WEOB11  加速器技術(高周波源・LLRF)  10月19日 会議室B 17:10-17:30
20 MWおよび高効率8 MW Xバンドクライストロンの設計と試験結果
Design and test results of 20-MW and high efficiency 8-MW X-band klystrons
 
○阿武 俊郎(キヤノン電子管デバイス株式会社)
○Toshiro Anno (Canon Electron Tubes & Devices Co., Ltd.)
 
近年Xバンド周波数帯の大電力クライストロンを高周波源に用いたコンパクトかつ高勾配な加速器が各所で使用されている。Xバンドでは従来10~50 MWの中間程度に位置する20 MW出力のクライストロンが市場になかったが、研究用や産業用として要求があった。キヤノン電子管デバイス株式会社では、11.4 GHzと12 GHzの20 MWクライストロンを2021年と2022年にそれぞれ開発した。いずれも試験で20 MWの安定な出力が得られた。また既存の6 MWクライストロンを多空胴化することにより高効率化し、8 MW出力を目指す開発を2018年からCERNと共同で進めている。相互作用部の設計にマルチセル第2高調波空胴とマルチセル出力空胴を含む8個の空胴を使用し、シミュレーションではビーム電圧154 kV、ビーム電流94 Aで出力8.16 MW、効率56.4%を得た。2021年に初号機を製作し試験を行った。試験ではダイオード運転でいくつかの発振が観測され、安定運転できる電圧が制限されたため目標出力を得ることができなかった。二号機での改良のためCERNで発振対策の空胴の設計変更を行った。新たな設計を取り入れたクライストロンを製作中である。これらのクライストロンの設計と試験結果について報告する。