビームロスの低減を図る機器である。本発表では、シリコン結晶をビームと干渉しない部分で湾曲させたときの結晶の変形量を有限要素法で見積もり、鉛直方向の湾曲角度の変化がロス低減効果に与える影響を考察する。特に、8GeV取り出しの場合の鉛直方向サイズの大きいビームに対する影響を検討する。
 
10:00-12:00 
FRP033

故障した静電セプタムの改修
Response to a Faulty Electrostatic Septum
○沼井 一憲1, 武藤 亮太郎1, 松村 秋彦2, 冨澤 正人1, 浅見 高史1, 木村 琢郎1, 岡村 勝也1, 白壁 義久1, 柳岡 栄一1, 村杉 茂11高エネルギー加速器研究機構, 2株式会社NAT)
○Kazunori Numai1, Ryotaro Muto1, Akihiko Matsumura2, Masahito Tomizawa1, Takashi Asami1, Takuro Kimura1, Katsuya Okamura1, Yoshihisa Shirakabe1, Eiichi Yanaoka1, Shigeru Murasugi11High Energy Accelerator Research Organization, 2NAT Corporation)
 
J-PARC メインリングにおいてハドロン実験施設への大強度陽子ビームは遅い取り出し方式によって供給される。この遅い取り出しを実現するための機器のうちの一つに静電セプタムがある。静電セプタムのチェンバー内には電極とヨークが備わっており、ヨークにはアースとなるレニウムタングステンのリボンが張られている。取り出しビームは電極とアースリボンの間の電場によって周回ビームから分離される。セプタム面となるリボンは、何らかの要因により異常ビームが発生した際には破断してしまうことがある。現在メインリングのトンネル内には2台の故障した静電セプタムがある。今回は2台のうち2017年に故障した静電セプタムの改修について現状と今後の予定について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP034

テラヘルツ帯のプリバンチドFELに関する研究
Study on pre-bunched Free Electron Laser in the terahertz wavelength range

○小林 建輝1, 坂上 和之1, 全 炳俊2, 柏木 茂31東京大学, 2京都大学, 3東北大学)
○Tatsuki Kobayashi1, Kazuyuki Sakaue1, Heishun Zen2, Shigeru Kashiwagi31The University of Tokyo, 2Kyoto university, 3Tohoku university)
 
本研究ではテラヘルツ周波数帯域のレーザー発振を目標として、プリバンチド自由電子レーザー(FEL ; Free Electron Laser)に関する研究を行っている。プリバンチドFELでは、用いる電子ビームのバンチ長さが、発振するレーザーの波長よりも短く圧縮されているため、高ピーク強度かつ短パルスのテラヘルツレーザーの生成が期待される。これによって、従来のFELでは実現が難しい広帯域スペクトルおよび高強度電場ピークの実現が可能とされている。
実験は京都大学のKU-FEL(Kyoto University ? Free Electron Laser)に設置されたTHz-CURを用いて実施している。THz-CURは、プリバンチドFELに適したエネルギー3~4MeV、バンチ長500fs以下の電子バンチを生成可能な電子銃(ECC-RF-Gun)と、周期数10のアンジュレーターから構成されており、テラヘルツ帯域のコヒーレントなアンジュレーター放射を可能とする。
我々は光共振器を設置し、0.2?0.4 THzのレーザー発振周波数でビーム試験を行っている。結果として、光共振器内でのテラヘルツパルスのコヒーレントスタッキングが観測されたが、FEL発振はまだ達成されていない。原因としては、光共振器1周による光の強度損失が大きいことや、ガウシアンビームのGouy位相に起因する共振器内伝播時の光の位相ずれ(cavity CEP-shift)によって、光の重ね合わせが広帯域で実現できていないことなどが挙げられる。これらを改善すべく光共振器の再設計を進めている。

 
10:00-12:00 
FRP035

アンジュレータ極短周期化のための、誘電体二重周期微細構造を用いるレーザー電磁場空間位相変調法の開発 I
Very short period undulator based on spatial phase modulation of laser fields given by dielectric doubly periodic fine structure I

○山本 樹1, 益田 伸一1, 三浦 永祐21高エネ機構・物構研, 2産総研・計量標準)
○Shigeru Yamamoto1, Shinichi Masuda1, Eisuke Miura21KEK-IMSS, 2AIST-NMIJ)
 
極短周期アンジュレータ光源開発において、アンジュレータ周期長を短縮しても必要なK値を得るためには、周期長の短縮に応じて磁場強度を増強する必要がある。従来の永久磁石を用いる方法では生成できる磁場強度に限界があり、1mm以下の周期長を持つアンジュレータの実用化は難しい。これに対し、レーザーの電磁場強度には原理上この様な限界は無く、アンジュレータ場の生成に利用すれば、1mm以下の周期長を実現できる可能性がある。我々は、「短」・「長」二つの周期微細構造を持つ誘電体にレーザーを照射して生じる空間位相変調を利用した、新方式の極短周期アンジュレータの開発を進めている。「短」周期微細構造はレーザー波長と同じ周期長を持ち半波長毎にレーザー波面の位相が反転するように空間位相変調を与える。一方、アンジュレータ周期長に相当する周期を持つ「長」周期(「短」周期長の整数倍の周期長)微細構造により、前述の変調波面の位相をアンジュレータ半周期毎にさらに反転させる。空間位相変調された2つのレーザー光を対向させ電場を相殺し磁場を増強するように配置し、変調波面に沿って光速で通過する電子にアンジュレータの半周期毎に方向反転する磁場を持続的に作用させ電子を蛇行させる。上記方式により、周期長0.1mm程度の実用的な極短周期アンジュレータの実現が期待できる。
我々は、微細周期構造素子を試作し、干渉計測による性能評価を行い所定の空間位相変調が得られることを実証した。本方式による極短周期アンジュレータの原理と研究の進捗を報告する。

 
10:00-12:00 
FRP036

Nb3Sn超伝導マルチポールウィグラー用含浸材の放射線耐性評価
Evaluation of radiation tolerance of impregnation resin for Nb3Sn superconducting multipole wigglers

○齊藤 寛峻1, 塩澤 真未1, 満田 史織1, 田中 窓香1, 江口 柊1, 篠原 智史1, 鈴木 研人2, 野上 隆史1, 西 将汰3, 土屋 公央1, 荻津 透2, 斉藤 一功4, 横山 彰一4, 伊藤 聡4, 吉川 正敏41高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 加速器第六研究系, 2高エネルギー加速器研究機構 共通基盤研究施設 超伝導低温工学センター, 3総合研究大学院大学, 4ジャパン スーパーコンダクタ テクノロジー株式会社)
○Saito Hirotoshi1, Mami Shiozawa1, Chikaori Mitsuda1, Madoka Tanaka1, Shu Eguchi1, Satoshi Shinohara1, Kento Suzuki2, Takashi Nogami1, Shota Nishi3, Kimichika Tsuchiya1, Toru Ogitsu2, Kazuyoshi Saito4, Shoichi Yokoyama4, Satoshi Ito4, Masatoshi Yoshikawa41KEK ACCL, Div. VI, 2KEK ARL, Cryogenic Science Center, 3SOKENDAI, 4JASTEC, Inc.)
 
高エネルギー加速器研究機構(KEK)では次世代光源用Nb3Sn超伝導マルチポールウィグラーの基盤技術開発を進めている。Nb3Snは従来のNbTiに比べ臨界電流密度が約10倍と高い一方、機械的に脆く、わずかな歪みでも超伝導特性が大きく劣化する。このため巻線間に充填することで冷却に伴う熱収縮や励磁時のローレンツ力による応力から線材を保護する役割を担う含浸剤の材料特性がより重要となる。本研究では4.2 Kの極低温におけるクラック耐性の向上を狙い、海外の加速器用Nb3Sn超伝導電磁石で一般に用いられる樹脂に比べ低温での破壊靭性の高い国産のエポキシ系含浸剤を候補として考えている。加速器用途では放射線耐性も含浸剤選定上の重要な指標であるが、本材料については未評価であった。そこで実機環境に近い条件での評価を行うため、KEKフォトン・ファクトリー(PF)蓄積リングの加速器室内にてサンプルの照射試験を開始した。2024年には先行サンプルを用いた予備的な照射実験を実施し、最大1 MGy以上の照射を行った。また非破壊評価法として吸光度特性の線量依存性も調査した。2025年からはJIS規格に準拠した機械試験用サンプルの照射も新たに開始している。本発表では照射試験環境の構築過程と先行サンプルの試験結果を中心に報告する。
 
10:00-12:00 
FRP037

アンジュレータ極短周期化のための、誘電体二重周期微細構造を用いるレーザー電磁場空間位相変調法の開発 II
Very short period undulator based on spatial phase modulation of laser fields given by dielectric doubly periodic fine structure II

○益田 伸一1, 三浦 永祐2, 山本 樹11高エネ研-物構研, 2産総研-計量標準)
○Shinichi Masuda1, Eisuke Miura2, Shigeru Yamamoto11KEK-IMSS, 2AIST-NMIJ)
 
我々は、「短」・「長」二つの周期微細構造を持つ誘電体にレーザーを照射して生じる空間位相変調を利用した、新方式の極短周期アンジュレータの開発を進めている。研究の背景および空間位相変調の原理については別途報告する。本報告では、空間位相変調したレーザー電磁場中の電子軌道と放射特性の解析について述べる。
x-y-z直交座標系における空間位相変調レーザー電磁場の配置を考える。x方向に進行し電場がz方向に直線偏光している平面波レーザー電磁場に、z方向に沿ってレーザーの半波長毎に波面の位相が反転する様に「短」周期微細構造によって空間位相変調を与える。加えて、アンジュレータ周期長の半周期毎に前述の空間位相変調の位相をさらに反転させる様に「長」周期(「短」周期長の整数倍の周期長)微細構造により空間位相変調を与える。-x方向に進行するもう一つのレーザー電磁場にも同様に空間位相変調を与え、対向する二つのレーザー電磁場をx=0の平面上で電場が相殺し磁場が増強する様に配置する。この電磁場中をz方向に光速で通過する電子は「長」周期空間位相変調の半周期毎に±y方向の磁場を持続的に交互に受けアンジュレータ放射を発生する。
我々は、「長」周期長が「短」周期長の倍である最も簡単な場合について、電子の運動と電子からの放射の詳細を調べた。電子の入射タイミングとレーザー位相への電子軌道の依存性を明らかにした。軸上放射スペクトルは静磁場アンジュレータと同様に奇数次の放射が観測される。軌道解析と放射特性解析の結果を報告する。

 
10:00-12:00 
FRP038

SAGA-LS電子蓄積リング大規模更新プロジェクトの進捗状況
Progress of SAGA-LS electron storage ring update project

○岩崎 能尊, 竹田 晴信, 高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター)
○Yoshitaka Iwasaki, Harunobu Takeda, Yuichi Takabayashi(SAGA-LS)
 
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)は2026年2月に供用利用開始から20周年を迎える。加速器はコミッショニング期から現在に至るまで大小様々なトラブル・機器故障に見舞われてきたが、概ね安定した稼働を継続してきた。SAGA-LSは地域産業推進を主な目的として建設され、今後も継続した利活用が望まれている。一方でコミッショニングより20年が経過した加速器構成機器類は老朽化に伴う故障率の増大、型番廃止や製造停止に伴う計画外長期シャットダウンリスクを抱えている。そこで加速器の継続した安定運用を目的とし、SAGA-LSでは加速器の大規模な更新プロジェクトが開始された。2025年4月には電子蓄積リング主要電磁石(偏向電磁石、4極電磁石、6極電磁石)用電源、2025年11月にはRF空洞及びクライストロン電源用基板類、翌2026年11月には蓄積リングクライストロン及びセプタム電磁石ならびにセプタム電磁石・キッカー電磁石用電源、2027年11月にはステアリング電磁石及び4極電磁石補正用電源類の更新が計画されている。本年4月30日、電子蓄積リング主要電磁石電源のメーカーによる据付・現地調整が完了した。5月2日には入射エネルギーにて所定の300mA蓄積、5月9日には蓄積ビーム電流300mAの1.4GeVのランプアップに成功した。今後、超伝導ウィグラー励磁及びアンジュレーターギャップ変更に伴う不整磁場補償システムの再構築、BBA等を行い、5月20日からはユーザー運転を再開する。
 
ポスターセッション③ (8月8日 6-1F)
10:00-12:00 
FRP039

cERL入射器における異常なビームプロファイルの調査
Investigation of an Unusual Beam Profile in the Compact ERL Injector at KEK

○田中 織雅, 中村 典雄, 本田 洋介(高エネルギー加速器研究機構(KEK))
○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Yosuke Honda(High Energy Accelerator Research Organization, KEK)
 
cERL入射器では、最初のソレノイド通過後に異常な「三角形ビーム」プロファイルが観測され、測定精度や集束・コリメーション効率の低下を招いています。本研究では六極場成分、アライメント誤差、空芯ステアラの非線形性、カソードでのビームキックなどを原因として検討し、実測とシミュレーションにより主因を特定、改善策を提案しました。
 
10:00-12:00 
FRP040

銅メッキステンレス真空チェンバーのインピーダンス解析
Impedance analysis of copper-plated stainless-steel vacuum pipes

○中村 典雄(高エネルギー加速器研究機構)
○Norio Nakamura(KEK)
 
ステンレス製の真空パイプは、銅やアルミ合金の真空パイプに比べてその高い強度からパイプ厚を薄くできるとともに、低い電気伝導度から渦電流の影響も格段に小さくできる。例えば、第4世代放射光リングなどで電磁石や挿入光源に対して高い磁場が要求される場合にはアパーチャの観点から、高速に磁場を制御する必要がある場合には渦電流の観点からステンレス真空パイプは有利と言える。他方、電気伝導度が低いことは抵抗性インピーダンスによる発熱やビーム不安定性の観点で問題となる。そのため、以前より電気伝導性の良い銅メッキを内側に施したステンレス真空パイプに関する研究開発[1,2]が行われきたが、近年では実際の放射光源リングに利用され始めている。本発表では、銅メッキされたステンレスパイプのインピーダンスの計算と解析を行い、インピーダンスや関連するビーム不安定性の改善とそのメッキ厚依存性について研究した結果を報告する。
[1] N. Nakamura et al., Proc. of EPAC1998, pp.984-986.
[2] H. Sakai et al., Proc. of PAC2005, pp.2633-2635.

 
10:00-12:00 
FRP041

LIPAcにおけるビームシミュレーション
Beam Simulations in LIPAc

○水野 明彦1, 2, 玄 知奉1, 廣澤 航輝1, 増田 開1, Pau Gonzalez3, Nicolas Chauvin4, Herve Dzitko3, Luca Bellan51量子科学技術研究開発機構, 2高輝度光科学研究センター, 3F4E, 4Universit? Paris-Saclay CEA, 5INFN/LNL)
○Akihiko Mizuno1, 2, Jibong Hyun1, Kouki Hirosawa1, Kai Masuda1, Pau Gonzalez3, Nicolas Chauvin4, Herve Dzitko3, Luca Bellan51QST, 2JASRI, 3F4E, 4Universit? Paris-Saclay CEA, 5INFN/LNL)
 
LIPAc is the prototype hadron accelerator for IFMIF, a neutron source for testing new materials in future fusion reactors, so a very high beam current is necessary and a loss-free design are crucial. In this respect, pre-experimental beam simulations are very important for setting device parameters. By the summer of 2024, we were able to confirm that the simulation and experimental results matched for beam size very well and achieved a beam duty cycle of 8.75 % with current of 119 mA. In the presentation, we will report on reliability of simulation and how the calculated and measured results matched up. But we also observed some activations at several locations, which may be due to the beam halo. We will also report on simulation studies of the halo.
 
10:00-12:00 
FRP042

211At製造加速器用He二価イオン源におけるプラズマシミュレーションの適用に関する研究
Study on the Application of Plasma Simulation to He2+ Ion Source for 211At Production Accelerator
○菊地 漱祐(科学大)
○Sosuke Kikuchi(Science Tokyo?)
 
