会場
日本大学理工学部船橋キャンパス  
会期 2023年
8/29 (火) - 9/1 (金)      



第20回日本加速器学会年会


企画セッションのご案内
従来より加速器学会では、技術職の方の年会出席を容易にする為に技術研修会を企画・実施してきました。しかしながら最近の学会員に対するアンケート結果や研修会への参加状況を見ると、研修会が技術職の方の学会出席に必須の条件でなく、多くの研究職の方の参加実績があります。このような状況に鑑み、技術に限定されないより広く発展した研修や他分野と連携した研究テーマの発表を企画セッションとして、第18回年会から開催することになりました。今回は、会期中に下記の二つのテーマを企画セッションとして予定しています。

1.「加速器施設における安全性向上への取り組み」
別所 光太郎 氏(KEK J-PARCセンター・安全ディビジョン)
概要:
 加速器施設においては、放射線の遮蔽や作業者の被ばく管理、インターロック等の放射線安全管理の観点のみならず、大電力機器やクレーン等の大型設備、高圧ガスや冷媒、絶縁油等の危険物、酸欠リスクへの対処、高所における作業など、様々なリスクに対する安全確保も重要な課題となる。また、加速器施設内での火災や放射線事故等の災害発生時における緊急時対応のための備えも重要な課題である。加速器施設のコミュニティー全体で連携して多方面から安全性を向上させることを目指して行われている「加速器施設安全シンポジウム」1) では、毎回設定する異なるテーマを中心に、加速器施設における安全に関わる課題と解決のための様々な取り組みが紹介され、有益な情報共有と施設間での交流がはかられている。本報告では、同シンポジウムや加速器学会を含む様々な学会等でこれまでに紹介されてきた加速器施設における安全上の課題への対処や技術面からの取り組み、海外の加速器施設における特徴的な取り組みなどに加え、J-PARCにおいて放射性物質漏えい事故(2013年)を教訓に取り組み続けてきた、安全に関わる活動等を紹介する。
    1) 加速器施設安全シンポジウムHP: http://j-parc.jp/safety/safe-sympo/index.html


2.「サイクロトロンによる医療用RIの製造 
~アルファ線放出核種(At-211、Ac-225)を中心に~」
永津弘太郎 氏(QST 量子生命・医学部門 量子医科学研究所)
概要:
PET・SPECT診断はもとより,放射線治療薬の有効性が数多く報告される昨今,加速器を利用した放射性核種の製造・供給需要が著しく高まっている。α線放出核種は従来,内部被ばく時の危険性にのみ強い関心が集まっていたが,放射線による細胞障害性や影響を医学的に制御・活用する手法が定まった結果,文字通り,毒を以て毒を制するがん治療薬の原料として利用されはじめた。周知のとおり,核医学で利用される放射性核種には高い品質が求められる。製品品質に影響を及ぼす照射条件の最適化と共に,容易かつ高効率な分離精製や短時間での処理,可能な限りの省廃棄物プロセス等の実現を考慮しつつ,我々は211At(EC+α,T1/2=7.2 h)及び225Ac(α,T1/2=10 d)の製造法を確立した。前者はHeイオンをBiに,後者は陽子を226Ra(α,T1/2=1600 y)にそれぞれ照射し,以降,化学的な分離精製を経て治療薬剤の標識に利用される。特に後者で用いる226Raは,入手性に大きな制限がある貴重な試料であり,長寿命の放射性廃棄物にもなることから,繰り返し226Raを利用する再生方法も確立させた。本講演では,PETに代表される診断用の放射性核種の製造・利用が主体であったホットラボに上述する2種類の治療用α線源の利用環境を整え,照射や分離精製といった具体的な製造法開発に関する我々の取組みと結果について報告を行う。

連絡先:   日本加速器学会年会ヘルプデスク
住 所:   〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター
mail:   pasj-desk@conf.bunken.co.jp
FAX:   03-5227-8632

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