THP030  ポスター③  10月20日 会議室P 13:00-15:00
マルチイオン源の低エネルギー輸送系における4He2+ビームのエミッタンス増大量の評価
Emittance growth of 4He2+-ion beams in low-energy beam transport for a new ECR ion source
 
○片桐 健,村松 正幸,岩田 佳之,白井 敏之(量研),野村 真史,坪松 悟史,楠岡 新也,藤原 正,戸内 豊,橘 正則(住重),佐々野 利信,鈴木 太久,高橋 勝之,白石 直浩(AEC)
○Ken Katagiri, Masayuki Muramatsu, Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai (QST), Shinji Nomura, Satoshi Tsubomatsu, Shinya Kusuoka, Tadashi Fujiwara, Yutaka Touchi, Masanori Tachibana (SHI), Toshinobu Sasano, Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi, Tadahiro Shiraishi (AEC)
 
HIMAC(QST)における重粒子線がん治療では,さらなる治療効果の向上と副作用の低減を狙って,4種類のイオン(He, C, O, Ne)により線質・線量分布を最適化して治療照射を行う,マルチイオン照射法の実用化が進められている。この照射法が用いられる,次世代の小型重粒子線治療装置である量子メスのために,素早いイオン切り替え機能を持つECRイオン源(マルチイオン源)の開発が現在進められている。 これまでにHIMACで実施した4He2+イオンの加速試験では,イオン源の直下流で十分な電流量(I ~ 1―2 mA)が得られていても,長い低エネルギー輸送系(LEBT)を通過する間にビームロスが生じ,後段のRFQ入り口では治療供給に要求される電流量を十分に得られないことが明らかになっている。この主な原因は,空間電荷効果によるエミッタンスの増大であると考えられており,量子メスにおけるLEBTの設計の際にはその影響を十分に検討する必要がある。本発表では,Particle-in-cell法によるイオンの軌道解析の結果,及びマルチイオン源テストベンチにおける実験結果との比較により,エミッタンス増大量の電流依存性,輸送距離依存性を調査し,LEBT設計の際の要件を検討する。