WEP001  加速器応用・産業利用/粒子源  8月11日 会議室P 13:10 - 15:10
中性子反射率法による金属磁性体コア防水膜構造の研究
Development of new waterproof thin-layers for the magnetic alloy core: structural studies using neutron reflectometry
 
○阿久津 和宏,佐原 雅恵,上田 実咲(CROSS),新関 智丈(アート科学),吉井 正人(KEK),杉山 智春,江口 直也,和田 恭明(沢平)
○Kazuhiro Akutsu, Masae Sahara, Misaki Ueda (CROSS), Tomotake Niizeki (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Tomoharu Sugiyama, Naoya Eguchi, Takahiro Wada (Sawahei)
 
J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。近年では、polytetrafluoroethylene (PTFE)などのフッ素樹脂が表面の腐食劣化を抑制する材料として着目されており、新しい表面コーティング技術としての研究が進んでいる。 本研究では、Si基板上にPHPSとPTFEの膜を形成し、その構造をFT-IR及び中性子反射率法により調べることで、両者の防水性能の違いをナノ構造の視点から調査した。中性子反射率の測定は、J-PARC MLF BL17に設置されている偏極中性子反射率計「写楽」で実施し、そのデータは解析ソフトMotofitを用いて解析した。FT-IR及び中性子反射率データ解析の結果、PHPS及びPTFE膜は深さ方向に対して均一な膜が形成されていることが確認された。一方、膜の表面粗さはPTFEでは28 nmと大きく、PHPSの10倍程度の表面粗さであることも確認された。両者の表面粗さの違いは、膜の成膜メカニズムの違いに由来するものと推定される。本発表では、中性子反射率解析結果の結果に加え、PHPS膜とPTFE膜の防水性能の違いについて詳しく議論する。