アルファ線内用療法のための放射性同位体アスタチン(At)-211製造用の大強度リニアックを検討している。この前提において十分な211Atの生成と加速器システムの小型化には、大電流のHe2+イオンビームを供給可能なイオン源が必要とされ、この目的に適したマイクロ波放電や電子サイクロトロン共鳴(ECR)現象を利用した専用のイオン源の開発を目指している。 プラズマモジュールを備えたCOMSOL Multiphysicsによりマイクロ波プラズマのカットオフやECR共鳴現象、波動伝搬が調査され、開発分野において適用されることが期待される。本発表では、プラズマシミュレーションの結果やそれに基づく開発検討の状況に関して報告する。
 
10:00-12:00 
FRP043

ハドロン実験施設における回転円盤型2次粒子生成標的の開発 (2)
Development of rotating-disk-type production target at J-PARC Hadron Experimental Facility (2)

○渡邉 丈晃, 青木 和也, 上利 恵三, 秋山 裕信, 家入 正治, 伊多波 辰徳, 倉崎 るり, 里 嘉典, 澤田 真也, 高橋 俊行, 高橋 仁, 田中 万博, 豊田 晃久, 広瀬 恵理奈, 皆川 道文, 武藤 史真, 森野 雄平, 山我 拓巳, 山野井 豊(KEK)
○Hiroaki Watanabe, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Tatsunori Itaba, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Toshiyuki Takahashi, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Fumimasa Muto, Yuhei Morino, Takumi Yamaga, Yutaka Yamanoi(KEK)
 
J-PARCハドロン実験施設では、30 GeVに加速された陽子ビームを金属標的へ照射し、そこで生成されるK中間子等の2次粒子を利用したバラエティーに富んだ原子核・素粒子実験を遂行している。2020年から1次陽子ビーム強度で最大115 kW(4.24秒サイクル)に対応した固定型標的を使用しており、2025年には92 kWの安定したビーム運転を達成している。しかし、熱負荷が一定位置となる固定型の標的では115 kWを超えるビーム強度を受けることが困難であるため、熱負荷を円周方向に分散させることのできる回転円盤型標的の開発を進めている。本発表では、前回に引き続き気体軸受を採用した回転システムの設計および試験結果について報告を行う。
 
10:00-12:00 
FRP044

SACLA電子銃カソードの仕事関数その場測定
In-situ work-function measurement of the SACLA electron gun cathode

○馬込 保1, 2, 渡川 和晃2, 田中 均21高輝度光科学研究センター, 2理研 放射光科学研究センター)
○Tamotsu Magome1, 2, Kazuaki Togawa2, Hitoshi Tanaka21JASRI, 2RIKEN SPring-8 Center)
 
SACLA電子銃ではCeB6単結晶を電子源熱カソードとして使用している。CeB6電子銃はX 線自由電子レーザ施設SACLAと電子蓄積リング型放射光施設SPring-8の両施設へ常時電子ビームを供給しているため、本カソードには高い安定度と長い寿命が求められる。しかるに、カソードからのエミッション電流は徐々に減衰し、現在では稼働期間約1年ごとに新品との交換を余儀なくされている。我々はエミッション電流の支配的な物理量であるカソードの仕事関数を常時モニタすることでこの劣化現象の解決の糸口を見つけようと考えている。現在、実機への実装を念頭に、実機と完全互換の電子銃を用いて、SACLAと同様の運転環境を整えた電子銃テストスタンドにて仕事関数を測定する準備を進めている。本発表では仕事関数のその場測定の実験装置および実験結果について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP045

KEK iCASAにおける陽電子源開発の進捗
Status of positron source development in KEK iCASA

○榎本 嘉範, 福田 将史, 森川 祐, 佐藤 幹(高エネ研)
○Yoshinori Enomoto, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Motoki Sato(KEK)
 
KEK iCASA陽電子グループでは、次世代の電子陽電子コライダーで要求される、大量の陽電子を供給するための大強度陽電子源を開発している。開発中のプロトタイプは主に陽電子生成標的、フラックスコンセントレータ、ソレノイド、加速管及びそれらのための真空機器、制御装置、電源装置などからなる。本発表では全体像と合わせて各部の進捗、今後の見通しなどについて紹介する。
 
10:00-12:00 
FRP046

ペッパーポットエミッタンスモニタを用いたイオンの価数毎のエミッタンスの測定
Measurement of Emittance for Each Ion Charge State Using a Pepper-Pot Emittance Monitor

○中尾 政夫(群馬大学)
○Masao Nakao(Gunma University)
 
群馬大学重粒子線医学センター(GHMC)の炭素線治療のために、10GHzのECRイオン源であるKeiGMを使用している。その予備と研究開発を兼ねて同型機であるイオン源テストスタンドが設置されている。テストスタンドのエミッタンス測定を高速化するためにペッパーポット型エミッタンスモニタを設置した。ペッパーポット型エミッタンスモニタはペッパーポットマスクを通過したイオンがMCPに衝突して電子を発生させ蛍光板で光に変換されカメラで観測する。今回はC, Ne, Kr等のイオンの価数毎に、エミッタンスを測定した。
 
10:00-12:00 
FRP048

有機溶媒を電解液とするNb材の電解研磨法の開発
DEVELOPMENT OF Nb ELECTROPOLISHING USING ORGANIC SOLVENT ELECTROLYTE SOLUTION

○後藤 剛喜(高エネルギー加速器研究機構)
○Takeyoshi Goto(High Energy Accelerator Research Organization)
 
Nb超伝導加速空洞の製造にはフッ酸-硫酸を電解液とする電解研磨(EP)工程が必要となる。しかしその電解液の取扱が非常に危険なこと、またEP反応中にNb空洞表面に水素が取り込まれ、加速性能が制限されるという問題がある。そこで発表者は、電解液に水分子をほとんど含まないエチレングリコール、ホルムアミドなどの有機溶媒を用いるNb材の開発を進めている。本発表ではその進捗を報告する。
 
10:00-12:00 
FRP049

Nextef2におけるXバンド高電界試験データの全パルス解析
Full pulse analysis of X-band High-Gradient Test Data Taken at Nextef2

○阿部 哲郎1, 佐藤 大輔2, 明本 光生1, 東 保男1, 肥後 寿泰1, 松本 修二1, 工藤 拓弥3, 草野 史郎31高エネ研, 2産総研, 3三菱電機システムサービス)
○Tetsuo Abe1, Daisuke Sato2, Mitsuo Akemoto1, Yasuo Higashi1, Toshiyasu Higo1, Shuji Matsumoto1, Takuya Kudou3, Shiro Kusano31KEK, 2AIST, 3MELSC)
 
KEKのXバンド(11.4GHz)試験施設 Nextef2 では、様々な常伝導加速構造の高電界試験を行ってきている。常伝導加速構造の実用的な高電界性能は、主にブレークダウン(真空絶縁破壊)の発生頻度で決まる。ブレークダウン時には、空洞内で大きな電流が発生することの他、RF反射に特徴的な波形が出る。これまでの高電界試験では、ブレークダウン時の最後のパルスのみ、または最後の10パルス程度のデータのみ保存・解析してきた。しかし、ブレークダウンの発生は多数回のパルス印加の積み上げの結果であり、十分前の段階で、その予兆を観測できる可能性がある。また、ブレークダウンはバイナリー的現象ではなく、中途半端な状態も観測されることがあり、それ自体最終的なブレークダウンの予兆である可能性もある。以上のことから、ブレークダウン現象の理解を深めるために、デジタイザーを導入して、全てのパルス情報を(最高50Hzで)保存・解析できるシステムを構築した。本発表では、全パルス情報の取得・保存システム、及び初期の全パルス解析の結果について報告する。
 
ポスターセッション③ (8月8日 61A)
10:00-12:00 
FRP050

高電界Xバンド誘電体アシスト型加速構造に向けた研究開発
Research toward high gradient X-band dielectric assist accelerating structures
○佐藤 大輔1, 2, 阿部 哲郎2, 吉田 光宏2, 松本 修二2, 高富 俊和2, 東 保男2, 肥後 寿泰21(国研)産業技術総合研究所, 2高エネルギー加速器研究機構)
○Daisuke Sato1, 2, Tetsuo Abe2, Mitsuhiro Yoshida2, Shuji Matsumoto2, Toshikazu Takatomi2, Yasuo Higashi2, Toshiyasu Higo21AIST, 2KEK)
 
誘電体アシスト加速構造(Dielectric Assist Accelerating (DAA) structure)は、低損失誘電体材料を用いた誘電体同軸構造と誘電体円盤を周期的に配置した内部構造を持ち、TM02nモードでビーム加速を想定する誘電体装荷型加速構造である[1]。DAA構造は、加速構造内壁での導体損を大幅に低減できるため、室温のCバンド加速構造で600 MΩ/mという高いシャントインピーダンスが実現されている[2]。一方、DAA構造はマルチパクタ等の放電によって加速勾配が12 MV/m程度で制限されている現状がある[3]。本研究ではXバンド定在波型DAA構造を開発し、高電界試験を通じてDAA構造内部で発生するマルチパクタ等の放電箇所を特定することでDAA構造の高電界化に向けた構造最適化に取り組んでいる。 初期モデル(DAA#X1)の高電界試験では、特にエンドセルでのマルチパクタ放電が頻発していたことから、新たにエンドセル構造を持たないサファイアを用いた2セルDAA構造(DAA#X2)を開発した。さらにサファイヤセルに水素化アモルファスコーティングを施すことで表面での2次電子放出係数を低減化した。XバンドDAA構造の高電界試験は、高エネルギー加速器研究機構のXバンド大電力試験設備Nextef2を用いて試験を進めている。本会議では、XバンドDAA構造の開発状況と進捗状況について発表する。 [1] D. Satoh, et.al., Phys. Rev. Accel. Beams 19, 011302 (2016). [2] D. Satoh, et.al., Phys. Rev. Accel. Beams 20, 091302 (2017). [3] S. Mori, et. al., Phys. Rev. Accel. Beams 24, 022001(2021).
 
10:00-12:00 
FRP051

アレス空洞系における空洞間結合度の評価方法
Evaluation method of the coupling factors between cavities in the ARES cavity system

○山口 孝明, 小林 鉄也, 阿部 哲郎(高エネルギー加速器研究機構)
○Takaaki Yamaguchi, Tetsuya Kobayashi, Tetsuo Abe(KEK)
 
SuperKEKB加速器では極めて大きなビーム負荷に対応するため、超伝導加速空洞に加え、常伝導の3空洞結合系であるアレス空洞を導入している。アレス空洞系では加速空洞が同軸アンテナ型減衰機構を搭載した結合空洞を介してエネルギー貯蔵空洞に結合している。加速及び貯蔵空洞の負荷Qは数万であるのに対し、結合空洞の負荷Qは約50である。ビーム加速はπ/2モードで行われる一方、寄生して発生する0, πモードは結合空洞の減衰機構で減衰される。アレス空洞のような複数空洞の結合系では、空洞間の結合度が重要なパラメータとなる。特に多空洞結合系を簡便な等価回路モデルで議論する際、正確な空洞間結合度を用いることがその計算結果の信頼性において重要である。最近の研究から、結合空洞減衰器でのπ/2モードの電力損失やgap transientの計算において、空洞間結合度の値が重要であることがわかってきた。しかし、アレス空洞のようにそれぞれの空洞特性が全く異なるような状況では、空洞間結合度の同定方法は自明ではない。本研究ではアレス空洞において、CST MW Studioによる3次元電磁場解析と3空洞結合系の等価回路モデルの解析の併用により、空洞間結合度を同定する方法を考案した。これによりアレス空洞の等価回路を用いたさらに精緻な検証が可能となった。本発表では、今回考案した空洞間結合度の同定方法をアレス空洞について適用した結果を示す。さらに、得られた空洞パラメータでπ/2モードの結合空洞減衰器での電力損失を計算した結果と、実際のアレス空洞の大電力試験の結果との比較も行う。
 
10:00-12:00 
FRP052

KEKにおける文科省補助金による5カ年計画(MEXT-ATD)のためのEuropean XFELタイプ入力結合器のクオリティチェック
Quality check of European XFEL-type Power Coupler for MEXT-ATD program at KEK
○山本 康史, 片山 領, Omet Mathieu, 阪井 寛志, 道前 武, 山田 智宏(高エネルギー加速器研究機構)
○Yasuchika Yamamoto, Ryo Katayama, Omet Mathieu, Hiroshi Sakai, Takeshi Dohmae, Tomohiro Yamada(High Energy Accelerator Research Organization)
 
2023年度よりKEKにて、文科省補助金による5カ年計画(MEXT advanced Accelerator element Technology Development (MEXT-ATD))が始まった。最終目標は、ILC(国際リニアコライダー計画)スペックを満足するクライオモジュールを製造・建設し、冷却試験することである。入力結合器は2024年度に4本製造することになったが、新型セラミックを用いることになったことと、KEKでは製造経験の無い形状の入力結合器であったため、いくつかクオリティチェックを実施することにした。主な項目は、ロウ付け、窒化チタンコーティング、銅鍍金、の3つである。この内、ロウ付けと窒化チタンコーティングは無事、終了した。一方、銅鍍金は、現在も進行中である。本講演では、これらクオリティチェックの詳細について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP053

KEKにおける文科省補助金による5カ年計画(MEXT-ATD)のためのEuropean XFELタイプ入力結合器の製造とハイパワー試験の準備
Production and preparation for high power test of European XFEL-type Power Coupler for MEXT-ATD program at KEK
○山本 康史, 片山 領, 阪井 寛志, Omet Mathieu, 山田 智宏, 道前 武(高エネルギー加速器研究機構)
○Yasuchika Yamamoto, Ryo Katayama, Hiroshi Sakai, Omet Mathieu, Tomohiro Yamada, Takeshi Dohmae(High Energy Accelerator Research Organization)
 
2023年度よりKEKにて、文科省補助金による5カ年計画(MEXT advanced Accelerator element Technology Development (MEXT-ATD))が始まった。最終目標は、ILC(国際リニアコライダー計画)スペックを満足するクライオモジュールを製造・建設し、冷却試験することである。2024年度は、予定を前倒しして、4本の入力結合器を製造することになった。製造中に様々な事態が発生したものの、2025年3月末に無事、納品された。現在は超伝導リニアック試験施設(STF)にあるResonant ringシステムでのハイパワー試験の準備中である。これと並行して、2025年度にもう4本製造し、2026年末までに8本のカップラーの大電力試験を終え、2027年からは空洞ストリング組立に入る予定である。クライオモジュールの冷却試験は2027年度中に行われる予定である。本講演では、最近の進捗について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP054

TE211型複合加速構造単空洞リニアックの設計研究
Design study of a TE211-mode Single Hybrid Cavity linear accelerator
○池田 翔太, 林崎 規託(科学大)
○Shota Ikeda, Noriyasu Hayashizaki(Science Tokyo)
 
TE211モード複合加速構造単空洞(TE211モードSHC)リニアックは4ベインRFQリニアックと、ドリフトチューブを上下左右から交互に組み合わせた電極配置であるダブルIH-DTL、RFQリニアックとダブルIH-DTL間のビーム整合をするマッチングセルを単一空洞に組み込んだ構造のリニアックである。TE211モードSHCリニアックは陽子加速に適した高い運転周波数(200 MHz以上)において低エネルギーイオンビームの高効率な加速が期待され、原理実証機の開発に向けて電磁場シミュレーションソフトウェアとビームシミュレーションソフトウェアを組み合わせた加速空洞の設計がおこなわれている。本発表では、加速空洞の設計経過について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP055

XバンドSUS430製渦巻き型ダミーロードの開発
Development of the X-band spiral-shaped dummy load made of SUS430

○安留 健嗣1, 稲垣 隆宏1, 2, 前坂 比呂和1, 2, 岩井 瑛人2, 1, 大島 隆2, 1, 近藤 力2, 1, 松原 伸一21理研RSC, 2高輝度光科学研究センター)
○Kenji Yasutome1, Takahiro Inagaki1, 2, Hirokazu Maesaka1, 2, Eito Iwai2, 1, Takashi Ohshima2, 1, Chikara Kondo2, 1, Shinichi Matsubara21RIKEN SPring-8 Center, 2JASRI)
 
常伝導のマイクロ波加速空洞の開発において、加速効率の向上や施設のコンパクト化、ディフレクター空洞の開発においては時間分解能の向上を目指す目的から、Xバンドのマイクロ波を用いた小型空洞が採用されつつある。空洞の終端に位置するダミーロードには、セラミックの吸収体や導波路の内部にひだをつけることで反射損失を増やす手法があるが、製作に時間とコストがかかることに加え、大電力時の脱ガスが多くコンディショニングに時間がかかることや放電頻度が高いことが問題となりやすく、Xバンド加速器の実用化のための開発要素の一つとなっている。我々は、十分な吸収特性と信頼性を両立するために、材質に磁性SUS430を用いた渦巻き型のテーパー付き導波路を設けたダミーロードを製作した。低電力高周波測定では、導波路のカットオフに応じた減衰特性が想定通り得られ、11.424 GHz付近のVSWRは1.1を十分に下回ることを確認した。また、熱分布や真空排気も想定通りであることを確認した。5月以降、20 MW電力のクライストロンを用いて大電力試験を行い、真空性能、放電頻度、温度上昇などを測定する予定である。本発表においては、これらの試験結果を報告する。
 
