TUP033  ポスター①  10月18日 会議室P 13:30-15:30
SuperKEKBにおける超伝導空洞のSiC製HOMダンパーのビーム試験
Status of SiC HOM absorbers for superconducting cavities at SuperKEKB
 
○岡田 貴文,赤井 和憲(高エネ研),西脇 みちる(高エネ研、総研大),古屋 貴章,光延 信二(高エネ研),森田 欣之(高エネ研、総研大)
○Takafumi Okada, Kazunori Akai (KEK), Michiru Nishiwaki (KEK, SOKENDAI), Takaaki Furuya, Shinji Mitsunobu (KEK), Yoshiyuki Morita (KEK, SOKENDAI)
 
SuperKEKB加速器は、KEKB加速器の40倍のルミノシティを目指す電子・陽電子衝突型リング加速器である。 2019年の物理実験開始から運転・調整を続け、ビーム電流の増強とともにルミノシティの記録を毎年更新している。 現在までの物理実験における最大ビーム電流は電子リングで920mA、陽電子リングで1150mAに到達しているが、 さらに3倍近い設計ビーム電流を実現するためにはRFシステムでもさらなる増強が必要である。 電子リングでは、KEKB加速器用に開発された8台の509 MHz HOM減衰型超伝導空洞が用いられており、 ビームパイプ部分にはフェライト製HOMダンパーが備えられている。 しかし、SuperKEKBの大電流を達成するにはさらなるHOMの対策が必要である。 超伝導空洞で発生するHOMパワーの約半分が空洞からビーム下流方向へ抜け出て下流の空洞の負荷を増加させると推測されている。 そのため、空洞下流のビームライン上にSiC製のHOMダンパーを追加し、ビームによるHOMを吸収する対策を検討している。 これまでに、2台のSiC製HOMダンパーが2台の空洞の下流のビームラインに設置され、HOM吸収の評価が行われた。 SiC製HOMダンパーによるHOM吸収が確認され、下流側の空洞への負荷の減少が実証されている。 本稿では、SiC製HOMダンパーのこれまでのビーム運転による試験結果およびロスファクターの評価について報告する。