THOA2  加速器技術(ビーム診断・ビーム制御)  8月31日 13号館1325教室 9:20-9:40
J-PARC muon g-2/EDM実験における精密な三次元ビーム入射のための蓄積ビームモニター
Storage beam monitor for presice three-dimensional beam injection at J-PARC muon g-2/EDM experiment
 
○小川 真治(九州大学),阿部 充志(高エネ研),飯沼 裕美(茨城大学),大谷 将士,佐々木 憲一(高エネ研),佐藤 優太郎(新潟大学),中山 久義(高エネ研),松下 凌大(東京大学),三部 勉(高エネ研),山中 隆志(九州大学)
○Shinji Ogawa (Kyushu-Univ.), Mitsushi Abe (KEK), Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Masashi Otani, Ken'ichi Sasaki (KEK), Yutaro Sato (Niigata-Univ. ), Hisayoshi Nakayama (KEK-ACC), Ryota Matsushita (U-Tokyo), Tsutomu Mibe (KEK), Takashi Yamanaka (Kyushu-Univ.)
 
J-PARC muon g-2/EDM実験では、低エミッタンスのミュー粒子ビームをコンパクトで一様性の良い磁石に入射し弱収束磁場により蓄積することで、先行実験とは異なる系統誤差でミュー粒子の異常磁気能率(g-2)を測定する。コンパクトな蓄積軌道に効率よく入射するためには、実測によるビーム運動の正確な理解の基づいた精密なビーム制御が求められる。本研究では入射後のビーム運動を測定するために、シンチレーションファイバー技術に基づいたビームプロファイルモニターを検討している。直径0.2mmの細線シンチレーションファイバーをまばらに配置するという物質量を可能な限り抑えたデザインにすることで、蓄積軌道を約7ns周期で周回し何度もモニターを通過するミュー粒子ビームとの散乱を抑える。実機製作前の原理検証としてビーム入射実証実験に向けた試作機の製作や、ビーム軌道分布シミュレーションに基づいた実機の詳細設計が進行中であり、その進捗状況について報告する。また本モニターを活用して蓄積されたビームの縦方向ベータトロン振幅を十分小さくできれば、ミュー粒子ビーム軌道と崩壊陽電子の軌跡との交点からミュー粒子崩壊点を一意に特定できるようになる。これにより陽電子放出方向の完全な再構成に基づいた新しい解析手法を採用することで、ミュー粒子g-2/EDMの統計誤差・系統誤差を改善できる可能性がある。本講演ではこちらの可能性についても議論する。