10:00-12:00 
FRP056

J-PARCリニアック大電力高周波源機器のトラブル事例
Trouble case report of high power RF source equipment at J-PARC Linac

○溝端 仁志1, 不破 康裕2, Cicek Ersin1, 方 志高1, 福井 佑治1, 二ツ川 健太1, 浅野 博之2, 篠崎 信一2, 中野 秀仁2, 岩間 悠平3, 佐藤 福克31高エネ研, 2原子力機構, 3NAT)
○Satoshi Mizobata1, Yasuhiro Fuwa2, Ersin Cicek1, Zhigao Fang1, Yuji Fukui1, Kenta Futatsukawa1, Hiroyuki Asano2, Shinichi Shinozaki2, Hideto Nakano2, Yuhei Iwama3, Yoshikatsu Sato31KEK, 2JAEA, 3NAT)
 
J-PARCリニアックは運転開始から20年ほど経過している。経年劣化によるトラブルにより、クライストロンを含め様々な機器の交換作業を行っている。本発表では最近5年ほどの大電力高周波源機器のトラブル事例を報告する予定である。
 
10:00-12:00 
FRP057

同期トリガ・クロック発生装置
Synchronous Trigger and Clock Generator

○大島 隆1, 2, 岩井 瑛人1, 2, 前坂 比呂和2, 1, 埜下 英児31高輝度光科学研究センター, 2理研, 3(株)キャンドックスシステムズ)
○Takashi Ohshima1, 2, Eito Iwai1, 2, Hirokazu Maesaka2, 1, Eiji Nonoshita31JASRI, 2RIKEN, 3Candox systems)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAでは、極短パルスレーザーシステムや、ショットごとのデータを保存する収集システムなど、加速器のトリガやクロックに同期して動くシステムが稼働している。これらのシステムでは、トリガやクロックは連続的に供給されることが前提とされており、供給が停止する場合には、事前に時間をかけてシャットダウンの操作を行うことが必要となる。また、トリガやクロックの供給が再開されたとしても、システムの温度などが安定になるまで、時間単位の待ち時間が生じてしまう。しかし、運転停止期間中にメンテナンスを行うことがあったり、偶発的にトラブルが発生することは避けることができない。そこで、通常は外部トリガ・クロックに同期した動作を行い、外部トリガ・クロックの供給が停止することが予想される場合には内部クロックに切り替えて動作する信号発生器の製作を行うことにした。製作した装置の出力クロック信号の位相雑音は、オフセット周波数10Hzから10MHzの積分値として内部モードにて44fs rms、外部同期モードにて23fs rmsと良好な結果であった。本報告では信号発生器の構成、動作および性能について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP058

KEK電子陽電子入射器の共振充電型クライストロン電源De-Q'ingコントローラへのデジタルインターフェースの導入
Digital interface module for de-Q'ing controller of the resonant charging type klystron modulator at the KEK e-/e+ injector LINAC

○三浦 孝子1, 2, 中島 啓光1, 松本 利広1, 2, 松本 修二1, 夏井 拓也1, 2, 東福 知之3, 草野 史郎31高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学, 3三菱電機システムサービス(株))
○Takako Miura1, 2, Hiromitsu Nakajima1, Toshihiro Matsumoto1, 2, Shuji Matsumoto1, Takuya Natsui1, 2, Tomoyuki Tofuku3, Shiro Kusano31KEK, 2SOKENDAI, 3Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd)
 
KEK電子陽電子入射器では、共振充電型クライストロン電源の電圧設定をリモート制御からローカル制御に切り替えた際、ビームのエネルギージッターが改善することが確認された。リモート制御では、外部モジュールからのアナログレベル信号で設定電圧を制御していたためにノイズの影響を受けやすいと考え、電源のDe-Q'ingコントローラに対してデジタル値を直接与えるためのLANインターフェースを導入した。本発表では、デジタルインターフェース導入による電源電圧安定化とRF安定度について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP059

13kV SiC-MOSFET を用いた自己給電回路の開発
Development of the self-power feeding circuit using 13kV SiC-MOSFET

○川上 弘晶1, 生駒 直弥1, 徳地 明1, 高柳 智弘2, 不破 康裕21株式会社パルスパワー技術研究所, 2日本原子力研究開発機構)
○Hiroaki Kawakami1, Naoya Ikoma1, Akira Tokuchi1, Tomohiro Takayanagi2, Yasuhiro Fuwa21PPJ, 2JAEA)
 
半導体スイッチを用いた高電圧パルス電源において、高電圧に浮いた各段のスイッチにゲート駆動電力を供給する必要がある。通常は絶縁トランスを用いて地上から給電を行うが、電圧が高くなるとコロナ放電などの問題が生じる。この問題を解決する手法として、各段の印加電圧(高電圧)を降圧して制御電圧(低電圧)を生成する自己給電があり、当社では過去に 3kV の印加電圧から 5V の制御電圧を生成した実績がある。本研究では、13kV 耐圧の SiC-MOSFET を用いて 7kV の印加電圧から 5V の制御電圧を生成した。この成果により、スイッチ基板の高電圧化を行った場合にも、信頼性の高い給電が可能であることが示された。
 
10:00-12:00 
FRP060

KEK電子陽電子入射器の高周波モニタシステムの校正
Calibration of RF Monitoring System in KEK injector Linac

○片桐 広明, 荒川 大, 松本 利広, 三浦 孝子, 矢野 喜治(高エネルギー加速器研究機構)
○Hiroaki Katagiri, Dai Arakawa, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Yoshiharu Yano(KEK)
 
KEK電子陽電子入射器の高周波モニタシステムは、約60台の大電力高周波源のモニタ信号を常時監視している。システムの中心となるRFモニタユニットは、アナログIQ検出器、ADCボード、FPGAボードから構成され、ベースバンドに変換したIQ信号を14ビットADCで捕捉する。さらに外部の計算機でIQ信号から振幅・位相に変換するが、演算速度を重視し、振幅値は214を最大値とする符号なし整数表示のまま取り扱っている。 一方で電力絶対値表示の要望もあることから、整数値を電力に換算する機能の追加を進めている。 これには、RFモニタユニットの入出力特性の校正、RFモニタ信号伝送経路の減衰量補正が必要となる。RFモニタユニットの校正はパワーセンサを用いて行い、整数値から入力電力への換算は2次関数に当てはめる方法を予定している。 モニタ信号伝送経路の補正では、入射器地下トンネルからRFモニタユニットが設置された クライストロンギャラリまで長距離敷設された同軸ケーブルの減衰量測定が問題となる。 ネットワークアナライザでS21透過波を図ることが困難なためS11で反射波を測定する方法を検討している。 トンネル-ギャラリー間と同種で同程度の長さのケーブルを用いてS21とS11の測定値を比較したところ、 減衰量換算値で差は1%未満に収まっている。これまでに行ってきたRFモニタユニットの校正と、同軸ケーブル減衰量測定について報告する
 
10:00-12:00 
FRP061

RFSoC内蔵の高速サンプリングADCの校正手順
Calibration Procedures for High-Speed Sampling ADCs Integrated in RFSoC

○漁師 雅次, 石坂 隆典, 岩城 孝志, 林 和孝(三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ株式会社)
○Masatsugu Ryoshi, Takanori Ishisaka, Takashi Iwaki, Kazutaka Hayashi(MITSUBISHI ELECTRIC DEFENSE AND SPACE TECHNOLOGIES)
 
Xilinx製のRFSoCに内蔵されている高速サンプリングADCは、高周波信号をデジタイズでき、複素デジタルダウンコンバートによりI/Q信号に変換して振幅および位相を検出できる。この技術は、高周波加速器制御や高周波信号のモニタリングにおいて利用され始めている。RFSoC内蔵のADCは、Cバンドまでの入力周波数に対応し、14ビットの分解能を持っている。高速サンプリングを実現するために、複数のADCを時分割でサンプリングし、あたかも一つのADCのように動作させるタイムインターリーブ方式を採用している。しかし、タイムインターリーブ方式のADCには、各ADCブロックのアナログ特性の違いによる振幅およびオフセットの違い、サンプリングタイミングのディレイの違いなどにより精度が劣化する欠点がある。これらの問題を校正する機能がRFSoCに内蔵されており、適切に運用することで最大限の性能を引き出すことが可能である。本報告では、校正機能の概説とその利用手順について説明する。
 
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FRP062

ILCクライストロン用チョッパ型マルクス電源の現状
Present status of chopper-type Marx modulator for ILC Klystron

○中島 啓光1, 明本 光生1, 川村 真人1, 夏井 拓也1, 松本 修二1, 松本 利広1, 徳地 明2, 澤村 陽2, 生駒 直弥21高エネルギー加速器研究機構, 2株式会社パルスパワー技術研究所)
○Hiromitsu Nakajima1, Mitsuo Akemoto1, Masato Kawamura1, Takuya Natsui1, Shuji Matsumoto1, Toshihiro Matsumoto1, Akira Tokuchi2, Yo Sawamura2, Naoya Ikoma21KEK, 2PPJ)
 
現在開発中のマルクス電源は、-120kVの出力を得るために20ユニットで構成されている。各ユニットは、降圧チョッパ回路とマルクス回路を組み合わせた-1.5kV出力のマルクスセル4段と制御基板によって構成されており、各マルクスセルをPWM制御することで、出力電圧-6.0kV、パルス幅1.7msのフラットなパルス電圧を出力する。各ユニットの出力は、直列で合成され、ピーク電圧-120kV (±0.5 %)、ピーク電流140A、パルス幅1.7ms、繰り返し5Hzの平坦な長パルス波形を発生する。現在、本電源は、KEKのSTFにおいてLバンド-レゾナントリングのRF源である850kWクライストロン用の電源として使用されている。本発表では、チョッパ型マルクス電源の現状について報告する。
 
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FRP063

レーザーとRFの同期およびKEK ATFにおける電子ビームの安定性への影響
Laser-to-RF synchronization and its effect on the electron beam stability at the KEK ATF

Konstantin Popov, ○Aryshev Alexander, 照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機構 総研大)
Konstantin Popov, ○Alexander Aryshev, Nobuhiro Terunuma(KEK, Japan)
 
The Low-Level RF (LLRF) system at the KEK Accelerator Test Facility (ATF) is based on a signal generator architecture. Synchronization of the RF-Gun laser system to the accelerating field is achieved via piezoelectric (piezo) feedback. However, reference line jitter and/or drift, as well as piezo control instability, can significantly degrade Laser-to-RF synchronization.
The synchronization stability of the RF-Gun laser pulse arrival and its impact on electron beam parameters immediately downstream of the gun and through the ATF beam transport section were investigated. Simulations incorporating synchronization jitter were performed using ASTRA and Ocelot, and results are benchmarked against experimental data.
This work is supported by the MEXT program Development of Key Element Technologies to Improve the Performance of Future Accelerators (Grant Number JPMXP1423812204).

 
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FRP064

SuperKEKB高度化のためのNb3Sn最終集束超伝導四極電磁石の開発
Development of a Nb3Sn Final-Focus Superconducting Quadrupole Magnet for the SuperKEKB Upgrade

○有本 靖1, 青木 和之1, 植木 竜一1, 大内 徳人1, 大木 俊征1, 荻津 透1, 柴田 恭1, 鈴木 研人1, 飛山 真理1, 中村 衆1, 増澤 美佳1, 王 旭東1, 金子 和宏2, 星野 壮太2, 谷貝 剛2, 杉本 昌弘3, 谷口 諒3, 中尾 健吾3, 原 英和3, マン カケイ3, Ambrosio Giorgio4, Kashikhin Vadim4, Stoynev Stoyan4, Velev Gueorgui4, Xu Xingchen41KEK, 2上智大理工, 3古河電工, 4FNAL)
○Yasushi Arimoto1, Kazuyuki Aoki1, Ryuichi Ueki1, Norihito Ohuchi1, Toshiyuki Oki1, Toru Ogitsu1, Kyo Shibata1, Kento Suzuki1, Makoto Tobiyama1, Shu Nakamura1, Mika Masuzawa1, Xudong Wang1, Kazuhiro Kaneko2, Sohta Hoshino2, Tsuyoshi Yagai2, Masahiro Sugimoto3, Ryo Taniguchi3, Kengo Nakao3, Hidekazu Hara3, Ka Kei Mun3, Giorgio Ambrosio4, Vadim Kashikhin4, Stoyan Stoynev4, Gueorgui Velev4, Xingchen Xu41KEK, 2Sophia U, 3Furukawa Electric Co. LTD., 4FNAL)
 
SuperKEKB加速器では、次期長期シャットダウン期間を利用して、超伝導最終集束四極電磁石システムの改造が提案されている。シミュレーションにより、最終集束四極電磁石(QC1P)を衝突点(IP)に100 mm近づけることで、力学口径が拡大し、ビーム寿命が延びることが示されている。QC1Pが設置されるIP付近では、電子・陽電子ビームの2つのリングが交差する構造となっており、IPに近づけると互いのリングとの距離が近づくので、磁石の内径を維持しつつ外径を小さくする必要がある。このため、QC1Pには現在の約2倍の電流密度が求められる。これに対応するため、現行のQC1Pで使用されているNbTiよりも高い臨界特性を持つNb3Sn超伝導線を用いた四極電磁石の開発を進めている。本発表では、QC1Pの開発状況について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP065

J-PARC MR速い取り出し用Eddyセプタム電磁石の性能評価
The Evaluation of the Eddy Current-type Septum Magnet for Fast Extraction of J-PARC MR

○芝田 達伸, 岩田 宗磨, 石井 恒次, 松本 教之, 松本 浩(高エネルギー加速器研究機構)
○Tatsunobu Shibata, Soma Iwata, Koji Ishii, Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto(KEK)
 
速い取り出し用Eddyカレント型セプタム電磁石(以下Eddyセプタム)は、2022年にJ-PARC MRの速い取り出しラインに2式導入された。Eddyセプタムは1ms幅の短パルス磁場を発生させ、ビーム取り出し時のみ励磁するパルス電磁石である。本研究では主に2点の評価を行った。ビーム運転中のEddyセプタムの出力パルス電流の安定性と残留磁場測定である。ビーム運転中パルス電流の安定性に影響を及ぼすノイズ源がFXキッカーと取り出しビームである。残留磁場はMRに入射された3GeVビームに影響を及ぼすため、残留磁場の測定による評価が必要であった。キッカーノイズの影響を調べた結果、フィードバック用出力パルス電流モニターには顕著なキッカーノイズが侵入している事が判明したが、その振幅は電流モニター波形の振幅に対して~30ppmであった。この量は出力安定性に影響を及ぼさない事を確認した。一方ビームノイズはフォードバック用出力パルス電流モニター波形には顕著に見られなかったが、ビーム有り無しで明らかに安定性変化があり、ビームノイズの影響を受けている事が確認された。残留磁場測定は2024年夏に1式のEddyセプタムに対して行った。その結果、四重極成分が観測され、その値は3GeVビームのK1Lに換算して+18×10^-5[1/m]であった。この値は他の速い取り出し用セプタム電磁石の残留磁場のK1Lである-1.8×10^-5[1/m]より遥かに大きい値であった。本報告で以上の結果の詳細をまとめる。
 
10:00-12:00 
FRP066

ソレノイドコイル形状のNb3Al極細素線超伝導ケーブルの臨界電流値の測定
Critical current measurement of ultra-fine strands Nb3Al cables in solenoid coil shape

○植木 竜一1, 大内 徳人1, 菊池 章弘2, 山本 優3, 有本 靖1, 青木 和之11高エネルギー加速器研究機構, 2物質材料研究機構, 3日本超電導応用開発株式会社)
○Ryuichi Ueki1, Norihito Ohuchi1, Akihiro Kikuchi2, Masaru Yamamoto3, Yasushi Arimoto1, Kazuyuki Aoki11KEK, 2NIMS, 3JSA)
 
