WEP22  ポスター②  8月30日 14号館1432教室 13:30-15:30
J-PARC主リング速い取り出し用新セプタム電磁石コイルの製作不備への対応
Solutions for manufacturing defects of the new septum magnets using for fast extraction in J-PARC main ring
 
○岩田 宗磨,石井 恒次,芝田 達伸,五十嵐 進,發知 英明,大森 千広,佐藤 洋一(高エネルギー加速器研究機構),高柳 智弘(日本原子力研究開発機構),松本 教之,松本 浩(高エネルギー加速器研究機構)
○Soma Iwata, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Susumu Igarashi, Hideaki Hotchi, Chihiro Ohmori, Yoichi Sato (KEK), Tomohiro Takayanagi (JAEA), Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK)
 
J-PARC主リング(MR)ではビームパワーの高出力化が進められている。ニュートリノビーム(NU)ラインまたはAbortラインへの速い取り出し(FX)機器についても、2022年5月までに2台の低磁場セプタム電磁石(SM)と3台の高磁場SMの交換を実施した。しかし2022年12月のビームコミッショニングにて、新高磁場SMの全てのコイルのターン形成部がロウ付けではなく、はんだ付けで施工されていることが発覚した。ターン形成部で接合される2本のホローコンダクターの電流は互いに逆向きであることから斥力が生じる。パターン通電の度に強度不足のはんだ接合部に負荷がかかり、実際に剥離する箇所が発生した。コイルの再製作には時間を要するため、全てのコイルの交換が完了するのは2025年の予定である。それまでの期間ははんだ付けで製作されたコイルを使用してビーム供給を行う。対策として、はんだ付け部分に銅板を追加ではんだ付けし、接合面積を増やすことで剥離への耐性を向上させた。また接合部をボルトで締め付けて固定した。軌道計算より不備のあるコイルへの通電電流を下げてビームを取り出すようにした。はんだ付け部の剥離が始まると、抵抗が増え、電源の出力電圧も上昇することが予想されるため、電源出力電圧の監視機能を追加した。また、剥離部分で放電も生じることから、監視カメラも導入した。以上の対策により、2023年1月23日以降のビーム試験においてコイルを破損させずに運用できている。