FRP42  ポスター④  9月1日 14号館1442教室 10:10-12:10
クライオモジュールで発生する気柱振動に伴う熱輸送の防止
Prevention of heat transport associated with air column vibration generated in cryomodule
 
○清水 洋孝(KEK)
○Hirotaka Shimizu (KEK)
 
SuperKEKB加速器では超伝導加速空洞を使った粒子加速が行なわれており、クライオモジュールと呼ばれる極低温環境を保持出来る容器の中に加速空洞を収めて運転を行う。STF加速器やcERL加速器では、2 K超流動ヘリウムでの空洞の冷却を行う為、更に低い温度での寒冷の制御が必要になる。これらの制御を行う自動弁は、極低温領域と室温領域を弁棒で繋ぐ構造になっており、弁棒とその筐体との間で、意図しない気柱振動が発生する事がある。他にも極低温部分の圧力を測定する為に敷設された配管類も、極低温領域と室温領域を繋ぐ構造になっており、やはり気柱振動を起こす可能性がある。この振動は、熱振動とも呼ばれ、室温側から大量の熱を効率的に極低温域に運ぶ性質があり、結果としてモジュール内の寒冷を無駄に消費する事で、加速器の運転に深刻な問題を引き起こす。一方で、パルス管冷凍機を用いた冷却の仕組みは、封入した作業流体の圧力振動によって理解する事が出来る事が、熱音響理論によって示唆されており、積極的に低温側から高温側に熱を汲み上げたい装置(小型冷凍機)の動作と、高温側から低温側に熱が流れ込んでしまう現象(気柱振動)には一定の類似点が存在している。この研究では、気柱振動による熱の輸送現象と、パルス管冷凍機での冷却の仕組みを対比して考える事で、意図しない熱輸送を防止する方法について検討を行う。