SuperKEKB加速器のさらなる衝突性能向上のため筑波直線部のLocal Chromaticity Correction 用の六極電磁石を3種類の補正コイルを持った超伝導六極電磁石に置き換えることを検討している。我々はこれまで、補正コイルの候補としてNb3Al超細線ケーブルを用いたReact & wind法によるコイル製作を念頭に置き、機械的曲げに対する超伝導特性の評価を行ってきた。前回、長さ80 mmの短尺のNb3Alケーブルに曲率半径25 mmから2.5 mmステップで10 mmまでの機械的曲げ歪を与え臨界電流値を測定した結果、R=12.5、10 mmで臨界電流値が劣化することを報告した。今回、特性が劣化したケーブルのCTスキャンを行い、その原因を調査した。また、より実用に近い長さである800 mm程のNb3Alケーブルに対して、連続した機械的曲げを与えたときの超伝導特性を調べるため、劣化の見られなかった曲率半径(R=25、22.5、20、15 mm)のソレノイド形状のコイルを製作し、臨界電流値の測定を行った。本発表では、これらの結果を報告する。
 
ポスターセッション③ (8月8日 61B)
10:00-12:00 
FRP067

繰り返し周波数とギャップスイッチの自己破壊電圧のばらつきの関係
Relationship Between Repetition Frequency and Variation in Self-Breakdown Voltage

○中田 恭輔, 徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所)
○Kyosuke Nakata, Akira Tokuchi(PPJ)
 
昨今はSiCやGaNといった高性能な半導体スイッチが登場し、広く使われている。しかし、未だに数十kVや数kAの定格を持つ半導体スイッチは市販されていない。ギャップスイッチは構造が簡単で、半導体スイッチでは難しい高電圧・大電流のスイッチングを実現できるが、自己破壊電圧など不確定要素が多い。本研究では、ギャップスイッチの自己破壊電圧の繰り返し周波数によるばらつきを評価し、その結果を考察した。
 
10:00-12:00 
FRP068

大容量加速器用電磁石電源の内製化
In-house production of a large-capacity power converter for accelerator magnets

○渡辺 泰広1, 中根 雅人2, 井上 正樹3, 吉村 直己3, 弓野 雄一31日本原子力研究開発機構, 2アイムス, 3泰榮エンジニアリング)
○Yasuhiro Watanabe1, Masato Nakane2, Masaki Inoue3, Naoki Yoshimura3, Yuichi Yumino31Japan Atomic Energy Agency, 2Aimusu, 3Taiei Engineering)
 
シンクロトロンで使用される電磁石電源は,加速する粒子のエネルギーに応じて電流パターンを高精度で制御する必要があり,特に大容量電源の場合,同時に受電側の電力変動や高調波対策が必要になるため高い技術力が要求される。通常,加速器で使用される電磁石電源は,発注仕様書に性能仕様を規定し,受注した製作会社の責任において設計及び製作される。しかし,シンクロトロン用電磁石電源の場合,受注会社が製作した電磁石電源がそのまま使用できることは稀であり,たびたび調整や改造を行いながら運用しているのが実情である。
 本論文では,最大電圧2400 V,最大電流750 A,繰り返し周波数25 Hzのシンクロトロン用大容量電磁石電源の内製化に挑戦した。ここで示す内製化とは,電磁石電源の設計(主回路設計,制御回路設計,構造設計),部品調達,試験検査,ソフトウエア製作を所内で行い,製造は外注会社に図面を提供して製作することである。この電磁石電源は,電源ユニットをモジュール化して直並列接続することにより,任意の定格電圧,電流に対応することが可能である。本電磁石電源を製作するため,IGBT,ドライブ回路,冷却フィン,直流コンデンサを一体化した電源ユニットと,SoC FPGAを使用したディジタル制御回路を開発した。

 
10:00-12:00 
FRP069

KEK-PF高速パルスキッカーのための800 kHz高繰り返し駆動に向けたSiC-MOSFETパルス電源の開発と高繰り返し試験
Development of a SiC-MOSFET pulsed power supply toward 800 kHz operation for the KEK-PF fast kicker system

○篠原 智史1, 満田 史織1, 内藤 大地1, 奥田 貴史2, 中村 孝21高エネルギー加速器研究機構, 2ネクスファイ・テクノロジー株式会社)
○Satoshi Shinohara1, Chikaori Mitsuda1, Daichi Naito1, Takafumi Okuda2, Takashi Nakamura21High energy accelerator research organization, 2NexFi Technology Inc.)
 
放射光源加速器KEK-PFでは、高速キッカーシステムのためのピーク電流500 Aパルス幅200 nsの正弦半波を800 kHzで繰り返し出力可能な高性能パルス電源が求められている。そこで本研究では、高繰り返し動作可能なSiC-MOSFETに着目してパルス電源の開発を進めてきている。これまでに、設計した回路にNexFi Tec.社製の特注SiC-MOSFETスイッチングモジュール(SWM)を組み込み、SWM定格である400 kHzでのパルス出力を達成した [1]。しかしながら、充電部では空冷ヒートシンク搭載の抵抗器のパルス耐電圧が不十分と判明し、また充電速度向上と発熱対策のために必要な抵抗器並列数の増加はヒートシンクの大型化により困難だった。パルサー部ではダイオードの発熱が問題となったが、素子直並列数増加は寄生成分を増加させ充電速度の低下が懸念された。これらの課題解決のため新たに水冷構造を積極的に導入し、放熱性を高めつつ回路を小型化する改善を行った。小型化により回路寄生成分を抑え、回路定数の最適化を容易にした。さらに、小型化と耐電圧を両立する構造設計も実施した。本発表では、400 kHz超の繰り返し動作におけるパルス出力性能の評価と改良したパルス電源回路の設計について報告する。[1] S. Shinohara et al., Proc. of PASJ2024.
 
10:00-12:00 
FRP070

中間磁極を用いた永久磁石補正磁石の最適化と試作機の製作検討
Optimization of Permanent Magnet Corrector Magnets Using Intermediate Poles and Study on Prototype Development

○栗山 靖敏1, 不破 康裕1, 岩下 芳久2, 照沼 信浩31日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター, 2大阪大学 核物理研究センター, 3高エネルギー加速器研究機構)
○Yasutoshi Kuriyama1, Yasuhiro Fuwa1, Yoshihisa Iwashita2, Nobuhiro Terunuma31Japan Atomic Energy Agency J-PARC Center, 2RCNP, Osaka University, 3High Energy Accelerator Research Organization)
 
永久磁石を用いた荷電粒子ビーム用補正磁石の開発を進めている。開発中の補正磁石では、磁場を発生させる永久磁石ロッドを回転させることで、磁場の極性を正負両方向に変化させることが可能である。試作機の性能評価の結果、永久磁石の残留磁化の不均一性が多極成分に大きな影響を与えることが明らかとなった。この影響を抑制する手法として、異方性を有する中間磁極を追加した補正磁石の構成を検討している。本発表では、多極成分の抑制を目的とした改良案の検討結果を報告する。また、中間磁極を備えた補正磁石の試作機を製作し、実際のビームラインに設置しての試験を予定しており、その検討状況についても併せて報告する。
 
10:00-12:00 
FRP071

シンクロトロン用ビームダクトの渦電流の磁場への影響の数値的評価
Numerical evaluation of eddy current effect on magnetic field in synchrotron beam duct

川口 秀樹1, ○加藤 政博2, 31室蘭工大, 2広島大, 3UVSOR)
Hideki Kawaguchi1, ○Masahiro Katoh2, 31Muroran I. T., 2Hiroshima U., 3UVSOR)
 
放射光源電子蓄積リングなどの入射器として用いられることの多いブースターシンクロトロンは、小型直線加速器などの前段入射器から供給される低エネルギー電子ビームを1秒前後の短い時間で加速し蓄積リングへ送り出す。加速時の偏向電磁石内の磁場強度の急激な増加に伴いビームダクト表面に渦電流が誘導され、これにより二次的に発生する磁場が電子ビームに許容できない影響を与える可能性がある。放射光源UVSORのブースターシンクロトロンはおよそ40年前に建設されたものであるが、渦電流の影響を低減するために蛇腹構造のビームダクトが採用されている。しかし、このような構造のビームダクトによる渦電流抑制効果はこれまで定量的に評価されてこなかった。昨年度の年会では、電流ベクトルポテンシャル法(T法)に基づく3次元渦電流解析を用いて、蛇腹構造の渦電流抑制効果の評価結果を報告した。今年度は、磁石鉄芯を計算に含め、渦電流の磁場への影響を評価した結果について報告を行う。
 
10:00-12:00 
FRP073

金属円筒パイプの中を運動する低ベータ重荷電粒子に対するビーム診断について
On Beam Diagnostics for a Low-Beta Heavy Charged Particle Moving in a Metallic Cylindrical Pipe

○諏訪田 剛(高エネルギー加速器研究機構)
○Tsuyoshi Suwada(KEK)
 
加速器においてビーム診断に要求される技術は広範な分野に及ぶ。ビームの電磁場検出に始まり、光放射検出、2次粒子検出、発光検出等、様々な技術が用いられる。ビームの電磁場検出は、最も基本的な診断技術の1つで、ビーム電荷を計測する壁電流モニター(WCM)やビーム位置を計測する位置モニター(BPM)はこの検出技術を応用したものである。
ビーム電磁場の検出技術において、金属円筒パイプの中を運動する荷電粒子が生成する電磁場の相対論的効果は、ビーム診断では基本事項の1つである。金属円筒パイプ中では荷電粒子の電磁場は、ローレンツ変換により軸方向に粒子速度に依存して伸縮する効果である。ビーム診断はこの伸縮の効果を取り入れた設計が要求される。
2002年夏、私はKEKで毎年開催される高エネルギー加速器セミナーにおいて「ビーム計測I」というテーマで講師を務めた。本セミナーではWCMやBPMについて基本的な動作原理を紹介したが、導入のところで取り上げたビーム電磁場の相対論的効果については、当時幾つかのセミナー資料を調べてみたが適当な文献が見当たらず、それでは自分で導出しようと試みたが、結局断念した覚えがある。
今回、この相対論的効果について厳密な導出の必要性に迫られ、当時の私が書いたセミナー資料の補遺という形でまとめたものである。本報告では、特に低ベータ重粒子と相対論的電子に対するビーム診断の差異を論じることにしたい。

 
10:00-12:00 
FRP074

J-PARC 主リングでのデバンチしたビームに対する微分特性BPMでの横方向フィードバックの検討
Transverse Feedback for Coasting Beam with Differential Response BPM at J-PARC

○中村 剛, 佐藤 健一郎, 長尾 大樹, 武藤 亮太郎, 冨澤 正人(高エネルギー加速器研究機構 東海キャンパス)
○Takeshi Nakamura, Kenichirou Sato, Daiki Nagao, Ryotaro Muto, Masahito Tomizawa(KEK/J-PARC)
 
J-PARCの陽子シンクロトロンである主リング (MR)では、運転形態の一つにおいて、バンチを拡散(デバンチ)させてコースティングビーム (DCビーム)とし、それをゆっくりと取り出している。しかし、このデバンチの過程において垂直のビーム不安定性、およびそれによるビーム損失が観測されている。この抑制にはフィードバックが有効ではあるが、それに必要とされるDCビームの各部分の位置の測定は、MRに設置されている微分特性をもつBPMでは困難であった。今回、BPMの信号をMR一周でランニング平均を取ることにより各部分のターンごとの位置の差分が得られること、それに対して適切な信号処理を行へばキックが生成可能であることを見出した。この手法およびBPMの実データを用いた解析について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP075

J-PARC 用 イントラバンチフィードバックの開発: 試作機と実機の試験
DEVELOPMENT OF RFSoC BASED INTRA-BUNCH TRANSVERSE FEEDBACK FOR J-PARC Proton Rings: Test of Prototype and Real Processors

○中村 剛1, 佐藤 健一郎1, 長尾 大樹1, 外山 毅1, 岡田 雅之1, 小林 愛音1, 山田 逸平2, 菖蒲田 義博21高エネルギー加速器研究機構 東海キャンパス, 2日本原子力研究開発機構)
○Takeshi Nakamura1, Kenichirou Sato1, DAIKI NAGAO1, Takeshi Toyama1, Masashi Okada1, Aine Kobayashi1, Ippei Yamada2, Yoshihiro Shobuda21KEK/J-PARC, 2JAEA/J-PARC)
 
J-PARCの陽子シンクロトロンである主リング (MR, 3GeV入射、30GeV取出)では横方向のビーム不安定性に対して、バンチの各部分毎にベータトロン振動を検出し、部分毎に減衰させるフィードバックを用いている。しかし、予定されているビーム強度増強の際に発生が危惧される、より高い周波数での不安定性の抑制に向けて新たなフィードバック信号処理装置を開発している。またRCS (0.4GeV入射 3GeV取出)の将来のビーム増強において不安定性が発生した場合のフィードバックへも適用可能として開発を進めている。前回はフィードバックの構成および信号処理手法について報告したが、今回は試作機での動作試験および実機とするハードウェアおよびその性能試験について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP076

J-PARC主リングにおける閉軌道応答を用いたチューン測定
Tune measurement from closed orbits in the J-PARC Main Ring

○浅見 高史, 岡田 雅之, 小林 愛音, 佐藤 健一郎, 外山 毅, 長尾 大樹, 山本 昇(高エネルギー加速器研究機構)
○Takashi Asami, Masashi Okada, Aine Kobayashi, Kenichirou Sato, Takeshi Toyama, Daiki Nagao, Noboru Yamamoto(KEK)
 
大強度陽子シンクロトロン J?PARC?Main?Ring(MR) では、ベータトロン共鳴に伴うビームロスを低減するため、入射から取り出しまで時間的に変化するチューンを高精度で測定し制御することが不可欠である。リング加速器のチューン測定法は、(1) 専用キッカーでコヒーレント振動を励起し、周回毎のビーム重心位置(turn?by?turn:TbT 信号)を観測する方法と、(2) 軌道補正用の偏向電磁石を用いて与えた閉軌道の歪み(closed orbit distortion:COD)を測定する方法の二つに大別される。従来 MR では主として TbT信号を用いた方法が採用されてきたが、MR のビーム位置モニタは CODに対して TbT 信号より一桁高い分解能を有しており、COD手法の導入は有用になると考えられる。そこで本研究では、CODを用いた高精度かつ短時間で運用可能なチューン測定手法を開発しMRに導入した。また、TbT 法と比較検証を行い、両手法による測定値がΔQ/Q ~ 0.01?% オーダーの範囲で一致することが示された。本稿では、導入した方法の概要と TbT 法との比較結果を報告する。
 
10:00-12:00 
FRP077

SPring-8挿入光源ビームラインにおける四象限型XBPMを用いた光軸測定
Photon beam axis measurement using a four-blade-drive XBPM at the SPring-8 insertion device beamline

○青柳 秀樹(公益財団法人高輝度光科学研究センター)
○Hideki Aoyagi(Japan Synchrotron Radiation Research Institute)
 
大型放射光施設SPring-8では、各放射光ビームラインのフロントエンド上流部(光源から約20m)に光電子放出型放射光(X線)位置モニタ(XBPM)を1台ずつ設置し、光源からの放射光ビームの変動を角度として計測している。これまで実用上大きな問題なく運用されてきたことから、2台のXBPMを併用することで、放射光ビームの位置と角度を更に精確に決定できると考えられる。しかし、上流XBPMに採用されている従来の固定式ブレード型検出素子では下流XBPM(光源から約25m)への干渉が問題となるため、BL15XUでは検出素子間隔を可変とする四象限型XBPMを上流側に導入した。ところが、下流への干渉を避けるために検出素子間隔を広げた結果、位置感度係数における水平・垂直間のカップリングが顕著となり、2台の同時運用およびその標準化に制約が生じていた。そこで、水平/垂直の結合を分離可能な位置感度係数(2×2行列による一次変換として表現)を用いた校正手法を考案した。作業手順としては、従来通りXBPMを上下左右に移動させた4か所のみの測定により、実用上十分な精度でマッピングが可能であることを実証した。本報告では、位置感度係数のX?Yカップリングを分離する校正手法、および、放射光ビームの位置と角度を測定するために2台のXBPMを同時運用した実績について詳述する。
 
10:00-12:00 
FRP079

コンパクトERLにおけるビームハローの定量的評価の手法開発
Development of the methods to evaluate beam halos quantitatively in compact Energy-Recovery Linac

