WEP059  ポスター②  10月19日 会議室P 13:00-15:00
放射光源リングにおけるアクティブ高調波空洞を用いたバンチ伸長システムの検討
Feasibility study of an active harmonic cavity for bunch lengthening in an electron storage ring
 
○山本 尚人,坂中 章悟(高エネ研),Marchand Patrick,Gamelin Alexis,Nagaoka Ryutaro(Synchrotron SOLEIL)
○Naoto Yamamoto, Shogo Sakanaka (KEK), Patrick Marchand, Alexis Gamelin, Ryutaro Nagaoka (Synchrotron SOLEIL)
 
電子蓄積リングにおいて、主加速空洞に加え高調波空洞を導入することでバンチ長の制御が可能となる。例えば、高調波RFにより主RF場の電圧勾配を高調波で局所的に緩和することでバンチ伸長できる。バンチ伸長は高輝度光源において自己散乱によるエミッタンス劣化やビーム寿命低下の抑制につながるため特に重要である。 放射光源リングでは様々なユーザーの希望に答えるため複数の運転モードを用意することが多いが、想定する全ての運転モードにおいて適切にバンチ長制御をおこなうためには、従来のビーム誘起電圧のみを利用したパッシブ型ではなく外部電力を用いたアクティブ型の高調波空洞が有用である。 発表者はSOLEIL-U(2.75GeV,仏)を例としてアクティブシステムの検討を行った。検討では平均20mAのシングルバンチ(SB)運転と500mAのマルチバンチ(MB)運転の双方でバンチ伸張率3倍以上を達成することを目標とした。システム設計では通常行う空洞消費電圧等に加え、高調波空洞の存在により問題となるAC Robinson不安定性、さらにはRF場の勾配がゼロに近づいた際に発生する特殊な不安定性についても考慮を行い、解析的及び数値的な評価を進めた。 現在までにSB運転では十分なバンチ長が達成できそうであるが、MB運転では3倍弱の伸張率に留まっている。MB運転においてさらなる改善を得るためには、特殊なフィードフォワード/バック技術の導入など新たなアイディアが必要だと考えている。