THP18  ポスター③  8月31日 14号館1431教室 13:30-15:30
J-PARC主リングにおける加速途中のビーム取出し軌道の最適化
Optimization of extracted beam orbit during acceleration at J-PARC main ring
 
○岩田 宗磨,石井 恒次,芝田 達伸,佐藤 洋一,安居 孝晃(高エネルギー加速器研究機構),吉村 宣倖(京都大学),木村 琢郎,上窪田 紀彦,松本 教之,松本 浩(高エネルギー加速器研究機構)
○Soma Iwata, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Yoichi Sato, Takaaki Yasui (KEK), Nobuyuki Yoshimura (Kyoto University), Takuro Kimura, Norihiko Kamikubota, Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK)
 
J-PARC主リング(MR)でのビーム運転において、機器の異常などを検知した場合、速い取り出し(FX)でアボートダンプへビームを捨て、ビーム運転を停止する。これは加速途中であっても動作時間1ms以内で実行される。FXセクションを構成するキッカー電磁石(KM)およびセプタム電磁石(SM)のうち、パルス励磁されるKMと低磁場SMの充電パターンは増加するビームエネルギーと同期させることが難しい。従って、加速途中に取り出されたビームのアボートダンプまでの軌道は、30 GeVのフラットトップや3 GeVのフラットボトムで取り出される調整されたビーム軌道とは一致しない。一方で、ビームダンプ以外の場所にビームが照射されるのは避けなければならない。ビームダンプまでの真空ダクトのベローズ部分や溶接部分などに高強度ビームが照射されると破損の可能性がある。ビーム軌道の変化はアボートダンプの直径700 mmの範囲内であればよい。KMや低磁場SMの充電パターンや、パターン励磁される高磁場SMの通電パターンを調整し、加速途中のいずれのタイミングで取り出されてもアボートダンプに到達する解を求めた。2023年4月のビーム試験において、ニュートリノ実験施設へのビーム供給を想定した運転条件で加速途中の5, 8, 15, 20, 25 GeVで取り出しを行い、全てアボートダンプまで到達することを確認した。それぞれの軌道は計算と概ね一致しており、期待通りの成果が得られた。