○瀧藤 航一1, 市川 温子1, 山本 将博2, 島田 美帆2, 倉田 正和2, 田中 織雅2, 中村 典雄21東北大, 2高エネ研)
○Kouichi Takifuji1, Atsuko K. Ichikawa1, Masahiro Yamamoto2, Miho Shimada2, Masakazu Kurata2, Olga Tanaka2, Norio Nakamura21Tohoku Univ., 2KEK)
 
高エネルギー加速研究機構(KEK)のコンパクトERL(cERL)は、現在最大1mAの連続モード(CW)運転によるエネルギー回収が行われており、次は10mA・CW運転を目指している。加速器機器保護及び放射線安全の観点からビームロスを1μA相当(100ppm)以下に抑えた安定運転が求められる。そのために、特に空間電荷効果の影響を受ける低いエネルギー、かつ数pC以上の電荷量の電子ビームの物理を理解し、運転時の問題となると考えられるビームロスの抑制とその発生メカニズムを解明することが必要不可欠である。ビームロスの原因の一つであるビームハローは、定性的な評価を行なった先行研究はあるが、定量的な評価を行なった研究ではcERLでは行われていない。その理由としてビームの形状が基本的に複雑であり、パラメータ化が困難であること、既存のCCDカメラではダイナミックレンジが小さくハローの定量化に不十分であること、などが挙げられる。そこで、コアに対するハローの定量化を行うために、CCDカメラの感度や露光時間の変更、コリメーターの挿入等を行い取得した複数の画像を組み合わせて解析を行なった。本発表ではビームハローの観測できるプロファイルの作成手法、コリメーター、ファラデーカップを用いた定量的評価について報告する。
 
10:00-12:00 
FRP080

MicroTCA.4を用いた高速軌道フィードバックシステムのPFユーザー運転への導入
First Introduction of a Fast Orbit Feedback System Using MicroTCA.4 for the PF User Operations
○高井 良太, 帯名 崇, 多田野 幹人, 下ヶ橋 秀典, 塩澤 真未(高エネ研)
○Ryota Takai, Takashi Obina, Mikito Tadano, Hidenori Sagehashi, Mami Shiozawa(KEK)
 
KEKの放射光源加速器PFリングでは、2024年度の第3期ユーザー運転より新しい高速軌道フィードバックシステムが導入された。この新システムはMicroTCA.4と呼ばれる最新規格のデジタル信号処理回路をベースに構築されている。蓄積ビームのCODはBPMと同数の回路により10kHzのレートで測定され、逆応答行列を用いた演算結果を高速補正電磁石の電流値へフィードバックすることにより所定の基準軌道に補正される。これまで30年近く運用されてきたVMEベースの旧システムからの移行は、第3期運転の立ち上げ期間中に段階的に行われた。基準軌道の引き継ぎもスムーズに完了し、最小ギャップ4mmの真空封止アンジュレータも特別な軌道調整なしで利用することができた。本発表では、PFのユーザー運転に初めて導入された新システムのセットアップや旧システムからの切り替え手順、今後の改良予定等について述べる。
 
10:00-12:00 
FRP081

電子サイクロトロン共鳴イオン源での低Zイオン選択的加熱による多価イオン生成高効率化時のエミッタンス測定
Emittance measurement of ion beam current in selectively heating low Z ions on electron cyclotron resonance ion source

○井手 章敦1, 藤村 優志1, 得能 慎司1, 井上 大地1, 浅地 豊久2, 村松 正幸3, 北川 敦志3, 加藤 裕史11大阪大学, 2滋賀県立大学, 3量子科学技術研究開発機構)
○Akinobu Ide1, Yushi Fujimura1, Shinji Tokuno1, Daichi Inoue1, Toyohisa Asaji2, Masayuki Muramatsu3, Atsushi Kitagawa3, Yushi Kato11The University of Osaka, 2The University of Shiga Prefecture, 3QST)
 
私たちは電子サイクロトロン共鳴イオン源(ECRIS)における実験事実および理論的考察に基づく多価イオンの効率的な生成を目的とした研究を行っている. 多価イオン生成を効率化する手法として経験的に広く知られている低Zガスミキシングを行い,さらに、低周波数RF電磁波導入して,イオンの共鳴現象により低Zガスミキシング効果を助長させる実験を試みている. 具体的にはXeガスにArやHeガスを導入してイオンサイクロトロン共鳴(ICR)による低Zイオン(Ar+,He+)の選択的加熱を行い,能動的にXe多価イオンのクーリング効果を助長する.最初にECRISから10kVで引き出された多価イオンビーム電流の質量価数分布を測定し,低周波数RF電磁波導入で多価イオンの増加を確認した.He導入した場合はAr導入の場合に比べて多価Xeイオン電流量が大きく増加した.次に,Xe/ArおよびXe/Heで各イオンビームのエミッタンス測定行った.私たちのECRISでの磁場強度からエミッタンスに及ぼす影響はイオン温度の効果とほぼ同等程度と考えられる.そこで,磁場強度一定のもとで測定を行い,エミッタンス測定と対応するビーム電流プロファイルから導出されるrmsエミッタンス値からHe+およびAr+におけるICRの選択的加熱の効果を確認した.Xe多価イオンに関して同様の測定を行い,現在詳細データを取得中である.さらに,それぞれに対応するプラズマパラメータの測定も行っている.本報告では, これらの実験結果についての詳細を述べる.
 
10:00-12:00 
FRP082

電気光学サンプリングによる電子ビームの軸方向電場の計測
Measurement of longitudinal electric field around electron beam using electro-optic sampling

○菅 晃一1, 2, 太田 雅人3, 4, 王 有為5, 加藤 康作5, 神戸 正雄6, 2, 楊 金峰2, Agulto Verdad C.5, 有川 安信5, 松井 龍之介7, 吉田 陽一2, 中嶋 誠51量研, 2阪大産研, 3核融合研, 4総研大, 5阪大レーザー研, 6埼玉大院理工, 7三重大電気電子工)
○Koichi Kan1, 2, Masato Ota3, 4, You Wei Wang5, Kosaku Kato5, Masao Gohdo6, 2, Jinfeng Yang2, Verdad C. Agulto5, Yasunobu Arikawa5, Tatsunosuke Matsui7, Yoichi Yoshida2, Makoto Nakajima51QST, 2SANKEN, Osaka University, 3NIFS, 4SOKENDAI, 5ILE, Osaka University, 6Saitama University, 7Mie University)
 
超短パルス電子ビームは、パルスラジオリシス等における反応解析の時間分解能の向上につなげることができる。同時に、ピコ秒・フェムト秒における電子の時間プロファイルの計測手法は、電子ビームを利用した時間分解計測のみならず、慣性核融合分野においても超高速プラズマダイナミクスの温度・密度情報を理解する観点から、必要となっている。
本発表では、35 MeVの電子ビームについて、電気光学(electro-optic, EO)サンプリングを用いたシングルショット時空間分布計測の確立、および、電子ビームの周りに形成される軸方向電場の可視化について報告する。本計測では、EO結晶の面の選定により、径方向・軸方向の電場分布の可視化が可能となった。径方向の電場ではビーム中心の強度は弱く径方向の極性反転がみられ、一方、軸方向の電場ではビーム中心の強度は強く軸方向にパルス分布が観測され、特性の違いが明らかとなった。

 
ポスターセッション①② (8月6日・7日 7-1F-A)
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP001

京都大学自由電子レーザ施設の現状
Present status of free electron laser facility at Kyoto University

全 炳俊, ○Bo Ju Yoon Hnin, 大垣 英明(京大エネ研)
Heishun Zen, ○Ju Yoon Hnin Bo, Hideaki Ohgaki(IAE, Kyoto Univ.)
 
京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー関連研究への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。加えて、2018年度から中赤外自由電子レーザにより駆動するガス高次高調波アト秒光源の実現に向けた基盤技術研究を開始した。また、近年、光陰極高周波電子銃を電子源として用いたコヒーレントアンジュレータ放射光源の開発も行っている。本報告では、これら光源の現状について報告する。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP002

NanoTerasu加速器の現状
Present Status of NanoTerasu

○安積 隆夫, 安居院 あかね, 稲葉 健斗, 上島 孝太, 小原 脩平, 菅 晃一, 佐治 超爾, 保坂 勇志, 西森 信行(量子科学技術研究開発機構 NanoTerasuセンター)
○Takao Asaka, Akane Agui, Kento Inaba, Kota Ueshima, Shuhei Obara, Koichi Kan, Choji Saji, Yuji Hosaka, Nobuyuki Nishimori(NanoTerasu / QST)
 
2024年4月より利用運転を開始した3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuは、3500時間の年度運転計画を予定通り達成した。利用運転では200mAの蓄積ビーム電流を維持するため、数十秒に一度のビーム入射、いわゆるTop-up運転がおこなわれている。また、加速器、ビームライン高度化のためのビーム調整・マシンスタディには、約1800時間が割り当てられた。昨年度の利用運転稼働率は99.6%、また320時間を超える平均故障間隔(MTBF)を達成し、平均復帰時間(MTTR)は1.2時間以下に抑えることができた。本発表では、昨年度の線型加速器、蓄積リングの運転状況、機器故障例を示すとともに、来年度計画されている400mAの蓄積ビーム電流増加に向けた取り組みについて報告する。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP003

QST高崎研TIARA施設の現状報告2025
2025 status report of TIARA facility at QST Takasaki

○山田 圭介, 千葉 敦也, 吉田 健一, 石坂 知久, 湯山 貴裕, 平野 貴美, 細谷 青児, 菅沼 瑠里, 宮脇 信正, 柏木 啓次, 高野 圭介, 齊藤 宏行, 金井 信二, 青木 勇希, 橋爪 将司, 倉島 俊(QST高崎研)
○Keisuke Yamada, Atsuya Chiba, Ken-ichi Yoshida, Tomohisa Ishizaka, Takahiro Yuyama, Yoshimi Hirano, Seiji Hosoya, Ruri Suganuma, Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Keisuke Takano, Hiroyuki Saito, Shinji Kanai, Yuuki Aoki, Masashi Hashizume, Satoshi Kurashima(QST Takasaki)
 
量子科学技術研究開発機構(QST)高崎量子技術基盤研究所のイオン照射研究施設TIARAには4台の加速器が設置されており、材料開発やRI製造、バイオ技術の研究分野へ様々なイオン種のビームを幅広いエネルギー範囲で提供している。AVFサイクロトロン(K110) 、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の2024年度の運転時間はそれぞれ、966.1h、1111.3h、1115.7h、815.5hであり、実験キャンセルを除けば、計画した照射実験はすべて実施した。電気料金の高騰により、サイクロトロンの運転は引き続き厳しい状況が続いているが、2024年度の運転時間は47%増加した。主な保守整備として、サイクロトロンの冷温水ユニットの純水器とポンプの交換、タンデム加速器GVMモーターの交換、シングルエンド加速器イオン源コルツ及び発振管交換などを実施した。またトラブルとして、タンデム加速器マグネット電源の故障及び制御系通信機器の通信エラー、シングルエンド加速器ビームライン冷却水チューブ破断による水漏れなどが発生した。本発表では、2024年度の保守・整備、トラブルとその対応、新ビーム加速、施設の利用状況等について報告する。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP004

UVSOR光源加速器の現状2025
Status of UVSOR synchrotron in 2025

○金安 達夫1, 林 憲志1, 清水 康平1, 山崎 潤一郎1, 水口 あき1, 平 義隆1, 加藤 政博1, 21分子研UVSOR, 2広大HiSOR)
○Tatsuo Kaneyasu1, Kenji Hayashi1, Kohei Shimizu1, Jun-ichiro Yamazaki1, Aki Minaguchi1, Yoshitaka Taira1, Masahiro Katoh1, 21UVSOR, IMS, 2HiSOR, Hiroshima University)
 
分子科学研究所の放射光リングUVSOR-IIIの運転および光源開発研究の状況を報告する.UVSORは1983年から40年以上稼働し続けているが,複数回の高度化改造を経たことで,低エネルギー放射光源としては現在でも世界トップクラスの光源性能を保持している.現在は6基のアンジュレータを主軸とした計13本のビームラインが稼働しており,真空紫外・軟X線領域を中心に,テラヘルツからガンマ線を供給している.2024年度は年間36週のユーザー運転を予定通り実施した.一方,近年のUVSORでは老朽化の影響が各所に現れており運転トラブルの発生頻度が高まりつつある.2025年春のシャットダウン期間には老朽化対策として,真空リークが発生していたブースターシンクロトロンの偏向電磁石ダクトの全数交換ならびに冷却水漏れが生じていた入射路の偏向電磁石のコイル交換を行った.
光源開発研究では,レーザーコンプトン散乱ガンマ線の開発と利用研究,タンデムアンジュレータによる原子の量子状態制御や超高速分光,高フラックス光によるプラズマ生成,円偏光照射によるアミノ酸分子のキラリティ発現等が精力的に行われている.また単一電子蓄積を利用した放射光の量子性の研究においても成果が出始めている.

 
ポスターセッション①② (8月6日・7日 7-1F-B)
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP005

HiSORの現状
Present Status of HiSOR

John Christian1, 島田 美帆2, 1, 宮内 洋司2, 1, 後藤 公徳1, ○加藤 政博1, 31HiSOR, 2KEK, 3UVSOR)
Christian John1, Miho Shimada2, 1, Hiroshi Miyauchi2, 1, Kiminori Goto1, ○Masahiro Katoh1, 31HiSOR, 2KEK, 3UVSOR)
 
We report on the status and upgrade plans for HiSOR, the synchrotron radiation facility at Hiroshima University. Operational since 1996, HiSOR is a compact source of soft X-rays and EUV light, having supported 155 external users in FY2024, 27% of whom were international researchers.
However, the system is increasingly challenged by its aging infrastructure. Since January 2024, three water leaks have been recorded within just 6 months. Each incident occurred in the ultra-high vacuum section, resulting in extended operational downtimes. In late 2024, damage to the tuner of the RF cavity led to a three-month shutdown. Ongoing malfunctions are expected, posing a threat to the facility’s competitiveness and accessibility.
To address these challenges, we are considering a major upgrade focused on redesigning the storage ring. Current plans include compact and low emittance magnetic lattice with combined-function magnets, double RF system and a full energy injector.

