THOB01  加速器応用・産業利用  10月20日 会議室B 9:00-9:20
ビーム窓の散乱を利用した数GeV二次陽子利用法の開発
Development of secondary GeV protons utilization using scattering at beam window
 
○明午 伸一郎,山口 雄司,中野 敬太,杉原 健太(J-PARC/JAEA)
○Shin-ichiro Meigo, Yuji Yamaguchi, Keita Nakano, Kenta Sugihara (J-PARC/JAEA)
 
宇宙開発事業において、衛星搭載用のセンサーの応答測定のため数百MeVからGeV領域の陽子の利用が必要となるが、400 MeV以上のエネルギー領域で供給が可能な加速器施設は世界的に少なく、国内にはJ-PARCが唯一となる。J-PARC加速器施設ではユーザー運転を安定に継続するために、利用者の実験装置を陽子ビームダクト内への設置は困難となる。また、シンクロトロン加速器の特性により検出器の動作確認ができる程度の微弱なビーム供給はできない。また、加速器駆動核変換システム(ADS)等の大強度陽子加速器施設では核内カスケードモデル(INCL)の高度化が重要となる。INCLの改良のためには、最前方方向の放出粒子のDDXが重要となるが、実験値が殆どないため新たなデータの取得が望まれる。宇宙開発利用の推進およびINCLの高精度化のため、J-PARC 3NBTビームダンプ入口のビーム窓(Al)における散乱陽子のエネルギースペクトルを測定した。 実験では、プラスティクシンチレータを用いて400 MeV陽子を用いた。この結果、弾性散乱による鋭いピークを有するスペクトルとなることが明らかになった。 INCLを用いたPHITSコードの計算は、実験データの準弾性散乱の寄与を過大評価するものの、弾性散乱による鋭いピークをよく再現した。以上より、本手法により宇宙開発に向けた数GeV領域の陽子利用が可能なことが明らかになった。