THP050  ポスター③  10月20日 会議室P 13:00-15:00
SuperKEKB電磁石用冷却水の現状(2)
Status of the SuperKEKB magnet cooling water system (2)
 
○大澤 康伸,植木 竜一,古澤 将司,増澤 美佳(高エネ研)
○Yasunobu Ohsawa, Ryuichi Ueki, Masashi Furusawa, Mika Masuzawa (KEK)
 
SuperKEKB加速器は、2010年まで運転を続けたKEKB加速器を大幅にグレードアップさせたものである。2018年4月に初めてビーム衝突が行われ、2019 年3月11日からBELLE II検出器がフル装備され物理実験が開始された。2022年5月10日には、ピークルミノシティ3.939E34 cm^-2s^-1の世界最高記録を更新し、現在も物理実験が行なわれている。 安定した衝突実験を行い加速器の性能を上げていくためには、電磁石の安定した運用が必要不可欠である。そのためには、水冷式電磁石1750台に送られる冷却水の温度、圧力、流量の状態を安定に維持することが重要である。運転初期には、ストレーナーやバルブに酸化銅由来の不純物の付着などが多く見られ、流量低下によるビームアボートを引き起こした。その後、KEKB加速器から再利用した電磁石のフロースイッチからの水漏れによりビーム運転を停止する事態も起きた。このように運転開始からいくつかの電磁石冷却水由来のビームアボートが発生したが、その都度、不純物や老朽化への対応策を行ってきた。これらの対策が功を奏し、2019年10月の運転以降、3年近く電磁石冷却水由来のビームアボートがない状態が続いている。 本論文では、SuperKEKBで発生した電磁石冷却水関連のトラブルとその対応策を報告する。