TFSP17  ポスター③④ 施設技術報告  8月31日・9月1日 14号館1444教室 (8/31)13:30-15:30, (9/1)10:10-12:10
京都大学化学研究所における電子加速器の現状
Present status of electron accelerators at ICR in Kyoto University
 
○小川原 亮(京都大学 化学研究所),楠本 多聞,小平 聡(量子科学技術研究開発機構),塚田 暁,頓宮 拓,若杉 昌徳(京都大学 化学研究所)
○Ryo Ogawara (ICR, Kyoto University), Tamon Kusumoto, Satoshi Kodaira (QST), Kyo Tsukada, Hiromu Tongu, Masanori Wakasugi (ICR, Kyoto University)
 
京都大学化学研究所 イオン線形加速器棟には100 MeV電子線形加速器(KAKEN Electron Linac: KEL)、300 MeV 電子蓄積リング(KAKEN Storage Ring: KSR)が設置されている。KELとKSRは電子ビームをプローブとした原子核実験に非常に有用であり、また不安定核静止標的を生成するためのSCRIT(Self-Confining RI ion target)法を導入することで、世界最先端の原子核研究を行うことが可能である。京大化研ではKSRを新しい原子核物理実験用に特化した装置へと改造するため、2019年度から施設再編プロジェクトがスタートしている。  一昨年までにKELの復旧・再編はほぼ完了し、昨年度から京都大学の「国際共同利用・共同研究」プロジェクトにおいてマシンタイム提供を開始した。通常KELはビーム幅1 us 幅、繰り返し 20 Hz、最大ピーク電流約 10 mA(エネルギーは15 ~ 80 MeVで任意)でビームを提供している。上記の性能を持つKELは非常に高い瞬間線量率を提供できるため、当施設では超高線量率放射線治療(FLASH)の基礎研究が開始されている。また、昨年度は加速器のパラメータを調整することで数十MeVの電子をカウンタブルな数(約5 events/us)出力する方法も確立した。今後は検出器がパイルアップしない程度の強度を必要とする検出器開発などにもマシンタイムを提供する予定である。 本講演では、KELの現状とKSR再編の状況、またこれまでにKELを用いて行われてきた実験について報告する。