THP029  ポスター③  10月20日 会議室P 13:00-15:00
山形大学医学部東日本重粒子センター建設の現状 (4)
Construction status of East Japan Heavy Ion Center, Faculty of Medicine, Yamagata University (4)
 
○岩井 岳夫,想田 光,金井 貴幸,宮坂 友侑也,イ ソンヒュン,柴 宏博(山形大・医),勝間田 匡(加速器エンジニアリング),佐藤 啓,佐藤 慎哉,上野 義之,根本 建二(山形大・医)
○Takeo Iwai, Hikaru Souda, Takayuki Kanai, Yuya Miyasaka, Sung Hyun Lee, Hongbo Chai (School of Medicine, Yamagata Univ.), Masashi Katsumata (AEC), Hiraku Sato, Shinya Sato, Yoshiyuki Ueno, Kenji Nemoto (School of Medicine, Yamagata Univ.)
 
山形大学医学部では2017年に重粒子線治療施設建設プロジェクトを開始し、2021年2月に治療を開始した。水平ビームによる前立腺癌の治療を実施しているが、2022年5月に回転ガントリーを用いた頭頸部癌の治療をスタートし、順次対象部位を拡大する予定である。 主加速器は普及小型重粒子線治療装置の設計を踏襲した430 MeV/uシンクロトロンである。運転開始当初は加速途中のロスが大きくビーム利用効率が悪かったため前立腺の照射時間が2分程度かかっていたが、メーカーと協力して改善し、1分30秒程度で照射できるようになった。今後は減速中のロスを低減し低エネルギー帯の効率改善を目指している。稼働初期に真空悪化や低エネルギービーム輸送系のアインツェルレンズ電源の故障などで長時間の治療遅延を余儀なくされたことはあったが、ここ11ヶ月は3時間を超えるような遅延なく治療に提供できている。 水平ポートのみの固定照射室では、スキャニング照射法による前立腺癌の治療を実施している。1日30件弱の照射により、既に治療完了した患者数は350を超えている。 回転ガントリー照射室では、ガントリー角度毎のビーム調整を実施しており、現状で7角度のみ完了している。今後はガントリーより上流側のビーム輸送系の再調整を実施し、角度補間を機能させて治療に使える角度を増やすこととしている。講演では、最新のセンター運用状況について報告する。