WEP002  ポスター②  10月19日 会議室P 13:00-15:00
粒子加速器における非破壊での遅いビーム取り出し手法の研究
Study of non-destructive slow beam extraction method in particle accelerator
 
○永山 晶大(東北大学),原田 寛之(JAEA),下川 哲司(KEK),山田 逸平(JAEA),地村 幹(東北大学),山本 風海,金正 倫計(JAEA)
○Shota Nagayama (Tohoku University), Hiroyuki Harada (JAEA), Tetsushi Shimogawa (KEK), Ippei Yamada (JAEA), Motoki Chimura (Tohoku University), Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (JAEA)
 
リング型粒子加速器であるシンクロトロン加速器ではリング内にビームを溜め込み、周回させながら加速したビームを徐々に供給する「遅い取り出し」技術で最先端の物理実験や放射線がん治療を実現している。従来の手法では周回するビームを広げつつ、静電セプタムで発生させた電場境界を超えた粒子を周回ビームから徐々に蹴り出し、削るように分断して取り出している。静電セプタムはビームの分断のためにビーム軌道上にリボン電極などの物体を直接挿入する構造になっており、故に「原理的」に避けられないビームと構造物の直接的な衝突による機器の損傷・放射化がビーム出力の大強度化やビーム供給の安定化を制限している。本研究では上記課題の原因である「ビーム軌道上に挿入される構造物」を廃した新たな手法に基づく「非破壊型静電セプタム」が考案されている。従来型の静電セプタムと同等に粒子を周回ビームから蹴り出す為には、境界面で不連続のギャップを持つ階段関数のような分布の力を発生させるのが理想である。本発表では階段関数に近い分布のローレンツ力を真空中に発生させるための電極・電線配置の最適化の計算方法や、発生させるローレンツ力によるビームの分断の計算結果について報告する。また、現在進行中である本手法の原理実証に向けて開発した小型原理実証機についても紹介し、今後の展望についても議論する。