WEP021  ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論  8月11日 会議室P 13:10 - 15:10
J-PARCメインリング直線部4極磁石停止による静電セプタム重故障と復旧
Electrostatic septum accident and recovery by a quadrupole power supply trip in the straight sections
 
○冨澤 正人,新垣 良次,岡村 勝也,木村 琢郎,栗本 佳典,小松 雄哉,白壁 義久,武藤 亮太郎,村杉 茂,柳岡 栄一,吉井 正人(高エネ機構/J-PARC),松村 秋彦(NAT)
○Masahito Tomizawa, Yoshitsugu Arakaki, Katsuya Okamura, Takuro Kimura, Yoshinori Kurimoto, Yusuke Komatsu, Yoshihisa Shirakabe, Ryotaro Muto, Shigeru Murasugi, Eiichi Yanaoka, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Akihiko Matsumura (NAT)
 
J-PARCメインリングでは、遅い取り出しによりハドロン実験施設にビームを供給している。2020年12月と翌月のビームスタディーにより、50 kWから60 kWへのビーム強度増強に成功した。60 kWの利用運転を継続している2021年2月28日に、22 kVパワーラインに設置されているVCB断により、直線部の4極磁石電源7ファミリーすべてが停止した。この停止による各電源の電流低下により、直線部に生成している遅い取り出しバンプ軌道が歪み、静電セプタム装置のセプタムリボンに周回ビームが直撃した。このビーム直撃によって発生した熱によりリボンが切断し、そのうちの数本が電極に接触しショートするという重故障が発生した。幸い静電セプタムのスペア機の準備が終了していたため、短期間でスペア機への交換と高電圧印加を完了することができ、無事利用運転の再開を果たすことができた。本発表では以上の経過報告に加えて、静電セプタム重故障の原因となった4極磁石電流低下による軌道の歪みや発熱に関する解析についても述べる。