THP38  ポスター③  8月31日 14号館1442教室 13:30-15:30
ナノ秒パルスレーザを利用した光電子収量分光法によるSACLA熱カソードCeB6の仕事関数の測定
Work function measurement by means of photoelectron yield spectroscopy using a tunable pulsed laser to investigate short lifetime of the CeB6 thermionic cathode at SACLA
 
○馬込 保(高輝度光科学研究センター),渡川 和晃,田中 均(理研 放射光科学研究センター)
○Tamotsu Magome (JASRI), Kazuaki Togawa, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザ施設SACLAでは、電子源として単結晶CeB6の熱カソードを使用している。SACLAはX線自由電子レーザ施設であるだけでなく、SPring-8放射光蓄積リングへの入射器でもあるため、長期安定な連続運転が求められる。しかしながら、カソードからのエミッション電流は運転に伴って徐々に減少し、現状では1年未満の短期でのカソード交換を余儀なくされている。仕事関数がエミッション電流を決める主要因であるという立場から、我々は、カソードの仕事関数をin-situに測定し、この短寿命の原因を調査することを計画している。仕事関数の測定方法は多数存在するが、カソードがパルス状高電場・高温・超高真空の共存環境下で動作することから、ナノ秒パルスレーザを励起光とした光電子収量分光法を採用する。この計画の第一ステップとして、実機を模擬したオフラインの実証試験機を製作し、これを利用して新品CeB6カソードの仕事関数が836 ℃で2.44 ± 0.02 eVであると計測できた。本稿では、得られた結果とその考察、および、将来の実機への適用可能性について報告する。