TFP004  ポスター③④  10月20日・21日 会議室P 13:00-15:00
京都大学化学研究所における電子加速器の現状
Present status of electron accelerators at ICR in Kyoto University
 
○小川原 亮,塚田 暁,前原 義樹,頓宮 拓,若杉 昌徳(京大化研)
○Ryo Ogwara, Kyo Tsukada, Yoshiki Maehara, Hiromu Tonguu, Masanori Wakasugi (ICR, Kyoto University)
 
現在 京都大学化学研究所 イオン線形加速器棟には7 MeV陽子線形加速器、100 MeV電子線形加速器(KAKEN Electron Linac: KEL)、300 MeV 電子蓄積リング(KAKEN Storage Ring: KSR)の3台の加速器が存在する。それらの加速器は2018年度まで全て休止中だったが、KELとKSRは電子ビームをプローブとした原子核実験に非常に有用であり、また不安定核静止標的を生成するためのSCRIT(Self-Confining RI ion target)法を導入することで、世界最先端の原子核研究を行うことが可能である。そこで、京大化研ではKSRを新しい原子核物理実験用に特化した装置へと改造するため、2019年度から施設再編プロジェクトをスタートした。2019年度には冷却水などのインフラ整備と並行し、全ての現行機器の健全性を調査した。それらの調査結果から、2020年度には老朽化した電源や高周波系機器などの更新を行い、ローカル試験によってKELが加速器として動作することを確認した。2021年度には制御系を一新し、PLC、EPICS、CSS を用いた加速器制御系を全て自前で開発した。先ずはKELを動作させることに注力し、現在は10 ~ 80 MeV の範囲内の任意のエネルギーの電子ビームを、最大ピーク電流0.5 A(パルス幅1 us、繰り返し20 Hz)で安定的に加速することができている。本講演では、これまでの施設再編の詳細な報告と、KSR稼働やその後の物理実験に向けた今後の展望について発表する。