THOA12  加速器技術(加速器制御)/加速器応用・産業利用  8月31日 13号館1325教室 16:20-16:40
アルファ線核医学治療用アスタチン-211の大規模製造装置の開発
Development of a large-scale production system of astatine-211 for targeted alpha-particle therapy
 
○安良田 寛,栗原 嵩司,中村 伸悟(金属技研、理研),佐藤 望,殷 小杰,南部 明弘,重河 優大(理研),荒井 秀幸(金属技研、理研),長澤 豊(金属技研),羽場 宏光(理研)
○Hiroshi Arata, Takashi Kurihara, Shingo Nakamura (MTC,RIKEN), Nozomi Sato, Xiaojie Yin, Akihiro Nambu, Yudai Shigekawa (RIKEN), Hideyuki Arai (MTC,RIKEN), Yutaka Nagasawa (MTC), Hiromitsu Haba (RIKEN)
 
近年、アルファ(α)線核医学治療に期待されるα線放出核種、アスタチン-211(At-211)の需要が急速に高まっている。At-211は、加速器を用いて約28 MeVに加速したα(ヘリウム-4)粒子をビスマス(Bi-209)標的に照射して製造される。照射後、Bi標的を標的チャンバーから取り出し、乾式または湿式の化学分離法を用いてAt-211の精製が行われる。理研RIビームファクトリーでは、最近50 μAを超える大強度のαビームをAt-211の製造に利用できるようになってきたが、Biの融点と熱伝導率が非常に低いため、従来の固体Biを用いた照射装置では標的が損傷し、At-211を定量的に製造できない問題が生じていた。そこで、我々の研究グループでは、回転式標的容器を用いた画期的な標的システムを考案した。本システムを用いれば、大強度のαビーム照射によってBi標的が融けても遠心力で標的の形状を維持させ、定量的にAt-211を製造できる。さらに、標的チャンバー内に設置した標的加熱機構を用いてBi標的を昇温し、At-211のみを気化させてBi標的から分離、化学実験室まで引き出して回収することができる。本発表では、我々が開発したAt-211製造装置の概要と性能試験の結果を報告する。