TUOP01  合同セッション  8月29日 13号館1325/1326教室 9:40-10:10
日大LEBRAにおける加速器光源の開発とその現状
The development and the current status of the accelerator-based light sources at LEBRA, Nihon University
 
○早川 恭史,早川 建(日大LEBRA),長瀬 敦(日大理工),境 武志,宍倉 文夫(日大LEBRA),住友 洋介(日大理工),高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA)
○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa (LEBRA, NU), Atsushi Nagase (CST, NU), Takeshi Sakai, Fumio Shishikura (LEBRA, NU), Yoske Sumitomo (CST, NU), Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, NU)
 
日本大学電子線利用研究施設(LEBRA: Laboratory for Electron Beam Research and Application)は125MeV電子リニアックによる加速器光源施設である。光源開発は自由電子レーザー(FEL: free electron laser)計から始まり、2001年に近赤外領域でのファーストレージングを達成した。2003年から近赤外FELの利用研究への提供を開始している。FELに加え、単結晶に電子ビームを照射することで発生する、パラメトリックX線放射(PXR: parametric X-ray radiation)を原理とするエネルギー可変単色X線源の開発に着手し、2004年にX線ビームの観測に成功した。PXR線源の利用研究も2005年から始まり、主に先端的なX線イメージングで成果が得られている。2012年からは産総研との共同研究としてTHz領域のコヒーレント放射光源の開発を開始した。放射源としては偏向電磁石でのシンクロトロン放射およびエッジ放射、薄膜ターゲットを用いた遷移放射を用いているが、リニアックの短い電子バンチに起因して、数サイクルの短パルスでバンド幅の広いTHz光が得られている。THz光についても、2017年から利用研究への提供を行っている。3種類の光源により広い波長範囲をカバーする加速器光源施設は世界的にも他に例がない。大学附置の中規模加速器で実現したことも特色である。また、加速器施設側の機器開発で終わらず、各光源が実際に利用研究に用いられてきたことも大きな特徴といえる。日大LEBRAにおける光源開発の歴史を振り返るとともに、施設が現状抱える問題や将来的な展望について報告する。