FRP31  ポスター④  9月1日 14号館1441教室 10:10-12:10
大電流ビーム蓄積におけるARES空洞の最適チューニングに関する再考
Reconsideration on optimum tuning of ARES cavity for high current beam storage
 
○小林 鉄也,阿部 哲郎,榎本 瞬,小笠原 舜斗,岡田 貴文,西脇 みちる,山口 孝明(高エネ研)
○Tetsuya Kobayashi, Tetsuo Abe, Shun Enomoto, Shunto Ogasawara, Takafumi Okada, Michiru Nishiwaki, Takaaki Yamaguchi (KEK)
 
SuperKEKB加速器では、非常に高いビーム電流の蓄積を目指し、KEKB用に開発されたARES空洞と呼ばれる特殊な常伝導空洞を再利用している(RF周波数は約509MHz)。ARES空洞は、加速空洞(A)に結合空洞(C)を介して貯蔵空洞(S)を連結させた3連空洞で(π/2モードで運転)、S空洞の大きな蓄積エネルギーによりビーム負荷の影響を軽減する。また、C空洞に励起される電磁場は「Cダンパー」により外へ排出され、π/2モード以外は減衰する構造を持つ。ビーム負荷に対する最適チューニングではA空洞だけを離調するが、SuperKEKBのデザイン電流3.6Aでは、このA空洞の離調度が非常に大くなる(約-280kHz)。そのためπ/2モードの節の位置がズレれ、Cダンパーへの負荷が増大することが懸念されている。そこで、最適チューニングにおいてS空洞も考慮し、A空洞の大きな離調を避けることが可能かどうか、基本的な計算モデルを用いて検討した。その結果から、やはりビーム負荷に対してはA空洞の大きな離調が必要(それ以外は比現実的)であることを示す。また、上記とは別件で、A空洞を意図的に大きく離調する(C空洞の負荷を上げる)大電力試験が行われた。その結果を踏まえ、本計算モデルの妥当性や最適チューニングにおける懸念事項などを紹介・検証する。本問題に対しては、更なる検討(電磁場分布や節の位置も考慮できる評価方法)が必要になるであろう。