WEP008  ポスター②  10月19日 会議室P 13:00-15:00
Zr、ZrPdコーティング膜の排気性能の評価
Pumping properties for Zr, ZrPd coating films
 
○金 秀光,内山 隆司,谷本 育律,本田 融(高エネルギー加速器研究機構)
○Xiuguang Jin, Takashi Uchiyama, Yasunori Tanimoto, Tohru Honda (High Energy Accelerator Research Organization)
 
非蒸発ゲッター(NEG)コーティングはNEG材を真空チェンバ―の内壁に成膜することで、従来のガス源である内壁をポンプに変える技術である。NEG材にはCERNが開発したTiZrV合金がよく使われているが、その抵抗率は200 micro ohm cm(銅は1.6 micro ohm cm)と大きく、発熱やビーム不安定をもたらす原因でもある。最近、Zr純金属も低温で再活性化できるという報告がある。Zrの抵抗率が40 micro ohm cmと小さいため、NEG膜の伝導率の改善が期待できる。また、Pdも水素の排気速度が速く、抵抗率が10.9 micro ohm cmと小さいため、抵抗率を下げる候補材料である。本研究では、高い排気性能かつ低い抵抗率のNEG材の開発を目指し、Zr、ZrPd膜を作製し、その排気性能を評価した。  成膜は銅製ダクト(内径25 mmで長さ450 mm)の内面に、Magnetron Sputtering装置を用いて行った。Zr、Zr0.7Pd0.3、Zr0.5Pd0.5膜を作製し、異なる温度で再活性化し、その排気性能を調べた。比較のため、TiZrV膜の作製と評価も行った。同じ活性化条件において、Zr膜はTiZrV膜より半分以下のH2吸着確率を示す。この結果は、Zr膜の排気性能がTiZrV膜と同程度である前の報告と異なる。また、残念ながらPdの添加によりH2の吸着確率が徐徐に低下した。本発表では、これらの結果に関して考察して報告する。