WEOB08  加速器技術(高周波源・LLRF)  10月19日 会議室B 16:10-16:30
周波数分割型高周波増幅による高速高電圧パルス発生器の開発
Development of a fast high-voltage pulse generator by frequency-segmented rf amplification
 
○渡川 和晃,前坂 比呂和(理研),小花 利一郎(株式会社アールアンドケー),田中 均(理研)
○Kazuaki Togawa, Hirokazu Maesaka (RIKEN), Reichiro Kobana (R&K Company Limited), Hitoshi Tanaka (RIKEN)
 
理化学研究所のX線自由電子レーザー施設SACLAの電子入射器では、熱電子銃により発生したマイクロ秒ビームからナノ秒ビームを切り出すために、ビームチョッパーシステムを使用している。ビームチョッパーの偏向電極にはアバランシェ型高速パルサーで生成した数kVの矩形高電圧パルスを印加するのであるが、高電圧パルスの出力が不安定になるなど故障頻度が高いことや、パルス波形の調整が容易でないことなど幾つかの問題点を抱えている。これらの問題を克服するために、安定な高周波増幅器を利用した新しいパルサーの開発を行った。幾つかの周波数を用いれば任意の波形を再構成できるという原理に基づき、信号源の種パルスを周波数分解して周波数毎に信号増幅、群遅延補正、振幅調整を行い、それらを合成してパルスを出力するという手法である。製作した試作機では、パルス幅2 ns、パルス波高0.2 kV、フラットトップ平坦度0.8%の安定した矩形パルスを生成することに成功した。任意の信号を増幅することが可能であるので、マルチバンチや高繰り返しなど複雑なビーム構造への対応が要求されるデバイスで重要な役割を果たすことが期待される。