FROB09  加速器技術(ビーム診断・ビーム制御)②/加速器技術(電磁石と電源)①  10月21日 会議室B 11:50-12:10
J-PARCリニアックにおけるエミッタンス増大抑制のための四極八極結合型電磁石の開発
Development of quadrupole-octupole combined magnet for emittance-growth mitigation in the J-PARC linac
 
○地村 幹(東北大理),原田 寛之,高柳 智弘,金正 倫計(原子力機構J-PARC)
○Motoki Chimura (Dept. of Phys., Tohoku Univ.), Hiroyuki Harada, Tomohiro Takayanagi, Michikazu Kinsho (J-PARC Center, JAEA)
 
加速器最上流部の低エネルギー領域で引き起こされるエミッタンス増大は,加速器全体のビーム品質の悪化および放射化の原因となる。発表者はこれまでの研究によって強い空間電荷場が働く加速器の低エネルギー領域において,数 m程度の短距離で急激なエミッタンス増大が引き起こされることを確認した。これより,このエミッタンス増大は空間電荷場の非線形性に起因することを明らかにし,八極磁場を用いることでエミッタンス増大を抑制することを提案した。さらに,ビームに八極磁場を印加することでエミッタンス増大が緩和されることをシミュレーションより示した。このエミッタンス増大の抑制法を実際の加速器に適用するため,電磁石の開発を行なった。これまでの研究より,ビーム幅の大きい地点に八極磁場を印加することでエミッタンス増大を最大限抑制することができるという結果を得ていた。そこで,他に類を見ない形状を持つ,四極磁場と八極磁場を同時に発生可能な電磁石を製作した。この電磁石は,既存の四極電磁石と交換することによって新たなスペースを確保することなく本電磁石を導入できるという利点もある。本発表では,この四極八極結合型電磁石の構造および磁場測定の結果について述べる。さらに,本電磁石を用いたエミッタンス増大の抑制実験についても議論を行う。