WEP028  ポスター②  10月19日 会議室P 13:00-15:00
ニオブスズ超伝導加速空洞の伝導冷却に向けた要素試験
Component tests towards conduction cooling of Nb3Sn superconducting RF cavity
 
○山田 智宏,梅森 健成,阪井 寛志,井藤 隼人,加古 永治(高エネ研)
○Tomohiro Yamada, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Hayato Ito, Eiiji Kako (KEK)
 
超伝導加速空洞は常伝導空洞に比べ表面抵抗を小さく抑えることができるため、より高い電場での連続的な運転が可能となり、現在世界中の大型加速器で広く用いられている。空洞材料としてはニオブを使用したものがほとんどで、液体ヘリウム温度4Kやさらに表面抵抗を下げて発熱を減らすため2Kまで減圧して冷却することも多い。一方で、浸漬冷却に使用する液体ヘリウムの製造やクライオモジュールの高圧ガス保安法対応など、利用までのハードルが高く、社会的に広く普及しているとは言い難い。 現在KEKでは、上記の問題を一掃する方法としてニオブに代わりニオブスズを用いた空洞に関する研究を進めている。ニオブスズは、ニオブの2Kに匹敵する高いQ値を4K程度で実現できるため、液体ヘリウムを用いず市販の小型4K冷凍機での冷却が可能になり、高圧ガス対応も不要になる。また、クライオモジュールの構造が簡潔になることで小型化を実現し、さらにTurn keyでの運転が可能となる。 一方で、これまで浸漬冷却によって空洞表面が均一に冷却されていたのに対し、小型冷凍機の場合は熱伝導を用いて冷却する必要があり効率的な冷却手法を新たに開発する必要がある。本発表では、今後のニオブスズ超伝導加速空洞の伝導冷却試験に向けた1)温度マッピングに用いる安価な温度センサーの開発、2)ニオブスズ空洞母材のニオブの熱伝導率測定について報告する。