FRP01  ポスター④  9月1日 14号館1421教室 10:10-12:10
偏向電磁石電流リップルによるコヒーレントシンクロトロン振動
Coherent synchrotron oscillation by bending magnet current ripple
 
○冨澤 正人,武藤 亮太郎,杉山 泰之(KEK/J-PARC),田村 文彦(J-PARC/JAEA)
○Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Yasuyuki Sugiyama (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura (J-PARC/JAEA)
 
J-PARCメインリングは、加速時間を短くし、加速パターンの繰り返しを上げることにより、ビーム出力を増強するための改造を行なってきた。偏向電磁石電源、四極電磁石電源、クロマティシティー補正電源は、新規製作の他に、一部改造前の電源を別のファミリーで再利用している。6台の独立した偏向電磁石電源は新規に製作された。これらの電源に関するリップル低減調整はまだ十分にはなされていない状態にある。特に6台のうち2台の電源の電流リップルは20Hz付近に大きな成分を持つ。2023年4月に行われた速い取り出しビーム調整において、加速後半にビーム運動量の時間変化に顕著な振動パターンが観測された。ビーム運動量は、アーク部の運動量分散が有限な位置に置かれた位置モニターによって求められる。この現象は、偏向電磁石の磁場リップルにより周長が変化し、シンクロトロン振動がコヒーレントに励起されたためと推測している。2023年4月に行われた速い取り出しビーム調整では、加速電圧が510kVでシンクロトロン振動数は加速終了時に41Hz程度である。6月に予定されている遅い取り出し運転では加速電圧は256kVと低く、シンクロトロン振動数が29Hzとなりリップルの大きな周波数20Hzに近づくため、さらに振動が大きくなることが懸念される。測定データに加えて、この運動の定式化による計算結果も示す。