THP057  ポスター③  10月20日 会議室P 13:00-15:00
コンパクトERL入射器の現状
Present status of the injector at the compact ERL at KEK
 
○田中 織雅,宮島 司,谷川 貴紀(高エネルギー加速器研究機構)
○Olga Tanaka, Tsukasa Miyajima, Takanori Tanikawa (High Energy Accelerator Research Organization (KEK))
 
KEKのコンパクトERL(cERL)は、ERL技術の開発とその産業利用等への応用研究を行うための試験加速器である。近年cERLでは、高効率加工プロセス用中赤外高出力レーザー光源開発やリソグラフィー用大強度EUV FELの概念実証を目的として、IR-FELを周回部に建設して運転を行ってきた。IR-FELの入射器運転の最初のターゲットとして、2020年には、入射器は60 pCのバンチ電荷、480 kVのDC電子銃電圧、5 MeVの入射エネルギー、2 ps rmsのバンチ長で運転し、IR-FELに必要なビーム品質をエネルギー回収のないバーストモード(マクロパルス長1 us, 最大繰り返し5 Hz)で実現した。次の目標は、エネルギー回収モードで高出力のIR-FEL生成を実証することである。入射エネルギーは入射・ダンプビームと周回ビームのエネルギー比の制限(およそ1/5以下)により、3.5MeVに下げる必要がある。また、電子銃のトラブルにより、当面は電子銃電圧を390kVに下げて運転する必要もある。この入射ビーム輸送には空間電荷効果の制御がより重要になってくる。本発表では、cERL入射器最適化の戦略とその結果および将来の見通しについて述べる。