FROA09  ハドロン加速器②/加速器技術(加速構造)①  10月21日 会議室A 11:50-12:10
次世代放射光源用加速器のための1.5 GHz TM020型高調波空洞の大電力実機に向けた設計研究
High-power model design of the 1.5 GHz TM020-type harmonic cavity for the future synchrotron light sources
 
○山口 孝明(総研大(加速器)),坂中 章悟,山本 尚人,内藤 大地,高橋 毅(高エネ研)
○Takaaki Yamguchi (SOKENDAI), Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto, Daichi Naito, Takeshi Takahashi (KEK)
 
TM020型空洞[1]はビーム不安定性を誘引する寄生モードの減衰に優れ、且つバンチギャップによる過渡的電圧変動を抑制できる。我々はこの空洞方式を100 pm rad級の低エミッタンス放射光源でバンチ伸長用高調波空洞として用いることを考え、設計研究を行っている。2020年頃まで電磁場設計を行い主要な寄生モードを大きく減衰できることを電磁場計算で示し、2021年春にアルミ合金製低電力モデルを製作して加速モードの共振周波数とQ値及び寄生モードの減衰性能を確認した[2]。その後本格的に大電力実機試作に向け設計検討を進めた。この検討過程で、寄生モード減衰機構に関して、RF吸収体の合計体積を増やす、またRF吸収体導入部を真空封止する、という理由から設計変更の必要性が生じ、低電力モデルの構造から若干の改良を施した。その後、ANSYSによる熱応力解析を行い、1空洞当たり約10 kWの熱負荷にも対応できる冷却水路・機械構造を検討した。こうした検討の結果、実機の設計が概ね固まった。本発表では、これらの検討結果に基づく大電力実機の最終設計を提示する。[1] H. Ego, et al., PASJ2014, MOOL14. [2] T. Yamaguchi, PASJ2021, WEOA03.