WEOA06  加速器技術(粒子源)/レーザー  10月19日 会議室A 15:30-15:50
線形ポールトラップイオン源からの選択的イオン取出しに関する研究
Study on the selective ion extraction from a linear Paul trap ion source
 
○宮脇 信正,石井 保行,百合 庸介,鳴海 一雅(量研高崎),室尾 健人,伊藤 清一,岡本 宏己(広大院先進)
○Nobumasa Miyawaki, Yasuyuki Ishii, Yousuke Yuri, Kazumasa Narumi (QST Takasaki), Kento Muroo, Kiyokazu Ito, Hiromi Okamoto (AdSE, Hiroshima Univ.)
 
固体量子情報デバイスに使用する量子もつれ効果の実現方法の一つとして、ダイヤモンド中に窒素-空孔センター間の配列を20nm以下の間隔で形成する方法が提案されている。QST高崎ではこの配列を製作するために、線形ポールトラップ (LPT)をイオン源として使用し、後段に静電集束レンズを組み合わせた装置の開発を行っている。本研究では、LPTからの低エミッタンス単一窒素イオンの取出し方法について検討した。窒素イオンは、LPT中でドップラーレーザー冷却が可能なカルシウムイオンとの共同冷却によって絶対零度近傍まで冷却され、低エミッタンスでの取出しが期待できる。そこで、LPTから低エミッタンスで単一窒素イオンを取出す方法について、LPTの電極構造を境界条件としてマックスウェル方程式を数値的に解き、得られた3次元電場ポテンシャル中での多粒子運動のシミュレーションを実施した。その結果、冷却完了後のカルシウムイオンと窒素イオンの個数や並び方が取出し時のエミッタンスに影響すること、さらにLPTからの単一窒素イオンのみの選択的な取出しは、これに加えて電極電圧の時間制御によって実現できることがわかった。