TUP17  ポスター①  8月29日 14号館1431教室 13:30-15:30
積層パーメンジュール鋼板を用いた高磁場勾配四極電磁石の試作
Prototype of high gradient quadrupole magnet using laminated permendur sheets
 
○谷内 努,松原 伸一,山口 博史(高輝度光科学研究センター),深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理研),北平 宗一郎,岩田 仁志(守谷刃物研究所)
○Tsutomu Taniuchi, Shinichi Matsubara, Hiroshi Yamaguchi (JASRI), Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Soichiro Kitahira, Hitoshi Iwata (MCL, Ltd.)
 
次世代放射光源加速器では〜100T/mの高磁場勾配四極電磁石が必要となる一方で、省電力化も考慮する必要がある。SPring-8-IIの四極電磁石を純鉄で製作した場合は60 T/m を超える辺りから磁気飽和により励磁特性が線形から外れてきて消費電力が急激に増加するが、飽和磁束密度の高いパーメンジュールを採用することで消費電力を抑えることができる。今回、磁極に積層パーメンジュール鋼板、リターンヨークにブロック純鉄を用いた四極電磁石を製作し、評価した。パーメンジュール鋼板は一定量流通しているためブロック材に比べ入手しやすく、少量や短期間での試作に適している一方、ブロック材に比べ高価であるが、プレス加工により量産コストを低減できる可能性もある。磁極とリターンヨークを分離する場合、磁極形状を精密加工した後に組み立てる従来の方法では組立精度が問題となるため、鉄芯全体を一体化した後に先端形状をワイヤー放電加工により精密加工した。完成した四極電磁石の励磁特性は、より高い磁場勾配まで直線性が伸びている一方、シミュレーション結果よりもやや低い磁場勾配で飽和の影響が現れた。この結果を受け、製作条件の異なる積層体試験片を製作してBH特性を測定した結果、積層接着や加工による残留応力が影響していることが判明した。本発表では本電磁石の詳細および今後の開発方針等について報告する。