THOB13  加速器技術(電磁石と電源)  8月31日 13号館1326教室 16:50-17:10
キッカー電磁石用SiC半導体スイッチ電源
SiC-based semiconductor switch power supply for kicker magnets
 
○高柳 智弘,小野 礼人(JAEA),堀野 光喜,植野 智晶(NAT),杉田 萌,金正 倫計(JAEA),徳地 明,生駒 直弥,中田 恭輔,亀崎 広明,隅田 博之(PPJ)
○Tomohiro Takayanagi, Ayato Ono (JAEA), Koki Horino, Tomoaki Ueno (NAT), Moe Sugita, Michikazu Kinsho (JAEA), Akira Tokuchi, Naoya Ikoma, Kyosuke Nakata, Hiroaki Kamezaki, Hiroyuki Sumida (PPJ)
 
加速ビームの入射や取り出しに、高速のパルス磁場でビーム軌道を偏向する(蹴り出す)キッカーシステムが用いられている。キッカーシステムには、指定したビームのバンチのみに作用する短パルスの高速性と高繰り返し性に優れたパルス電源が必要である。J-PARC/JAEAでは、次世代パワー半導体の一つであるSiC-MOSFETを用いて、サイラトロンスイッチ電源に代わるサステナブルな半導体スイッチ電源の開発に取り組んできた。2017年に3.8kV/2kA出力の試験機からスタートし、2021年に40kV/2kAの定格出力にて8時間の連続運転を実現した。続いて2022年には、実機と同型のキッカー電磁石と電力輸送用の130mの同軸ケーブルを用いた通電試験を開始した。試験では、開発した半導体スイッチ電源を20kV/2kA出力の2台に組み替え、実機同様の双子型電源に再構成し、パルス励磁したキッカー電磁石の磁場波形をサーチコイルで測定した。そして、本電源の特徴であるパルス波形のフラットトップ部の垂れを補正する機能を用いて、波形に生じるリンギングを半分以下に抑制できることを磁場波形で実証した。この成果により、蹴り出したビームのバンチ間に発生するリンギングに起因した蹴り角差を低減できる。発表では、開発したSiC半導体スイッチ電源の仕様、試験装置、及び、評価結果について報告する。