WEP015  ポスター②  10月19日 会議室P 13:00-15:00
KEKB入射器陽電子源における広帯域ビームモニターの特性解析
Characteristic analysis of wideband beam monitor at the positron source of the KEKB injector linac
 
○諏訪田 剛(KEK加速器)
○Tsuyoshi Suwada (KEK Acc. Lab.)
 
KEK電子陽電子入射器では、SKEKBリングへの陽電子増強を目指し、2020年夏期保守にe+捕獲部の改造を行なった. 本改造では、e+集束用フラックスコンセントレータの放電対策、及びe+捕獲部の4箇所に偏向電磁石と広帯域モニターが新たに設置された. e+捕獲部は、上流のe+標的により放射線環境が悪いこと、ソレノイド電磁石列により設置空間の余裕が厳しいこと、さらにe+標的内でほぼ等量の電子と陽電子が同時に生成されるので広帯域に分解しないと分離検出が難しいという問題があり、これまで診断装置は設置されていなかった. 今回開発した広帯域モニターは、e+捕獲部内におけるe-e+分離検出を可能とする. モニターは、信号検出全系の広帯域化とさらにフィードスルー電極(SMA)に対する高精度な校正が要求される.信号検出全系を構成する同軸ケーブルを含むrf部品の広帯域にはネットワークアナライザー(VNA)を用いた周波数領域における損失と位相補正は欠かせない.他方、電極のゲイン補正は、単純なコネクター接続ができないので簡単ではない.フィードスルー型電極ではVNA計測が困難である. そこで各電極に信号を外部から送信し対向又は隣接電極への誘起信号をVNAで計測した. この手法から各電極の損失、位相変化、さらには電極間の結合強度を実験的に計測することが可能になり、各電極のゲイン校正が可能となった. 本報告では、誘起信号を用いた新しい校正手法を紹介する.