TUP061  ポスター①  10月18日 会議室P 13:30-15:30
バッファガス冷却器を備えたビーム物理研究用イオントラップシステムの開発
Development of an ion trap system with a buffer-gas cooler for beam dynamics studies
 
○伊藤 清一(広大院先進)
○Kiyokazu Ito (AdSE, Hiroshima Univ.)
 
イオントラップに捕捉したイオンプラズマの運動は空間電荷効果を考慮しても加速器ビームと等価である.広島大学ではビーム物理研究に最適化したイオントラップシステムS-PODを用い,主に空間電荷効果がビームの挙動に与える影響について実験的研究を進めている.S-PODに捕捉したイオンプラズマのrmsチューンデプレッションは最も小さい時でおよそ0.85であり,一般的な円形加速器よりは小さい.しかし線形加速器の中にはより小さな値を取るものもある.この様な位相空間密度の高いビームの挙動を調べるためにはイオンプラズマもより高密度化する必要がある.S-PODのイオンプラズマの温度は約0.3eVと比較的高いので冷却による高密度化が期待できる.バッファガス冷却は低温の軽いガスとの衝突でイオンを冷却する方法であり,ハドロンビームで用いられる電子冷却と同様の手法である.当然より低温のガスを用いる方がイオンプラズマの到達温度は低くなる.そこで,クライオスタットにより冷却した低温のヘリウムガスをバッファガスとして導入するシステムの開発を進めている.開発状況と予備的な結果について報告する.本研究はJSPS科研費JP21H03737の助成を受けたものです.