THP52  ポスター③  8月31日 14号館1444教室 13:30-15:30
量子メスプロジェクトに向けたレーザーイオン入射器シミュレーションの進展
Progress in simulation of laser ion injector for the quantum scalpel project
 
○畑 昌育,小島 完興,榊 泰直,近藤 公伯(量研関西研)
○Masayasu Hata, Sadaoki Kojima, Hironao Sakaki, Kiminori Kondo (KPSI QST)
 
近年,炭素イオンなどを用いた重イオンビームによるがん治療は成功を収めている.一般的に,直線もしくはシンクロトロン型の粒子加速器が高エネルギー重イオンビーム生成のために使用されるが,それらの加速器は広く医療機関に行き渡らせるにはサイズが大きすぎるという問題を持つ.そのためコンパクトな加速器の実現が求められている.レーザー粒子加速器は,未来の加速器の候補の一つである. 量子科学技術研究開発機構では,高い治療効果が明らかになっている重イオンがん治療装置の高性能化・小型化を目指す“量子メス”プロジェクトを進めている.現在提案されている第5世代重イオンがん治療装置 (量子メス) は,イオン入射器・超伝導シンクロトロン・ビーム輸送系・超伝導回転ガントリーから構成されている.装置を小型化するためには,体積の大部分を占める入射器とシンクロトロンの小型化が不可欠である.レーザー駆動イオン加速は非常に大きな加速勾配を持つことからこの小型化の要求に応える技術として期待されている.既存のイオン入射器をレーザー駆動方式で置き換えるためには,小型のレーザーモジュールの開発とそれを用いた数 MeV/u の炭素イオン加速が必要である.そこで,三次元電磁粒子コードを用いて加速炭素イオンの定量評価を行った.また,加速に有利な 6 価の炭素イオンを生成するためのレーザー条件を理論的に求め,シミュレーションによる妥当性評価を行った.