FROA11  加速器技術(加速構造)②  10月21日 会議室A 15:50-16:10
ミューオン線形加速器APF方式IH-DTLプロトタイプの大電力試験
High-power test of an APF IH-DTL prototype for the muon linac
 
○中沢 雄河,飯沼 裕美(茨大理工),岩田 佳之(放医研),Cicek Ersin,惠郷 博文,二ツ川 健太,大谷 将士,河村 成肇,齊藤 直人,溝端 仁志,三部 勉,山崎 高幸,吉田 光宏(高エネ研),北村 遼,近藤 恭弘,森下 卓俊(原研),須江 祐貴,鷲見 一路,四塚 麻衣(名大),竹内 佑甫(九大),林崎 規託(東工大),安田 浩昌(東大)
○Yuga Nakazawa, Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Yoshiyuki Iwata (NIRS), Ersin Cicek, Hiroyasu Ego, Kenta Futatsukawa, Masashi Otani, Naritoshi Kawamura, Naohito Saito, Satoshi Mizobata, Tsutomu Mibe, Takayuki Yamazaki, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Ryo Kitamura, Yasuhiro Kondo, Takatoshi Morishita (JAEA), Yuki Sue, Kazumichi Sumi, Mai Yotsuzuka (Nagoya Univ.), Yusuke Takeuchi (Kyushu Univ.), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo tech), Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo)
 
2021年に発表された米国フェルミ研究所(FNAL)によるミューオン異常磁気能率(g-2)の測定結果は、先行実験であるブルックヘブン研究所(BNL)の測定結果と無矛盾であり、素粒子標準模型予測値との乖離が4.2標準偏差であることを示した。この乖離は未知粒子の兆候と考えられる一方で、FNALとBNLではエミッタンスの大きいミュオンビームに由来する不定性が存在している。そこでJ-PARCではミューオンの高周波線形加速による低エミッタンスビームを実現することで、全く新しいミューオンg-2測定の展開を目指している。ミューオン特有の問題である加速中の崩壊損失を抑制するべく、低速部領域には高加速効率を有するInter-digital H-mode drift tube linac (IH-DTL)を採用する。さらに高周波電場のみで横方向収束を行うAlternative Phase Focusing(APF) 方式を導入することによって、高加速効率と空洞の小型化を実現した。一方でミューオン専用のIH-DTL開発の前例はないため、我々は原理実証のための実機の1/3スケールのプロトタイプを製作し大電力試験を実施した。30時間程度のコンディショニングの結果、IH-DTLプロトタイプは定格パワー(75 kW, duty 0.1%)で安定な状態となることを達成した。本講演では、IH-DTLプロトタイプの開発及び大電力試験の結果について報告する。