TUP036  加速構造  8月10日 会議室P 12:50 - 14:50
超伝導Nb空洞処理用の縦型電解研磨装置の導入
Installation of vertical electropolishing system for surface processing of superconducting Nb cavity
 
○後藤 剛喜,早野 仁司,梅森 健成,宍戸 寿郎,文珠四郎 秀昭(高エネ研)
○Takeyoshi Goto, Hitoshi Hayano, Kensei Umemori, Toshio Shishido, Hideaki Monjushiro (KEK)
 
現在,高エネルギー加速器研究機構(KEK)の超伝導加速器利用促進化推進(COI)棟において,超伝導Nb空洞の表面処理能力を増やすために縦型電解研磨(EP)装置の導入工事が進捗しており,その計画内容について報告する。本装置ではKEKで既に導入実績がある横型EP方式(空洞を水平姿勢でEP処理)ではなく,空洞を垂直姿勢でEP処理を行う縦型方式を採用している。その理由として,(1)横型方式では必須な空洞軸方向の回転機構や水平-垂直姿勢の回転機構が縦型方式では必要なく,装置機構が大幅に簡略化,(2)アノード電極であるNb表面の反応面積が約1.7倍大きくなり,EP処理速度が向上,(3)フッ酸を用いない安全なEP法であるバイポーラーEP法や交流EP法を適用できる点にある。その反面,縦型方式で均一な表面処理を行うにはEPの反応熱,重力によるNb表面の拡散層(粘性層)の時間変化,Alカソード電極から発生した水素ガスの気泡の対処などが必要となる。導入される本装置には,そうした課題に対応するための様々な技術的工夫が施されており,Nb空洞の円滑かつ質の高いEP処理が実現できると期待される。