THOB04  加速器応用・産業利用  10月20日 会議室B 10:00-10:20
陽子線がん治療向け超電導 AVF サイクロトロンのコミッショニング
Commissioning of a superconducting AVF cyclotron for proton therapy
 
○江原 悠太,筒井 裕士,中島 秀,原 周平,野村 真史,菅 啓大,吉田 潤,滝 和也,村田 裕彦,高橋 伸明,橋本 篤,酒見 俊之,上口 長昭,荒川 慶彦,森江 孝明,平山 貴士,小田 裕陽,藤田 慎一,金倉 純,三上 行雄,鶴留 武尚,宮下 拓也,熊田 幸生(住友重機械工業株式会社)
○Yuta Ebara, Hiroshi Tsutsui, Shu Nakajima, Shuhei Hara, Shinji Nomura, Keita Suga, Jun Yoshida, Kazuya Taki, Hirohiko Murata, Nobuaki Takahashi, Atsushi Hashimoto, Toshiyuki Sakemi, Nagaaki Kamiguchi, Yoshihiko Arakawa, Takaaki Morie, Takashi Hirayama, Hiroaki Oda, Shinichi Fujita, Jun Kanakura, Yukio Mikami, Takehisa Tsurudome, Takuya Miyashita, Yukio Kumata (Sumitomo Heavy Industries, Ltd.)
 
陽子線治療向け230 MeV AVFサイクロトロンが住友重機械によって開発された。超電導コイルを用いることで、ヨークサイズは直径2.8 m、高さ1.7 m、重量65 tと小さく、このサイクロトロンは陽子線治療向けのサイクロトロンとして現時点における世界最小サイズを実現している。小型化により敷地面積や材料コストが低減されるため、大型の病院はもちろん中小規模の病院での導入も期待されている。また、1 μA の大電流の連続ビームを特徴とし、治療時間短縮への貢献やFLASH治療への応用が期待される。さらに、超電導コイルを用いることで、低消費電力運転によるランニングコスト低減や、夜間連続励磁による病院における日々の調整時間短縮が実現される。また、コイル冷却に無冷媒伝導冷却方式が採用され、高い安全性とメンテナンス性を実現している。 このサイクロトロンは、低コストでありながら十分な性能を得られるように工夫して設計された。特徴として、外周部で±6 mmという狭いギャップかつ大きなスパイラルアングルをもつセクター、2つのDee電極、歳差引出方式によるビーム引出しなどが挙げられる。 新たに建設されたテストサイトへのサイクロトロンの移設、組立、事前試験が2020年に実施され、同年末にコミッショニングが開始された。2021年4月末に加速試験が開始され、同年7月にビームの引出しに成功した。 本報告では、コミッショニングの様子と測定された基本性能を紹介する。