THP06  ポスター③  8月31日 14号館1421教室 13:30-15:30
ビームリサイクル技術における蓄積粒子のダイナミクス解析
Beam dynamics in a heavy ion storage ring with beam recycling techniques
 
○小川原 亮(京都大学 化学研究所),阿部 康志,大西 哲哉(理研 仁科センター),塚田 暁,頓宮 拓(京都大学 化学研究所),山口 由高(理研 仁科センター),若杉 昌徳(京都大学 化学研究所)
○Ryo Ogawara (Institute for Chemical Research, Kyoto University), Yasushi Abe, Tetsuya Ohnishi (RIKEN Nishina Center), Kyo Tsukada, Hiromu Tongu (Institute for Chemical Research, Kyoto University), Yoshitaka Yamaguchi (RIKEN Nishina Center), Masanori Wakasugi (Institute for Chemical Research, Kyoto University)
 
不安定核ビームと固定標的を用いた核反応実験では核反応を起こさなかった 99.9%以上のビームは廃棄されてしまう。そのため稀少不安定核を用いた実験ではその不安定核の活用効率の低さや、そもそもの不安定核の生成数の少なさから精密測定が極めて困難である。ビームリサイクルは不安定核ビームを重イオン蓄積リングで蓄積し、核反応するまで標的に衝突させ続けることでその活用効率を飛躍的に向上させ、稀少不安定の精密測定を実現するための技術である。 ビームリサイクルでは周回周波数1 MHz で約1秒間蓄積した場合、たった1個の蓄積粒子で計算上~10^24 /cm2/s(内部標的厚10^18個/cm2)のルミノシティーが期待できる。しかし、蓄積粒子は内部標的を通過するたびにエネルギーを失い、同時にstragglingによってエネルギー分散と角度分散が増大する。したがって、ビームリサイクル用の蓄積リングでは標的の影響を補正するための補正器が必要不可欠であり、装置設計のためにはそれらの補正器が実装された状態における蓄積粒子のビームダイナミクスを理解する必要がある。そこで、本研究では確率密度関数の時間発展を記述するFokker-Plank方程式に着目し、標的や補正器の影響をパラメータとした位相空間上における蓄積粒子の確率密度分布の時間微分方程式を開発した。本演題では開発した微分方程式の詳細、方程式の解とモンテカルロシミュレーションを比較した結果を報告する。