THP009  ポスター③  10月20日 会議室P 13:00-15:00
表面部分窒化無酸素チタン蒸着を利用した非蒸発型ゲッターポンプの開発
Development of a nonevaporable getter pump using oxygen-free titanium deposition with partially nitrided surface
 
○吉田 圭佑(横浜国立大学)
○Keisuke Yoshida (Yokohama National University)
 
非蒸発型ゲッター(NEG)は超高真空中で加熱すると反応性の高い表面が生成し、H2O、H2、CO、CO2、O2などの残留ガスを吸着して排気する。NEGポンプは、活性後は電力を必要しないこと、振動を生じないこと、完全オイルフリーであること、低コストであることから、加速器で広く利用されている。しかしながら従来のNEG蒸着にはTiZrV合金を使用していたため、活性化温度が180~300℃と高いという欠点があった。これに対して、我々は10-7 Pa台の超高真空中でのTiの昇華によるTi蒸着法を開発し、酸素濃度0.05%以下、純度99.95%以上のTi(無酸素Ti)を蒸着して、窒素を導入すると185℃、6時間加熱で活性化することを見出した。さらに、溝加工したICF203フランジに表面部分窒化無酸素チタン蒸着を行って、NEGポンプを製作し、1)100℃、12時間のベーキングによりCOを排気すること、2)COを飽和吸着すると排気性能が失われるが、もう一度100℃、12時間ベーキングするとCOを排気するようになること、3)ベーキングとCO排気を繰り返すと徐々に排気性能が低下すること、4)もう一度大気にさらすと排気性能が失われること、を見出した。以上の結果から、表面部分窒化無酸素チタン蒸着膜表面は100℃、12時間のベーキングで活性化するが、表面が炭素で汚染されると排気性能が失われると推測している。