 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP006

HIMACの現状報告
Present status of HIMAC

○松葉 俊哉1, 宮武 立彦1, 水島 康太1, 稲庭 拓1, 岩田 佳之1, 片桐 健1, 北川 敦志1, 佐藤 眞二1, 高田 栄一1, 浦田 昌身1, 野田 悦夫1, 村松 正幸1, 白井 敏之1, 勝間田 匡2, 白石 直浩2, 門脇 徹人2, 川島 裕洋2, 田久保 篤2, 本多 保男2, 若勇 充司2, 藤本 哲也21量研, 2加速器エンジニアリング)
○Syunya Matsuba1, Tatsuhiko Miyatake1, Kota Mizushima1, Taku Inaniwa1, Yoshiyuki Iwata1, Ken Katagiri1, Atsushi Kitagawa1, Shinji Sato1, Eiichi Takada1, Masami Urata1, Etsuo Noda1, Masayuki Muramatsu1, Toshiyuki Shirai1, Masashi Katsumata2, Tadahiro Shiraishi2, Tetsuhito Kadowaki2, Masahiro Kawashima2, Atsushi Takubo2, Yasuo Honda2, Mitsuji Wakaisami2, Tetsuya Fujimoto21QST, 2AEC)
 
放射線医学総合研究所(2016年に量子科学技術研究開発機構に名称変更)は、1993年に重粒子線がん治療用加速器HIMACを建設し、炭素イオンを用いた重粒子線がん治療を行ってきた。治療開始から2025年3月末までのがん治療の登録患者数は16,813例となった。
 その間も治療や装置の高度化が進められており、2010年にHIMACの既存施設に連結する形で新治療研究棟を建設し、2011年からは複雑な腫瘍形状に対応可能な三次元スキャニング照射法を適用した治療を開始し、2017年には超伝導電磁石を用いた回転ガントリー照射装置による治療が開始された。
 近年では更なる普及のために次世代の重粒子線治療装置「量子メス」の研究開発が行われている。量子メスではシンクロトロンに超伝導磁石、入射器にレーザー駆動イオン加速器を用いて装置を小型化し、ネオン、酸素、炭素、ヘリウムのイオンを組み合わせて治療を高度化する。これまでの開発により超伝導シンクロトロンおよび小型マルチイオン源の実現の目途が立った。2023年度からそれらを組み合わせた第4世代量子メス実証機の建設が進んでおり、2025年度10月には加速器用の建屋、「量子メス棟」(仮称)が竣工予定である。本学会ではそれらの研究開発の現状やHIMACの運用状況について報告する。

 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP007

iBNCT加速器の現状報告
Present status of the iBNCT Accelerator

○方 志高1, 佐藤 将春1, 杉村 高志1, 栗原 俊一1, 柴田 崇統1, 二ツ川 健太1, 福井 佑治1, 溝端 仁志1, 内藤 富士雄1, 小林 仁1, 三浦 太一1, 穂積 憲一1, 帯名 崇1, 久保田 親1, 南茂 今朝雄1, 熊田 博明2, 田中 進2, 大場 俊幸3, 名倉 信明3, 豊島 寿一4, 小栗 英知51高エネルギー加速器研究機構, 2筑波大学, 3NAT Corporation, 4ATOX Corporation, 5Japan Atomic Energy Agency)
○Zhigao Fang1, Masaharu Sato1, Takashi Sugimura1, Toshikazu Kurihara1, Takanori Shibata1, Kenta Futatsukawa1, Yuji Fukui1, Satoshi Mizobata1, Fujio Naito1, Hitoshi Kobayashi1, Taichi Miura1, Kenichi Hozumi1, Takashi Obina1, Chikashi Kubota1, Kesao Nanmo1, Hiroaki Kumada2, Susumu Tanaka2, Toshiyuki Ohba3, Nobuaki Nagura3, Toshikazu Toyoshima4, Hidetomo Oguri51KEK, 2University of Tsukuba, 3NAT, 4ATOX, 5JAEA)
 
KEK(高エネルギー加速器研究機構)と筑波大学を中心として、茨城県・つくば市・民間企業と連携する「つくば国際戦略総合特区」の共同プロジェクトである、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用治療装置の開発プロジェクト「iBNCT(ibaraki-BNCT)」が順調に進展している。2021年11月に開始した細胞やマウスを用いた非臨床試験は完了し、2024年1月からは臨床試験(治験)を開始した。治験は現在まで1年半にわたり順調に進んでおり、今後も継続する予定である。本稿では、過去1年間のiBNCT加速器の状況と今後の予定について報告する。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP008

山形大学医学部東日本重粒子センターの現状報告(7)
Current status of East Japan Heavy Ion Center, Faculty of Medicine, Yamagata University (7)

○想田 光1, 宮坂 友侑也1, 柴 宏博1, 石澤 美優1, 小野 拓也1, 岩井 岳夫1, 橋本 勝則2, 李 潤起2, 永井 恭平2, 菅藤 洋平2, 大内 章央2, 佐藤 亜都紗2, 小林 泉2, 佐藤 啓1, 小藤 昌志11山形大学, 2加速器エンジニアリング)
○Hikaru Souda1, Yuya Miyasaka1, Hongbo Chai1, Miyu Ishizawa1, Takuya Ono1, Takeo Iwai1, Katsunori Hashimoto2, Junki Lee2, Kyohei Nagai2, Yohei Kanto2, Fumihisa Ouchi2, Azusa Sato2, Izumi Kobayashi2, Hiraku Sato1, Masashi Koto11Yamagata Univ., 2AEC)
 
山形大学医学部では2017年から重粒子線治療施設の建設を開始し、2021年2月に水平ビームによる前立腺癌治療を開始した。重粒子線治療装置の入射器およびシンクロトロンはQSTで開発された普及小型重粒子線治療装置の設計を踏襲した4 MeV RFQ+IH-DTL線形加速器と 430 MeV/uシンクロトロンであり、加速器で600段のエネルギーを利用可能とすることで0.5mm刻みの飛程制御を実現していることが大きな特徴である。照射装置は大幅に小型化されたスキャニング照射装置が初めて搭載され、これにより超伝導回転ガントリーも重量約200tまで小型化されている。回転ガントリーは15度刻み24角度での運用を行っているが、パラメータ補間による新規角度調整の手順が確立して1日で行えるようになり、上記以外の角度での治療も2件実施した。治療で使用する角度については定期的な精度検証(Quality Assurance)測定でビーム位置・サイズを担保・調整する必要があり、実用エネルギー帯では全角度で概ね1mm以内の位置精度を維持している。大きなトラブルとしては出射静電セプタム電源の抵抗絶縁劣化などが発生したが、半日以上治療を停止するトラブルは発生せず比較的安定した運用ができ、2024年度の治療実施人数は過去最高の684人となった。外部ユーザーの実験利用も増加しており、多段階のエネルギーで102 -109pps程度までの幅広い強度の照射が可能なことで、ユーザーの需要に応える運用が可能となっている。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP009

群馬大学重粒子線医学センターの現状
Present status of Gunma University Heavy Ion Medical Center

○中尾 政夫1, 川嶋 基敬1, 松村 彰彦1, 酒井 真理1, 島田 博文1, 田代 睦1, Varnava Maria1, 遊佐 顕1, 想田 光2, 野田 耕司31群馬大学, 2山形大学, 3公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター)
○Masao Nakao1, Motohiro Kawashima1, Akihiko Matsumura1, Makoto Sakai1, Hirofumi Shimada1, Mutsumi Tashiro1, Maria Varnava1, Ken Yusa1, Hikaru Souda2, Koji Noda31GHMC, 2Yamagata Univ., 3WERC)
 
群馬大学重粒子線医学センターでは2010年に炭素線による治療を開始した。2023年4月からトラブルデータベースPT-DOMを使用して装置の運転状況、故障情報を集積して迅速な復旧に繋げている。昨年度における当施設での加速器運転、治療の統計、主な故障とその対処について報告する。また原則学内向けに、木曜日の治療終了後や休日などに物理・生物の研究のための照射も行っている。最近ではFLASH効果の研究が多く行われており、そのための超高線量率の照射を可能にするビーム開発についても報告する。
 
ポスターセッション①② (8月6日・7日 6-1F)
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP010

あいちSR光源加速器の現状2025
Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center in 2025

○藤本 將輝1, 2, 岡島 康雄1, 2, 金木 公孝1, 2, 高嶋 圭史1, 2, 堀米 利夫2, 岸田 守3, 廣瀬 敏也3, 森里 邦彦3, 郭 磊4, 加藤 政博5, 6, 1, 國枝 秀世21名大SRセンター, 2あいちSR, 3スプリングエイトサービス, 4広大先進理工, 5広大HiSOR, 6分子研UVSOR)
○Masaki Fujimoto1, 2, Yasuo Okajima1, 2, Kimitaka Kaneki1, 2, Yoshifumi Takashima1, 2, Toshio Horigome2, Mamoru Kishida3, Toshinari Hirose3, Kunihiko Morisato3, Rai Kaku4, Masahiro Katoh5, 6, 1, Hideyo Kunieda21NUSR, 2AichiSR, 3SES, 4Hiroshima U. ADSE, 5HiSOR, 6UVSOR)
 
あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、愛知県の協力によって建設され、科学技術交流財団が運営してきた。2013年3月より産業利用を中心に放射光を提供している。あいちSR光源加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから構成され、ビーム電流300 mAでトップアップ運転を行っている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、ユニットセルの3台の偏向電磁石のうち、両端の2台は磁場強度1.4 T、偏向角39°の常伝導電磁石であるが、中央の1台はピーク磁場5 T、偏向角12°の超伝導電磁石であり、比較的小型の蓄積リングでありながら25 keV程度までの実用強度を持つ放射光の供給を可能としている。直線部の1カ所にはAPPLE-II型アンジュレータが設置されている。供用開始当時のビームラインは6本であったが、現在では企業専用ビームライン2本および大学によるビームライン1本を含む12本のビームラインが稼働している。2024年度においては、加速器の総運転時間は1,808時間であり放射光ユーザーの利用時間は1,141時間であった。RF導波管の焼損事故をはじめとした週単位の運転停止が相次ぎ、計画されたユーザー利用運転時間に対して運転できなかった時間は約121時間にのぼり、稼働率は約90.8%であった。老朽化による故障への対応が喫緊の課題である。本発表では、あいちSR光源加速器の現状について報告する。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP011

J-PARC加速器の現状
Status of J-PARC accelerators

○小栗 英知(J-PARCセンター)
○Hidetomo Oguri(J-PARC Center)
 
J-PARC施設は、リニアック、RCS (Rapid Cycling Synchrotron)およびMR (Main Ring synchrotron)の3加速器施設と、RCS からの3 GeV ビームを利用する物質・生命科学実験施設(MLF)、MR からの30 GeV ビームを利用するハドロン実験施設(HD)およびニュートリノ実験施設(NU)の3実験施設から構成される。MRにおいては、2021年の夏から運転を長期休止し、電源等について大規模な更新作業を行った。2023年からビーム運転を再開し、2024 年4月にHDにおいて80 kW、6月にNUにおいて800 kWの運転をそれぞれ開始した。NUについては900 kW相当のビーム加速にも成功しており、ビーム調整を進めてビームロスの低減を図り900 kW連続運転の早期実現を目指している。RCSにおいては、ビームロス低減スタディを続けながら徐々にビームパワーを増強し、2024年4月からMLFターゲットに定格出力である1 MW相当のビーム供給を開始した。ビームパワーを着実に増強させる一方で、2023年の2回の火災事象に続き、2024年の夏期メンテナンス中にリニアック施設において火災事象が発生した。本学会では、ビームパワー増強のプロセスや火災事象など、最近の加速器の運転状況について報告する。
 
ポスターセッション①② (8月6日・7日 61A)
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP012

KEK先端加速器施設(ATF)におけるナノビーム技術開発の現状
STATUS FOR DEVELOPMENT OF THE NANOMETER BEAM TECHNOLOGY AT THE ACCELERATOR TEST FACILITY

○奥木 敏行1, 2, 阿部 優樹1, 荒木 栄1, Aryshev Alexander1, 2, 久保 浄1, 倉田 正和1, 2, 黒田 茂1, 照沼 信浩1, 2, 内藤 孝1, 中村 英滋1, 福田 将史1, 2, Konstantin Popov1, 2, 森川 祐11高エネルギー加速器研究機構, 2総合研究大学院大学)
○Toshiyuki Okugi1, 2, Yuki Abe1, Sakae Araki1, Alexander Aryshev1, 2, Kiyoshi Kubo1, Masakazu Kurata1, 2, Shigeru Kuroda1, Nobuhiro Terunuma1, 2, Takashi Naito1, Eiji Nakamura1, Masafumi Fukuda1, 2, Konstantin Popov1, 2, Yu Morikawa11KEK, 2SOKENDAI)
 
KEK先端加速器施設(ATF)はATF国際コラボレーションに基づいて、国際リニアコライダー計画(ILC)に必要なナノビーム技術の開発を進めています。ATFにはILCに必要な低エミッタンスビームを生成できるダンピングリングと低エミッタンスビームをナノメートルサイズの極小ビームに収束できるATF2ビームラインがあります。ATF2ビームラインには20nmの位置分解能を持つ空洞型BPMやレーザー干渉縞を利用してナノメートルサイズの極小ビームを測定するビームサイズモニターなどナノメートルサイズの極小ビーム用のビーム診断装置も設置しており、ILC のビーム収束技術開発のみならずナノメートル極小ビームに関する幅広い研究に適した施設です。ATF2 ビームラインは近年ILCテクノロジーネットワーク(ITN)においても重要な役割を担っており、ナノビーム収束技術、ナノビームの安定性、ナノビーム計測技術の3つを主要テーマとして研究開発を進めています。その一環として、昨年度はATF2ビームラインの高度化に伴う各種機器を更新しました。本発表ではATF2ビームラインの高度化に対してやATFでおこなわれている開発研究について報告します。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP013

九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告2025
Status report of Center for Accelerator and Beam Applied Science of Kyushu University in 2025

○米村 祐次郎1, 有馬 秀彦1, 池田 伸夫1, 渡辺 賢一1, 魚住 裕介1, 執行 信寛1, 森田 浩介2, 若狭 智嗣2, 坂口 聡志2, 寺西 高2, 市川 雄一2, 高峰 愛子2, 西畑 洸希2, 庭瀬 暁隆2, 岩村 龍典2, 高木 昭3, 森 義治41九大工, 2九大理, 3高エネ研, 4京大)
○Yonemura Yujiro1, Hidehiko Arima1, Nobuo Ikeda1, Kenichi Watanabe1, Yusuke Uozumi1, Nobuhiro Shigyo1, Kosuke Morita2, Tomotsugu Wakasa2, Satoshi Sakaguchi2, Takashi Teranishi2, Yuichi Ichikawa2, Aiko Takamine2, Hiroki Nishibata2, Toshitaka Niwase2, Tatsunori Iwamura2, Akira Takagi3, Yoshiharu Mori41Faculty of Engineering, Kyushu University, 2Faculty of Science, Kyushu University, 3KEK, 4Kyoto University)
 
九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFA加速器と8 MVタンデム静電加速器を利用した加速器施設の整備が進められている。FFA加速器棟ではビーム利用へ向けたビーム調整と重イオンビーム加速の研究開発が進められている。タンデム加速器棟・実験棟では、タンデム加速器の本格的なビーム利用へ向けた実験室の整備が進められている。本発表では、FFA加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP014

STF/COI施設報告
Report on STF/COI at KEK
○山本 康史, 阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構)
○Yasuchika Yamamoto, Hiroshi Sakai(High Energy Accelerator Research Organization)
 
KEK内、超伝導リニアック試験施設(STF棟)および超伝導加速器利用促進化推進棟(COI棟)では、国際リニアコライダー(ILC)計画を始めとする様々な超伝導加速器に関する研究・開発が行われている。2024年度は空洞の最適な表面処理の探索を目的とした縦測定を継続して行った。Resonant ringシステムを用いた高周波機器の性能評価も継続して実施した。陽電子源開発エリアに、回転標的システムが設置され、冷却水システムと合わせた回転試験を行っている。一方、2023度から5カ年計画で始まった将来の加速器要素技術開発(MEXT-ATD)計画において、必要なコンポーネント設計・製造に着手すると同時に、COI棟内のインフラ整備を進めている。クライオモジュールの冷却試験に必要なコンクリートシールドの重量を見積もったところ、当初想定していた重量よりも大幅に増えていたことが判明し、2025年度に試験バンカーエリアの床補強工事を急遽、実施することになった。また、物構研のレーザー顕微鏡グループが使用していた実験室が使えるようになったため、この部屋に、空洞周波数調整機、磁気シールド・消磁評価システム、走査型電子顕微鏡(SEM)、を移設した。クリーンルームには、空洞ストリング組立用レールが設置された。入力結合器は実機用4本が納品された。チューナーはプロトタイプの試験が終わり、モーターとピエゾの低温での動作試験中である。ヘリウム冷凍機はトランスファーラインの製造を開始した。本講演では、両施設の最近の活動状況について報告する。
 
ポスターセッション①② (8月6日・7日 61B)
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP015

日本大学電子線利用研究施設の電子線形加速器の稼働と光源利用の現状
Status of electron linac operation and application of light sources at LEBRA in Nihon University

○野上 杏子1, 早川 恭史1, 境 武志1, 髙橋 由美子1, 早川 建1, 田中 俊成1, 住友 洋介2, 清 紀弘3, 惠郷 博文4, 吉田 光宏4, 土屋 公央4, 松本 修二4, 松本 利広4, 古川 和朗4, 山本 樹41日大量科研, 2日大理工, 3産総研, 4高エネ研)
○Nogami Kyoko1, Yasushi Hayakawa1, Takeshi Sakai1, Yumiko Takahashi1, Ken Hayakawa1, Toshinari Tanaka1, Yoske Sumitomo2, Norihiro Sei3, Hiroyasu Ego4, Mitsuhiro Yoshida4, Kimichika Tsuchiya4, Shuji Matsumoto4, Toshihiro Matsumoto4, Kazuro Furukawa4, Shigeru Yamamoto41LEBRA, Nihon Univ., 2CST, Nihon Univ., 3AIST, 4KEK)
 
