TUP008  加速器土木・放射線防護/真空  8月10日 会議室P 12:50 - 14:50
J-PARC MR入射部における運転モードの違いによるコンクリート中に生成される放射性核種の比較
Comparison of radionuclides produced in concrete by different operation modes at the J-PARC MR injection point
 
○西川 功一(KEK/J-PARC/量研),大山 隆弘,齋藤 究,白形 政司,中村 一,萩原 雅之,別所 光太郎,三浦 太一,山崎 寛仁(KEK/J-PARC),関本 俊,八島 浩(京大複合研)
○Koichi Nishikawa (KEK/J-PARC/QST), Takahiro Oyama, Kiwamu Saito, Masashi Shirakata, Hajime Nakamura, Masayuki Hagiwara, Kotaro Bessho, Taichi Miura, Hirohito Yamazaki (KEK/J-PARC), Shun Sekimoto, Hiroshi Yashima (KURNS)
 
J-PARCではビームロスで生じた中性子によって、加速器機器に様々な放射性核種が生成され、トンネル内のコンクリート壁も放射化が確認されている。特にビームロスが大きいMR入射コリメータ部周囲のコンクリートが、最も強く放射化している。コンクリートは多様な元素が含まれており、核破砕反応によって生成される放射性核種も多様であり、他の加速器施設と比較して、B-7eやNa-22など、速中性子に由来する核種の放射能が非常に高いレベルで観測されている。MRトンネルの一部のコンクリート壁には、建設段階で高レベルの放射化が予想されたため、放射化を抑えるためにNaの含有量が少ない低放射化コンクリートを利用して建設された。MRの運転モードには約2秒かけてハドロン実験施設にビームを取り出す遅い取り出し(SX運転モード)と、加速器内を1周する間にニュートリノ実験施設にビームを取り出す早い取り出し(FX運転モード)がある。各運転モードにおける出力はそれぞれ約50 kWと約500 kWとなっている。我々は、2019年3月1日から3月7日のSX運転時及び2019年11月28から12月4日のFX運転時に、低放射化コンクリートと普通コンクリートの同量・同形状の観測用試料をMR入射部の同一地点に設置し、単位陽子当たりの放射性核種の生成量を比較した。本報告ではSX運転とFX運転で核種生成量が異なった理由と、速中性子による核種生成への寄与について、低放射化コンクリートの利用効果を含めて議論する。