WEOA10  加速器技術(粒子源)/レーザー  10月19日 会議室A 16:50-17:10
UVSOR-IIIにおけるガンマ線源開発と利用研究
Development of gamma ray sources and their application studies in UVSOR-III
 
○平 義隆,杉田 健人,岡野 泰彬(分子研),平出 哲也,遠藤 駿典(原子力機構),全  炳俊(京都大学),静間 俊行(量研機構)
○Yoshitaka Taira, Kento Sugita, Yasuaki Okano (IMS), Tetsuya Hirade, Shunsuke Endo (JAEA), Heishun Zen (Kyoto University), Toshiyuki Shizuma (QST)
 
分子科学研究所の放射光施設であるUVSOR-IIIのBL1Uでは、高エネルギー電子ビームとレーザーの逆トムソン散乱によってガンマ線を発生し、ユーザーに提供している。逆トムソン散乱によって発生するガンマ線には、放射性同位元素から発生するガンマ線や制動放射ガンマ線と比較してエネルギー可変かつ準単色、低バックグラウンド、高い指向性といった優れた特徴がある。また、偏光レーザーを使う事で偏光ガンマ線を発生することが可能である。BL1Uでは、このガンマ線を用いて原子核共鳴蛍光散乱による同位体イメージングなどの原子核物理実験やガンマ線検出器の評価およびガンマ線誘起陽電子消滅分光法による材料分析の研究を行っている。陽電子消滅分光法は、結晶を構成する原子の一部が存在しない単原子空孔などsub-nm ~ 数nmの欠陥分析を行える強力な手法である。陽電子は対生成によってガンマ線からも発生することができるため、ガンマ線を試料に照射することで試料内部で陽電子を発生し厚さ数cmのバルク試料の欠陥分析が可能である。本年会では、UVSOR-III BL1Uにおけるガンマ線源開発、円偏光ガンマ線の磁気コンプトン散乱実験、ガンマ線誘起陽電子消滅分光の開発、円偏光ガンマ線を用いたスピン偏極陽電子の計測技術開発について発表する。