2024年度における日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)の100 MeV電子線形加速器の稼働日数は151日、クライストロン通電時間1066時間、電子ビーム加速時間408時間であった。前年度に比べて稼働日数および通電時間はほぼ同じであったが、電子ビーム加速時間は約20%減少した。これは、見学や点検作業などで放射線業務従事者以外の者が加速器本体室に入室する機会の増加、年度末には利用側のFEL輸送経路のうち真空悪化で使用を停止していた経路の復旧作業を実施、などにより電子ビーム加速停止の日が増えたことが要因である。2024年12月には加速器稼働中に自動電圧調整器(AVR)の抵抗が破損し、これから電力を供給していたモジュレータを含む多くの機器が突然遮断した。この際にAVRの電圧変動記録を遡って調査したところ、既に同年3月から電圧安定度の劣化が起きていたことが判明した。このことから、2024年に顕著になったクライストロン2号機のパルス電圧およびサイラトロンキープアライブ電流の変動は、AVRの安定度低下が一因であったと思われる。現在はメーカーからデモ機を借りて加速器を稼働させているが、AVRを新規に購入し故障したAVRは部品交換の修理を行い予備とする予定である。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP016

東京大学CNS 14GHz HyperECRイオン源の現状報告
Status Report on 14 GHz HyperECR Ion Source at CNS, UTokyo

○鎌倉 恵太1, 小高 康照1, 酒見 泰寛1, 山口 英斉1, 森田 泰之2, 笠置 歩3, 岡 直哉4, 西 隆博2, 中川 真菜美5, ムラン ジョナ6, ジャケ ガブリエル61東大CNS, 2理研仁科センター, 3立教大人工知能, 4情報通信研究機構, 5日本女子大, 6ENSICAEN)
○Keita Kamakura1, Yasuteru Kotaka1, Yasuhiro Sakemi1, Hidetoshi Yamaguchi1, Yasuyuki Morita2, Ayumi Kasagi3, Naoya Oka4, Takahiro Nishi2, Manami Nakagawa5, Mourrain Jacques Dominique Jonah6, Gabriel Somnang Jacquet61UTokyo CNS, 2RIKEN Nishina Center, 3Rikkyo AI, 4NICT, 5JWU, 6ENSICAEN)
 
14 GHz HyperECRイオン源は理化学研究所仁科加速器科学研究センターにおいて、理研AVFサイクロトロンへビーム入射を行っている。入射粒子は陽子から鉄に至るさまざまなイオンにわたり、その大強度・安定供給が要求されている。今回はCNSにおいて現在行われているビーム開発や、安定運転のための機械学習モデルの開発等について報告を行う。
 
12:40-14:40/13:00-15:00 
WHP017

原子力機構-東海タンデム加速器の現状
Present status of JAEA-Tokai tandem accelerator

○中川 創平, 沓掛 健一, 株本 裕史, 乙川 義憲, 遊津 拓洋, 松井 泰, 池亀 拓麻, 加藤 佑太, 中村 暢彦(原子力機構 東海タンデム)
○Sohei Nakagawa, Ken-ichi Kutsukake, Hiroshi Kabumoto, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu, Yutaka Matsui, Takuma Ikekame, Yuta Kato, Masahiko Nakamura(JAEA Tokai Tandem)
 
原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高運転電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビーム等を用いた核物理、核化学、原子物理、材料照射などの各分野で利用されている。本発表では、2024年度における加速器の運転・整備状況及びビーム利用開発等について報告する。 2024年度の運転状況は、例年よりも運転日数が減少傾向となった。静電加速器の絶縁ガスとして六フッ化硫黄ガス(SF6)を使用しており、高圧ガス施設の定期自主検査 において貯槽の開放検査のために整備期間を長く要したこと、空調系制御盤のトランスの焼損(火災)が発生し、対応に時間を要した こと、絶縁ガスを冷却する冷凍機が故障し、運転を行えなくなったこと が主な原因である。 整備関係では、高電圧端子 に設置されているECR(Electron Cyclotron Resonance)イオン源のオーバーホール及び新規イオン用のガスの搭載を行った。 加速器の開発として、高速中性子により 制御系のエラーが発生している可能性があるため、パラフィンによる高速中性子の遮蔽効果を確認する測定を行い、中性子数を半数程度に減らすことができることを示唆する結果を得た。 新規利用分野のための設備導入として、低フラックスビームの照射設備を整備した。近年、人工衛星を始めとする宇宙用機器に使用する半導体等へイオンビームを照射するソフトエラー試験などの需要が高まっている。100 cpsの低フラックスビームを、数cm2で一様に照射する必要があり、利用者と共同でビーム制御・診断、照射チャンバーの設置等の試験準備を行った。
 
ポスターセッション②③ (8月7日・8日 7-1F-A)
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP001

QST量医研サイクロトロン(NIRS-930, HM-18)の現状報告
Status Report of NIRS-930 and HM-18 Cyclotron at QST-iQMS

○北條 悟1, 涌井 崇志1, 杉浦 彰則1, 村松 正幸1, 片桐 健1, 岡田 高典2, 神谷 隆2, 岩田 佳之11量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所, 2加速器エンジニアリング)
○Satoru Hojo1, Takashi Wakui1, Akinori Sugiura1, Masayuki Muramatsu1, Ken Katagiri1, Takanori Okada2, Takashi Kamiya2, Yoshiyuki Iwata11QST-iQMS, 2AEC)
 
量子科学技術研究開発機構(QST)量子医科学研究所(量医研)のサイクロトロン施設には、1974年に運転開始したNIRS-930 (K=110)と、1994年に運転を開始した放射性核種(RI)生産専用のHM-18(K=20)の、2台のサイクロトロンがある。2021年11月に発生した火災により2台のサイクロトロンは停止したが、2022年9月にHM-18の供給運転を再開した。2024年度のHM-18 は、4月-11月までの期間を運転し、その運転時間は、1054時間であった。残りの期間の12月-3月まではNIRS-930の復旧作業として、受電盤、配電盤や冷却水配管の更新等が行われた。また、NIRS-930用の電磁石電源の製作を行った。
本報告では、HM-18の運転状況とNIRS-930の復旧に向けた準備や検討状況等について報告を行う。

 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP002

東北大RARiS青葉山のサイクロトロン加速器施設の現状報告
Present status of the cyclotron facility at RARiS aoba in Tohoku University
○伊藤 正俊1, 足立 智1, 寺川 貴樹1, 岩本 ちひろ1, 細谷 弦生1, 山崎 峻平1, 斎藤 僚太1, 榊原 大翔1, 篠塚 勉1, 高橋 研2, 高橋 直人2, 本間 隆之2, 四柳 雄哉2, 大宮 康明21東北大学, 2住重加速器サービス)
○Itoh Masatoshi1, Satoshi Adachi1, Atsuki Terakawa1, Chihiro Iwamoto1, Genki Hosoya1, Shumpei Yamazaki1, Ryota Saito1, Hiroto Sakakibara1, Tsutomu Shinozuka1, Ken Takahashi2, Naoto Takahashi2, Takayuki Honma2, Yuya Yotsuyanagi2, Yasuaki Oomiya21Tohoku University, 2SHI Accelerator Service Ltd.)
 
東北大学先端量子ビーム科学研究センター(RARiS)は,昨年4月に東北大学の電子光理学研究センター(ELPH)とサイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)が組織統合し、多種多様な量子ビーム(電子、光子、陽子、中性子及びイオンビーム),並びにこれら量子ビームにより作り出される多彩な短寿命RIを利用した研究を推進する施設です。青葉山事業所は、東北大学の学内共同利用施設として2台のサイクロトロンを理工学およびライフサイエンスの研究に供している。
本発表では、最近大きなトラブルに見舞わられた930型AVFサイクロトロンのディー電極の修理状況や昨年実施したRF前段アンプのトランジスタアンプ化、および加速器の運転・利用状況などを報告する。

 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP003

J-PARC MLFミュオン生成回転標的の現状
Present status of the muon rotating target at the J-PARC MLF
○的場 史朗1, 2, 砂川 光1, 2, 河村 成肇1, 2, 小林 康男1, 21高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所, 2J-PARCセンター MLFディヴィジョン)
○Matoba Shiro1, 2, Hikaru Sunagawa1, 2, Naritoshi Kawamura1, 2, Yasuo Kobayashi1, 21KEK Institute of Materials Structure Science, 2J-PARC center MLF division)
 
J-PARC物質生命科学実験施設ミュオン実験装置では,ミュオンを生成して様々な実験に利用している.ミュオンは3 GeVまで加速された陽子と標的材料である等方性黒鉛との核反応によって生成される.この等方性黒鉛は厚さ2cm直径33cmのドーナツ形状であり,4秒に1回転させ放射線損傷を分散させて寿命を延ばしている.この黒鉛や回転システム全体をミュオン生成回転標的と呼んでいる.現在運用中の二号機は2019年夏に陽子ビームラインに挿入され,2024年に当初計画の1MW運転の目標を達成した.ポスターではミュオン標的の1MW運転運用について発表する.
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP004

理研小型中性子源システムRANS-IIの現状報告
Present status of RIKEN Accelerator-driven Compact neutron Systems (RANS-II)

○今城 想平, 草野 広樹, 福地 知則, 水田 真紀, 奥野 泰希, 高梨 宇宙, 小林 知洋, 大竹 淑恵(理研)
○Sohei Imajo, Hiroki Kusano, Tomonori Fukuchi, Maki Mizuta, Yasuki Okuno, Takaoki Takanashi, Tomohiro Kobayashi, Yoshie Otake(RIKEN)
 
理化学研究所では、7MeV陽子線LINAC(3.5MeV RFQと3.5 MeV DTLとを連結)とベリリウムターゲットを用いた、装置全長10mの小型中性子源システムRANSを2013年より稼働させ、インフラ構造物内の水分・劣化検出技術開発を中心に、中性子を用いた様々な研究開発を行っている。さらに我々は、可搬型プロトタイプとして 2.5MeV 陽子線LINAC(RFQ)とリチウムターゲットを用い、装置全長を5mに小型化した小型中性子源システムRANS-IIを開発し、2020年度より実験共用を開始した。RANS-II加速器については、これまでに繰り返し周波数10~500Hzの範囲でのパルス運転が可能であることを確認しており、また、最大約80uAの陽子ビーム電流において定常運転が行えることを確認している。中性子源からは最大0.7MeVの高速中性子が得られ、モデレーターおよびコリメーターを適宜設置することで、熱中性子~高速中性子ビームを用いた中性子実験が可能である。現在までにRANS-IIでは、可搬型小型中性子源システムRANS-IIIによる屋外測定を前提としたインフラ構造物内の水分・劣化検出技術開発にくわえて、検出器開発、コンクリート内の水分移動のイメージングなどが行われている。この発表ではRANS-II加速器の現状、中性子ビーム特性、および中性子実験の現状について報告する。
 
ポスターセッション②③ (8月7日・8日 7-1F-B)
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP005

コンパクトERLの現状報告
Present status of compact ERL
○島田 美帆(高エネ研)
○Miho Shimada(KEK)
 
コンパクトERL(compact ERL:cERL)はエネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac: ERL)の小型試験機としてKEKつくばキャンパス内に建設され、年に1~数回、試運転を行っている。昨年度はおよそ3週間のビーム運転を行った。周回ループを経由せずに、入射部から直接ダンプに輸送する経路で平均電流10mAを目指している。そのために、ロスモニタの開発と実装を行い、ビームロスを低減するためのビーム調整手法を確立した。経済安全保障プログラムに採択が決まり、要素開発のためのビーム運転の準備を進めているところである。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP006

理研RIBFにおけるリングサイクロトロンの運転報告
Status report of the operation of RIBF ring cyclotrons

濱仲 誠2, ○大関 和貴1, 福澤 聖児2, 石川 盛2, 小林 清志2, 小松田 恭平2, 小山 亮2, 茂木 龍一2, 仲村 武志2, 西田 稔2, 西村 誠2, 柴田 順翔2, 矢冨 一慎2, 足立 泰平1, 段塚 知志1, 藤巻 正樹1, 福西 暢尚1, 長谷部 裕雄1, 日暮 祥英1, 池沢 英二1, 今尾 浩士1, 上垣外 修一1, 木寺 正憲1, 込山 美咲1, 熊谷 桂子1, 眞家 武士1, 三宅 泰斗1, 長友 傑1, 中川 孝秀1, 中村 仁音1, 西 隆博1, 大西 純一1, 奥野 広樹1, 坂本 成彦1, サキラヤン グリニスメイ1, 須田 健嗣1, 内山 暁仁1, 渡邉 環1, 渡邉 裕1, 山田 一成11理研仁科センター, 2住重加速器サービス)
Makoto Hamanaka2, ○Kazutaka Ozeki1, Seiji Fukuzawa2, Shigeru Ishikawa2, Kiyoshi Kobayashi2, Kyohei Komatsuda2, Ryo Koyama2, Ryuichi Moteki2, Takeshi Nakamura2, Minoru Nishida2, Makoto Nishimura2, Junsho Shibata2, Kazuyoshi Yadomi2, Taihei Adachi1, Tomoyuki Dantsuka1, Masaki Fujimaki1, Nobuhisa Fukunishi1, Hiroo Hasebe1, Yoshihide Higurashi1, Eiji Ikezawa1, Hiroshi Imao1, Osamu Kamigaito1, Masanori Kidera1, Misaki Komiyama1, Keiko Kumagai1, Takeshi Maie1, Yasuto Miyake1, Takashi Nagatomo1, Takahide Nakagawa1, Masato Nakamura1, Takahiro Nishi1, Jun-ichi Ohnishi1, Hiroki Okuno1, Naruhiko Sakamoto1, Glynnis Mae Saquilayan1, Kenji Suda1, Akito Uchiyama1, Tamaki Watanabe1, Yutaka Watanabe1, Kazunari Yamada11RIKEN Nishina Center, 2SHI Accelerator Service Ltd.)
 
理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン (RRC, fRC, IRC, SRC) の2024年8月から2025年7月までの運転状況を報告する。ビーム強度増強と安定供給に向けて、改造、ビーム調整、保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP007

理研AVFサイクロトロン運転の現状報告
Status report on the operation of RIKEN AVF cyclotron

石川 盛2, 須田 健嗣1, 福澤 聖児2, 濱仲 誠2, 小林 清志2, 小松田 恭平2, 小山 亮2, 茂木 龍一2, 仲村 武志2, 西田 稔2, 西村 誠2, 柴田 順翔2, 矢冨 一慎2, 足立 泰平1, 藤巻 正樹1, 福西 暢尚1, 長谷部 裕雄1, 日暮 祥英1, 今尾 浩士1, 上垣外 修一1, 木寺 正憲1, 込山 美咲1, 熊谷 桂子1, 眞家 武士1, 三宅 泰斗1, 森田 泰之1, 長友 傑1, 中川 孝秀1, 西 隆博1, 大西 純一1, 奥野 広樹1, ○大関 和貴1, 坂本 成彦1, サキラヤン グリニスメイ1, 内山 暁仁1, 渡邉 環1, 渡邉 裕1, 山田 一成1, 鎌倉 恵太3, 小高 康照31理研仁科センター, 2住重加速器サービス, 3東京大学原子核科学研究センター)
Shigeru Ishikawa2, Kenji Suda1, Seiji Fukuzawa2, Makoto Hamanaka2, Kiyoshi Kobayashi2, Kyohei Komatsuda2, Ryo Koyama2, Ryuichi Moteki2, Takeshi Nakamura2, Minoru Nishida2, Makoto Nishimura2, Junsho Shibata2, Kazuyoshi Yadomi2, Taihei Adachi1, Masaki Fujimaki1, Nobuhisa Fukunishi1, Hiroo Hasebe1, Yoshihide Higurashi1, Hiroshi Imao1, Osamu Kamigaito1, Masanori Kidera1, Misaki Komiyama1, Keiko Kumagai1, Takeshi Maie1, Yasuto Miyake1, Yasuyuki Morita1, Takashi Nagatomo1, Takahide Nakagawa1, Takahiro Nishi1, Jun-ichi Ohnishi1, Hiroki Okuno1, ○Kazutaka Ozeki1, Naruhiko Sakamoto1, Glynnis Mae Saquilayan1, Akito Uchiyama1, Tamaki Watanabe1, Yutaka Watanabe1, Kazunari Yamada1, Keita Kamakura3, Yasuteru Kotaka31RIKEN Nishina Center, 2SHI Accelerator Service Ltd., 3Center for Nuclear Study, University of Tokyo)
 
理研AVFサイクロトロンは、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器として使用されるほか東京大学原子核科学研究センターのグループによる原子核実験、及びRI製造に単独使用される。本稿では2024年8月から2025年7月までの期間における加速ビーム種、運転時間と調整時間の集計、発生した故障とその対処、性能改善に向けて行われた取り組みについて報告する。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP008

理研重イオンリニアックの現状報告
Present status of RILAC

田村 匡史2, 伊東 雅史2, 金子 健太2, 小山田 和幸2, 鈴木 惇也2, 遊佐 陽2, ○日暮 祥英1, 藤巻 正樹1, 今尾 浩士1, 木寺 正憲1, 長友 傑1, 西 隆博1, 大関 和貴1, 坂本 成彦1, 須田 健嗣1, 内山 暁仁1, 渡邉 環1, 渡邉 裕1, 山田 一成1, 山内 啓資1, 上垣外 修一11理化学研究所, 2住重加速器サービス株式会社)
Masashi Tamura2, Ito Masashi2, Kenta Kaneko2, Kazuyuki Oyamada2, Junya Suzuki2, Akira Yusa2, ○Yoshihide Higurashi1, Masaki Fujimaki1, Hiroshi Imao1, Masanori Kidera1, Takashi Nagatomo1, Takahiro Nishi1, Kazutaka Ozeki1, Naruhiko Sakamoto1, Kenji Suda1, Akito Uchiyama1, Tamaki Watanabe1, Yutaka Watanabe1, Kazunari Yamada1, Hiromoto Yamauchi1, Osamu Kamigaito11RIKEN Nishina Center, 2SHI Accelerator Service, Ltd.)
 
