FROA13  加速器技術(加速構造)②  10月21日 会議室A 16:30-16:50
ニオブダイレクトスライス材の活用による超伝導空洞の低コスト化
Cost reduction of SRF cavities utilizing sliced ingot niobium
 
○山中 将,道園 真一郎(高エネ研)
○Masashi Yamanaka, Shinichiro Michizono (KEK)
 
超伝導空洞に用いられる高純度ニオブの素材は、電子ビーム溶解により製造されたインゴットであり、粒径10~200 mmの多結晶体である。1.3 GHz超伝導空洞の中央のセル部分は、厚さ約3 mmのニオブ板材をプレス加工して製造する。ニオブ板材は、通常インゴットを鍛造・圧延して生産する。結晶は微細化され、粒径は0.01~0.1 mm程度である。これをファイングレイン(FG)と呼ぶ。一方、円筒のインゴットをスライスしてセル材料とし、これをプレス加工して空洞を製造する方法がある。スライスされた円板には大きな結晶粒が含まれているので、ラージグレイン(LG)と呼ぶ。LG空洞はFG空洞に比べて最大加速勾配とQ値が高い等の特徴がある。また鍛造・圧延工程に比べてスライス工程は簡単なため、素材の二次加工コストの低減に有効である。2018年度より文部科学省の補助事業「先端加速器の低コスト化基盤技術の開発」の一部として、「ニオブダイレクトスライス材料の活用」に取り組んでいる。これまで開発してきた中RRR高Taのニオブを使ったLG空洞と最近、新たに製造した高RRR高Taのニオブを使ったLG空洞について紹介する。関連する材料強度試験結果や空洞の破裂試験結果についても述べる。さらに、材料コストがどの程度、低減できるかを詳細に検討した。