FROB06  加速器技術(ビーム診断・ビーム制御)②/加速器技術(電磁石と電源)①  10月21日 会議室B 10:50-11:10
COMET実験のためのSiCミュー粒子ビームモニタの開発
Development of the SiC muon beam monitor for the COMET experiment
 
○深尾 祥紀,藤田 陽一,岸下 徹一(KEK),児島 一聡,小杉 亮治,升本 恵子(AIST),西口 創,庄子 正剛(KEK),田中 保宣(AIST)
○Yoshinori Fukao, Yowichi Fujita, Tetsuichi Kishishita (KEK), Kazutoshi Kojima, Ryouji Kosugi, Keiko Masumoto (AIST), Hajime Nishiguchi, Masayoshi Shoji (KEK), Yasunori Tanaka (AIST)
 
茨城県東海村にあるJ-PARCハドロン実験施設では、COMET実験の建設が進められており、2024年に物理データの取得を開始する計画である。COMET実験では、ニュートリノを放出せずにミュー粒子が電子へ転換する事象(mu-e転換事象)を探索する。mu-e転換事象は素粒子の標準模型内では非常に低い確率でしか起こらないため、発見された場合、新物理の存在が明らかとなる。mu-e転換事象は非常に稀にしか発生しないため、偽の信号の混入を可能な限り抑制し、測定環境の健全性を監視する必要がある。我々は、実験で使用する二次ミュー粒子ビームの安定性を監視するために、シリコンカーバイド(SiC)半導体を使用したビームモニタ検出器の開発を進めている。COMET実験のミュー粒子ビームは二次ビームではあるものの、強度が高く、例えば、シンチレーターや通常のシリコン半導体を用いた検出器では、ビーム照射による放射線損傷によって壊れてしまうため、より放射線耐性の高いSiC半導体を採用する計画である。SiC半導体検出器単体については、ベータ線源、ビームを利用した性能評価が進められている。一方、ビームモニタとしての要求性能をもとに、シミュレーションを用いてモニタ全体の設計の最適化を行っている。この発表では、上述のミュー粒子ビームモニタの概要および開発状況について報告する。