TUP012  ポスター①  10月18日 会議室P 13:30-15:30
J-PARCハドロン実験施設における新二次粒子生成標的温度測定および制御システムの開発
Development of temperature-measurement and control system for new production target at J-PARC Hadron Experimental Facility
 
○上利 恵三,里 嘉典,豊田 晃久,森野 雄平,秋山 裕信(高エネルギー加速器研究機構)
○Keizo Agari, Yoshinori Sato, Akihisa Toyoda, Yuhei Morino, Hironobu Akiyama (KEK)
 
J-PARCハドロン実験施設では新型の二次粒子生成標的を使用したビーム運転が2020年に開始された。この新標的は旧標的を2個上下対称に設置した構造となり、旧標的に比べ約2倍ものビーム強度(95kW)まで受け入れ可能になった。旧標的と同様に、新標的はビームを吸収する部分の素材が金、その土台が無酸素銅、冷却用ステンレス配管から構成され、ビーム寄与による熱応力を減少させるため金部分はビーム方向に6分割されている。温度による健全性確認のため標的に熱電対を設置し、旧標的では金上面中心にビーム方向に6個設置したが、新標的では金上面左右端に2個、ビーム方向に6個、計12個設置した。上下対称構造に加え左右にも増加したことにより熱電対の数は4倍に増えたため、温度計測制御システムの開発を行った。この計測制御機器は標的上下部を独立で温度測定できる2系統のProgrammable Logic Controller (PLC)とした。測定周期は100ミリ秒で、各温度はトレンドグラフに加え、ビームスピルに同期した温度波形も表示し、さらに各温度にしきい値を設定し、それを超えればインターロック信号によりビーム運転を安全に停止できる。2020年以降のビーム運転でこのシステムは温度計測またはインターロックが安全・安定的に動作することを確認した。今回はJ-PARCハドロン実験施設の新二次粒子生成標的の温度計測・制御システムやソフトウェアの開発について報告する。