理研仁科加速器科学研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、1981年に単独運転が開始され、40年以上運転を続けている。2017年よりアップグレードが行われ、実験設備のほかに、超伝導ECRイオン源と超伝導線型加速器SRILACの建設が実施された。
2020年1月28日のファーストビーム以降、ビームコミッショニングを実施、6月からはマシンタイムを開始した。2024年6月、12月にはRI製造コースビーム供給の為のテストが行われている。また2025年2月にはDTの補修を行い、冷媒漏れの対策を実施している。本発表ではこの加速器の現状報告として、この10年間の運転状況、及びこの1年間における保守・改良作業などについて報告する。

 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP009

筑波大学タンデム加速器施設の現状報告
Status report of the tandem accelerator complex at the University of Tsukuba

○吉田 哲郎, 石井 聡, 高橋 努, 大和 良広, 石本 和也, 眞子 巧巳, 松村 万寿美, 森口 哲朗, 笹 公和(筑波大学応用加速器)
○Tetsuro Yoshida, Satoshi Ishii, Tsutomu Takahashi, Yoshihiro Yamato, Kazuya Ishimoto, Takumi Manako, Masumi Matsumura, Tetsuaki Moriguchi, Kimikazu Sasa(UTTAC, Univ. Tsukuba)
 
筑波大学タンデム加速器施設(UTTAC)は、6MVタンデム加速器と1MVタンデトロン加速器からなる複合タンデム加速器施設の維持管理と運用、および学内外との共同利用研究を実施している。2025年3月末における研究課題は、1MVタンデトロン加速器で8件(学内5件、学外3件)、6MVタンデム加速器で20件(学内14件、学外6件)が承認されている。6MVタンデム加速器の稼働時間は1481.7時間であり、ビーム加速時間は1265.1時間であった。2023年度と比較するとビーム加速時間は52%増加した。2023年度は全学停電時の復電トラブルがあったため、利用時間が少なかったこともあるが、2024年度はCOVID-19禍以降では最多時間となっている。2024年度における6MVタンデム加速器の利用分野は、加速器質量分析(AMS)の利用割合が67%となり、原子核実験の利用割合が10%、イオン照射の利用割合が7%などとなっている。加速イオンは全部で13種類であった。AMSで使用するClやIがそれぞれ37.8%、30.8%と多くなっている。また、AMSシステムを使用した宇宙線生成核種を用いた不安定核ビーム開発のためにBe-10やC-14を用いた実験も行われた。本発表では、2024年度のタンデム加速器施設の整備および運用状況について報告する。
 
ポスターセッション②③ (8月7日・8日 6-1F)
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP010

都市大タンデムの現状(2025年度)
Status of the TCU-Tandem (FY 2025)

○羽倉 尚人(東京都市大学)
○Naoto Hagura(TCU)
 
東京都市大学原子力研究所(神奈川県川崎市)には廃止措置中の研究用原子炉「武蔵工大炉」がある。1963年1月から1989年12月まで運転し、中性子放射化分析やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)など様々な目的に使用された。また、全国大学共同利用施設として多くの研究者・技術者・学生を受入れてきた。原子炉施設としては廃止措置段階となったが、RI施設、核燃施設としては継続している。2008年に設置された本学理工学部原子力安全工学科や、2010年に設置された早稲田大学と共同で運営する共同原子力専攻の学生・院生を主な対象としつつ、教育・研究活動を展開している。2018年5月には新たな実験設備として1.7MVペレトロン・タンデム加速器(都市大タンデム(TCU-Tandem))の運転を開始した。プロトンビームによる荷電粒子励起X線分光法(PIXE)の実験を学生実験の一テーマとして実施するなど利用を進めている。2023年3月末には初めての定期検査・定期確認を受審し無事にパスした。本発表では、本加速器システム構築の経緯と今後の研究計画を紹介する。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP011

KEK放射光源加速器PFリングとPF-ARの現状
Present status of PF ring and PF-AR at KEK

○帯名 崇, 阿達 正浩, 上田 明, 内山 隆司, 江口 柊, 影山 達也, 金 秀光, 小林 幸則, 齊藤 寛峻, 坂中 章悟, 佐々木 洋征, 下ヶ橋 秀典, 塩澤 真未, 塩屋 達郎, 篠原 智史, 下崎 義人, 高井 良太, 高木 宏之, 高橋 毅, 多田野 幹人, 田中 織雅, 田中 窓香, 谷本 育律, 田原 俊央, 多和田 正文, 團 優菜, 土屋 公央, 内藤 大地, 長橋 進也, 中村 典雄, 濁川 和幸, 野上 隆史, 芳賀 開一, 原田 健太郎, 東 直, 卞 抱元, 本田 融, 丸塚 勝美, 満田 史織, 三増 俊広, 宮内 洋司, 本村 新, 山本 尚人, 山本 将博, 吉田 正人, 吉本 伸一, 渡邉 謙(KEK)
○Takashi Obina, Masahiro Adachi, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Shu Eguchi, Tatsuya Kageyama, Xiuguang Jin, Yukinori Kobayashi, Hirotoshi Saito, Shogo Sakanaka, Hiroyuki Sasaki, Hidenori Sagehashi, Mami Shiozawa, Tatsuro Shioya, Satoshi Shinohara, Yoshito Shimosaki, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Takeshi Takahashi, Mikito Tadano, Olga Tanaka, Madoka Tanaka, Yasunori Tanimoto, Toshihiro Tahara, Masafumi Tawada, Yuna Dan, Kimichika Tsuchiya, Daichi Naito, Shinya Nagahashi, Norio Nakamura, Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Nogami, Kaiichi Haga, Kentaro Harada, Nao Higashi, Baoyuan Bian, Tohru Honda, Katsumi Marutsuka, Chikaori Mitsuda, Toshihiro Mimashi, Hiroshi Miyauchi, Arata Motomura, Naoto Yamamoto, Masahiro Yamamoto, Masato Yoshida, Shin-ichi Yoshimoto, Ken Watanabe(KEK)
 
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光実験施設 (フォトンファクトリー:PF)は、2.5GeV PFリングと6.5 GeV PFアドバンストリング(PF-AR)の2つの放射光専用リングを運用している。両リングともに稼働から40年以上経過しており、各種装置の老朽化が顕著になってきているものの、随時対策を講じることで故障率1%以下の安定な運転を維持している。2024年度には中型電源の更新のほか、ビーム入射の安定化を目指した向けたさまざまな安定化システムの構築を行っている。BPMシステム更新や、NEGコーティング、LLRF開発など多くのR&Dなども進めている。PF-ARでは、測定器開発テストビームラインでの正式ユーザー運転が安定に稼働している。本年会ではPFリングとPF-ARにおける運転の現状について報告するとともに、次期計画として検討をすすめている超伝導線形加速器と高輝度蓄積リングを組み合わせたハイブリッド光源(PF-HLS)をすすめた量子マルチビーム施設について検討状況を報告する。
 
ポスターセッション②③ (8月7日・8日 61A)
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP012

若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状
PRESENT STATUS OF THE SYNCHROTRON AT WERC

○栗田 哲郎, 山田 裕章, 廣戸 慎, 清水 雅也, 古川 靖士, 渕上 隆太, 小田部 圭佑, 羽田 祐基, 石井 勇揮, 北上 悟, 羽鳥 聡(若狭湾エネルギー研究センター)
○Tetsuro Kurita, Hiroaki Yamada, Makoto Hiroto, Masaya Shimizu, Seiji Furukawa, Ryuta Fuchigami, Keisuke Otabe, Yuki Haneda, Yuki Ishii, Satoru Kitajyo, Satoshi Hatori(WERC)
 
若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV/u- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。 近年、FPGAを用いた高周波制御系及びBPM信号処理系の開発に取り組んでいる。これまでDSPとDDSおよびアナログ回路によって構成されていた制御を、FPGAを用いたデジタル制御に置き換える。2018-2019年にFPGA回路の設計および制作を行なった。高周波加速制御系を2023年10月から実際の運転に用いている。2024年11月にBPM信号処理系を用いたCOD測定を行った。旧システムによる測定と比較により正常動作を確認した。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP013

東大ライナック・レーザー施設報告 2025
Status report of linac/laser facility of University of Tokyo in 2025
○橋本 英子, 坂上 和之, 安見 厚志(東京大学原子力専攻)
○Eiko Hashimoto, Kazuyuki Sakagami, Atsushi Yasumi(NPS, UTokyo)
 
東大電子線形加速器施設ライナックには、2本のビームライン(18L, 35L)を有しており、極短パルスを用いての放射線化学、量子ビーム工学、等の開発等の実験研究、学生実習に利用されている。当施設は、利用開始から40年以上経過したこともあり、経年劣化による保守作業が頻発している。本報告では、運転・保守の現状について報告する。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP014

東北大学先端量子ビーム科学研究センター三神峯事業所加速器施設の現状
Status of Accelerator Facility at RARiS-Mikamine, Tohoku University

○日出 富士雄, 柏木 茂, 南部 健一, 長澤 育郎, 高橋 健, 柴田 晃太朗, 胡 文卿(東北大学先端量子ビーム科学研究センター三神峯事業所)
○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Kotaro Shibata, Wenqing Hu(RARiS-Mikamine, Tohoku University)
 
東北大学先端量子ビーム科学研究センター(RARiS)は2024年4月に電子光理学研究センターとサイクロトロン・ラジオアイソトープセンターが統合する形で設立され、短寿命RIを用いた研究の更なる進展を期して現在、整備が進められている。このうち、三神峯事業所においては従来からの全国共同利用・共同研究拠点(電子光理学研究拠点)の活動も継続されている。共同利用の中心として稼働している大強度線形加速器は、既に建設から約60年が経過し、特にモジュレータにおける老朽化が深刻な状況となっていたが、今年度、これを新たに更新するための予算措置が得られた。更に、加速器や付帯設備の設置されている実験棟と管理棟についても、今年度から4年間の大規模な計画で改修することが決定されている。現在は、共同利用運転を行いながら、改修工事の実施設計に向けた準備を進めているところである。本発表では、三神峯事業所における加速器群の運転状況や改修計画などについて報告する予定である。
 
ポスターセッション②③ (8月7日・8日 61B)
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP015

阪大産研量子ビーム科学研究施設の現状報告
Status report of Research Laboratory for Quantum Beam Science, SANKEN, Osaka University

○古川 和弥, 武藤 俊哉, 誉田 義英, 福井 宥平, 堀 利彦, 楊 金峰, 水田 好雄, 細貝 知直(阪大産研)
○Kazuya Furukawa, Toshiya Muto, Yoshihide Honda, Yuhei Fukui, Toshihiko Hori, Jinfeng Yang, Yoshio Mizuta, Tomonao Hosokai(SANKEN, Osaka Univ.)
 
阪大産研量子ビーム科学研究施設はLバンド40 MeV電子ライナック、フォトカソードRF電子銃ライナック、コバルト60γ線照射装置を有する放射線共同利用施設である。ライナック棟の改修工事のため、現在Lバンドライナックは運転を休止している。工事では2階の放射線管理区域解除に伴うエレベータの増設や基本的な建屋設備の改修に加え、Cバンドライナックの導入を見据えた電気・空調・冷却設備の整備、シールドルーム・クリーンルーム増設、床面平滑化工事などを予定している。RF電子銃ライナックでは、暗電流の低減とビーム輝度の向上を目指して、新たに1.4セルRF電子銃を導入した短パルス電子ビーム発生を行い、量子ビーム創薬や医学・薬学への利用研究を展開している。MeV電子顕微鏡の研究開発では、RF電子銃の超伝導化、Nb3Sn電子銃を用いた超高圧パルス電子顕微鏡のR&Dを進めている。本会ではこれらの装置と建屋改修工事に関する現状報告を行う。なお、量子ビーム創薬、医療・薬学利用研究基盤の整備、Cバンドライナックの導入は、それらの経費の一部をJST未来社会創造事業(大規模型)「レーザー駆動による量子ビーム加速器の開発と実証」Grant No.JPMJMI17A1よりご支援を戴き実施している。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP016

京大複合研電子線型加速器施設(KURNS-LINAC)の現状
Status of KURNS-LINAC

○阿部 尚也, 高橋 俊晴, 堀 順一, 木野村 淳, 籔内 敦, 吉野 泰史(京都大学複合研)
○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Jun-ichi Hori, Atsushi Kinomura, Atsushi Yabuuchi, Hirohumi Yoshino(KURNS)
 
京大複合研電子線型加速器施設(KURNS-LINAC)は現役で稼働している線型加速器としては国内最古であり、稼働から60年を迎える。古い加速器ではあるが、全国共同利用施設として非常に活発な利用が行われており、コロカ禍以降初の2千時間を超える利用運転が実施された。前回発表時からの主なトラブルが2つあり、一つは電子銃付近での放電による真空悪化の増加である。従前からも時折発生していたが、単発的な事象に留まっており、また復旧も時間を取らずに可能であったため、特段の対応を取ることはなかった。だが、この度の真空悪化は、発生後に復旧を試みると所定の電圧が印加される前に放電が発生し、復旧できない状況となった。対応として試みたことは、真空状態回復までの時間を十分に取ること、所定の電圧をビームに大きな影響が出ない程度まで下げること、電子銃ヒーター出力を下げることであり、対応したそれぞれの効果により現在は運転を実施することができている。だが、今後更に悪化する可能性があるため、20年近く使用した電子銃の交換を視野に入れている。もう一つはNo.1モジュレータDeQingの故障であり、装置内の高電圧ケーブルの低圧部への異常接近による放電による故障が発生している。故障部品が配線とヒューズ(ホルダー含む)及び整流ダイオードであり、想定よりは少ない範囲で対応を終えることができた。一方、利用継続のためにDeQingによる安定化なしで運転を行ったが、ビームに与える影響は少なからず見え、DeQingによる安定化の効果を実感することとなった。
 
13:00-15:00/10:00-12:00 
TFP017

RCNP サイクロトロン施設の現状
STATUS OF THE RCNP CYCLOTRON FACILITY
○松田 洋平, 福田 光宏, 依田 哲彦, 神田 浩樹, 友野 大, 安田 裕介, 斎藤 高嶺, 田村 仁志, 永山 啓一, 荘 浚謙, Zhao Hang, Shali Ahsani Hafizhu, 松井 昇大朗, 井村 友紀, 石畑 翔, 板倉 菜美, 辻坂 匡(阪大RCNP)
○Yohei Matsuda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Dai Tomono, Yusuke Yasuda, Takane Saito, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Tsun Him Chong, Hang Zhao, Ahsani Hafizhu Shali, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Sho Ishihata, Nami Itakura, Tasuku Tsujisaka(RCNP)
 
大阪大学核物理研究センター(RCNP)ではK140 AVFサイクロトロンとK400リングサイクロトロンを稼働しており、原子核物理学、加速器科学、情報科学、物性物理学、宇宙物理学、医学等に向けたビームの利用を推進している。
2019年から開始したAVFサイクロトロンのアップグレードの後、2023年度よりユーザーへのビーム供給を再開し、2024年度からは軽イオンだけでなく重イオンビームも供給再開すべくコミッショニングを開始した。本報告では、RCNPの加速器運転状況や保守・整備および技術開発について現状を報告する。