WEP46  ポスター②  8月30日 14号館1443教室 13:30-15:30
レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射の検討Ⅵ
Direct injection of laser-accelerated ions into a superconducting synchrotron VI
 
○野田 悦夫,白井 敏之,岩田 佳之,水島 康太,近藤 公伯(量研機構),藤本 哲也(加速器エンジニアリング)
○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Kiminori Kondo (QST), Tetsuya Fujimoto (AEC)
 
量研機構では、重粒子線がん治療装置の小型化を目指す量子メスプロジェクトを推進しており、最終的には超伝導シンクロトロンとレーザー加速イオン源を組み合わせた第5世代装置へと進めていく。その一環として、レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディを行っている。これまで、シンクロトロンの内側に設置可能なビーム輸送ラインを設計し、シンクロトロンでの最終的な補足粒子数を軌道計算により調べてきた。レーザー加速イオンはシンクロトン入射後、シンクロトロン周回中に失われていき、1回の入射で最終的に捕捉される粒子数は入射時の50~70%程度であり、この損失の主な原因は自身の空間電荷効果であることが分かっている。今回、ビーム輸送ライン中に薄膜を挿入して、ビームエミッタンスを大きくし空間電荷効果を抑えることで周回中のビーム損失を抑制できるか調べた。薄膜の挿入位置と散乱角を変えて捕捉粒子数の変化を調べた結果、薄膜挿入により捕捉粒子数が増加することが確かめられた。また、薄膜挿入による捉粒子数増加の割合は、薄膜挿入位置や散乱角にかかわらず、薄膜通過後のビームの垂直方向エミッタンスで整理できることが分かった。さらに、イオン発生部の真空度はシンクロトロン内の真空度に比べ何桁か悪くなっていると考えられるが、ビーム輸送ライン中に薄膜を挿入することでこの差圧を維持できる可能性がある。