TUP023  ハドロン加速器/ビームダイナミクス・加速器理論  8月10日 会議室P 12:50 - 14:50
cERL入射器ビームのエネルギーチャープおよび縦方向電子分布における誤差の影響
Simulation study of discrepancies in difference in the maximum acceleration phase and the reference chirp phase for the IR-FEL operation at the Compact ERL
 
○田中 織雅,中村 典雄,宮島 司,島田 美帆(高エネルギー加速器研究機構)
○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada (High Energy Accelerator Research Organization (KEK))
 
KEKのコンパクトERLでは、2020年度に中赤外自由電子レーザー(IR-FEL)が建設され、2020年6-7月と2021年2-3月にはそのIR-FELの発振試験を行ってきた。FEL発振に必要な1 ps以下(RMS)の短いバンチは、主加速空洞におけるオフクレスト加速とアーク部におけるR56制御によるバンチ圧縮によって生成されるが、そのバンチ品質は主加速空洞に入る前のエネルギー(運動量)チャープを含む縦方向電子分布にも依存する。入射器からのビームが持つチャープのために主空洞最大加速位相とアーク部入口でエネルギー拡がりが最小となる加速位相(基準チャープ位相)との間に差が生じることになるが、主加速空洞の加速位相を走査してチャープの測定を行ったところ、シミュレーションと実測で最大加速位相と基準チャープ位相の差があることがわかった。これは、入射器から輸送されるビームのチャープがシミュレーションよりも小さく、さらには入射器の縦方向電子分布も設計分布から変化している可能性がある。そのため、入射器モデルに各種加速空洞などの誤差を入れてチャープを含む縦方向分布の変化をシミュレーションによって評価し、その原因について調査した。本発表では、シミュレーションによる各種誤差の縦方向電子分布への影響と実測との比較について報告する。