FROB02  加速器技術(ビーム診断・ビーム制御)①  10月21日 会議室B 9:20-9:40
ビームリサイクル技術開発を目的とした重イオン蓄積リングRUNBAの動作原理
Design principle of Recycled-Unstable-Nuclear Beam Accumulator (RUNBA) aiming at development of beam recycling techniques
 
○小川原 亮(京大化研),阿部 康志,大西 哲哉(理研仁科センター),塚田 暁,前原 義樹(京大化研),山口 由高(理研仁科センター),若杉 昌徳(京大化研)
○Ryo Ogawara (ICR, Kyoto University), Yasushi Abe, Tetsuya Ohnishi (RNC, RIKEN), Kyo Tsukada, Yoshiki Maehara (ICR, Kyoto University), Yoshitaka Yamaguchi (RNC, RIKEN), Masanori Wakasugi (ICR, Kyoto University)
 
 原子核科学の大きな夢の一つは、安定の島元素を合成し殻構造による原子核の存在限界を検証することである。それには中性子過剰な不安定核 (RI) 同士の融合反応が必須だが、既存の技術では不可能である。我々はこの問題を克服するため、重イオン蓄積リングRUNBAを用いてビームリサイクルという新しい加速器技術開発を開始した。  通常の核反応実験において、反応を起こさなかった 99% 以上のビームは廃棄されてしまっている。ビームリサイクルではこの捨てられるはずだったビームを蓄積リングで再利用し、反応するまで標的に衝突させ続ける。これは RI 研究に対して「ビーム大強度化」とは異なる「有効利用」という新しいアプローチである。ビームリサイクルでは1秒間の蓄積を実現することで、10^18個/cm2の炭素内部標的を用いた場合10^24 /cm2/sのルミノシティーを実現する。しかし、蓄積イオンは内部標的を通過するたびにエネルギーを損失し、また同時にstragglingによってエネルギー分散と角度分散が増大する。これらの補正を行わない場合僅か数十マイクロ秒で蓄積イオンは失われてしまう。したがって、ビームリサイクルには必要な補正量をフィードバックするためのアクティブ内部標的と、それぞれの分散を補正するためのデバイスが必要不可欠である。本講演ではRUNBAの動作原理と、その原理から得られた各デバイスに要求される仕様を発表する。