TUP055  ポスター①  10月18日 会議室P 13:30-15:30
SuperKEKBにおける加速モード起因結合バンチ不安定性抑制システムの位相調整
Phase tuning for damper system of coupled bunch instability caused by acceleration mode in SuperKEKB
 
○小林 鉄也(高エネ研),廣澤 航輝(量研/六ヶ所)
○Tetsuya Kobayashi (KEK), Kouki Hirosawa (QST/Rokkasho)
 
SuperKEKBは電子・陽電子衝突型リング加速器で、前人未踏(KEKBの40倍)のルミノシティを目指し運転・調整が続けられている。目標までは更なる増強が必要な状況であるが、継続してルミノシティの世界記録が更新されている。 高いルミノシティを得るために非常に大きな蓄積ビーム電流が必要であり、RF制御にとっては、加速モードに起因する結合バンチ不安定性(CBI)の抑制が重要な課題の一つである。そのため、SuperKEKBでは新たに多モードに対応した高精度なCBIダンパーが開発された。本ダンパーは、これまでの運転で有効に機能し、大電流の蓄積に欠かせないシステムになっている。しかしながら、位相の調整方法に課題があった。CBIダンパーはフィードバック制御の一種であるが、これまで、閉ループの状態でしか調整できず、不安定性が発生してから位相をスキャンして最適な位相を探す、という方法を行っていた。この方法では、不安定性が起きないと調整できない。また、やみくもに最適位相を探すので時間がかかる上、スキャン中にアボートさせてしまう、などの問題が多かった。 そこで、機能を拡張し、開ループでビームを振動させ、ビームの応答からループ位相を決定する方法を可能にした。これにより、予め位相調整を済ませることができ、不安定性を発生させずに大電流蓄積ができ、また調整時間も大幅に短縮され、コミッショニングの効率化にも貢献している。