THP062  ポスター③  10月20日 会議室P 13:00-15:00
定在波型加速空洞転送行列の加速位相応答の解析
Analysis of acceleration phase response for transfer matrix of standing wave acceleration cavity
 
○宮島 司(高エ研)
○Tsukasa Miyajima (KEK)
 
定在波型加速空洞の横方向運動を考えるとき、電子の速さがほぼ光速の場合には転送行列によるモデルが良い近似となる。このとき転送行列は端部を表す行列と、平均化した一様電場による加速を表す行列によって表される。一方で電子のエネルギーが低く電子の速さが光速よりも遅い場合には、位相遅れによる加速エネルギーの変化と磁場の影響が無視できず、単純なモデルで表すことができない。特に、加速位相を変えたときの運動の変化は、高エネルギーの場合と大きく異なる。低エネルギー領域における転送行列を表す方法として加速空洞を進行方向に対して短い区間で区切り、その区間における加速を表す行列と、磁場の影響を表す行列の積として表す方法が提案され、分割数が十分大きい場合には運動方程式の数値積分による結果と同じ結果となることが示されている。しかしながら分割数が多い場合、単純化したモデルのような明快な物理的描像を得るのが難しくなる。そこで、単純化したモデルを出発点として、低エネルギーによる効果を補正行列として取り込む方法で解析を進めている。行列の最小限の拡張により、横方向位相応答の入射エネルギーによる変化をある程度再現できるようになったが、位相遅れによる加速エネルギーの変化をより精密に計算する必要があることがわかってきた。本報告では、位相遅れと加速エネルギーの解析結果について報告する。